腰が痛い 

腰痛 

日本整形外科学会と日本腰痛学会は、平成24年12月30日の新聞で「腰痛の診療ガイドライン」を報じた。重篤な脊椎疾患がない限り、画像検査は意味がないとしています。

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つまり、腰痛の85%は、原因不明なわけで「えっ それってどうゆうこと」と思ってしまいますが、放っておいても1週間で50%、2〜4週間で90%は治ってしまうので、診断がつかなくても全然心配ないわけです。

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よく聞く「椎間板ヘルニア」「腰部脊柱管狭窄症」はそれぞれ4〜5%にすぎません。つまりは、red flagのあるものは、画像診断が必要ですが、red flagサインのないほとんどの腰痛は、原因が特定できない非特異的腰痛(全腰痛の85%)であり、画像診断は1カ月は不要です。これらに非特異的腰痛に対してはストレス評価が必要とされていますが、これも何の根拠があってのストレス?なのかは、意味不明ですが・・・。

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◎年齢 20才以下または55才以上
◎最近大きな怪我をした
◎安静にしていても強くなる痛み
◎胸部痛
◎癌、白血病など悪性腫瘍の既応
◎ステロイドを長期間使用した(喘息膠原病等)
◎薬物乱用、免疫抑制剤,HIV
◎全身体調不良
◎原因不明の体重減少
◎神経症状(排尿、排便困難,坐骨神経痛、下肢しびれ等)
◎背骨が曲がっている
◎発熱



脊柱(背骨)の腰の部分には、腰椎と呼ばれる5つの椎骨があり、椎骨のお腹側の部分を椎体といい、椎体と椎体の間には「椎間板」があります。椎間板は柔らかい組織で、クッションの役割を果たしています。椎体の背中側には神経が通っていて、さらにその後側の骨は椎間関節を構成しています。脊柱は、体を支えるだけでなく、この神経を守る働きもしています。

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圧迫骨折 

椎体に大きな圧力が加わって椎骨が潰れて、強い痛みを伴います。

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paraspinal line 圧迫骨折

安静は痛くなれば動かしてOK。痛ければ2日間、NSAIDsの処方、速やかに日常生活に戻すこと。

椎間板ヘルニア 

椎間板ヘルニアの好発年齢は20~40歳代です。(高齢者の坐骨神経痛は、まず椎間板ヘルニアよりも脊柱管狭窄症や変形性脊椎症の可能性を考えます)椎間板の内部にはゼリー状の物質が入っており、髄核と言います。椎間板ヘルニアは腰椎に大きな負担がかかって、椎間板にひびが入ってしまい、椎間板内部の髄核が膨らんだり、飛び出したりして神経を圧迫することで、腰痛やしびれ、麻痺(坐骨神経痛)などが症状が出現します。

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腰椎椎間板ヘルニアの9割は、L4/5とL5/S1の二つの椎間板で起こります。下肢への放散痛がある場合は、ヘルニアを疑ってその位置を確認します。整形外科で、深部反射や知覚、筋力をいろいろ調べられるのは、どこの神経根が障害を受けているのか、当たりをつけているわけです。

たとえば、坐骨神経に沿って大腿後面から下腿外側、後面、さらに足指に放散する場合、足背または第1指への放散痛ならL5、足底または第5指への放散痛ならS1の神経根症状です。L3/4(L4神経根障害)の場合は、大腿神経に沿って大腿前面から膝内側にかけて放散痛があり、膝疾患と間違われることもあります。膝蓋腱反射(PTR)はL4、アキレス腱反射(ATR)はS1をみています。知覚は、母趾と第2趾の間は、L5の固有領域で、外果の下方は、S1の固有領域です。筋力は、足関節背屈、足趾背屈がL5、底屈、足趾底屈がS1です。反対に、つま先立ちができれば、S1は大丈夫、踵立ちができれば、L5はOKというわけです。

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最も多いL4/5のヘルニア(L5神経根)の場合、ヘルニアが出る方向によって、症状もいろいろありますが、当然ながら坐骨神経(L4〜S3神経根が束になったもの)症状がでやすいわけです。

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①後正中型 central type(15-20%) 正中型
②後外側型 posterolateral type(70-80%) 傍正中型
③椎間孔内外側型 intraforaminal type,lateral 椎間孔、外側型
④椎間孔外外側型 extraforaminal type,far-lateral 椎間孔外型

髄核が後方の中心に脱出して馬尾神経を圧迫する中心性のヘルニアでは 、運動麻痺の症状が強く、腱反射が消失し、膀胱・直腸障害がみられる。早期に外科的治療をしないと重篤な状態となるので、注意が必要です。

椎間で硬膜内の最も外側(一番狭い場所)に位置する神経が、そのレベルで分岐して硬膜外へ出ていく神経です。例えばL4/5椎間であれば、硬膜内で最外側にあるのはL5神経で、その内側にS1があります。L4/5のヘルニアが起これば、L5→S1→S2→S3・・・の順に圧迫されていくので、硬膜内で一番狭いところにあるL5神経を障害されずに、それより広いところにあるS1神経だけが障害することは考えにくい。つまり、L5のみ、もしくはL5とS1の二つが障害されることはあっても、S1単独障害は起こりえないということになります。L5/S1の椎間板ヘルニアでは、S1神経根が障害される。

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SLR(straight leg raising:下肢伸展挙上テスト)は、腰椎椎間板ヘルニアに対する疼痛誘発試験で、患者さんに上向きに寝てもらって、一方の下肢は膝を伸ばしたまま床につけておき、他方の下肢は膝を伸ばしたままで挙上していきます。椎間板ヘルニアがあると髄核によって神経根が強く絞扼されて、下肢の挙上が70度未満で坐骨神経に沿った痛みが誘発されます。(ラセーグ徴候とも言います)ヘルニアに特徴的なサインですが、70度以上の挙上では健常人でも膝窩部のつっぱりを訴えます。

