脳卒中
「あれっ いつもと違う。これはおかしい」と思ったらすぐに病院に行きましょう。
脳卒中の症状の多くは、半身の脱力や感覚異常など、身体の半分の障害として出現する場合が多いですが、障害部位によっては、出現する症状も多彩です。 15分前後だったり、1日ぐらいで、もとに戻ってしまう場合もあります。前触れ発作を見逃さないことが大切です。

「脳卒中」とは「卒然として邪風に中(当)たる」と言われています。昔は、いわゆる中風(ちゅうぶ)と呼ばれ、人々から不治の病として恐れられました。 つまりその正体は、脳の血管が詰まったり、破れたりして、 にわかに倒れる病気の総称であり、いろいろな脳の症状が現れるすべての状態を指しているのです。
脳卒中は怖い病気の2番目
平成14年の全国アンケート調査で、がんについで第2位でした。多くの人が脳卒中は恐ろしい病気と感じているようです。
一般の人が脳卒中に対して抱くイメージは、大変暗いものでしたが、脳卒中は予防可能ですし、最新の治療で後遺症をほとんど残さずに社会復帰している患者さんも増えています。
寝たきりの原因の第1位
男女とも、寝たきりの原因の第1位となっています。健康寿命を延ばすためにはその予防は重要です。
健康寿命(けんこうじゅみょう)とは日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間のことで、WHOが2000年に公表した。平均寿命から介護(自立した生活ができない)を引いた数が健康寿命になる。日本は世界有数の長寿国ですが、最後の5〜7年は寝たきりの人生になっています。
わが国では脳卒中は、1951年から約30年にわたり国民死亡原因の第1位を占めてきましたが、現在では、がん、心臓病に次いで第3位となっています。
脳卒中には、血管が破裂する場合(脳出血、 くも膜下出血)と詰まる場合(脳梗塞)とがあります。

脳出血
脳出血は、脳出血は脳の血管が破れ、脳内に出血することで血の塊ができ、それによって脳障害が起こる脳血管疾患です。原因の多くは高血圧です。
頭部CT検査
脳梗塞なのか、 脳出血なのかは、症状だけでは診断は難しいことが多くあります。どちらかを診断しませんと適切な治療ができません。脳梗塞か脳出血かの診断には頭部CT 検査が適しています。CT 検査では、脳梗塞では黒く、脳出血は白くみえます。
被殻出血や小脳出血などは出血が大きくなったりすると手術の適応となる場合もあります。
しかし、視床出血や橋出血のように頭の中心に近いところで出血した場合は、神頼みにならざる得ない現状です。
クモ膜下出血
SAH: Subarachnoid hemorrhage お医者さんは「ザー」と言います(日本だけのようですが?)
クモ膜下出血の恐ろしいところはまだ働き盛りの人に発症し,しかもそのうち50%は初回クモ膜下出血で死亡するかかなり強い後遺症を残すことです。さらに,治療しなければ25~30%は再出血で死亡すると言われています。
クモ膜下出血の典型的な症状は「突然の激しい頭痛」です。Thunderclap headache:雷鳴頭痛とも言わる重篤で瞬間〜1分以内にピークに達する爆発的な頭痛です。しかし、何事にも非典型例はあるもので、瞬間的なものが50%、1分以内が25%、ほぼ5分以内までで90%は占めるものの、1割は徐々にとうい変わり種もあるわけです。普通、脳動脈瘤は破裂する直前まで何の症状もなく、「突然の」という部分が特に重要で、トイレで排便しようとした時にとか、テレビを観ていてビールを取りに立ち上がった時にとか何時何分という単位で正確な時間を言うことが出来ます。また、「まるで突然バットで殴られたような、これまで経験したことのない激しい頭痛」と証言しています。
脳出血は脳の中で血管が破れて出血し、脳の中に血腫(血の塊)ができます。クモ膜下出血は脳の表面を走る血管に脳動脈瘤という“コブ”ができていて、それが破裂して脳の表面に大量に出血します。激しい頭痛と嘔吐がおこります。しばしば意識を失うことがあります。脳卒中の中でもっとも死亡率が高く、約半分の人が命を失います。早期に適切な外科的治療が必要です。
クモ膜下出血の原因の8割以上は脳動脈瘤の破裂によるものです。 若者が痙攣を伴うクモ膜下出血を起こした場合は、脳動静脈奇形が原因となることもあります。
脳動脈瘤の原因は不明ですが、男性より女性に多く、生まれつき脳動脈の壁に弱い部分があり、この部分が徐々に膨らんでくるという説が有力です。高血圧によって、動脈瘤が破れて、クモ膜下出血が発症します。
治療法は、クリッピング術とコイル塞栓術による方法の二通り
クリッピング手術(開頭手術)
手術で頭を開いて脳動脈瘤を露出させ、脳動脈瘤の首根っこ(「ネック」とよばれます)にクリップをかける方法です。クリップはコバルト合金やチタニウムでできています。 破裂予防効果は確実です。
血管内手術「脳動脈瘤塞栓術」
足の付け根から細いカテーテル(マイクロカテーテル)を脳動脈瘤の中まで誘導し、ここからプラチナ製のコイルを脳動脈瘤の内部に何本も詰めていく方法です。開頭手術と異なり患者さんの体にメスを入れずにすむので、体力の余裕のない高齢の方や、心臓病など他の病気を持っている方などにとっては負担が軽くなります。
フローダイバーター留置術という新しい治療法が2015年から保険適用になりました。カテーテルで脳動脈瘤の根元の血管にフローダイバーターという特殊なステントを留置する治療法です。フローダイバーターは網目が極めて細かくて、脳動脈瘤への血流を遮断することで、血栓ができて破裂を防ぎます。患者さんへの負担が少なく、大きな脳動脈瘤や入り口の広い脳動脈瘤も治療できると期待されています。
脳の前方と真ん中、後方にそれぞれ、前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈と太い血管があります。脳動脈瘤の多くは、脳の太い血管が枝分かれする分岐部が血流に押されて作られるものと考えられています。脳動脈瘤が出来やすいのは、前交通動脈や後交通動脈の分岐部です。
脳ドックで未破裂脳動脈瘤がみつかったら
