よろず診療科
田舎の診療所です。地域医療のニーズに応え、内科、循環器にこだわらず、家庭医として、また万年研修医として、なんでも相談できるようなよろず診療所を目指して精進しております。
小児科
勤務医時代も当直で小児を診ることはありましたが、診断はする必要はありませんでした。ただ、熱が出ていれば、熱冷ましを出して、咳が出ていれば、咳止めを出して、「明日、小児科の先生の所に行って下さい」と付けたせば、終わりでした。面倒ではありましたが、あまり頭は使っておりませんでした。しかし、自分で診るようになると、みんなに「明日、小児科へ」と言うわけにもいかず、病気の今後の見通しや重症度、合併症、学校はいつから行ってもいいかなど説明をするためには、まずは診断をしなくてはいけません。小児特有の病気もいろいろあります。初診で診断がつかなくても、鑑別診断を考えて、経過をみながら最後まで自分で治療をしなくてはなりません。
小児を診るということには、大げさですが、覚悟というものも必要です。小児の疾患は勉強すればするほど難しい・・・というか、診るのが怖くなるということがあります。 小児の場合は、診察時には元気でも家に帰ってから急変するような症例の報告も多く、誰が診ても、初診の段階での診断が難しいと考えられる症例は、いたしかたないと言い聞かせながらも、お互い後味のいいものではありません。 どどのつまり、最も重要なことは、 見た目で小児の調子の悪さ(general appearance poor)を直感できるかにかかっています。これは、当然内科でもあるんですが、本人がしゃべってくれない分(間接的ですが、母親の話も大事)より難しいと同時に、子供は正直という面もあり、大人を診る時のように変に色眼鏡で見ないことが大事のように思います。これは、決して山勘とは異なります。基本的な知識を持った上で、いろいろな経験を重ねて養われるものだと思っています。小児科の診療では到底そういったレベルにはないわけですが、もし、都会で開業していれば、循環器だけやっていればよかったんでしょうが、たつの市内で、小児科は八木小児科 1軒だけで、神岡には小児科のお医者さんはいません。地域にニーズがある以上、こんな僕にもできる範囲で勉強せざる得ないわけです。
整形外科
よろず診療所の初診時の主訴は、
1位 咳
2位 発熱
3位 くしゃみ・鼻水
4位 喉の痛み
5位 頭痛
6位 膝痛
7位 腰背部痛
8位 発疹・湿疹
9位 全身倦怠感
10位 胃の痛み
内科を標榜している田舎の診療所では、咳、鼻水、熱などのかぜ症状で受診される患者さんの次に多いのは膝が痛い、腰が痛いなど整形外科の訴えなのです。膝痛のほとんどは軟骨がちびたなれの果てですし、腰痛のほとんどは筋膜性疼痛です。湿布なんて気安めぐらいでほとんど効果ありません。痩せて!運動して!ぐらいしか言えませんよね。当院では、漢方が嫌なら(痛み止め(NSAIDs)を処方するくらいなら)堀整形外科に行ってもらいます。
皮膚科
皮膚科は、第8位 発疹・湿疹です。開業するまでは、皮膚科をまともに診たことはありません。湿疹とじんま疹の区別もつかない、素人以下の状態でした。僕が皮膚科を勉強するきっかけになったのは、幼児のやけどでした。ある日、4歳の幼児が、兄弟といっしょに花火をしていて、腕にやけどをして来院されました。パッと見、紅いだけでたいしたことはありません。「大丈夫だね。軟膏出しとくね。」ということでロコイド軟膏を処方しました。3〜4日経って、あまり良くならないと言って再診、確かに良くなっていませんでしたが「もうちょっと様子を見ましょう」とは医師がよくわからない時につかう得意技です。1週間後、明らかに悪くなっています???。あんちょこ本を見直してもやけど→ステロイド軟膏って書いてあります。弱い?でも幼児だし・・・。