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このような症状や所見から、どの神経根を障害している椎間板ヘルニアを診断した上で、画像診断ではMRIが有用で、予想された部位にヘルニアを確認できれば、確定診断となるわけです。

L4/5腰椎ヘルニア MRI画像の読み方

腰部脊柱管狭窄症 

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変形性脊椎症
椎間板の髄核は保たれる。骨棘

椎間板髄核変性

膝が痛い 

変形性膝関節症 

膝に痛みを抱えている人は、日本で800万人とも1000万人とも言われており、年齢が高くなるほどその数は増えていきます。高齢者で膝の疾患で多いのが変形性膝関節症で、「膝がこわばる、突っ張る、動かしにくいといった違和感から始まり、安静にして歩かないという対応をとりがちです。その結果、体重増加、筋力の低下に相まって、膝にかかる負担が増えて、痛みが強まるという悪循環に陥ります。健康な膝関節は、軟骨に覆われていますが、年齢とともに軟骨がすり減って、骨と骨とが直接ぶつかるようになると膝関節の変形が起こってきます。

内側(腓骨と反対側)が狭小化し、外側は保たれている。通常は、膝の中心で支えているが、肥満になったり、重いものを持ち上げるときは、重心は、力学的に膝の内側に偏り、見た目はO脚になります。

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骨棘(骨硬化像)がでる。

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治療の原則は、運動療法と減量です。膝関節を安定させるためには、大腿四頭筋を鍛える(伸ばした状態で膝を床に押しつける運動 1日10回5秒づつ)ことが効果的です。また、日常生活では、T字杖の使用が薦められます。長さは、杖先がつま先の前10cmぐらいにあった時に、握りが大転子の位置ぐらいに調節します。外挿板(足低の外側を7mmほど高くする。O脚→X脚に)も初期の段階では有効です。サポーターやヒアルロン酸注射(1〜2週間に1回、4〜5回施行)なども有効なこともあります。

関節内郭清術

膝関節内に関節鏡を入れて、関節内を観察しながら、剥がれた軟骨や不安定な半月板の断裂部分を取り除きます。軟骨がまだある程度残っているような初期の患者さんが適応です。

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高位頸骨外反骨切り術
頸骨の一部を切り、くさび状に広げて、そこに骨を植えて変形を矯正し、内側に集中している負担を減らす手術です。50〜60歳代の比較的若くてスポーツをしたり、日常生活での活動性が高い患者さんに適します。回復期間は2〜3ヶ月かかり、痛みも徐々にとれてきます。

 
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人工膝関節置換
金属とポリエチレンでできた人工関節と膝にはめ込む手術です。膝関節が大きく変形していたり、軟骨の摩耗がかなり進んでいて、強い痛みを伴う場合に行われます。人工関節の耐用年数は20年程度といわれており、多くの場合は、60歳以上の患者さんが対象になります。術後1ヶ月程度で日常生活に戻れますが、膝関節は90〜120°しか曲がらないので、しゃがんだり、正座は難しく、椅子の生活になります。

 

偽痛風 

偽痛風は、名前の通り、臨床症状が非常に痛風に似ています。激痛です。関節炎が起こり、赤く(暗赤色)に腫れて、痛みのために全く動かせなくなります。しかし、場所が異なります。痛風は、母趾MP関節ですが、偽痛風の場合は、膝関節がほとんどで、稀に手関節に見られます。確定診断は、関節を穿刺し、ピロリン酸カルシウムCalcium pyrophosphate dihydrate(偏光顕微鏡)を証明します。

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偽痛風を起こす方のほとんどに半月板の石灰化を認めます。この石灰化は加齢とともに頻度が増え、80歳では30%に見れれますが、みんながみんな偽痛風を起こすわけではありません。鑑別疾患で最も重要なのは、化膿性関節炎(膝が鮮紅赤、ピンク色に発赤あり)です。関節液の性状は、どちらも黄白色に濁っており、鑑別できないので、培養が必要です。化膿性関節炎が除外出来れば、ちなみに痛風は、放置しても3日〜1週間ほどで痛みは自然緩解することが多いですが、偽痛風の場合は、2〜4週間続くことも稀ではありません。よって、NSAIDs(効果なければ+ステロイド内服)にて治療を開始します。

 

肩が痛い 

肩の構造

肩関節は、体の中で最もいろいろな方向に複雑な動きをする関節で、肩の痛みを理解するためには、肩がどのような構造になっているかを知っておく必要があるわけです。肩関節というのは、背中の肩甲骨と上腕骨からなる関節(けん玉の皿と玉)を指していますが、肩の動きというのは、肩関節周囲の筋肉、靱帯、腱板などが複雑に入り交じって、肩関節を安定化させ、肩鎖関節(肩甲骨と鎖骨)胸鎖関節(胸骨と鎖骨)肩甲胸郭関節(肩甲骨と肋骨)を併せて4つの関節が連動して、様々な動きをしているので、そのバランスも大切なのです。あまりにも複雑すぎて、素人の僕には理解不能なのでした。

「腕の外側が激しく痛い」「動かすと痛い」「寝てても痛い」さて?