成人全体の3~4%が、脳動脈瘤を持っていると推定されています。「脳ドック」と呼ばれる脳の健診も盛んになってきて、まだ破裂していない脳動脈瘤(未破裂脳動脈瘤)が見つかるケースが増えています。 だれしも大変不安になりますが、急激に大きくなっている場合や頭痛などの前兆症状のある場合を除けば、通常緊急性はありません。脳動脈瘤があるからといって必ず破裂するわけではなく、小さな動脈瘤は生涯破裂しない例の方が多いことでしょう。未破裂脳動脈瘤5720人を対象にした報告では、直径3〜4mmの動脈瘤に比べて7〜9mmは3.4倍、10〜24mmは9.1倍、25mm以上は76.3倍と大きいほど破裂しやすいことはわかっています。すべてを平均すると、未破裂脳動脈瘤が破裂する確率はだいたい年間1~2%といわれています。 日本脳ドック学会は未破裂脳動脈瘤の治療に関するガイドラインによれば、70歳以下で脳動脈瘤が直径5ミリ程度まで成長していれば(5ミリ以下であっても破裂しやすそうな特殊な形をしている場合)治療を勧めるべきであるとされています。未破裂脳動脈瘤の治療で生命にかかわる率は1%程度、何らかの後遺症が残る率は3~5%とされています。最終的には治療の安全度と脳動脈瘤の状態やその人の余命の長さ(一生のうちに破裂する確率)などを考慮しながら決断することになります。
脳梗塞
現在我が国ではものすごい勢いで高齢者の人口が増えています。脳卒中は「がん」「心筋梗塞」に比べ、お年寄りに多い病気です。
かつて脳卒中で死亡する人の大部分は、脳出血でした。しかし、食生活の欧米化(脂肪摂取の増加、塩分の減少)、高血圧治療の普及などによって、脳梗塞がしだいに増え、1970年代半ばから脳梗塞による死亡者数が、脳出血によるそれを上回るようになっています。
脳梗塞
脳卒中には、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つがあります。脳梗塞が7割を占め、圧倒的に多く発症しております。 脳梗塞もどんな原因によっておこるかによってアテローム血栓性梗塞、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症の三種類があります。
脳内の小血管が閉塞するラクナ梗塞 、やや大きな脳血管が閉塞してしまうアテローム血栓性脳梗塞、心臓でできた血液の塊がその場所からはがれて、血流に乗って脳の血管につまってしまう脳塞栓の3種類です。一般的には、ラクナ梗塞が一番軽く、アテローム型が中ぐらい、脳塞栓症は重症になることが多いとされています。
脳の血管のうちで、枝分かれをして脳の奥深いところに入っていく穿通動脈という細い血管が詰まっておこる脳梗塞をラクナ梗塞といいます。原因は、主に高血圧により、血管壁が傷害されて厚くなり、血流障害が起きると考えられます。脳梗塞の大きさも小さいので、 概して症状はないか(無症候性脳梗塞)軽いというのがラクナ梗塞ですが、詰まる場所によっては半身麻痺が起こったりすることもあります。
ラクナはラテン語で小さな穴という意味で、ラクナ梗塞は、直径1.5cm以下の小さな梗塞とされています。意識障害を認めることはほとんどなく、失語症、半側空間無視、病態失認といった神経心理学的な症候(皮質症候)も通常は見られない。特徴としてはPure motor hemiparesisやPure sensory strokeといった感覚障害と麻痺が同時に存在しないタイプがラクナ梗塞ではありえる。
無症候性脳梗塞
脳梗塞になっても範囲が狭いラクナ梗塞は、症状が出ないことがあります。また、多発性脳梗塞とよばれるもののほとんどはこのラクナ梗塞の多発であり、多発することで認知症・パーキンソニズム(脳血管性パーキンソン症候群)の原因となることがあります。血管性認知症は、記憶障害や歩行障害、転倒、頻尿、尿意切迫、麻痺、一過性のうつ気分などが起こります。記憶障害は、同じ時期に起きたことなのに覚えていられることと覚えていられないことがあると言ったようにまだら認知症が特徴です。また、急に起こったり、笑ったりする感情失禁なども見られます。
アテローム血栓性脳梗塞は比較的太い血管が詰まりますからその障害を受ける領域もある程度大きくなります。 高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病(メタボリックシンドローム)が危険因子となり動脈硬化によって動脈壁に沈着したアテローム(粥腫)のため動脈内腔が狭小化が原因となっておこすアテローム血栓性脳梗塞が増加しています。また、脳梗塞発症以前から一過性脳虚血発作(TIA)を起こすことが多く、このTIAの対処が脳梗塞の予防において重要である。梗塞巣が1.5cm以上であることが診断基準に含まれている。
脳ドックや頸動脈エコーで脳主幹動脈狭窄としての内頸動脈に対して頸動脈内膜剥離術と頸動脈ステント留置術があります。

心原性脳塞栓症は、心房細動(不整脈)という病気を持っている人に発症します。心臓の中で血の塊ができ、それが心臓から剥がれて脳の血管の中に流れ込んで、太い血管の根元に詰まることで、とても大きな脳梗塞を起こします。死亡率も高く、寝たきりになることも多いので、ノックアウト型脳梗塞と呼ばれています。アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞に比べ、最も最重症です。
心原性塞栓 | アテローム血栓 | ラクナ梗塞 | |
部位 | 皮質 | 皮質 | 皮質下 |
---|---|---|---|
大きさ | 大 | 中〜大 | 小 |
血栓の主体 | フィブリン | 血小板 | 不明 |
治療 | 抗凝固療法 | 抗血小板療法 | 抗血小板療法? |
危険因子 | 心内塞栓源 | 高血圧・高脂血症・糖尿病 |
元サッカー日本代表監督オシムさん、巨人の長島監督も心房細動からの脳塞栓症で倒れた。
心房細動
心房細動は、心房全体が痙攣したように細かく収縮して、脈拍の間隔がバラバラになる不整脈です。加齢とともに増加し、70歳台で5%に見られ、日常診療で比較的よく遭遇する頻度が高い不整脈です。心房内に血栓ができるので、ワーファリンという血をサラサラにするお薬を飲んで脳塞栓症を予防します。

一過性脳虚血発作(TIA:transient ischemic attacks)
一過性脳虚血発作とは文字通り、脳梗塞の症状が起こりますが、24時間以内に局所症状が消失する場合をいいます。これは、アテローム血栓性脳梗塞を発症する前段階として、脳に血液を送る頚部の動脈に余分なコレステロールなどが沈着してできた動脈硬化の血栓(血小板血栓)の一部がはがれて脳に流れて行き、その先の細い血管を詰まらせ、脳梗塞の症状が表れますが、しばらくして血栓が自然に溶けて血流が改善し、24時間以内に症状が消失するわけです。(実際は、1〜2時間ぐらいがほとんどです)急性脳梗塞のないもの(MRIで除外)とされています。このような病態を一過性脳虚血発作(TIA)といいます。(2009年 米国脳卒中協会)