思い切って、リンデロン軟膏に変更してみます。1週間後、更に悪化、訳がわかりません。結局、2ヶ月ぐらいでなんとか治りましたが、軽いケロイドのような痕が残ってしまいました。幸いにも、優しい?お母さんで、特に大きなトラブルめいたこともなく、今でもかぜを引くと来てくれているので、良かったのですが、僕にとっては、反省!という症例でありました。そこで、父のコネを使って、姫路日赤の皮膚科に紛れ込み、毎週水曜日の午後1時間ほどですが、1年間見学に行かせてもらいました。やけどの程度は、温度x時間であります。やけどを診断するときには、原因がなにかということが大変重要になります。飲み物ならひと安心です。コーヒーをこぼしたとしても、飲める温度ならせいぜい60℃ぐらい、バサッとかかってもⅠ度熱症で済みます。花火は温度は800℃とも1000℃とも言われます。ほんの短い時間でも、深いやけどになる可能性があります。花火でやけどしたと言われた時は、安易に大丈夫と言わないように気をつけなければなりません。日赤の先生のお話では、新日鐵広畑の溶鉱炉の火花が触れた患者さんは、一瞬触れただけで、骨までいっていたとのお話しでした。怖いですね。その時に、部長先生の隣で診察されていたのが、今の師匠の山田 琢先生です。皮膚科は、湿疹とじんま疹と白癬で、8割を占め、これらをまがいなりにも診られたら、家庭医としては65点というところではないでしょうか。皮膚科は、内科と違い、患者さんにもはっきりと見えますから、医師がいくら良くなってますねって言ったって、まったく説得力がありませんよね。患者さんとの会話に意思の疎通ができるように、俗称のある皮膚病について整理しておきましょう。
あせも 汗疹
あせものより 乳児多発性汗腺膿瘍
いぼ 尋常性疣贅 扁平疣贅
いんきんたむし 股白癬
うおのめ 鶏眼
おでき せつ
おびくさ 帯状疱疹
かぶれ 接触性皮膚炎
くろあざ 色素性母斑
くらなまず 癜風
しみ 肝斑 リール黒皮症など
しらくも 表皮性頭部白癬
しろなまず 尋常性白斑
ぜにたむし 斑状小水疱性白癬
せんざいあれ 進行性手掌角皮症
そばかす 雀卵斑
たいどく 小児脂漏性湿疹
たいわんはげ 円形性脱毛症
たこ 胼胝腫
たむし 頑癬
とびひ 伝染性膿か疹
にきび 伝染性挫創
熱の華 単純疱疹(単純ヘルペス)
はたけ 顔面単純性ひとう疹
ひげそりまけ 尋常性毛そう
ひぜん 乾癬
ひだこ 大理石様皮膚
ひやけ 日光皮膚炎
みずいぼ 伝染性軟属腫
わきが えき臭症
眼科
開業医をやっていると、いろいろな障害を持つ人に接します。そしてなるべくその患者さんの人生に寄り添って考えようと努力するわけですが、「目が見えない」世界?で生活するということ自体、今までの自分の経験からはなかなか想像することすら難しいことと思われます。視力は、外界から得ている情報の中で最も大切な五感ではないでしょうか?盲導犬を連れて道を歩いている人を見かけると、本当に大変やなあと思いながら、ある意味尊敬してしまいます。(待合に、日本ライトハウスの募金箱を置いています。よろしくお願いします。)
眼科の先生との連携は、糖尿病網膜症が主なものですが、その他、白内障、緑内障、加齢黄斑変性などを疑った患者さんを紹介しています。当院で対応している眼科疾患は、逆まつげぐらいですかね。
泌尿器科
泌尿器科は、腎、尿管、膀胱、尿道といった尿路の疾患と精巣・精巣上体・精管・精嚢・前立腺・陰茎といった男性生殖器の疾患と副腎の診断と治療を行う診療科です。ちょっと敬遠してきたイメージはあるのですが、高齢化社会における泌尿器疾患の知識は重要で、専門医への紹介の必要性とタイミングについて知っておくと診療のハードルが下がります。たつの市で唯一のウロ専門水野クリニックへ、ややこしそうなのは姫路日赤に紹介しています。
精神科