五十肩(肩関節周囲炎) 

最もよく見られる肩の疾患です。原因は、はっきりとはわかっていませんが、関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲に組織に炎症が起きることが主な原因と考えられています。中年以降、特に50歳代に多くみられるため、このように呼ばれていますが、30〜70歳代までの幅広い年代で発症します。肩関節は、関節包という袋状の組織で覆われています。また、腱板の周辺には、腱板が滑らかに動くための潤滑油の役割をする滑液包(滑液で満たされている)という組織があります。この関節包や滑液包に炎症が起き、周辺が癒着することで痛みが起こるようです。

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ほとんどは、自然に治りますが、動かす時に痛みがあるため、あまり動かさないでいると日常生活が不自由になるばかりでなく、関節が癒着して動かなくなることもあります。痛みのために、腕を後ろ側に回せなくなったり、頭に手が届かなくなったりするため「服を着る」「背中や頭を洗う」「お尻を拭く」などの動作が難しくなります。立っていると腕の重さで肩関節が安定し、痛みはましですが、夜に横になって寝ると寝返りなどで肩関節が動きやすく、痛みが生じやすくなってしまいます。

痛みが強い急性期(およそ3ヶ月)は、寝返りをうったり、少し動かしただけでも激しく痛い時期は、三角巾・アームスリングなどで安静を計り、消炎鎮痛剤の内服、注射などが有効です。肩関節の癒着が進み、夜間の痛みが軽くなってくると拘縮期(3ヶ月〜1年)に入ると、消炎鎮痛剤を飲みながら、運動療法(拘縮予防や筋肉の強化)などのリハビリを行います。

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腱板に負担をかけずにストレッチすることで可動範囲の改善効果がある「振り子(アイロン)体操」が勧められています。痛まない方の手を机について前かがみになり、痛む方の手で持ったアイロンを振り子のように動かします。前後から左右に、さらに円を描くように動かし、徐々に負荷を高めます。

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1年以上経つと、痛みはほとんど改善されているため、肩関節の動きをさらに改善させる効果のある「棒体操」を加えましょう。運動療法は、やりすぎはいけません。無理なくできる回数から始めて、少しずつ回数を増やします。運動療法の詳細は、専門医、理学療法士に相談してみて下さい。

石灰沈着性肩関節周囲炎(石灰沈着性腱板炎) 

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40~50歳代の女性に多くみられます。肩腱板内(最も多いのは棘上筋腱)に沈着したリン酸カルシウム結晶によって起こる急性の肩の疼痛・運動制限です。この石灰は、当初は濃厚なミルク状で、時がたつにつれ、練り歯磨き状、石膏状へと硬く変化していきます。夜間に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まる事が特徴的で(石灰が、腱板から滑液包内に破れ出る時に激痛が起こる)痛みが強い場合には、腱板に針を刺して沈着した石灰を破り、ミルク状の石灰を吸引したり、手術で摘出することもあります。ほとんどは、保存療法で軽快します。三角巾・アームスリングなどで安静を計り、消炎鎮痛剤の内服、痛みが強いときには、局所麻酔剤を直接注射します。疼痛が和らぎ、夜間寝れるようなったら、運動療法(おじぎ体操 腱板強化体操)などのリハビリを行います。運動療法の詳細は、専門医、理学療法士に相談してみて下さい。

肩腱板断裂 

腱板断裂は、骨と骨(肩峰と上腕骨頭)にはさまれている腱板の加齢や肩への負担が原因となっており、中年以降の病気といえます。40歳以上の男性(男62%、女38%)発症年齢のピークは60代です。明らかな外傷によるものは半数で、多くはっきりとした原因がなく、重い荷物も持つ仕事であったり、利き腕である右肩に多いことから、肩の使いすぎが原因となってことが推測されます。

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「腱板」とは板状の腱で、肩関節の腱板は、4つあります。棘下筋腱と小円筋腱(腕を外側に回す)肩甲下筋腱(腕を内側に回す)棘状筋腱(腕を上に上げる時に働き、最も断裂しやすい)夜間、肩が痛くて寝られないことで受診される場合が多く、断裂とういうと完全に切れた状態を想像されると思いますが、実際には、腱板が擦り切れて孔が開いたような状態(不全断裂)で、運動痛はありますが、多くの患者さんは肩の挙上は可能です。「重い荷物を持ち上げられない」「ビールのジョッキを持ち上げて乾杯できない」など力が入らないと言う場合もあり、力を抜いて。痛みのない反対側の手で補助すれば、腕を上げられることが多くあります。MRI検査では、腱板が断裂した部分に関節液が入り込むため白く(高輝度)に映ります。

一度、断裂した部分が自然に塞がることはありませんが、運動療法(ストレッチ運動とゴムバンド体操)によって、それ以上、悪化しないように、残っている腱板の機能を賦活させる腱板機能訓練は有効です。保存療法で肩関節痛と運動障害が治らないときは(完全断裂など)手術を行ないます。手術には、関節鏡視下手術と通常手術(直視下手術)があります。手術後は、約4週間の固定と2~3ヵ月の機能訓練が必要です。

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足が痛い 

痛風 

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48歳、男性。朝起きたら、右足の親指の付け根が腫れて痛くて歩けないため、診療所を受診した。以前も同じ場所が痛くなったことあり。急性単関節炎であり、中年男性に好発、第1中足趾節(MTP)関節(膝関節、足関節に多い)に疼痛、腫脹となれば、痛風である。

 
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急性発症の単関節炎ですね。

米国では,1987年にCampionら1)が2,046人の健常男性を対象に14.9年間の前向きコホート研究を行っている。その結果,血清尿酸値の前値が6.0mg/dL未満では,痛風関節炎の5年間累積発症率は0.5%,6.0~6.9mg/dLで0.6%,7.0~7.9mg/dLで2.0%,8.0~8.9mg/dLで4.1%,9.0~9.9mg/dLで19.8%,10.0mg/dL以上では30.5%であった。

