湿疹(しっしん)  Edit

皮膚は、人間の身体の最も外側にあり、体外からいろいろな作用や力から身体を守るバリアです。湿疹(皮膚炎とも言われます)とは、皮膚に炎症を起こす病気の総称です。湿疹や蕁麻疹の原因としては、物理的刺激(紫外線、温熱、寒冷、乾燥など)化学的刺激(洗剤、薬物、化粧品など)アレルゲン(金属、花粉、ハウスダスト、植物(漆など)、虫、動物など)体質的要因(乾燥肌、皮脂分泌異常、発汗異常、アレルギー体質など)など多岐にわたり、よくわからないことが多いですが、職業、趣味、生活習慣などからいかに想像力を巡らせるかがポイントです。

湿疹は、できやすい人とできにくい人がいますが、これは、人によって皮膚のバリアの弱い人(アトピー性皮膚炎)皮脂の分泌が寒さや老化によって減少したり、汗の量が多すぎたり、少なすぎたりして、皮膚の状態によって湿疹がができやすくなります。

皮膚は、表皮(角層)、真皮、皮下組織の3つの層からできています。真皮には汗腺や血管などがあります。湿疹の原因となる物質が皮膚から吸収されると、組織内の蛋白と結合し、表皮細胞の1つのランゲルハンス細胞にとりこまれます。この蛋白と結合した抗原が表皮に炎症反応をおこして、湿疹という病変をおこすのです。

画像の説明

◎湿疹の見分け方
皮膚に皮疹(発疹の総称)ができたとき、それが湿疹かどうかの判断が難しいのですが、かゆみを伴うことが手がかりになります。皮疹をよく見てみましょう。少なくとも数日から1週間以上、この症状が続きます。
まず炎症がおこると毛細血管が拡張し、血流が亢進して赤くなった状態を紅斑と言います。
→ 細静脈から滲出液がしみ出してくて、皮膚が少し膨らんできた状態を滲出性丘疹と言います。
→ さらに滲出液が貯まってくると小水泡となります。
→ 水泡内に炎症細胞の量が増えて濁りを認める状態を膿疱となと言います。(感染しているかどうか、つまり細菌がいるかいないかは関係ありません)
→ やがて大きくなった水泡や膿疱は破れて湿潤となります。
→ 滲出した滲出液が固まれば結痂と呼ばれます。
→ 最後に障害をうけた表皮細胞が脱落した状態を落屑と言い、治癒に向かいます。通常は、このような経過で進んで行きます。しかし、実際の臨床では、経過は多様で様々なパターンをとり、皮膚が赤く腫れたり、ぶつぶつ、水ぶくれ、かさぶたができたり、カサカサになったりと、さまざまの病変が集まっているのが湿疹です。どれか1つだけというのは珍しいわけです。また、治癒に至らず、炎症が繰り返されて、表皮が反応性に肥厚した状態を苔癬化と言います。湿疹は、いったん慢性化してしまうと、なかなか治らなくなります。慢性化させないためにも、適切な治療が大切です。

画像の説明
                                (湿疹三角)

画像の説明画像の説明

    滲出性丘疹 小水泡          膿疱 湿潤 結痂  

接触皮膚炎(かぶれ)  Edit

身のまわりにあるほとんどの物質が原因となりえます。たとえば、化粧品や香水、ヘアケア用品、指輪やイヤリング、腕時計、ネックレスなどの金属装身具、衣類、家庭用化学薬品、洗剤、医薬品、そのほか植物、動物などです。

画像の説明

光アレルギー性接触皮膚炎 

シップ(湿布)を貼った部分が、シップの形にかぶれたことはありませんか?湿布による単純なかぶれもありますが、湿布を貼っただけではなんともなくても、さらに光にあたることで、皮膚炎を起こしてしまうのが、光アレルギー性接触皮膚炎です。「モーラステープ」の有効成分である”ケトプロフェン”の光増感作用があり、貼付後も長期間皮膚に存在し、繰り返し紫外線にあたることで重篤な皮膚炎を起こしてしまうというものです。

画像の説明画像の説明

剥がしてから1カ月以内に発症することが多く、貼付部に紫外線があたらないよう長袖や長ズボン、サポーターで覆うようにしたり、UVクリームなどを塗ったり、紫外線量の多い5月から夏場にかけて特に注意するよう、服薬指導が大切です。モ―ラステープ(ケトプロフェン)で光接触皮膚炎を起こした場合は、ステロイド剤の外用剤とベンゾフェノンの含有されていない紫外線散乱剤を併用する必要があります。

また、モーラステープを使用した妊婦に、胎児の動脈管収縮や羊水過少症の副作用があり、ケトプロフェンを有効成分として含む貼り薬や塗り薬を製造する久光製薬などに対し、妊娠後期の妊婦は使用しないよう、添付文書の使用上の注意の改訂が行われています。

 

アトピー性皮膚炎  Edit

「アトピー」と言う言葉の響きはあまりよろしくありませんね。患者さんに説明する時は、デリケートな肌と言っています。アトピー性皮膚炎の定義は、慢性的に増悪、緩解繰り返す痒い発疹を主病変とし、アトピー性素因を持つということです。アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア異常で、皮膚が水分を保持出来ずカサカサ、ザラザラになって、脂もが少なくなります。(脂の多い鼻の頭に発疹はできない)冬になると悪くなり、春になると改善する傾向にあります。