手足に力が入らないとか動かせない、しびれる、呂律が回らないなどの症状が突然発症しますが、短時間で消失するため、疲れているせい、気のせいと片付けたくなりますが、軽視は危険です。TIAは脳卒中の前触れであることを知っているか知らないかが、運命の分かれ道です。前触れ発作を何回か繰り返しながら、やがて、大きなアテローム血栓性脳梗塞を起こすシナリオ、症状が消えたからといって安心せずに、すぐに病院に行きましょう。TIAを発症した人の15〜20%は、3か月以内に脳梗塞を起こしており、そのうちの半数以上は、48時間以内に発症しています。
TIA後、早期に脳梗塞を再発する可能性は、年齢や血圧、臨床症状、発作持続時間、糖尿病の有無を数値化したABCD2スコアで推測できる。スコアが6点以上ある人は、90日以内の脳梗塞の危険率は8倍になります。
TIAを正しく診断するために
TIAを見逃さないためには、急性の発症であったことと発作時にどのような症状であったかを確認することが重要です。
◎運動障害(片麻痺、片手の麻痺、片足の麻痺、顔半分の麻痺など)
◎視野障害(同名半盲、一過性黒内障など)
◎感覚障害(しびれ、感覚鈍麻、脱力など)
◎言語障害(構音障害、失語症など)
TIAと誤診しやすい症状としては
◎意識消失発作(失神発作も含む)のみ
◎眩暈のみ
TIAのような局所脳虚血で意識消失発作や失神発作を起こすことはありません。意識がなくなるということは、脳幹にある上行性網様体賦活系か大脳皮質全体のどちらか、もしくは両方が障害されていると考えられる。このような広範囲の虚血がある場合は、意識障害のみではなく、運動障害や感覚障害など他の局所症状も伴います。
反対に、眩暈のみというのも、一時的に片側の前庭神経核領域への血流が減少することで回転性めまいがおこってもおかしくないのですが、すぐ近くに他の脳神経核があるにもかかわらず、前庭神経核だけに虚血がおこるというのはあまりにも不自然なことです。椎骨脳底動脈領域のTIAの症状として、片目が見えなくなったり、ものが二重に見えたり、力が入りにくい、顔や手足がしびれたり、呂律がまわらないなど、いずれかの症状が、めまいと同時に 存在しなければ、TIAとは診断できません。(例外として、後下小脳動脈(PICA)の虚血で、純粋な回転性めまいがおこることもがあります)
若年者の小脳梗塞
脳梗塞は、健康な若い人でもなる場合があります。その原因の一つは、動脈解離があります。動脈解離とは、3層の膜でできている血管の一部が裂けることにより、血管が詰まり脳梗塞になります。動脈解離は、小脳の動脈が裂けることが多いため、首から後頭部にかけて激痛が走ります。(7割の患者さん)小脳梗塞の特徴的な症状には、めまいや歩行障害、吐き気やおう吐などです。
後下小脳動脈(PICA)は、内側枝と外側半球枝に分かれ、内側枝は小脳虫部を灌流しており、この枝の虚血で急性めまいを来たし、所見として回旋性方向一定性眼振のみがみられることから、急性の末梢性前庭臆害に似た症状を来たすため、前庭神経炎との鑑別が重要です。また延髄外側をも灌流するため、延髄外側症候群=Wallenberg症候群を呈すことでも知られています。
手口感覚症候群
突然に片側の口の回りと同じ側の手のひらがしびれた時は、視床の脳梗塞が疑われます。全身からの感覚情報が脳へ伝わる途中の中継地点です。ここは、脳卒中が起こりやすい場所の一つで、その中では「手」と「口」が広い部分を占めています。それでこの部分に出血や梗塞が起こると、手と口が同時にしびれることが起こるのです。
新薬「t−PA」で脳梗塞治療革命(急性期治療)
血管が詰まると、その血管から血液をもらってる一番中心部にあたるところはもう短時間のあいだに脳梗塞に陥ってしまいます。 その周辺には脳梗塞に陥らないけどかなり血流が落ちてしまってそのまま放っておいたら早晩脳梗塞になるという場所が存在します。外国の言葉でペナンブラと呼ばれます。 脳梗塞の治療というのは、このペナンブラと呼ばれているところを脳梗塞に陥らない、助ける、これが脳梗塞の治療ということになります。 それによって、現れてくる神経障害の程度も軽くするということになります。
 今までの治療法は、抗血小板薬、抗凝固薬、脳保護薬、抗脳浮腫薬等で治療はしていたんですけど、なかなか上のようなことを達成するのは困難な症例が多かったのが事実です。
脳梗塞の治療ではできるだけ早く血栓を取り除くことが鍵となります。血栓を取り除くと血流が再開するため、脳細胞が壊死するのを食い止めることができるからです。そうすることで、後遺症をできるかぎり軽減するのが、治療の目的となります。tPAという薬は、血栓を溶かす効果がありますが、反面、副作用として脳出血が生じることがあるため、発症から4時間半を過ぎると投与することができません。血栓が詰まって脳の血流が途絶えている時間が長くなると、血管がもろくなり、そこにtPAを使って血流を再開させると、血管壁が破れて脳出血を起こすことがあるのです。さらに、脳梗塞を発症した場合、医療機関に到着してから画像検査などの精密な検査に1時間程度の時間を要します。そのため、実際には発症から3時間半以内に、治療を行うことのできる医療機関に到着している必要があります。過去に脳出血を起こしたことがある人や、脳梗塞の範囲が広い場合も、tPAによる脳出血を起こすリスクが高くなるため、使用することができません。このような条件から、実際にtPAによる治療を受けられるのは、脳梗塞の患者さん全体の4〜5%にとどまっています。
t-PAというのは何をするかといいますと、治療で、このクスリを使って血栓を溶かして、脳梗塞が拡大しないように、最小限にとどまるようにする治療です。 t-PA(tissue-type plasminogen activator、組織型プラスミノーゲン・アクチベーター)という薬が何をしてくれるかといいいますと、血栓を溶かすことができます。それで血栓が溶けて、血流が再開通します。この治療はすべてのタイプの脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞)に有効であるということ、約束どおりに使うと、40%近くの人はほとんど無症状の状態まで回復することができます。 約束を破ると脳出血を起こすことがあります。
tPA治療は諸刃の剣
脳梗塞患者のすべてがt-PA静注療法を受けられるわけではありません。できるだけ合併症を避け薬の効果を高めるために、日本脳卒中学会が適正治療指針をだしています。「NIH脳卒中スケール(NIHSS)」で点数(スコア)をつけて、症状がなければ0点、いちばん重症度なものは42点という点数がつくようになっています。 t-PAというお薬の良い適応というのはだいだい5点から22点ということで、このあたりの点数の人を対象に治療を行います。軽すぎても、重すぎてもダメなのです。