痛風の患者さんは、戦後の高度成長期(1960~70年代)に急増し、年々増えています。痛風は圧倒的に男性に多い病気です。1992年の東京女子医大の調査では男性が98.5%で女性はわずか1.5%でした。これは女性ホルモンに腎臓からの尿酸の排泄を促す働きがあるからで、痛風の原因である尿酸の血液中の濃度(血清尿酸値)が女性では男性より低いからです。閉経後に女性ホルモンの分泌が減ると尿酸値は少し上昇します。

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日本では7mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されるが、尿酸値が上がり過ぎると痛風を発症するリスクが高くなるのは事実ですが、いくつ以上になれば痛風を発症するのかはケースバイケースです。 また、食事から摂るプリン体はほんのわずかであり、体の中で生成されるプリン体のほうがはるかに多いので、ビールを1杯や2杯飲んでも、尿酸値が急に上がることなありません。(飲み過ぎには注意)診断は、痛みのある関節の関節液中に尿酸結晶(白血球が貪食しています。針のようでいかにも痛そうですね)を証明すればよいが、実際にはそのようにして確定診断することはあまり行われていない。(熱があって、化膿性関節炎との鑑別が必要なときぐらい)日常診療では、下記の11項目のうち6つ以上を満たした場合、痛風と診断している。(感度98%、特異度92%)

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放置しても、3日〜1週間ほどで自然寛解します。(偽痛風は治るのにもっと長期におよぶ)痛風発作時は尿酸値が低値であることも多い。鑑別診断としては、偽痛風、化膿性関節炎、蜂窩織炎などがあります。

アキレス腱断裂 

44歳 男性。テニスの試合で、サービス&ボレーで、ロブで虚を突かれ、反転を試みた瞬間に、右足関節部を後から蹴られたような衝撃とともにブチッと音がして歩けなくなりました。

アキレス腱断裂の三大徴候
(1)アキレス腱のレリーフが消失し、陥凹を触知する。
(2)つま先立ちが不可能
(3)トンプソン試験陽性

足底腱膜炎 

30歳 男性。2ヶ月前から左足底の踵の内側が痛い。

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かかとの踵骨と足の指の付け根にある骨をつなぐ扇状の膜を足底腱膜といい、踵骨を挟んでアキレス腱とバランスを取りながら、弓なりに反っている土踏まずの部分の骨を弦のように伸縮して支えるとともに、踵骨のクッションになっています。足底腱膜炎は、踵骨への付着部に炎症を起こした状態をいいます。炎症の原因は、肥満や長時間の立ち仕事、扁平足、運動などによる酷使などがあげられます。発赤、熱感、腫脹は認めません。起床後の特に一歩目だけに疼痛が強く感じますが、、徐々に歩行時でも痛みが持続するようになります。治療は、消炎鎮痛薬や湿布と安静、ストレッチ等で保存的に行いますが、改善しない場合は、ステロイドの局注や足底挿板(保険適応)を作成します。

大腿骨頸部骨折 

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大腿骨の骨折は3つに分けられます。

(1)大腿骨頸部骨折 大腿骨の先端にある骨頭のすぐ下で折れる、股関節の関節包の内側での骨折。
(2)大腿骨転子部骨折 骨頭のすぐ下の大転子と小転子という出っ張りがある付近での折れる股関節の関節包の外側で骨折。
(3)大腿骨転子下骨折 大転子と小転子という出っ張りよりも下で折れる骨折。

診断

問診で、転倒や外傷機転があって(この骨折の95%は転倒により起こる)直後から脚の付け根の痛みと腫れがあり、歩くことができなくなれば、まず大腿骨骨折を疑います。高齢者、特に女性に多く、骨粗鬆症などで骨がもろい状態で起こりやすくなります。診断は、レントゲンでわかります。ただ、転んだあとも骨にズレがなくて歩けている状態の場合は、レントゲンでは判別しづらいこともあり、CT検査やMR検査を行います。レントゲンやCT所見については、専門外で実際に撮像して診断を下す事は、プライマリーケア医として想定していないので、清書に回します。

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患側下肢(左足)が外旋し、短縮しています。左右の膝蓋骨をみれば、一目瞭然です。

 

治療

可能な限り24時間以内(予後がいい)に手術を行います。「なるべく早く手術をしてベッドから離れて歩けるようにしましょう」というのが基本的な考え方です。手術や麻酔(できれば腰椎麻酔がいい)がどうしても危険な方は、保存的治療も選択できますが、大腿骨の場合、ギブスで固めることができず、1ヵ月以上はベッドの上安静となると寝たきりになる可能性が高くなります。

どの手術方法にするかは、骨折のタイプによって異なります。

(1)大腿骨頸部骨折では、Garden分類のStageに基づいて行われます。

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大腿骨頸部骨折は、関節包内骨折であり、StageⅠ〜Ⅱぐらいで、幸いにもズレが小さく血流が保たれている場合は、保存療法かスクリューで内固定かを選択します。StageⅢ~Ⅳでは、骨のズレが大きいので、大腿骨頭へは小転子の辺りから骨頭に向かって入っている血流が途絶されて、骨頭壊死を起こす可能性があるので、骨頭を取り替える人工骨頭置換術が選択されています。

 

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大腿骨頸部骨折StageⅠに対する  大腿骨頸部骨折StageⅢに対する
ハンソンピン固定        人工骨頭置換術

(2)大腿骨転子部骨折は、股関節の関節包の外側で骨折で、骨頭への血流は保たれています。外側骨折では骨折したところからかなり出血するため、早期に適切な処置を行わないと貧血が進んで危険な状態になることもあります。骨折によるズレが大きいことが多いので、骨折部分を引っ張りながら位置を整えてプレートで固め、骨頭はスクリューで固定する方法(CHS)か、あるいは大転子から骨の中に金具の心棒を入れて、そこを通して骨頭側にスクリューを挿入する方法(γネイル)のどちらかを選択します。(CHSの方が合併症が少ない