「佐野内科ハートクリニック」という名前に誘われて、たまに本物の精神科疾患が紛れ込んでくることがあります。目つきがおかしく、会話が成立しません。お薬手帳を拝見すると抗精神病薬がずらりと並んでいます。これは、ちょっと僕の手には負えないということで、お引き取り願うわけですが、話があちこちに飛び火して収集がつかなくなって難渋する事がしばしばあります。2012年の診療報酬改訂で、統合失調症などに用いる向精神病薬について多剤処方の是正し、適正使用を促すために3剤以上投与した場合、「精神科継続外来支援・指導料」が2割減算されました。統合失調症が悪化したのか薬の副作用なのかよくわかりませんね。
うつ病も、自殺を防ぐためには、早期発見、早期治療が大事と言いながら、副作用(アクチベーション症候群)で自殺されたら元も子もありません。外傷後ストレス障害も生きていればいろいろな事があるでしょうし、強迫性障害も鍵をかけ忘れたかと思って何回も確かめたり、手を何回も洗ったりするようなことは(僕なんか、食事前に嫁さんに手を洗いましたか?と言われる始末です。職業柄、少し強迫観念があった方がいいかも)たいした障害ではないんでは? こんなことで薬を飲まされた方が、いろいろと生活に支障がでるような気がします。社会不安障害なんて、あがり症の人は当たり前田のクラッカーですね。小さい時から赤面症の僕なんて、学会発表の時などは、足はガクガク、声も振るえ、いっさい原稿から目が離せず、大変でした。最近は、立場的なこともあり、人前で話をしなくてはならず、場数を踏んだことで慣れもあり、ちょっとはましになりましたが、それでもβ遮断薬とPPIは欠かせません。新型うつに至っては、ただのわがままなだけでしょう。プライマリーケア医にとっては、精神科疾患は、診断基準があってないような主観的なことばかりで、偉い先生がこう言えば、はいその通りですって、摩訶不思議な世界に見えますが、精神科の先生は、頭の中のDSM-Ⅲ(精神障害の診断と統計マニュアル第Ⅲ版)に従って診断しているようです。
産婦人科
産婦人科の疾患自体を直接診ることはほとんどありませんが、妊婦がかぜをひいたり、インフルエンザに罹って来院されることはしばしばあります。妊婦に出すお薬は、妊娠週数を考慮しながらもちょっと気を遣いますよね。また、検診などでレントゲン撮影が必要なときに、妊娠の有無の確認が必要です。最近、麻疹風疹の予防摂取が中学生〜高校生に行われましたが、その時に妊娠の可能性や、避妊の説明が求められましたが、デリケートな問題なので慣れてないとなかなか難しいですよね。女性(妊娠可能年齢の)の腹痛は、とてもやっかいです。一般の腹痛の鑑別診断に加えて、子宮、卵巣の腹痛、妊娠の腹痛を考えなくてはいけません。本当は、妊娠検査をしたほうがいいのでしょうが、今までやったことがないのは、見落としているのか?、幸いだったのか?「女性を見たら妊娠と思え」なんて今では、セクハラで女性を敵に回しそうな言い回しも頭に置きながら、経過観察をする必要もあります。
放射線科
僕らが医者になった時代は、国家試験にCTは出ましたが、MRIの欠片もありませんでした。放射線科と言えば、一番さぼれる?楽な科というイメージでしたが、今や花形?というか、無茶苦茶に忙しい科になっています。現在の医療は画像診断なくして成り立たちません。放射線科とは、単純X線写真からCT、MRI、核医学検査(PETを含む)など最先端画像までの画像診断部門と画像誘導下で行う局所治療(インターベンショナルラジオロジー:lVR)およびがんの放射線治療を行う診療科です。https://heart-clinic.jp/よろず診療科
耳鼻咽喉科
耳鼻咽喉科は、内科と外科二刀流というイメージですね。内科系では、アレルギー性鼻炎、中耳炎、副鼻腔炎、咽頭炎、めまいなど内科の診療と重なる部分も多いように思います。