画像の説明画像の説明

画像の説明

発疹は、ほぼ左右対称性で、年齢によって特徴があります。

乳児時     頭、顔に始まり、しばしば体幹、四肢に下降
幼少児期    頸部、四肢屈曲部 耳切れ 鳥肌のようなアトピー皮膚
思春期/成人期 上半身(頭、頸、胸、背中)に皮疹が強い傾向

アトピー性素因とは、家族歴、既往症に、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎があり、IgEを産生しやすい体質があるということです。(IgE値は病勢に関係ない)

画像の説明

アトピー性皮膚炎の肌は、皮膚のバリア機能が低下していると言われています。そのため、水分が保持出来ず、皮膚がかさかさになりやすく、細菌や湿疹を悪くする抗原が入ってきて、症状を悪化させてしまうのです。普通の痒みは、掻くと治まるが、アトピ性皮膚炎の場合は、掻けば掻くほど痒くなるため、掻い→悪化→さらに痒いと掻くというItch-scratch cycle(痛みの悪循環)で慢性化していきます。アトピー性皮膚炎は掻くと悪化するので、痒み止めを併用し、しっかりステロイド外用薬を塗布することで、炎症を抑えて、寝ていても掻かないように痒みを抑えられるかがポイントです。

さらに、アトピー性皮膚炎の治療の難しいのは、その増悪因子が、免疫やアレルゲンだけでなく、ストレス、精神状態、パーソナリティーなど多岐に渡り、その人それぞれの人生相談までとことんつきあわないと治らないところがアトピーの奥が深いとともに、アトピービジネスの根っこがあるように思います。

url?sa=i&rct=j&q=&e

内因性アトピー性皮膚炎
大人になってから発症するアトピー性皮膚炎(成人型)でIgEも低くて、皮膚もある程度しっかりしています。原因としは、コバルト(歯科金属、ナッツ チョコレート)ニッケル(チョコレート)など金属アレルギーが多い。

脂漏性湿疹(たいどく)  Edit

画像の説明

頭に黄色いかさぶた(脂漏)があるので、乳児脂漏性湿疹と診断します。生後、6ヶ月ぐらいまでは、アトピーかどうかの診断はなかなか難しいというか、わかりません。まあ清潔にして放っておいてもかまわないと思うのですが、きれい好きなお母さんの説得は時間がかかります。まずは、スキンケア(ヒルドイドローション)して、治らなければ、ロコイド軟膏を短期間、それ以上求められるとお手上げです。

 
 

貨幣状湿疹  Edit

寒くなると出てくる(夏はよくなる)
汁がでる → 広がる 

主婦湿疹 手湿疹など  Edit

亜鉛華軟膏 吸湿作用あり。おむつかぶれ
5%サリチル酸ワセリン 軽い手荒れに効果
ウレパール 足の裏(ヒルドイドよりさらさらしている)

画像の説明

ステロイド軟膏 

湿疹の治療には、ステロイド軟膏を使います。表皮に炎症が起こると湿疹三角の症状が見られます。反対に、湿疹三角の症状があるということは、表皮の炎症ということです。外用薬が届くのは、皮膚の構造上で、角層、表皮、せいぜい浅い真皮までです。つまり、湿疹三角のない皮疹にステロイド軟膏を使ってもあまり効かないかもしれません。

ステロイド軟膏を処方しても、効果がない時は、塗り方が充分でない場合が多いようです。(気管支ぜんそくの治療でも吸入ステロイドが効かない原因として、診断が間違っていることよりも、吸えていないことが多く、吸入指導をすることで解決することもよくあります)

塗る回数は、顔は(皮が薄い)少なめで2回/日
      体は、3回/日
      手掌(皮が厚い)は多めで、5回/日塗ります。

また、期限を示すことが大事で「1週間でしっかり塗ると良くなります」と言っておけば、とりあえず、1週間はがんばって、塗ってくれます。1週間塗れば、診断が間違っていなければ、必ず改善傾向が見られます。

塗り方は(フィンガー・ティップ ユニット)人指し指の先端から第1関節まで押し出した軟膏(0.3〜0.5g)を手掌2枚分に範囲に塗布(塗りたい部分に数カ所に分けて優しく伸ばす)しっかり塗布します。(塗擦ではない)

画像の説明

画像の説明

ステロイドの副作用として有名なムーンフェイス(顔が月のように丸くなる状態)や骨粗しょう症は、全身に作用する内服薬の副作用で、外用薬を適切に使用するだけでは起こりません。ステロイド外用薬の副作用は、塗ってはいけない皮疹(湿疹ではない感染症は禁忌)に塗った時に起こります。はっきり言えば、副作用ではなくて、もともとの主作用です。ステロイドは、炎症を抑えるお薬です。表皮における炎症は、外部からの刺激に対する防御反応ですが、自己に対して悪影響を及ぼす場合は、炎症、アレルギーと言いますが、自己に有益な場合は、免疫と言います。(一概には言えませんが・・・)その防御反応を抑えるということは、もし皮疹の原因が、細菌(とびひ)ウイルス(ヘルペス)白癬菌(ゆっくり進行するので大事にはならない)疥癬など感染症の場合は、ばい菌が増殖して、皮疹が増悪してしまいます。また、顔面などにステロイド軟膏を長期連用していると、毛細血管が拡張し(細かな血管が浮いてみえる)皮膚に赤くなり(紅斑性酒皶)にきびのような丘疹、膿疱が生じ(酒皶性痤瘡)皮膚が薄くなり、酒皶性皮膚炎といった状態までなると、なかなか難治性です。