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大腿骨転子部骨折に対するCHS固定術  大腿骨転子部骨折に対するγネイル固定

 

 

オスグッド-シュラッター病 

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発育期の活発な子供の膝に発生する外傷性の良性障害で、膝蓋腱の牽引力による脛骨粗面の剥離で、日常診療においてしばしば遭遇する疾患です。発育期のスポーツ少年に起こりやすい疾患で、脛骨結節(お皿の下の骨)が徐々に突出してきて、痛がります。時には、赤く腫れたり、熱を持ったりします。休んでいると痛みが無くなりますが、スポーツを始めると痛みが再発します。成長期の一過性の病気で、成長が終了すると、多くは治癒します。この時期はスポーツを控えることが大切です。痛みがなくなればスポーツは可能です。発症後3~6ヵ月はスポーツをすると症状が強くなるので、スポーツ前後に上記ストレッチングやアイスマッサージ、ベルトの装着などをした上でのスポーツすることをお勧めします。

上記の症状を強くさせないためには、大腿四頭筋のストレッチングやアイスマッサージなどを行い、痛みが強いときのみ、内服や湿布をします。

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変型性股関節症 

股関節は、胴体と両脚をつないでいる体の中で最も大きな関節です。歩行時には、体重の10倍以上の負担がかかることもあります。股関節は、けん玉の皿(骨盤の臼蓋(きゅうがい))に、玉(大腿骨の骨頭)が包み込まれるように収まっています。骨と骨との接触面は、クッションの役割をする関節軟骨で覆われて、いろいろな方向に滑らかに動くようになっています。変形性股関節症は、関節軟骨がすり減り、関節が炎症を起こす病気で、すり減りが進んで骨と骨とが直接接触するようになると痛みが強くなり、大腿骨頭の変形がおこります。

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股関節症の主な症状は、最初は立ち上がりや歩き始めるとき、階段の上り下りするときなどに脚の付け根に痛みを感じます。関節症が進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ていても痛む)に悩まされることになります。一方、日常生活では、足の爪切りがやりにくくなったり、靴下が履きにくくなったり、和式トイレ使用や正座が困難になります。また長い時間立ったり台所仕事などに支障が出てきます。

患者さんの多くは女性ですが、変形性股関節症の原因の8割は、先天的な臼蓋形成不全と言われています。臼蓋形成不全は、臼蓋が、大腿骨頭を十分に覆っていないため、負担を受け止める面積が狭くなることで関節軟骨がすり減りやすくなっており、加齢や肥満に伴って、変形性股関節症が発症しやすくなります。

診断は上記の症状がある場合、X線検査で行います。前股関節症では、関節軟骨は正常ですが、多くの場合、臼蓋形成不全が見られます。関節症がすすんで初期股関節症になると、関節の隙間が狭くなったり(軟骨の厚さが薄くなり、凸凹が生じる)軟骨下骨が硬くなったり(骨硬化)して、立ち上がる時や歩き始めに痛みを感じたりします。さらに進行期関節症、末期関節症となると、痛みが強くなり、歩いたりするときはもちろん、座ったり、寝ていたりする安静時にも痛みが出るようになり、関節の周囲に骨棘が形成されたり、骨嚢胞と呼ばれる骨の空洞ができたりします。

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治療は、保存的療法、薬物療法(痛み止め)手術療法です。変形性股関節症と診断されたら、初期のうちなら、股関節に負担をかけない日常生活を心がけることが大切です。生活のスタイルに洋式にすることや減量に取り組むことが有効です。日本の生活スタイルで、座卓やトイレ、畳などは、しゃがむ動作が多くなります。椅子に座る、洋式トイレにする、ベットにするなどで股関節への負担を減らすことができます。やや進行すると、左右の脚の長さに差が生じることで「歩くときに上体が傾く」「体を揺らしながら歩く」痛い足をかばうと「片足を引きずる」「小股になる」などの症状が出てきます。股関節の負担を減らし、脚の長さを補正するために、クッション性のある適切な厚さのある中敷き(整形外科で処方)を使って調整したり、過体重があるようでしたらダイエットしたり、体重を分散するための杖の使用もお薦めします。一方、運動療法はどうしても痛みを伴いますが、動かないと筋肉が衰えてしまいますので、水中歩行などをを週2,3回行うなど慎重に始めて徐々に強度を高めていくことがポイントです。股関節をリラックス、ストレッチし、周囲の筋肉を鍛えることで股関節を支える力が高まります。運動療法の詳細は、専門医、理学療法士に相談してみて下さい。

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これらの保存療法でも症状が取れない場合は手術療法を考えます。初期のうちで、関節軟骨が残っている初期から進行期ぐらいの臼蓋形成不全の患者さんに対しては、自分の骨を生かして行う骨切り術の適応になります。骨盤の臼蓋部分を局面に沿って切り、それを外側にずらして、大腿骨頭をしっかり覆うようにします。出血量が多くなりやすく、手術による体への負担が大きいので、50歳ぐらいまでの比較的若い人が適応で、術後リハビリなどに1〜2ヶ月の入院が必要になります。

関節軟骨がすり減ってしまって、関節の変形がすすんでいる進行期から末期の患者さんは、人工関節置換術が行われます。人工関節の耐用年数は20年とされるため、多くの場合は、50歳以上の患者さんが適応になります。痛みが術後すぐに解消されるメリットがありますが、異物を体内に入れるため、感染症のリスクがやや高くなります。関節鏡を使って、軟骨のけばだった部分を削って滑らかな上体に修復する手術は患者さんの負担は軽いことが特徴です。