血管内治療
脳梗塞の発症から4時間半を過ぎた場合やtPAでは血栓を溶かしきれない場合に行われる治療として、血管内治療があります。これは、脚の付け根の動脈からカテーテルを挿入して脳の血管まで送り込み、カテーテルの先端に付けた器具を使って血栓を直接取り除く方法です。血管内治療は、脳梗塞の発症から8時間以内であれば行うことが可能です。具体的には、ステント型と吸引型という2つの方法が主流です。ステント型は、ステントリトリーバー(金属製の網目状の筒)を折り畳んだ状態で先端に取り付けたカテーテルを、脚の付け根から挿入し、脳の血管まで送り込みます。血栓が詰まっている部分でステントリトリーバーを広げて血流を確保しつつ血栓をからめとって回収します。吸引型は、血栓を吸入する器具を先端に取り付けたカテーテルを脚の付け根から挿入し、脳の血管にお送り込みます。血栓が詰まっている部分の手前まで届いたら血栓を吸引し回収します。tPAと血管内治療を組み合わせることで、tPAのみを行ったグループと比較して後遺症の程度が「日常生活や仕事を問題なく行えるレベル」だった患者さんの割合が50%以上まで改善しました。
睡眠中に脳梗塞を発症した場合、正確な発症時刻の判断が難しく、t-PAを使えない場合が多いことが問題になっています。MRI画像にはいくつかの撮影方法がありますが、「拡散強調画像」は「発症から1時間以降に現れる梗塞を写し出しやすい」「FLAIR(フレアー)画像」は「発症から3時間以内に現れる梗塞は写りにくい」という特徴があります。この2つの撮影方法を組み合わせることで脳梗塞の発症時刻を推定します。例えば、拡散強調画像では病変が現れているのにFLAIR画像で異常がなければ、3時間以内に発症した脳梗塞である可能性が高いと考えられます。発症時刻の特定が可能になれば、より多くの患者さんにt-PAによる治療や血管内治療が行えるようになると考えられています。
MRIの拡散強調画像(DWI)は脳梗塞発症後30分以内に早期虚血変化を異常信号(黄色矢印)で表示しますが、FLAIR画像で異常所見として現れるには4~5時間が必要です。したがって両者に差がある場合、発症後おおよそ4.5時間以内の脳梗塞と考えられます。
もやもや病
もやもや病は、1950年代に日本で発見された病気で、当時の画像検査で網のように細かい異常な血管が、もやもやした煙のように見えたのでもやもや病と命名されたと言われています。内頸動脈の終末部が細くなって閉塞するため、脳の血流が悪くなります。すると血流を補おうとして周りに異常な毛細血管が発達して本来なかっった血管網が作られます。もやもや病には虚血型と出血型の2つのタイプがあります。異常な血管網が発達不十分で血流が不足するのが虚血型で、その血管網の一部に出血を起こすのが出血型です。自覚症状には繰り返す頭痛、脱力発作、湿疹、片麻痺、不随意運動、けいれんなどがあります。子供は食べ物に息を吹きかけて冷ましたり、リコーダーを吹いたりすることで脳の血流不足が起こり、頭痛や片麻痺の引き金になることが多いようです。もやもや病は、日本など東アジアの人に多い病気で、男性よりも女性に多く見られます。10歳以下の子供に最も多く、次いで30〜40歳代に多く発症し、子供は虚血型がほとんどで、成人では虚血型と出血型が同程度見られます。する病気です。
Time is Brain
t-PAというお薬を使うか使わないかを決めるときに最も大事な制約は発症してから3時間以内であることです。その理由には大きく2つあって、ひとつには3時間を過ぎてこれを投与しても脳梗塞の治療効果がほとんど期待できないことと脳出血を起こす危険性が非常に高くなるということです。 発症から3時間以内に使うというのがこのクスリの原則ですので、発症時間の分かっていないものについては使えません。まず、患者さん、あるいは発症時の目撃した人がいて何時何分だと言えば、 それはそのままそれが発症時刻になりますが、朝、患者さんを見たら倒れてたという場合、たとえば朝9時に見に行って倒れているのを発見したという場合はダメと言うことです。次はt-PAが使えるかどうかのチェック項目がたくさんあります。これがひとつでも該当すると適応から外れます。
国立循環器病センター脳血管内科での治療成績です。1年間で発症後3時間以内の緊急入院患者は285人で、132人(46%)が脳梗塞でした。そのうち、t-PA静注療法は、40人(30%)に実施されました。これは、3時間以内入院の14%、1週間以内入院脳梗塞410人の10%に相当します。

脳梗塞が発症してからtPAを投与するまで3時間以内に完結しなければなりません。 医療機関に患者来院から治療を始めるまで最低でも1時間は必要です。 逆算するとから来院までの猶予はわずか2時間です。
つまりtPA治療は、時間との戦いです。 これは病院に着いたら、最初の10分間で診察をして神経学的な所見NIHSSを取り、血液検査とかをし、 ルートの確保をし、それからCTを撮ります。45分以内にCTの読影をし、全体的なチェックを入れて、使えるかどうかを決めます。 それで、使えるとなると、本人、あるいはご家族に治療についての説明をして、同意が得られればクスリを投与します。
超急性期脳梗塞を検出するにはMRIのDWI(拡散強調画像)が最もよくわかります。血流を知るにはMRAが有用。それでもやはりCTは撮りますよね。CTでは熟練した読影力が必要です。early CT signをおぼえておきましょう。左右の大脳を比較して、①皮質を髄質の境目がベタッとした感じで不鮮明になる。②脳溝がはっきりしなくなる。③島皮質リボンの消失④中大脳動脈の高信号サイン
Brain Attack
これまでは、病院受診までの時間が多少遅れても、脳卒中患者さんの命や後遺症が大きく左右されることはありませんでした。しかし、心筋梗塞がtPA治療やバルーンやステントで直接、詰まった血管を再還流させる治療が普及したことで劇的に救命率が上昇したように、脳血管領域にもt-PA静注療法の承認されたことで、心臓発作を意味するHeart Attack(ハート・アタック)に準えて、脳卒中をBrain Attack(ブレイン・アタック)と呼ぶようになっています。日本ではt-PA静注療法が始まったばかりで 体制整備はまだ不十分です。 多くの患者さんがこの療法の恩恵を受けるために、解決しなければならないことがたくさんあります。t-PA静注療法のことは、一般の皆さんにはまだよく知られていませんし、患者さんが決断するのも大変かも知れませんが、いったんこれを使い出すと、 投与してから24時間はほとんどつきっきりで患者さんを看ないといけません。最初の1時間は15分おきに診察をします。次に6時間目までは30分おきに診察をします。 6時間から24時間までは1時間おきに診察をしないといけないという取り決めがありますので、到底一人ではやっていけないし、複数の専門医が必要なのです。その施設基準を満たすのも大変なのです。