ステロイド外用薬の治療に対して過剰な不信感を抱くステロイド恐怖症の患者さんあるいは団体が存在することもそれなりの理由があるからでしょうが、ステロイドの不適切使用、説明不足、メディアの騒ぎ方、アトピービジネスを背景にいろいろな誤解があるのでしょうが、内科医として、一定の線引きをして使用することで、その問題も回避できると考えています。当院で使用しているステロイド軟膏は、マイザー(very strong)リンデロンVG(strong)ロコイド(medium)です。軟膏は、油脂が入っているのでベタベタした感じで、患者さんには大変受けが悪いですが、安全性が高くなっています。(クリームは界面活性剤が入っていて刺激性が高いため、使わない)女性の顔、乳幼児の顔には患者さんの訴えに迎合しないことを肝に命じ、出してもロコイド軟膏のみの短期間投与に納めています。また、マイザー軟膏を2週間使用して、良くならない場合(2週間ルールは必ず守る)は、西田医院に紹介状を書いています。なお、非ステロイド系軟膏や免疫抑制剤の軟膏などは、当院では処方していません。

画像の説明

 

 

蕁麻疹(じんましん)  Edit

蕁麻疹の原因として、さばやエビ、かになどの食物によると思われがちですが、実際は、食物のアレルギーで蕁麻疹を起こすケースは、1〜4%程度で7割は原因がわからないのです。IgE性アレルギーというのが、原因となる食物の抗原(アレルゲン)が証明されているものです。コリン性というのは、運動負荷が加わったとき、発汗した時などに起こります。物理的というのは、冷水、冷風に触れたとき、日光、ひっかき、圧迫などで生じます。一番多い、急性、慢性蕁麻疹というのは、特発性、原因がわかっていないものです。
 
画像の説明



この膨疹の成り立ちは、真皮の限局性の浮腫です。表皮には、全く障害がないので、24時間以内(多くは数十分〜数時間程度)に、跡形なく治るのが特徴です。なんとなく観察していると、ずっと出ているように見えても、皮膚に印をつけておくと、同じ場所ではなく、膨疹は消えて、少しずれた場所に膨疹が出来ては消えていることがわかります。(稀に2〜3日続く蕁麻疹もありますが、赤みや膨らみが何日も同じ所に留まり、消えた跡が残るのは大抵は別の病気です)

画像の説明画像の説明

蕁麻疹は、気管支ぜんそくやアナフィラキシーと同じく、1型アレルギーです。1型アレルギーでは、蕁麻疹が出るだけでなく、息苦しくなったり、意識を失ったりすることがあります。そばやエビ、かになど特定のものを食べて起こる蕁麻疹は、このしくみによって起こります。

画像の説明

体の中に有害な異物(アレルゲン)を見つけると、パトロール隊のマクロファージが、異物を味見をして、敵だと認識するとその情報を司令官のヘルパーT細胞(Th2)に提示すると、B細胞にその異物に対するIgE抗体を作るように指示をだします。B細胞で作られたIgE抗体は、前線で待つ肥満細胞に配られて、異物の再攻撃に備えます。このような状態を感作と言います。再び、異物が侵入すると異物と肥満細胞上のIgE抗体が結合すると肥満細胞からヒスタミンなどの物質が放出されます。このヒスタミンなどの作用によって、蕁麻疹やぜん息、花粉症などが引き起こされるのです。

しかし、蕁麻疹の多くは、1型アレルギーで起こることは少なく(アレルゲンを証明出来ない)物理的な刺激や、寒冷刺激などによる蕁麻疹もアレルギー反応ではありません。非アレルギー性の蕁麻疹がどのような仕組で肥満細胞が活性化されるのかは未だ充分に解明されておりませんが、アレルギー性であり、非アレルギー性であれ、主にヒスタミンという物質が関わっています。ですから抗ヒスタミン薬を飲むことで症状を抑える事ができます。ヒスタミンは、肥満細胞からいろいろな原因で誘発され、飲酒、解熱鎮痛剤(NSAIDs)疲労、ストレスなどが増悪因子になっていると言われています。

生まれて初めて蕁麻疹がでると、え〜大丈夫?と思いがちですが、人生の一度くらいは起こるもんです。ある一定期間(長い、短いは人それぞれ)で治るので、あえて犯人探しはする必要はないでしょう。一発で治らず、毎日ほぼ決まった時間に出る場合は、蕁麻疹が出る3〜4時間前に抗ヒスタミン薬を内服します。抗ヒスタミン薬は、8割の人に効きますが、効果がなければ、1週間ほどでもう少し強めので抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬(ロイコトリエンなど)に変更します。それでも効果がない場合は、ガスター併用(H2ブロッカー)やセレスタミン(ステロイドとの合剤)などが処方されます。

 

画像の説明

血管性浮腫

小児は、上気道感染が引き金に、口唇(たらこ唇に)やまぶた(お岩さん)の一部、または全体が2〜3日腫れる病気は、血管性浮腫(アンジオエデーマ)クインケの浮腫などと呼ばれています。蕁麻疹の一種と考えられ、真皮のより深い所の浮腫が原因とされています。多くの場合、痒みはありません。まれに遺伝あり。

 
画像の説明

コリン性蕁麻疹

コリン性蕁麻疹というタイプは、運動、入浴、精神的緊張といった発汗刺激により細かい赤い膨らみが現れます、嫌な人と会うと蕁麻疹が出るって聞いたことありませんか?さらに、疲労、寝不足、ストレスが蓄積すると蕁麻疹が出やすくなります。このタイプの蕁麻疹が出た時は、生活習慣や人間関係を振り返る機会にしましょう。?