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股関節脱臼 

脱臼している方が、内旋して屈曲し、屈曲した膝頭が低くなる。

恥骨 坐骨の骨折も見逃さないように。

手が痛い 

手根管症候群 

初期には示指、中指がしびれ、痛みがでますが、最終的には母指(親指)から環指の母指側の4本半の指がしびれます(正中神経の支配領域)。決して小指はしびれないという特徴があります。これは、小指とくすり指の小指側半分は尺骨神経に支配されているからです。手のひらだけしびれ、手の甲はしびれません。全体の40%は両手におこります。しびれ、痛みは夜間や明け方に強く、手を振ったり、指を曲げ伸ばしするとしびれ、痛みは楽になります。手のこわばり感もあります。ひどくなると母指の付け根(母指球)がやせて母指と示指できれいな丸(OKサイン)ができなくなります。ボタンをかける、細かいものをつまむなどの指先の細かい動作が困難になります。縫い物がしづらくなり、細かいものがつまめなくなります。

しかし、これは、典型例です。実際の臨床では、しびれの範囲は、手掌面から全部の指、上肢全体に拡がることも珍しくありません。(関連痛)「早朝にしびれますか」だけで診断してほぼOKです。

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原因は、特発性が多く、妊娠・出産期や更年期の女性が多く、女性のホルモンの乱れによる滑膜性の腱鞘のむくみが原因と考えられています。(男女比1:10)仕事やスポーツでの手の使いすぎの腱鞘炎やケガによるむくみなどでも発症します。そのほか、糖尿病甲状腺機能低下症、リウマチ、腎不全(透析)、アミロイドーシスなどと関連して生じることが知られています。腫瘍や腫瘤などの出来物でも手根管症候群になることがあります。

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病態は、正中神経が手首にある手根管というトンネル内で圧迫された状態です。手根管は手関節部にある手根骨と横手根靱帯(屈筋支帯)で囲まれたトンネルで、その中を1本の正中神経と指を動かす9本の腱が滑膜性の腱鞘を伴って走行しています。

診断は、手首(手関節)を打腱器などでたたくとしびれ、痛みが指先に響きます。(ティネル様サイン陽性)手首(手関節)を直角に曲げて手の甲をあわせて保持し、1分間以内にしびれ、痛みが悪化するかどうかを見ます(ファレンテスト陽性) 補助的な診断法として、MRI、超音波検査で、正中神経の圧迫の状態や腫瘍の有無を調べます。

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治療は、運動や仕事の軽減など手をできるだけ使わないようにし、局所の安静を保つためにシーネなどで手首を固定したりします。消炎鎮痛剤やビタミンB12などの飲み薬、塗布薬や腱鞘炎を治めるために正中神経の周囲への副腎皮質ホルモン薬の注射などの保存的療法が行われます。難治性のものや母指球筋のやせたものは手術が必要になります。手術には、内視鏡を用いた鏡視下手根管開放術や小皮切による直視下手根管開放術が行われています。手術後、指のしびれはすぐに軽くなり、手が使えるようになりますが、筋力の回復には長期間(1年以上)かかることが多いようです。

ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎) 

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手の母指(親指)を広げると手首(手関節)の母指側の皮下の部分に2本の腱①短母指伸筋腱(母指を伸ばす働きをする腱)と②長母指外転筋腱(母指を広げる働きをする腱)が浮かび上がります。ドケルバン病は、この2本の腱が、手首(手関節)の母指側にある③腱鞘(腱が通るトンネル)を通るところに生じる腱鞘炎です。

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妊娠出産期の女性や更年期の女性に多く生じます。手の使いすぎやスポーツや指を良く使う仕事の人にも多いのが特徴です。母指の使いすぎによる負荷のため、腱鞘が肥厚したり、腱の表面が傷んだりして、腱に炎症が起こった状態で、腱鞘の部分で腱の動きがスムーズでなくなり、手首の母指側が腫れて、母指を広げたり動かしたりするとこの場所に強い疼痛が走ります。母指を内側に入れて握り拳を作り、手首を小指側に曲げると痛みが生じます。(フィンケルシュタインテスト)

治療
局所の安静(シーネ固定も含む)投薬、腱鞘内ステロイド注射(特にトリアムシノロンは有効)などの保存的療法を行います。改善しないときや再発を繰り返す場合は、腱鞘の鞘を開く手術(腱鞘切開)を行います。

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ばね指 

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腱が靭帯の下を通ることろで、過度の反復運動での摩擦で太くなって瘤のようになり、指を曲げる時に引っかかるようになったものです。コンピューターや楽器、機械などで指の使い過ぎが原因で、関節リウマチ、痛風、甲状腺機能低下症、糖尿病などの人で起こりやすい。

 
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ばね指は主に妊娠時や、産後または30~50歳代の女性に起こることが多く、右手の親指や中指の手のひらの付け根の部分に発生しやすい。

 

肘内障 

2歳の男の子。転けそうになったので、手をひっぱたら急に左腕を痛がって左腕を垂らしたまま動かそうとしない。

肘内障

肘内障は、橈骨頭が輪状靱帯から亜脱臼する現象で、6ヶ月〜6歳(特に2〜3歳)に多い。外傷機転がなく、腕を引っ張られた(この機転を確認することが題字)後から、手を回内させて、患肢を下垂した状態でじっとしている。肘の腫脹、変形、皮下出血がなければ(あれば、骨折です)肘内障と診断してOKです。X線などは不要です。寝返りなどで発症することもあります。

整復には、回外(回内)屈曲法がある。

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治ったかどうかは、だっこをせがんで、両手を挙げれるかどうかを見れば一目瞭然です。(肘が肩の高さまで上がればOK)ちなみに、回内、回外について。前腕をの運動で、スポーツの得意な人はわかると思いますが、ボールの投げる動作もそうですが、テニスでも回内運動が上手にできないと速いサービスは打てません。