t−PAの適応にならない急性期脳梗塞には、アスピリンの投与を行います。日本では、ラクナ梗塞、アテローム血栓症に対するオグザレルト(カタクロット、キサンボン トロンボキサン合成酵素阻害薬、注射薬の抗血小板薬)アテローム血栓症について、アルガトロバン(ノバスタン)また、エダラボン(ラジカット)は、脳梗塞の際の組織障害因子であるフリーラジカルを補足する脳保護薬として保険適応になっているが、質の高い臨床試験がないので、海外では、使われていません。
プライマリーケア医による慢性期治療
我々が脳梗塞を治療するとなるといつもやっている生活習慣病の管理ということになります。
無症候性脳梗塞は、多くは脳深部のラクナ梗塞であるが、画像上梗塞と思われる変化があり、かつ病巣に該当する自覚症状(一過性脳虚血発作も含む)を過去にも現在にも本人ないし家族が気付いていない場合である。明らかな脳卒中の既往がない65歳以上の高齢者のMRIを追跡した大規模なコホート研究 Cardiovascular Health Studyで、無症候性脳梗塞を有する例は、症候性脳梗塞、および認知機能障害発症の高リスク群ですが、無症候性脳梗塞に対する抗血小板療法の脳梗塞予防作用に関する高度のエビデンスはなく、無症候性ラクナ梗塞を有する患者への説明には十分な注意を払い、いたずらに不安感をつのらせないようにするべきです。わが国の脳ドックにおける追跡調査で、無症候性脳梗塞からの脳卒中発症例の21%に高血圧性脳出血がみられたという報告があり、無症候性ラクナ梗塞に対する抗血小板療法は、十分な血圧コントロールが前提に慎重に行うべきである。
二次予防
アスピリン vs プロピドグレル
CAPRIE試験 脳梗塞(発症後1週間以上、6か月以内)、心筋梗塞、動脈硬化性末梢血管疾患を有する19,185例を対象としたRCTにおいて、脳梗塞、心筋梗塞、血管死の年間発症率は、クロピドグレル単独投与群(75mg/日)で5.32%、アスピリン単独投与群(325mg/日)で5.83%であり、クロピドグレル群の相対リスク低下率は8.7%(95%CI 0.3~16.5%)(p=0.043)であった。On-treatment解析による相対リスク低下率は9.4%、NNTは196人/年であった。ここで注意が必要なのは、アスピリン群の投与量が325mgとなっている点です。抗血小板作用の至適投与量は、低用量(75〜150mg)とされています。
アスピリン vs シロスタゾール
CSPS(Cilostazol Stroke Prevention Study)II 発症後26週以内の非心原性脳梗塞患者2672例(シロスタゾール群1337例、アスピリン群1335例)シロスタゾール(100mgを1日2回)またはアスピリン(81mg)による治療にdouble-dummy法を用いて無作為割付し、1~5年間治療。一次エンドポイントの脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)はシロスタゾール群で82例、アスピリン群で119例発生した。そのハザード比は0.743(95%信頼区間;0.564-0.981、p=0.0357)であり、シロスタゾール群の脳卒中再発率はアスピリン群に比べ26%有意に低いことが証明された。出血リスクはシロスタゾールにより54%有意に低下した。ここで注意が必要なのは、一次エンドポイントに虚血性の脳梗塞だけでなく、脳出血、クモ膜下出血がカウントされ、副作用の出血リスクとダブルカウントされていることです。
抗血小板薬の比較ですが、2014年のランセットの総説では、直接比較ではありませんが、NNT50〜167とアスピリン<クロピドグレル<シロスタゾールの順ですが、薬剤費、喘息の有無、動悸などの副作用に併せて診て、薬剤の選択をしましょう。
介入群 | 対照群 | 介入群の再発率 | 対照群の再発率(%) | NNT/年 |
---|---|---|---|---|
アスピリン | 無治療 | 6.1%年 | 7.0%年 | 111 |
クロピドグレル | アスピリン | 7.1%年 | 7.7%年 | 167 |
プレタール | アスピリン | 6.3%/1.25年 | 8.8%/1.25年 | 50 |
抗血小板薬の併用
理論的には異なる機序の異なる抗血小板薬を併用すればより高い効果が得られるかもしれませんが、実際行われた試験においてはいい結果はでていません。
MATCH試験は、3か月以内にTIAまたは脳梗塞を発症した高リスク例(脳梗塞・心筋梗塞既往、狭心症、末梢血管疾患、糖尿病)を対象に、併用群(クロピドグレル 75mg/日+アスピリン 75mg/日、3,800例)とクロピドグレル単独投与群(3,800例)の効果を比較したRCTである。18か月間の経過観察で、一次エンドポイント(血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中初発、急性虚血性イベントによる再入院)に関して、両群に有意な差異は認められなかった。さらに出血性合併症については、併用群で有意に多くみられた。
CHARISMA試験は、アテローム血栓症ハイリスク例(冠動脈疾患、虚血性脳卒中・TIA、末梢動脈疾患)を対象に、併用群(クロピドグレル 75mg/日+アスピリン 75~162mg/日)とアスピリン単独投与群の効果を比較したRCTである。一次有効性エンドポイント(心筋梗塞+脳卒中+血管死)の発生率に関して両群で有意な差異は認められなかった。
また、最近わが国から報告されたBAT研究では、アスピリンとチクロピジンの併用により重大な出血性合併症がアスピリン単独に比べて40%以上有意に増加することが示されています。
Stroke Act FAST