赤みが強く、膨疹が硬い。リンパ球が関与(薬剤性の可能性も)

蕁麻疹様血管炎 膠原病(疑)抗核抗体を

 

                 

白癬菌  Edit

ジュクジュクして炎症が強い時は、白癬菌を見つけにくい。
緑膿菌が合併することもある

画像の説明画像の説明体部白癬

水虫がもとで感染を起こすことも多い

しらくも    表皮性頭部白癬
ぜにたむし   斑状小水疱性白癬
いんきんたむし 股白癬

熱傷(やけど)  Edit

たかが「やけど」されど「やけど」僕が皮膚科をちょっと勉強しないといけないなと思いたったきっかけになったのがやけどです。「やけど」をしたら患部を冷やすことが大事と知っておられる方は多いようですが、どうも、その冷やす時間が意外と短いようです。冷やす時間は、最低でも30分以上、痛みがとれるくらい冷やすことをお薦めします。

画像の説明

このやけどは、軽症?中等症?重症?

さて、このやけどの重症度はどうでしょうか?この判定には、やけどの広さ(範囲)と深さが重要です。特にその深さを判断は、早期においては、素人には見た目だけでは難しいことが多く、やけどをした状況をよく聞いて、受傷後2日〜2週間位の経過をじっくり観察しながら、患者さんに説明するのが無難です。

 
やけどの広さの概算には成人は九の法則を、小児では五の法則を用います。(小児は成人に比べて頭頸部の表面積が大きいため)およそ手のひらくらいの大きさが1%に相当します。例えば、成人の場合、右上肢全体が「やけど」をした場合、図から解かりますように、その受傷面積が10%前後と簡単に算定出来るわけです。大人の場合は、全体の20%以上、 小児であれば10%以上、やけどしてしまうと命の危険があるそうです。
 
画像の説明
 
「やけど」の深さによってⅠ度からⅢ度まで分けられています。「やけど」の深さは、どの位の熱さのものが、どの程度の時間接触していたかで決まります。コーヒーは飲めれば、せいぜい60℃、沸騰した湯気で100℃、てんぷら油は180℃、焼けた鉄板300℃ 花火800℃など、何によってやけどしたか、相手が大事なのです。
 
画像の説明

 

画像の説明

一番浅いⅠ度では、やけどをした部位に発赤と痛みを伴う程度で、きれいに治ります。日焼けはⅠ度熱症です。Ⅱ度になると、強い痛みとともに、発赤、浮腫を生じ、その後、水疱となります。このⅡ度のやけどは、浅層Ⅱ度と深層Ⅱ度に分けられています。浅層Ⅱ度のやけどはおおよそ2週間でだいだいきれいに治ります。深層Ⅱ度のやけどは1ヶ月程かかり、少し跡が残ります。Ⅲ度になると、受傷時は白っぽく乾燥した状態で、あまり痛みはありません。しばらくすると、その部は壊死に陥り、深い潰瘍を形成します。治癒するまで、2ヶ月以上かかり、瘢痕、ケロイド状になります。また、寒くなりますと、湯タンポなどで長時間接触していて、下肢に深い潰瘍を形成し、第Ⅲ度のやけどを生じることがあります。これを低温熱傷と言います。ちなみに、Ⅱ度以上のやけどは、植皮が必要とされる場合がありますが、最近では、湿潤療法で、植皮を回避できるようになっています。

 
「やけど」の部位、広さ、深さから、重症度判定し、その治療方針の簡単な目安です。入院が必要なやけどは、中等度以上のやけどで、特に小児やお年寄りの場合は、Ⅱ度で5~7%以上のやけどでも入院させた方が無難とされています。重症なやけどの場合は、迅速に救急処置を行わないと、ショックなどを起こして死亡することがあります。
 
画像の説明

 

トレックスガーゼ

やけどやあかぎれなどでしみる場合は、エキザルベ

薬疹  Edit

播種状紅斑丘疹型
薬疹 体幹から始まる
水疱 ニコルスキー現象 一見、正常に見える皮膚がずるっと剝ける。
ウイルス性 四肢から始まって、全身へ
紅斑性丘疹 痒みがない
粘膜障害(口内炎、口唇の血か、眼球結膜の充血 排尿時痛など)があって、皮膚の疼痛(ぴりぴりする)を伴えば、重症になるかも
熱があるか
肝機能異常

薬剤性過敏症症候群(DIHS)

虫刺され  Edit

虫刺されは、虫が刺す、咬む、または触れることによって生じる皮膚の炎症を指しています。春から秋にかけて、よく遭遇する。右腕や首から脇、側胸部などに広範囲に限局して、点状から小丘疹様の発疹を認めます。所謂、かぶれ?って感じですが、虫刺されかもしれません。でも、虫に触れた覚えはないし、まして刺された記憶もありません。どうして?