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首が痛い 

頸椎捻挫(頸椎損傷)  

いわゆる鞭打ちですが、画像所見は正常で、3ヶ月以上症状が続く場合は、痛みはとれにくくなり、頸椎カラーは無効で、慢性期のリハビリも効果はありません。診断には、項部正中の圧痛があるかどうかが重要なようですが、よろず内科医には到底、太刀打ちできないので、深入りせずに、整形外科に紹介しております。

クラウンド・デンス症候群(環軸関節偽痛風:Crowned dens syndrome) 

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高齢の方の急性の頚部痛の原因のひとつとして国試にもよく出る問題です。第1頸椎の環椎と第2頸椎の軸椎の間、環軸関節の偽痛風と考えられています。環椎は軸椎の歯突起を中心に左右に回旋するので、この関節に炎症が起こると首を回すときに強い痛みが起こります。第2頸椎(C2)歯突起周囲の靭帯にピロリン酸カルシウムが沈着し、関節炎を引き起こします。石灰化は単純X線写真では診断がつけにくく、CT検査で歯突起の周りの石灰化(CT図は横靱帯の石灰化)などは、歯突起(デンス)に王冠(クラウン)をかぶせたように見えるので、この名前がついています。急性の後頸部痛、発熱、項部硬直を起こす(髄膜炎、リウマチ性多発筋炎、側頭動脈炎と鑑別)非ステロイド性抗炎症剤内服が有効で、治りにくいときはステロイド剤の内服薬が使われます。

石灰沈着性頸長筋腱炎 

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好発年齢は20~50歳で,急性の項頸部痛,頸部運動制限,嚥下痛などを主訴とし発症します。咽後膿瘍や化膿性脊椎炎などの鑑別が臨床上問題となる疾患です。頸椎単純X線写真側面像にて第1から第2頸椎前面の軟部組織が厚くなり、頸長筋腱付着部に石灰化像が見られます。CTで石灰化はさらに明瞭に描出される。発症機序は、頸長筋腱の過使用による組織の変性で石灰の沈着が起き、それらが吸収される過程で炎症が惹起され、偽痛風発作を引き起こします。本疾患は通常1~2週間の経過で自然寛解し,NSAID内服および頸部固定による局所安静による保存的治療が原則であるが、嚥下障害や呼吸困難を伴うような重症例ではステロイドの短期投与もOK。稀ではありますが、特異的な症状,所見を呈する疾患で、確定診断に至ることが可能な疾患です。
外傷、カイロプラクティックス後に痛くなった

内頸動脈解離、椎骨動脈の解離などでワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)めまい、顔のしびれ、失調

ホルネル症候群 眼瞼下垂 瞳孔が縮瞳、顔面の発汗低下

体が痛い 

リウマチ性多発筋痛症 

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リウマチ性多発筋痛症(Polymyalgia rheumatica :PMR)は、他に原因のない肩(95%)腰周囲(75%)の筋肉痛(運動痛)を起こす病気で、血液でCRP高値(10以上)血沈亢進などの炎症反応を認めるのが特徴です。しかし、決め手になる検査がないため(ANA陰性、RA因子陰性(陽性でも可)診断は、関節リウマチなどの他の膠原病や感染症などを否定しながら総合的に行われます。50歳代以上の方に多く、発症時の平均年令は65歳くらいです。男女比は1:2とやや女性に多いといわれています。

リウマチ性多発筋痛症は、関節リウマチの十分の一以下と考えられます。アメリカでは、人口10万人で18.7~68.3 人、とくに50歳以上の人口10万人に対しては年間50人ほど発病するとされています。日本人は欧米人よりもずっと少ないとされていますが、大変稀な病気ということでもありません。

症状 頻度
近位筋の痛み、こわばり 100%
全身倦怠感 30%
抑うつ状態 15%
食欲不振 15%
体重減少 15%
運動時痛 15%
発熱(38℃以上) 15%

 

リウマチ性多発筋痛症の主な症状は、発熱、食欲不振、体重減少、全身倦怠感など、半数以上の人ではこの肩周囲の症状が最初に現れます。(五十肩と誤診されることも)朝の手のこわばりや両肩、くび、腰、臀部、大腿などに関節痛がみられます。とくに夜の痛みが多く、睡眠時の寝返りで痛みが起こり、目が覚めてしまうことがよく起こります。しかし一般に筋力が低下することはありません。元気がないことから初老期うつ病と間違えられることもあります。

症状が他の病気にも見られること、検査で特にこの病気で特別に認められるものがないことから、診断は簡単ではありません。他の関節痛や筋肉痛を起こす病気ではないことを調べないと、最終的な診断にはなりません。特に後で述べる巨細胞性動脈炎を合併していないことの確認は重要です。

欧米の診断基準
1ヶ月以上続く、首、肩、骨盤周囲のうちの2つの部位の両側性の痛みとこわばり
1時間以上の朝のこわばり(手)
プレドニゾロン20mg以下で劇的な改善
その他のリウマチ疾患が除外できること
50歳以上であること
血沈が40mm以上であること
   
これらの全ての症状が揃ったものをPMRとする
(Healey, 1984)

 