脳卒中は、寝たきりの原因第1位であり、癌、心臓病に次いで、死因第3位である。ためしてガッテンで、脳卒中(stroke)の兆候・素早い対応を啓蒙する、「Act FAST」イギリス政府キャンペーンCMを紹介していました。年間約2000人だったt-PAのできる早期の救急患者さんを13000人まで飛躍的に増やしたことで注目を集めています。このキャンペーンのすごい所は、目のつけどころが違ったことです。みなさん、手や足が動かなくなったら脳卒中だと知っていても、現実に、手がしびれた?、力が入らなくなった?、足がつまずく?ちょっとしゃべりにくいような?ものが二重に見える?などの症状が起きて、なにかおかしいなあと思っても、自分ではたいしたことないと判断してしまいがちであります。そこで、患者さん本人ではなく、周りの人、奥さん、旦那さん、友達、子供たちに訴えたことが効を奏したわけです。基本的には、誰も好きこのんで病院なんか行きたくありませんよね。検診でひっかかっても精密検査には行かない人もたくさんいます。でもどうでしょう、もし自分が脳梗塞の予備知識があって・・・自分ではなく、自分の妻、夫、両親などが、脳梗塞の徴候に横に居て気がついたら、なにがなんでも病院へ連れて行くという気持ちが自分の時よりも強く働くのはなぜでしょうか?やはり客観的に冷静に判断できているのでしょうね。
ビートたけしさんですが、ぱっと見てどうでしょうか?生死をさまようバイク事故で、右の顔面神経麻痺があります。でも、ちょっと表情が硬い、なんとなくおかしいぐらいで終わってしまうのではないでしょうか?。しかし、脳卒中になって、麻痺が出た時には、顔が一番、わかりやすいわけです。自分で自分の顔を見る事はできないわけで、家族や友達が、あなたの顔を見れば、いつも見ている訳ですから、ちょっとした表情の違いは一目瞭然にわかるはずです。笑ってみて、「イー」と言ってみてなどで顔面の麻痺は強調されます。つまり、本人は、大丈夫かな、ちょっと様子を見ようと思ったとしても、家族はこれは大変だとすぐに救急車となるわけです。自分の事は、何となくたいしたことないと思いがちですが、他人の危険に対しては、ちょっとおかしいと思ったら、簡単に大丈夫だとは言えないですよね。
「Act FAST」(素早い対応)は、顔(Face)の麻痺、上肢(Arm)の麻痺、発語(Speech)障害、受診行動までの時間(Time) の頭文字をとったものです。顔面、上肢、言語の障害うち1つの障害があれば、72%が脳卒中、3つ揃えば85%は脳卒中であるとされています。
(1)Face 顔の麻痺
うまく笑顔が作れますか?「イー」と言って下さい。左右の口角が上がって笑顔が作れるかどうか確認しましょう。脳梗塞が起こっていると顔の片側半分に麻痺していると顔の片方がゆがんでいるのが強調されます。
(2)Arm 腕の麻痺
手のひらを上にして、両腕を上げたままキープします。両腕を上げたままキープできますか?軽い麻痺を見分けるためには、目をつぶってもらいます。麻痺が出ている腕が少しずつ下がっていき、内転します。
Barre’s sign
上肢の軽い不全麻痺をみるのによい方法です。両腕を手のひらを上にして前方に水平に挙上させ、指をくっつけて指先までピンっと伸ばして、閉眼させて、そのままの位置に保つように命ずる。すると、10〜20秒見ていると麻痺側の上肢は回内し、指が少し曲がってしだいに下降する。また、片麻痺側の第5手指は離れてくる。
(3)Speech ろれつが回らない
舌を使って発音する「ラリルレロ」と、唇を使う「パピプペポ」を声に出して、ろれつが回るかどうかを確認します。
(4)Time 発症時刻
Face、Arm、Speechの3つの症状のうち、どれか一つでも当てはまった場合は、発症した時刻を確認し、すぐに救急車(119)を呼びます。救急隊員に、発症時刻を伝言します。
発症時刻から4時間半以内、8時間以内であれば、tPA治療や血管内治療が可能です。
上記の「FAST」のパンフレットを入手したい人は、下記サイトをご覧ください。プリントアウトしたものを冷蔵庫などに貼っておけば、いざというとき、すぐ対処しやすくなるはずです。
国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス 「FAST」のパンフレット
これって麻痺???
しかし、臨床の現場では、本当に麻痺や構語障害があるのかどうかを診断するのは難しいものです。
ざっと身体診察します。
(1)意識障害
まずは、見当識を調べます。名前をフルネームで言ってもらいます。ここはどこですか?「病院です」OKです。今日は、何月何日ですか?
(2)構語障害
「メダカ」と言ってもらいましょう。
パ行・バ行・マ行 | 口唇の動き | Ⅶ 顔面神経 |
---|---|---|
カ行 | 軟口蓋の動き | Ⅹ 迷走神経 |
サ行・タ行・ダ行・ナ行・ラ行 | 舌の動き | ⅩⅡ 舌下神経 |
聴診器を見せて「これはなんですか?」
失語症のひとつに錯語(大脳の高次機能障害)というものがあります。自発語の中に、なにかおかしい?と感じた場合は、はさみやめがね、時計などありふれたものの名前を言ってもらいましょう。
(3)視野
脳神経を順番に診ていきます。まず、片眼を隠してもらって、四分割した視野を確認します。
(4)瞳孔、対光反射の確認します。
(5)顔面神経のチェックをします。
眼をギューと閉じてもらいます。
イーと言ってもらいます。
頬をプーとふくらましてもらいます。
(6)顔面の感覚をチェックします。(左右差をチェックします)
(7)舌をべエーと前に出してもらいます。(偏位はありません)
(8)アーと言ってもらう(カーテン徴候なし)
(9)上肢のバレー徴候の有無
下肢落下試験(股関節と膝を直角に曲げて保持してもらう)
(10)テッシュで触覚の左右差がないかをチェックする
(11)指鼻試験、きらきら星、膝踵試験などで失調がないかを調べます。
失語症
ブローカー失語(運動性失語)
聞いたり読んだりして理解する能力は比較的良いが、話すことに強い障害が見られるもの。発語量が乏しく、単語程度しか話せないものもあります。主として左半球の前頭葉を含む病変で生じます。
ウェルニッケ失語(感覚性失語)
聞いて理解する能力の障害が強い。話し方は滑らかで発語量も多いが、錯語や造語、保続などで意味の通らない内容になります。左半球の中心溝より後ろの部分、特にウェルニッケ領野が病巣に含まれるときに生じます。