画像の説明画像の説明画像の説明

原因として最も多いのは、毛虫(チャドクガの幼虫)です。茶、ツバキ、サザンカなどの葉を食べます。チャドクガの毒は毛にあり、この毛に触れると皮膚炎が起こります。虫の付いた木の枝を切ったり、焼いたりすることで、その毛が飛散して、皮膚や衣服に付着したり、こすったりすることで広がります。
 
画像の説明
人を刺すハチは、ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチです。刺すのはメスです。(毒針はメスの産卵管が変化したもの)ミツバチは、毒針といっしょに胴体がちぎれて死んでしまうので、向こうも命がけでの抵抗なのです。ハチの巣にちょっかいを出すのは絶対に止めましょう。ハチが近づいてきたときは、急に動いたりせず、ゆっくり離れるようにしましょう。

画像の説明画像の説明画像の説明
     ミツバチ        アシナガバチ       スズメバチ
ミツバチは、かわいらしいのですぐにわかると思いますが、アシナガバチとスズメバチの違いを言葉で説明するのはむずかしそうですね。でも、見た目で、アシナガバチは、ほっそりしていますし、スズメバチはごっついのでわかりますよね。

画像の説明

ムカデ咬傷
毒牙で咬まれると激痛を生じ、発赤や腫脹が出現する。

 
 
画像の説明

蚊刺症
庭や公園などではヒトスジシマカ、屋内ではアカイエカが多い。皮疹は、顔や手足など露出部に好発する。虫刺されの反応は、即時型反応と遅延型反応があり、年齢や刺された頻度などにより個人差が大きくでます。一般的に、乳幼児期には遅延型反応(虫刺されから6時間〜48時間ほどで紅斑大きくなり、1週間ほどで色素沈着を残して治る)年を経て繰り返し刺されていると即時反応(数分後に紅斑、30分以内に膨疹となり、数時間で治る)が主体となってくるので、気がつかずに治っている場合も多い。

 
画像の説明

ネコノミ刺症
ネコノミは体長2〜3mmで庭は公園などで地面から足元に飛びついて吸血するので足や下腿に皮疹が集中するのが特徴です。室内でネコを飼っている場合は、上肢や体幹部にも見られる。ノミに刺されてもその場では気がつかず、刺されて1〜2日後にかゆみを生じ、紅斑や丘疹、しばしば水疱を形成する。

 
 
画像の説明

ブユ(ブト)刺症
ブユは、体長2〜4mmのハエに似た吸血性昆虫で、主に山間部の渓流沿いに生息するため、山や抗原で野外レジャーのさいに下肢の露出部を刺されやすい。刺された時は痛み、かゆみはほとんどないが、刺咬部に小出血を認め、半日後より腫脹し、激しいかゆみを伴う紅斑になる。

 
 

感染に伴う皮膚疾患  Edit

ヘルペスウイルス  Edit

「ヘルペスウイルス」による感染症で、人間に感染するヘルペスウイルスは8種類が知られています。

卒煙証書 2

画像の説明




ヘルペス属は、人に対しておもしろい生活環を持っています。最初の感染では、感染する時期により臨床症状も異なりますが、一度感染すると一生涯その宿主の神経細胞に潜んでおとなしくしておりますが、抵抗力が低下した時に再活性化し、再発するという性格があります。

 
画像の説明
 

またヘルペスウイルスは、皮膚についたところ感染すると、表皮細胞同士をくっつけているデスモゾームを作らせなくすることで、表皮細胞に隙間を作り、そこに水疱が出来てきます。ヘルペスウイルスによる発疹は、同大same size 同相same phazeで、中心臍窩のある小水疱が特徴です。(湿疹の漿液性丘疹、水疱に比べて大きい。)

 

代表的なものとして、単純ヘルペスウイルス1型2型、水痘・帯状疱疹ウイルスについて解説しましょう。

単純疱疹(単純ヘルペスウイルス)  Edit

単純ヘルペスウイルスには1型と2型の2種類があります。1型は口の周りや顔面など上半身に発症することが多く「口唇ヘルペス」、2型は性器や下肢などに症状が出るものを「性器ヘルペス」と呼んでいますが、皮膚についたところに接種性にどこにでも起こります。

画像の説明

画像の説明

画像の説明

単純ヘルペス1型ウイルスは、接触や飛沫による感染が一般的です。ほぼ半数程度の人は幼児期にこのウイルスに感染し(初感染で症状が出ることは少ない。大人になってから初感染すると重症化しやすい)三叉神経節に潜伏しています。 潜伏したウイルスは、かぜ、発熱、ストレス、疲労、紫外線などがきっかけとなり再活性化し、再発を繰り返します。特に、風邪などが治った後の口唇ヘルペスは「熱の華」とも言われています。

 




画像の説明画像の説明画像の説明

画像の説明




唇や口の周りにピリピリした不快感や痛がゆさがあり、数時間から数日で皮膚の赤みや水ぶくれができ(帯状疱疹とは異なり、ある程度の限局した部位にできる)やがて水ぶくれは破れてかさぶたとなり、2週間程度で治ります。漿液性水疱(湿疹)と迷ったら感染(ヘルベス)の治療を優先しましょう。(ステロド軟膏を塗ったら悪くなる)