治療では、比較的少量のステロイド薬(10〜20mg)を投与すると数日間で症状が改善します。しかし、服薬をすぐに中止すると再発することがあるので、2〜4週間投与し、1〜2週間に10%づつ減量します。もし、少量のステロイドで効果が悪ければ、側頭動脈炎((巨細胞性動脈炎)という、もっと重症の病気があり、この病気では失明する危険性があり、眼科へ紹介や腫瘍随伴症候群(腎がんなど)を疑います。巨細胞性動脈炎の患者さんの半分はリウマチ性多発筋痛症を合併していることが知られています。逆にリウマチ性多発筋症から巨細胞性動脈炎になることは15~27%といわれています。巨細胞性動脈炎とは、病気で障害された血管に、巨細胞という特徴ある細胞が見られることからこの名前が付けられました。血管を取り出して、顕微鏡で検査し、そこに巨細胞が見つかればこの病気の診断は確定します。多くが、こめかみのところを走る側頭動脈に病変があるため側頭動脈炎とも呼ばれます。巨細胞性動脈炎の場合には頭痛などの他の症状をともない、少量のステロイド薬では病気を抑えることができず、もっと大量のステロイド薬や免疫抑制剤の併用が必要です。しかし、リウマチ性多発筋痛症がコントロールされていれば、巨細胞性動脈炎への移行は少ないことから、リウマチ性多発筋痛症のコントロールに十分注意を払う必要があります。リウマチ性多発筋痛症は、関節リウマチと違い、関節、特に、その周囲を被っている滑膜に炎症が及ぶことは少ないといわれています。従って、関節の破壊や変型が起こることもあまりみかけません。また、この病気では、血液検査でリウマトイド因子(RF)は陰性です。

 

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題ロコモティブシンドローム名 

腰痛や膝痛、肩痛などの関節痛は、診療所の受診理由として、かぜ症状に次いで、多い愁訴であります。ロコモティブシンドローム(運動器症候群)あまり、聞き慣れない言葉ですね。専門的には整形外科ですが、最近、内科のメタボリック症候群に対抗して、ロコモティブシンドローム、通称、「ロコモ」と呼ばれる疾患群が注目されています。運動器(私たちが動くためには、「骨」「筋肉」「関節」「神経」などが互いに連携して働く必要があります。どのひとつが悪くても身体はうまく動きません)が衰え、痛みが現れたり転倒することによって、歩行障害(→要介護)につながる可能性がある状態のことです。ロコモは知らないうちに進行していることがほとんどです。早期に気づき、適切に対応することによって自立した生活を送ることを目標にしています。ロコモになっていないかどうかを調べる方法が「ロコチェック」です。普段の生活の動作や運動のなかで、少しだけ負担をかけて、筋力やバランス能力の低下の程度を見ています。
しかし、片足立ちで靴下をはくというのは、ハードル高すぎませんか?

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ロコチェックで、ひとつでもあてはまれば、要注意です。早速、転倒予防の運動をしましょう。「ロコトレ」と言って、片足立ちとスクワットの運動です。片足立ちは、1分間となっていますが、これもきびしい、15秒ぐらいから始めるのがいいでしょうか。スクワットも結構きついです。テーブルを前に腰掛けて、テーブルに手をついて(つかなくてもOK)立ち上がる、座るを数回、繰り返すぐらいから始めましょう。骨粗鬆症で、いろいろなお薬を飲むことが薦められていますが、なによりも大事なのは、脚を鍛えることです。転倒予防が一番大事なことは、糖尿病で、いくら沢山お薬を飲んでも、パクパク食べて、メタボ状態では、本末転倒なのと同じことです。

 

顎がはずれた 

老人ホームでは、数年に1回ぐらい、顎がはずれたと相談を受けます。共通項は、要介護5の90歳前後の寝たきりの経管栄養のお年寄りです。とりあえずは、整形外科の先生にお願いしておりますが、断られることもあります。何回も繰り返すことも多く、さすがに日赤の口腔外科まで手をわずらわすのは申し訳なくて、自分でなんとかならないか勉強してみました。

あごの関節(顎関節)は左右一つずつ耳の前方にあります。頭蓋骨のくぼみである下顎窩に下顎骨の突起(下顎頭)が納まることで顎関節ができています。耳の前に人差し指を当てて、大きく口を開けたり、閉めたりすると下顎頭が動くのがよくわかります。下顎頭と下顎窩の間には関節円板があり、動きをスムーズにし、クッションのような役割をしています。

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口を開けると、下顎頭は、その場にとどまって単に回転するのではなく、回転しながら下顎窩の前方の斜面に沿って前方へスライドします。閉口時には、回転しながら斜面に沿って元の位置へ戻ります。正常な顎関節において、開閉口時には、関節円板も、顆頭と一緒に動き、常に関節窩と顆頭の間のサンドイッチ状態がキープされます。

顎関節説明s音の原因

在宅で見られる顎関節脱臼は、前方脱臼です。大きなあくびをした時に、下顎頭が下顎窩からはずれ、前方の壁を乗り越えて戻らなくなった状態です。口が閉じられず、いつもと顔つきが違って、抜けた感じになります。元に戻すにはどうしたらいいか?顎がはずれた状態で、そのままただ後に押してみても、クッションのような役割をしていた関節円板が邪魔をして戻すことはできません。つまりこの関節円板を乗り越えるようにまず下顎骨を思いっきり押し下げておいてから下顎骨を前方にしゃくり上げるように持ち上げると動作が必要です。

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よしなか先生は簡単そうにやられていますが、実際は、初心者ではこんなうまくいきません。患者に馬乗りになって、両拇指を口腔内に入れて、両下顎の奥歯に置きます。残りの4指で下顎のエラの部分を包み込むようにしっかり把持します。患者さんには顎の力を抜いてもらうよう声をかけて、体重をかけるように身を乗り出して下顎を下方に押し下げると同時に4指で下顎をしゃくりあげるように口を閉じます。体全体の使い方と手の使い方がコツのようです。

 

まあ、失敗しても死ぬわけでもあるまいし、気軽にトライして差し上げましょう。なるべく早く整復してあげないと関節周囲の軟部組織や関節包が緩んでしまって習慣性になってしまいます。整復後はしばらくサポーターで固定しておきますが、頃合いをみてとってあげましょう。(はずれたらまた入れてあげたらいいんです)