プロソディー音律日本語らしい抑揚アクセントいつも謎の上早出高温高温執行アナル取りなどとも言われます高温器官の麻痺や湿度によらない高温の歪みや時間などを入ります出文峰区の内容ではなく文構成に異常のある場合女子が脱落し名刺のみの扱いになるのと 初子が単純化します後政策子子が他の移民の事置き換わる状態りんごバナナ時計をメガネなどと言うものです意味的に関連のある子に置き換わるとは限りません生生作子子と発音の1部が他の音に置き換わる状態時計が都会魚が高菜になったりします心臓部日本語にない言葉 ある特定の意味を持たせて一貫して使われるわけではありません後新作ともいえますJAL今心臓や足が多い意味のわからないやつはなこと看護こんな言葉が思い出せない状態どんどん子子生で子出現します録音看護困難に陥った時そのものの携帯や性質などをを述べて説明しようとする反応細く同じ言葉が何度も繰り返し 出てくることをいいます純粋出族読むことが単独に犯される状態で話すことや書くこと書くことにあまり障害が見られません左半球の後頭葉と納涼の病変で精進ほとんどが右半盲伴います急性期はまず必要なのはコミュニケーション手段の確保ですとりあえず最も有効なコミニケーション手段を探し日々の生活における不自由とストレスの軽減を図ります 全室が最も重症の失語症で言語機能の各側面聞く話す読む書くが全般にわたって強く障害されるものです非言語的なコミニケーションで意思の疎通が開かれることもあります多くは左半球の広範な病変によって起こります健忘失語理解力や副賞は良好で話し方もなめらかですが看護困難が強いのが特徴的で目指す言葉が出てこないため宇原が多く 回りくどい話し方になります左半球の側頭葉の病変で見られますがあまり大きな病巣ではいられませんブローカ失語やウェルニッケ失語が回復し継承となってこの方とみなされることもあります電動失語理解力はかなり良好で発話量も多く話し方はある程度なめらかですが自主制作が多く言い直しがしばしば見られます福井が不良であるとされますか時厚生や故障音読でも 生生子子子が子子原します左頭頂葉の肥塚を含む病巣で生じると言われています
脳梗塞のリハビリテーション
近年、脳梗塞のリハビリテーションは大きく進歩しています。かつて、脳梗塞によって脳細胞が障害されると、それにより機能しなくなった能力は戻らないと考えられてきました。しかし、近年の研究により、障害された薗所とは別の部分の脳細胞などが、その機能を取り戻そうとして新たに学習をすることがわかってきました。この働きを脳の可塑性と呼んでいます。この脳の可塑性を高めることで、脳梗塞によって障害された機能の回復が見込めることが期待されています。
脳卒中のリハビリは、急性期、回復期、生活期の3つの時期に分けて行われます。発症から約2週問までが急性期で、通常はこの時期からリハビリを開始します。発症から3〜6か月間までが回復期で、リハビリ専門の医療機関に移って訓練を行います。そして退院後が生活期(維持期)で、患者さん本人の希望や症状に応じて、介護老人保健施設などに入所してあるいは自宅でリハビリを続けます。
急性期のリハビリ脳の可塑性を高めるために最も重要なのは、急性期のリハビリです。脳梗塞発症から約3か月間は、障害された能力の回復力が高い時期とされ、急性期のなかでも、早期から「短時間で」「高頻度」のリハビリを行うと、回復の効果が高まることがわかっています。具体的には脳梗塞の発症から48時間以内にリハビリを開始するとよいとされています。またその際のプログラムも、患者さんの状態に合わせて、できるだけ回復効果の高まるような工夫を取り入れることが目指されるようになってきています。急性期リハビリではさまざまなプログラムが行われますが、特に寝たきりを防ぐために、身体機能の回復に重点が置かれています。なかでも早期から行われるのは、歩行訓練です。リハビリを専門とするスタッフの指導の下、適切な姿勢で歩くための訓練を行い、基本的な動作を脳や体に覚えさせて、歩く能力を取り戻していきます。膝の関節が動かない、膝に力が入らないなど重度の後遺症がある場合には歩行を支える装具を装着して関節の動きを支えながら歩く訓練が行われることもあります。咋また、手や腕の動きを回復させるための作業療法も行われます。
回復期のリハビリされた能力の回復から、障害されていない能力の強化に移っていきます。
脳の可塑性は急性期が最も高く、その後は少しずつ低下していきますが、その代わりに障害されていない能力を補おうとするカが高まるからです。具体的には、急性期と同様のプログラムを引き続き行いつつ、障害されていない能力を用いて生活をしやすくする訓練を行います。例えば、利き手の右手に麻痺がある場合は、左手で文字を書いたり.箸を使ったりするなど、左手を積極的に使っていきます。
生活期のリハビリ生活期には、施設または自宅でリハビリを続けます。退院後も継続した治療とリハビリが必要な場合は専門の医療機関に、は安定しているもののリハビリや介護が必要な場合は介護老人保健施設などに移ります。どちらに移るかは、当医と相談して決めます。健康状態が安定していて、自宅でゆっくり過ごしたい場合は、健康状態回復期の担在宅でリハビリを続けます。患者さん自身が自宅からリハビリ施設に通う通所リハビリと、リJヽビリの専門家に自宅を訪問してもらう訪問リハビリの2種類があります。どちらが患者さんに向いているかについては、ケアマネジャーと相談をしてください。生活期のリハビリでは「障害された能カ」と「障害されていない能力」を常にバランスよく使うことが大切です。訓練しないでいる側の能力はどうしても低下してきてしまうため、障害されていない能力にばかり頼ってしまうと、いったん回復した能力が再ぴ衰えてしまうと考えられるからです。
がんは、2人に1人の割合で、一生に一度は発症するといわれています。実は、がん患者さんが亡くなる原因として、がんそのものに次いで多いのが、脳梗塞を含めた血栓塞栓症です。がんがあると、膳梗塞の原因となる血栓が出来やすく、
トルソー症候群
がんがあると血栓ができやすくなる理由の一つが、トルソー症候群です。トルソー症候群とは、がん細胞が分泌する物質の作用で、血液が固まりやすくなるものです。脳卒中を発症したがん患者さんの半数近くがトルソー症候群を発症していたという報告もあります。トルソー症候群は、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がんや子宮頸がんの患者さんに多くみられます。若い女性は、乳がんや子宮頸がんを発症することはあっても、脳梗塞を発症することはあまりありません。そのため、若い女性が脳梗塞を発症した場合には、乳がんや子宮頸がんを疑って検査を行います。抗がん剤は、がん細胞の増殖を抑えるために使われますが、がん細胞だけでなく正常な細胞にほ影響を与え、血管を傷つけて血栓ができやすくなる場合があります。また、放射線治療では、咽頭がん、甲状腺がんなどでは、首に近いところにあるがん細胞に放射線を当てるため、頸動脈が傷ついて血栓ができやすくなり、脳梗塞のリスクが高まります。