 
画像の説明
カポジ水痘様発疹症
 

皮膚のバリア機能が低下するアトピー性皮膚炎の人などは、皮膚が弱いため、比較的簡単に単純ヘルペスウイルスに感染しやすく、初感染で、局所的に出るのではなく、水痘のように広範囲にわたって顔や首などに小さな水疱ができ、リンパ節が腫れたり高熱が出たりしやすい。単純ヘルペスであっても集簇性、播種性に多発する重症型になって「カポジ水痘様発疹症」と呼ばれています。

 

                               

卒煙証書 2

単純ヘルペス1型の初感染では、多くが幼少期に感染するのでほとんどが症状がでることはありません。しかし、現代(平成24年)の医学部の学生の抗体保有率を調べてみると50%をきっています。ピロリ菌もそうですが、子供が育つ環境がきれいになっているんでしょうね。2型には2~10%の日本人が感染していると言われています。よって、大人になって性行為をすることで初感染すると多くは性器ヘルペスとして発症します。性器ヘルペスの初感染は、70%がⅠ型、30%がⅡ型です。単純ヘルペスの場合は、水痘、帯状疱疹ウイルスと異なり、口腔粘膜や膣粘膜に症状がない時でも、ウイルスが出ている(無症候性排泄があり)ため、20歳前後の男女に性感染症として制御することは困難なようです。

画像の説明

画像の説明

単純ヘルペス1型ウイルスは、再発時のほとんどは、口唇ヘルペスであり、性器ヘルペスとして再発するのは、多くても数回のようです。なぜか理由はわかっていませんが、再発の性器感染症のほとんどは、単純ヘルペス2型ウイルスで、再発回数も頻回です。ちなみに、突発性網膜壊死は、ヘルペスウイルス2型の再活性化で起こります。つまり、Ⅱ型も目の病気が起こるわけで、下専門というわけでもありませんね。

画像の説明

治療は、初感染時、再発時ともに神経節に増殖するウイルスの量をなるべく減らす方が、次の再発を予防できる可能性が示唆されており、できれば局所治療ではなく、内服や点滴での全身投与を行うことが勧められています。

画像の説明

臀部ヘルペス

臀部にぽつんと虫刺され様に発疹ができました。痛がゆくて、帯状疱疹?となりそうですよね。単純ヘルペスと帯状疱疹の鑑別が意外と困難です。基本的には単純ヘルペスは繰り返し起こり、帯状疱疹は、一生に1回が原則です。このお尻の発疹が何回も繰り返して起こしているようなら性器ヘルペスのなれの果てです。単純ヘルペス2型ウイルスで性器ヘルペスを繰り返している症例では、高齢になるとなぜか陰部ではなく、お尻にヘルペスを再発するようになり、臀部ヘルペスと呼ばれています。性器ヘルペスを繰り返す(年6回以上相当)ようなら、抗ウイルス薬の抑制療法として長期処方も保険収載されています。もし、初回で帯状疱疹と鑑別が難しい場合は、帯状疱疹として治療します。ちなみに、単純ヘルペスウイルスと水痘・帯状疱疹ウイルスを鑑別するキットがあります。

 

 

帯状疱疹(おびくさ)  Edit

画像の説明

水ぼうそうは、患者さんのくしゃみやせきによって飛沫感染しますが、感染力が強いので同じ部屋にいるだけでも、部屋の空気中に漂っているウイルスから感染することがあります。だから、予防接種をしていなければ、幼少期に集団生活をしていれば、どこかでもらう病気です。帯状疱疹は、水ぼうそうを起こす原因ウイルスと同じ水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる病気です。子供の頃に水ぼうそうにかかりますが、治った後もウイルスは、体の脊髄後根神経節に隠れて長い場合は何十年も潜伏し続けます。そして免疫力が低下(過労やケガ、大きなストレス、病気、手術、免疫抑制薬の使用、高齢化など)したときにウイルスが復活し、神経節から出て活動を再開し、皮膚に帯状の水ぶくれをつくります。この帯状の症状から「帯状疱疹」といわれます。

 

帯状疱疹は、50歳以上の高齢者に多い病気ですが(80歳以上では少なくなる)最近では若い年代にも増加しており、小児の帯状疱疹も決して珍しくありません。また、帯状疱疹は一生に一度しかかからないと言われてきましたが、免疫力がひどく弱くなったときなど、再発する人もごくわずかですがいます。

画像の説明

 

画像の説明画像の説明img_disease3 2

画像の説明

帯状疱疹で一番よく見られるのが、胸椎領域です。その他の好発部位としては、三叉神経第Ⅰ枝領域、頸椎領域、腰椎領域などです。

 
画像の説明

三叉神経の第Ⅰ枝、小岩さん領域の帯状疱疹は、目が腫れてくると、結膜炎や動眼神経麻痺も合併することが多く、眼科と併診することをお勧めします。

 
 

