一病息災

広辞苑には、一病息災(いちびょうそくさい)持病が一つくらいある方が、無病の人よりも健康に注意し、かえって長生きできるということ。とあります。これまで外来で高血圧症や高脂血症の患者さんに「一病息災」で頑張りましょうと言ってましたが、「一病息災」は「無病息災」をもじった造語だとばかりと思っていました。実は立派な四字熟語だったんですね。

 

 

皆さん「リブレ」ってご存知でしょうか?糖尿病患者さんのグルコース測定器です。

昨年12月に赤穂糖尿病勉強会(Web)で、小畑先生の「icCGM導入に際しての実際のところ」の講演がありました。数年前から24時間測れる自己血糖測定器があるのは知っていましたが、今までは病院の糖尿病専門医しか使えない代物だったんですが、昨年の4月から保険適応が拡大され、インスリンを打っている患者さんなら、我々一般内科医でも使えるようになったと言う嬉しいニュースでした。

当院に○歳の糖尿病でインスリン1日4回打ちをして、自己血糖を毎日3回測定し、ノートに食べたものまで書いて、熱心に治療しているのに血糖が乱高下しHb A1c8点台の患者さんがいます。患者さんには、私の実力ではなかなかうまくコントロールしてあげられないので、糖尿病専門の先生を紹介しますと申し出ているのですが、なかなか同意が得られずどうしたものかと思っている状況で、リブレならインスリンを打つタイミングや量をもう少し上手に調整できて、少しでもよくなるのではないかと。

そこで、Abbottさんに来てもらって、「FreeStyleリブレ」についての説明を受けましたが、センサーの装着、リーダーの使い方(スマホへのアプリ)解析ソフトの解釈など内容が多岐にわたり、初めて1回聞くだけでは、概要を理解し、操作の手順を患者さんにきちんと説明することは難しいとなり、一度、自分が体験してみたいということになりました。(実際にそういう医師が多いらしく、すでにちゃんと全て用意されていました)

FreeStyleリブレの装着方法

その場ですぐに、Abbottさんのご指導の下、センサーを左上腕伸側に「ガチャン」と装着しました。リーダーに認識させると30分後より測定可能になります。FreeStyle専用のリーダーでも読み込み可能なのですが、いちいちリーダーを持ち運びするのが大変なので(少なくとも8時間ごとに読み込みが必要)いつも携帯しているスマートフォンにアプリ(FreeStyleリブレLink)を入手して、スマートフォンでスキャンして測定することにしました。

令和4年12月15日に装着、さあ測定の開始です。166とか148とか、なんか高め?この器械大丈夫?(最初は不安定と聞いていた)と思っていたら、16日には朝食後に203、夕食後には227と200越えを連発、19日に昼ごはん大目、コロッケ2つ、みかん2個で、血糖値は253mg/dl(今回2週間測定したの中で最高値)を記録、糖尿病確定ですね。糖尿なんて全く思ってもいなかったので驚き桃の木山椒の木。(私の場合も健康については、なんの根拠もない過信がありました。父が糖尿病なのにおかしいですよね。思い込みとは恐ろしいものですね。慌てて、糖質制限、おやつも控えてみたところで、食後の血糖を200以下に抑えることは難しいようですね。

母親が62歳で膵臓がんで死亡(私も61歳)糖尿病の新規発症となればこれはやばい?やはり膵臓がんの精査は必要ではないかと思い日赤の高谷先生に相談、令和5年1月5日に腹部MRI検査を行いました。初めてのMRI検査で何事も経験ですね。狭いところに閉じ込められて、ガンガン音がうるさいと聞いていました。実際はヘッドホンから音楽が流れ、確かに狭いところに入りますが、目の前には海や山の風景の映像が流れて圧迫感はありませんでした。ただ、息を吸って止めての連続で、検査時間も30分ほどかかり、緊張から結構な疲労感みたいなものはありますね。腹部MRI(MRCP)で膵臓は異常なくひと安心でした。

糖尿病の治療の基本は、食事と運動です。現在、身長176cm、75kg、BMIは24.2です。コロナ禍でマラソン大会が中止、モチベーションが低下して、この3年間、ほとんど走っていませんでした。今回、コロナも5月8日以降に2類から5類へ移行されることが決まっており、マラソン大会もほぼコロナ前の規模で開催されるようになってきました。走るのはいいのですが、マラソンまではどうするかどうかはなかなか踏ん切りがつかなかったのですが、今回、糖尿病が発覚し(ちなみにHb A1cは 5.8)心機一転、来年の高知龍馬マラソン大会に向けて、正月からキロ7〜8分のスロージョグで練習を再開しました。ところが、2月12日、大阪でテニスをしていて、膝にきたかな?(4ゲーム先取で3試合)を思ってすぐに止めたんですが、ちょっと遅かったようです。翌日から歩くとき(特に階段を降りる時)に右膝の外側上あたりに痛みがあり、テニススクールもジョギングもお休みです。膝はやはり体重オーバーでしょうか。とりあえずは72kgを目標に減量ですね。一緒にやっていた整形外科の友人は「僕は腰が痛い、ロキソニン飲んでます。還暦を越えて無理したらあかんね」とコメント。1ヶ月経っても痛みが取れず、ちょっと時間がかかりそうです。

還暦を過ぎるような歳になってくると友達同士で飲みに行くと必ず健康の話になりますね。健康の大切さは健康であるときには分かりません。誰も病気になって初めて健康の有り難さをしみじみと感じるのです。「一病息災」は、病気になったことで結果として長生きにつながる、私の座右の銘である「塞翁が馬」に通じるところもありますね。病気になったとこ自体は一般的には残念なことですが、これが人生にとって幸せになるのか不幸になるのかわかりません。糖尿病にならなかったらマラソンは再開しなかったかもしれませんし、まあいい時も悪い時も一喜一憂せず、飄々と生きましょうよ。

 

「FreeStyleリブレ」は、2017年に登場した糖尿病患者向けのグルコースモニタリングシステムで、上腕後部に500円玉大のセンサー(使い捨て)を痛みなく貼付し、リーダーでスキャンすることで、いつでもどこでも服の上からでも1秒で測定が可能で、その時のグルコース値・トレンド・過去8時間の履歴が表示され記録されます。センサーは耐水性で入浴中、シャワー中、水泳中も装着することが可能で最長14日間(2週間)にわたってグルコースデータを蓄積し、測定情報は、わかりやすいグラフで表示されます。血糖変動を「見える化」し、糖尿病の日常の自己管理をサポートします。

厳密に言うと血管を流れる血液中のグルコース濃度が「血糖値」ではなくて、間質液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度を測定しています。血糖値と間質液中のグルコース値の間には、高い相関関係があることが証明されています。

さらに驚いたことに、この「FreeStyleリブレ」実はAmazonでも買えちゃうんですね。YouTubeを見るとダイエット目的で使用している人たくさんいました。7200円でした。センサーの装着の時にあの針見たら、ちょっと引きますけど、みんなあの壁を飛び越えるんですね。びっくりです。

 

FreeStyleリブレの詳細です。

 

 

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