脳出血の原因として、よく知られているのが高血圧です。高血圧によって脳の細い血管の動脈硬化が進むと、血管が破れやすくなります。こうした高血圧性の脳出血は、脳の中のほうで起こりやすいのが特徴です。しかし、脳出血は、高血圧がなくても起こることが少なくありません。アルッハイマー病の原因とみられているアミロイドという異常なたんぱくが脳の血管の壁にたまり、脳出血が起こることがあります。アミロイドは、加齢に伴い脳の血管の壁にたまりやすくなります。アミロイドがたまると、血管がもろくなって破れやすくなります。このアミロイド性の脳出血は、高血圧性の脳出血と異なり、脳の表面に近い血管に起こることが多いのが特徴です。現在は、アミロイド性の脳出血の割合が増えていると考えられています。脳出血を発症した患者さんで、高血圧がなく、高齢で、CT検査やMRI検査で脳の表面側に出血があるなどの条件がそろうとアミロイド性の脳出血の可能性が高くなります。
脳出血と診断された場合、直ちに治療を開始します。治療の目的の1つは、出血の広がりを抑えることです。一般に、出血の量が少なく、血腫の直径が3cm以下の場合は、薬による治療が選択されます。(血腫が大きい場合でも、全身状態がよくないために手術が難しいと判断されると薬物治療)出血の広がりを抑えるためには、カルシウム拮抗薬などを点滴で投与してできるだけ早く血圧を下げ、その状態を7日間維持することで小さい血腫は、徐々に吸収されて縮小しやがてなくなります。治療のもう1つの目的は、脳のむくみを防ぐことです。出血した場所の周囲は、むくみやすく、むくみが起こるとその周りの脳の組織が圧迫され、さらにダメージを受けてしまいます。脳のむくみを防ぐために用いられるのが、利尿作用のあるグリセリン製剤です。点滴で投与し、体内の水分を減らすことによってむくみを防ぎます。
血腫が大きい場合や意識障害がある場合は手術が行われます。血腫を取り除く手術には「開頭血腫除去術」と「内視鏡下血腫吸引術」があります。開頭血腫除去術は、全身麻酔を行い、頭蓋骨の一部を取り外して血腫を取り除きます。開頭血腫除去術は、血腫が比較的大きい場合に行われます。開頭血腫除去術の長所は、医師が手術用の顕微鏡で血腫を確認しながら行うため、出血が続いている場合でも止血しながら行いやすいことです。短所は、出血が脳の中心部に起こった場合は行えないことです。また、頭蓋骨を大きく切開するため、全身状態がよくなかったり、高齢の場合は行えないことがあります。内視鏡下血腫吸引術この手術は、全身麻酔ではなく、局所麻酔で行われる場合もあります。頭蓋骨に小あなさな孔をあけて、内視鏡と細い管を差し込み、血腫を吸引します。内視鏡下血腫吸引術は、血腫がそれほど大きくなければ行うことができます。内視鏡下血腫吸引術の長所は、頭蓋骨を切開する範囲が狭いことと、脳の中心部で出血した場合にも行えることです。短所は、目で確認できる範囲が狭いため、特殊な手術器具が必要で、その操作に高度な技術が必要なことです。しかし、「脳ヘルニア」が起こっていると、手術が難しい場合があります。脳ヘルニアとは、圧迫された脳の一部が脳の反対側(左右)や頭蓋骨の外に押し出された状態のことです。脳ヘルニアがあると、意識障害が起こり呼吸が低下して、命を落とす危険性が高くなります。早期の脳ヘルニアは、手術で治せることもありますが、昏睡状態の場合は、手術を行ったとしても死亡率は高くなります。
脳出血に合併して「水頭症」が起こることがあります。脳の中心部には脳室という空間があり、そこでは、脳の表面を流れて脳を保護する働きをもっ「脳脊髄液」という液体がつくられています。脳出血でできた血腫が脳室に入り込むと、脳脊髄液の流れが妨げられて脳室にたまるため、脳室が拡大して脳への圧力が上がる。これが水頭症で、そのままにしていると命に関わるため、水頭症が起こった場合は、血腫の大きさにかかわらず頭蓋骨に小さな孔をあけ、脳室に細いチューブを留置して体外に脳脊髄液を排出させる「脳室ドレナージ」という手術が早期に行われます。
脳梗塞発症後、できるだけ早くリハビリを開始するほど、後遺症を軽減できます。どうしても後遺症が残ることがあります。しかし、重症でなければ、早期からリハビリを行うことで、寝たきりを防ぎ、脳や体の機能を回復させて社会復婦できる可能性があります。
脳出血の後遣症の現れ方や程度は、出血した場所や程度によって異なります。後遺症で最も多いのが、中枢神経のダメージによる神経症状です。神経症状のなかでも待に多いのが、体を思うように動かせない運動障害です。 そのほとんどが、顔の左右どちらか半分や、片へん側の手や足が動かしにくくなる片麻痺です。感覚障害もよく現れる神経症状です。手や足がしびれたり、物に触っても感覚がなかったりします。また、熱さや冷たさをほとんど感じなくなることもあります。神経症状には、ほかにも尿漏れや頻尿が起こる排尿障害、ろれつが回らなくなる構音障害、食べ物や飲み物をうまくのみ込めない際下障害などがあります。嚥下障害があると、飲み物や唾液が誤って気管に入り込み、誤喋性肺炎が起こることがあります。また、高次脳機能障害という後遺症が起こることもあります。高次脳能障害は、周囲の人にはわかりづらいため見えない障害とも呼ばれています。高次脳機能障害では、失語 話す、聞くなど言葉の理解や表現が難しくなる。失行 自分がしようとしていることを理解しているのに実行できない。道具がうまく使えなかったり、服がうまく着られなかったりする。失認 視覚や聴覚、触覚には感覚隧害がないのに、うまく認識できない。加閃えば、目の
リハビリは、急性期、回復期、維持期の3つの段階に分けられます。急性期 入院して治療を受ける、発症から2ー4週間程度の期間のことです。手術などの緊急治療が終われば、できるだけ早くリハビリを開始します。例えば、患者さんの様子を見ながら理学療法士が付き添って、ベッド上で手足を動かす、座る、立ち上がる、歩くなどのリハビリを行います。回復期 症状が安定してくる時期です。運動障害などの後遺症がある場合は、リハビリ病棟に移ったり、リハビリを専門とする病院に転院してリハビリを続けます。後遺症の程度にもよりますが、期間は発症から3〜6か月間程度です。例えば、片麻痺がある場合の歩行訓練では、理学療法士の介助の下、最初は平行棒などの手すりを使い、次に支えられながらつえ歩きます。その後は杖をついて、最後は杖なしで歩くという順番でリハビリを進めます。維持期は、これまでのリハビリで得られた効果を持続させるため、医療機関で行なったリハビリを家庭や施設などで続けます。リハビリは、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士など多くの専門家がチームとなり、患者さんに合わせたメニューに沿って行われます。