症状は、皮膚にチクチクするような痛み(衣類と触れるようなわずかな刺激にも、ピリピリと痛みを感じる)から始まります。次に、痛みを感じた場所にブツブツとした赤い発疹ができ、小さな水ぶくれとなって帯状に広がります。(水疱が現れる前には、診断するのは難しい)痛みは急激に強くなり、1~2週間続きます。10~14日くらいになると、水ぶくれがかさぶたになって、治っていきますが、ひどい時は潰瘍になることもあります。通常、紅斑がはじまってかさぶたがとれるまで、約3週間から1ヶ月くらいです。この症状が現れるのは体の左右どちらか片側だけであり、一度に2ヵ所以上の場所に現れることはほとんどありません。

画像の説明

発症したらすぐに治療を受けることが大事です。帯状疱疹の治療は、抗ウイルス薬と消炎鎮痛薬を用います。抗ウイルス薬は、早ければ早いほどよく効くとされていて(ウイルスの増殖は、発疹が出て72時間でピークに達する)ウイルスの増殖を抑制し、皮膚や神経のダメージを軽くし、皮膚病変と疼痛を早期に軽減でき、病気の期間を短縮することが期待できます。痛みを我慢していると、痛みに対して敏感になり、普通は痛みとして感じない程度の刺激に対しても、過敏に反応して治りにくい痛みになってしまいます。(アロディニア)また、痛みを冷やすとかえって強くなるので、できるだけ温めるようにします。(入浴39〜40℃程度の湯に10分前後も効果的です)



ラムゼー・ハント症候群(Ramsay Hunt syndrome)

画像の説明

帯状疱疹における神経の傷害は、感覚に関わる神経の傷害が主ですが、筋肉の運動麻痺なども見られることがあります。外耳道の感覚や表情筋の動きにも関わる顔面神経(第7脳神経)の神経節である膝神経節に潜在するVZVが、ストレスや発熱などに伴う免疫低下で再活性化して顔面神経麻痺を起こすと考えられています。一側性末梢性顔面神経麻痺の中では、ベル麻痺(Bell’s palsy)多くは単純ヘルペスウイルスに次いで頻度が高い。典型例では、耳介周囲から後頭部にかけて違和感や痛みを自覚し、数日後に耳介や外耳道入孔部に紅斑を伴った水疱が出現し、数時間後に同側の顔面の表情筋の麻痺が出現する。涙の分泌低下、聴覚過敏(音が大きく響く)味覚低下を伴うこともある。顔面神経と近接して走行する内耳神経もしばしば同時に障害され、回転性めまいや感音難聴および、耳鳴りなどの症状を合併したり、三叉神経や舌咽神経の障害により、顔面の激しい痛み、喉の奥の違和感、嚥下痛を併発するなど、症状は多彩である。治療は、ステロイド剤が有効で、バラシクロビルなど抗ウイルス薬も併用される。比較的予後良好なベル麻痺と比較して、難治例、不全麻痺等の後遺症を残す症例が多く、自然治癒は30%(ベル麻痺は70%)初期から十分な治療を行っても60%(ベル麻痺は90%)程度である。また、ベル麻痺の回復過程において、傷害された顔面神経の神経線維の再生に誤りを生じ、病的共同運動(眼瞼と口がいっしょに動く、食事をするときに涙が出る)や顔面筋の拘縮が後遺症として残る症例もある。




帯状疱疹が他人にうつることは、あまりありませんが、水疱の中にはウイルスがいて、水ぼうそうにかかったことがない人にはうつる可能性もあります。この場合、帯状疱疹の症状ではなく、水ぼうそうの症状が出ます。水疱が治るまでは、水ぼうそうにかかったことのない赤ちゃんや子供、妊婦には接触しないほうがいいでしょう。

画像の説明

皮膚症状が回復しても痛みだけが残り、いつまでも続く場合があります。これを「帯状疱疹後神経痛」といいます。若い人の場合は、ウイルスによって破壊された神経の回復は良好(10%)ですが、高齢者(70歳以上で50%)や糖尿病膠原病で免疫力が落ちている方、抗ウィルス薬の治療が遅れた方などでは、回復が困難で、帯状疱疹後神経痛が残りやすいといわれます。

帯状疱疹後神経痛のリスクに影響する因子

◎皮疹が出て何日目か(なるべく早く)?
◎重症度(皮疹、疼痛)は?
◎年齢(60歳以上)は?
◎アロディニアはないか?感覚鈍麻は?
◎免疫不全(重症の糖尿病など)あり?

治療の目標は、帯状疱疹後神経痛を残さないことです。 抗ウイルス薬は、1週間でおよそ6000円と高価ですが、帯状疱疹後神経痛の発症率を低下させるためにも、理想は3日以内に服薬開始、服薬しても、すぐに症状が治まるというわけではありませんが、ちゃんと1週間飲みきることが大切です。

画像の説明

画像の説明

急性期の痛みは、皮膚の炎症による侵害受容性疼痛ですが、その後帯状疱疹の神経の損傷による神経障害性疼痛が残るとされています。NSAIDs(COX2阻害薬など)抗うつ薬やリリカ、オピオイドなどで対応します。衣服がすれただけでも痛みが増すことがあります。サラシや包帯を巻いた後に、衣服を着るなどの工夫をしなければ、生活も大変です。どうしても痛みがとれない時は、麻酔科(ペインクリニック)で、神経ブロックなど専門的な治療が必要となる場合があります。

伝染性膿痂疹(とびひ)  Edit

虫さされや汗疹(あせも)を掻いたり、小さな皮膚の傷に細菌が入り込み、感染することで発症します。掻きむしった手を介して、水疱、びらんがあっという間に全身へ広がる様子が、火事の火の粉が飛び火することに似ているため「とびひ」と呼ばれています。とびひの原因となる細菌は、主に黄色ブドウ球菌とA群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)が皮膚に感染することで発症し、人にうつる病気です。大多数は黄色ブ菌によるが、アトピー性皮膚炎の患者に発症しやすい。

  水疱性膿痂疹 痂皮性膿痂疹
原因となる細菌 黄色ブドウ球菌 化膿レンサ球菌
症 状 水ぶくれ、かゆみなど かさぶた、リンパ節の腫れ、発熱、のどの痛みなど
できやすいところ 目・鼻・口のまわりから症状が出始めることが多く、やがて体のあちこちに広がる 全身にできる
かかりやすい季節 夏(暖房の普及で、冬でもみられる) 季節に関係なし
かかりやすい年齢 7歳未満の乳幼児 年齢に関係なし

黄色ブドウ球菌が出す表皮剥脱毒素(ET:Exfoliative Toxin)により、表皮細胞の結合が溶かされ、浅い透明な水疱が形成される。水疱は容易に破れてびらんとなり、水疱内に存在する黄色ブ菌が”とびひ”して次々に伝染していく。個々の病巣は10日前後で乾燥し治癒するが、痂皮が重なり合って付着して、痂皮性膿痂疹に近い像となる。この皮疹がとびひかどうかは、かさぶたと周囲のびらんを鑷子でつまむと、表皮が溶かされていたら、ペロ〜んと剝ける。とびひは周囲に向かって凸の曲線(ギザギザにはならない)

画像の説明画像の説明

画像の説明

顔の小さな発疹は、難しい。鼻腔などもよく観察して(左鼻の入り口にかさぶたが付着)とびひを必ず念頭において、迷ったら、まずはとびひの治療を先行して始める事。間違って、ステロイド軟膏を塗ったら、ちょっと大変になります。(顔などでステロイドは慎重に)

治療は、細菌なので、抗生剤の内服、外用が理論としては正しいが、ゲンタシン軟膏は、ほとんど耐性で効果ない。最近は有名なメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による伝染性膿痂疹が増え、治療に手間取ることが多い。アクチアム軟膏(ナジフロキサシン)が有効である事が多い。また、難治性のとびひもアクリノール亜鉛華軟膏などで遮蔽することで、掻けないことが特効薬になることも知っておいて損ではありません。

類天疱瘡(るいてんぽうそう)  Edit

画像の説明

類天疱瘡では、血液中に表皮と真皮の境にある基底膜に存在する接着因子であるヘミデスモソームの構成タンパクであるBP230とBP180に対する自己抗体(抗表皮基底膜部抗体)ができ、それが表皮の基底膜にある自己抗原に結合して、表皮と真皮の接着が悪くなり、上皮下に水疱を作る病気なので、人に移ることはありません。病気の勢いは、水疱の個数や血液中の抗体価(抗体の量)によって推測されます。類天疱瘡の患者さんは高齢者に多く、60歳以上、特に70~90歳台の高齢者にみられます。類天疱瘡では、全身のあちこちに、痒みを伴う紅い斑点(紅斑)と大型のパンパンに張った(緊満性)破れにくい水膨れ(水疱)とびらんがみられます。全身の水疱形成とびらんのため、広範囲熱傷と同様に、全身状態の悪化を生じ、さらに、免疫抑制療法もあいまって、全身のびらんに細菌感染を起こして、敗血症から、DIC をおこし、死に至ることもあるので、びらんに細菌が付着しないよう、清潔にする必要があります。僅かな外力が当たる部位に水疱形成が生じることが多いので、このような外的な刺激を避けるため、絆創膏は直接貼らないようにして、病変全体をガーゼで包み、その上から絆創膏ないしネットで固定するようにします。また、手足、肘・膝をぶつけないようにし、擦れるような下着・服、きついベルトは避けるようにします。一方、著明な口腔内のびらんによる疼痛のため食事の摂取困難をきたし、栄養ドリンクの摂取などを必要とするもあります。

診断は、顕微鏡による組織検査で、局所麻酔をして皮膚生検を行い、蛍光抗体直接法で病気の皮膚の基底膜部に抗体(IgG)の沈着を認めます。また、血液中にIgG抗皮膚基底膜部抗体(蛍光抗体間接法)を検出します。最近、BP180/BP230のリコンビナント蛋白を用いたELISA法という検査法が開発され(保険収載)これらの自己抗体がより早くかつ正確に検出できるようになりました。

治療は、中等症までの類天疱瘡ではまずテトラサイクリン・ニコチン酸アミド療法を行い、1~2週間経過を観察し効果が不十分な場合は、ステロイド内服(プレドニゾロン換算20~30mg/日程度)を併用するようにします。難治例は、ステロイドパルス療法、免疫抑制剤内服併用、血漿交換療法併用などが行われます。高齢者の場合は比較的容易にコントロールできるのに対して、より若年者に発症した類天疱瘡は難治性である傾向があります。残念ながら、類天疱瘡は特定疾患に指定されておらず、医療費の補助は受けられません。