最も重要な不整脈は、心室細動ですが、机上で勉強してわかりましたって種類の心電図所見ではありません。日常診療で極めて稀であり、一生会わない医師もたくさんいるでしょう。丸暗記なんてなんの意味もありません。実践がすべてです。心電図がはっきり読めなくても、なにか変?って臭いをかぎ分けて、意識がなければ「除細動!」なんてことが、出来るかは、現場で修羅場をくぐって来た経験があれば出来るわけで、AEDがあるならやるべし、ないなら救急車を呼んで、心マッサージで正解でしょうか。

心筋細胞の電気生理

さっぱりわかってない人が、抗不整脈薬の薬理作用をこじつけで憶えるために、メモ書きしているところなのでここは読み飛ばして頂いた方がいいでしょう。

心臓って心筋細胞が収縮してポンプ機能というだけで単純ですがうまくできてますよね。機敏に全体が同時に働けるシステムは電気しかありません。心臓が電気活動をして、心筋細胞の起電力は100mVです。体表面心電図で記録出来る電位はかなり減衰して1mVに過ぎません。

細胞が興奮し収縮するという現象の根源に静止膜電位、つまり細胞内外のイオン濃度勾配に依存する。まず、ここでつまずきますよね。最初からさっぱり意味がわからないので、その上にいろいろ重ねても砂上の楼閣ですよね。そもそも生体は海に生息しやがて陸にあがったという説から細胞の外に豊富に存在する電解質は海水と同じNaですなんてお話になんとなく納得させられている感じで行きましょう。細胞膜に隔てられている細胞の内と外の環境が違っていることに意味があり、細胞膜には、Na、K、Caそれぞれのイオンを汲み出したり取り込んだりするしくみを備えてるわけです。(実は高校生物で習っているようです)

ここで、間違ってしまうのは、Na、K、Caイオンの出入りに、チャンネルとポンプがあるということです。チャンネル(チャネル)は濃度勾配によって移動するためエネルギーはいりません。一方でポンプは濃度勾配に逆らって移動させるのでATPなどのエネルギーを使って逆方向へ移動させています。心筋細胞を興奮させる静止膜電位(−90mV)から正電位にすばやく移行(脱分極)させるNaチャンネルは、細胞外にある多量のNaがこのチャンネルを通ってNaの少ない細胞内に流入するわけでこれは、エネルギーを必要としない受動輸送です。この際、大量のNaが細胞内に流入したわけです。細胞は、元の状態に戻って、再度興奮するためには、それまでに細胞内に流入したNaをポンプ(エネルギー)を使って積極的に細胞の外に排出しなくていはなりません。これが、Na-Kポンプです。

ポンプ

チャンネル

 

主にこの3つのシステムによって、細胞内は細胞外に対して、ナトリウムとカルシウムの濃度は低く、カリウム濃度が高く保たれたた状態(静止状態)になります。この状態において、細胞膜をはさんで、細胞内は細胞外に比べて約−90mVの負の電位差がつくられいる状態です。(Kの濃度勾配で発生しています)

電気生理

心室固有心筋の活動電位波形は、電気刺激によって閾値に達し、ナトリウムチャンネルが開いて、大量のナトリウムが流入し、電位が急峻に上昇します。これを0相といいます。開いたナトリウムチャンネルは、すぐ閉じて、電位が少し下がります。ここが1相です。ほぼ同時にカルシウムチャンネルが開いて、カルシウムが流入し、活動電位を保ちます。この平らな部分を2相とよびます。カルシウムの流入が終わるとカリウムチャンネルによって、細胞内からカリウムが細胞外に流出して、電位は静止電位に向かって下降していきます。これを3相といいます。電位を下げながら、ナトリウム・カリウムポンプでカリウムを細胞内に戻し、ナトリウムを細胞外に出して、静止電位に回復つまり再分極します。この静止電位を4相といいます。

活動電位

 

(1)ナトリウム(Na)チャンネル

心筋が興奮するという現象は、細胞内電位が負の静止膜電位(−90mV)から正電位にすばやく移行(脱分極)させるために、生体では細胞外にもっともたくさん存在する陽イオンであるNaを細胞内に取り込むことで行っています。Naチャンネルは、Naイオンを細胞外から細胞内に通すポリペプチドの孔です。静止時には活性化ゲートは閉じて不活性化ゲートは開いている状態です。イ)刺激に基づいてNaチャンネルが活性化されると活性化ゲートが開き多量のNaがこのチャンネルを通って細胞内に流入して(ロ)脱分極され電位がゼロになるとチャンネルの不活性化ゲートを閉じてNaは通れなくなります。(ハ)いったん不活性化ゲートが閉じると一定の時間が経たないと再び孔を開くことができない時間があります。(不応期)その後、再分極されて不活性化ゲートが開いて活性化ゲートが閉じて元の状態(イ)に戻る。

ナトリウム

Naチャンネルは、心筋が興奮する上で最も重要なチャンネルであり、多くの抗不整脈薬がNaチャンネルを修飾することによって心筋の興奮を抑制し、その結果として抗不整脈作用を発揮します。

(2)カルシウム(Ca)チャンネル

心筋の収縮力は、細胞内のCa濃度によって決定されています。CaチャンネルもNaチャンネルと同じようにCaチャンネルが活性化されて、細胞外のCaを細胞内へ取り込むことで細胞内Ca増加のきっかけとなっています。ある程度の時間開口すると不活性化されてその孔は閉じられます。Naチャンネルとの違いは、Naチャンネルは、細胞が興奮するか興奮しないかを決めているので速いが、Caチャンネルは、細胞内にCaを増加させるというやや時間がかかる仕事を担当しているのでゆっくり開閉しています。

CaチャンネルはL型とT型があります。上記のCaチャンネルはL型で、T型のCaチャンネルは洞房結節の特殊な領域での生理学的意義をもっています。

(3)カリウム(K)チャンネル

心筋細胞が、Naチャンネル(興奮)Caチャンネル(収縮)した後、しっかり元の状態に戻らないと再び興奮する事ができません。つまり細胞内電位を正電位から負の静止膜電位(−90mV)に再度戻さなければなりません。(再分極)Kチャンネルは多種類存在し、安静時膜電位を負に維持する仕事やNaチャンネルやCaチャンネルを介した急速な陽イオンの流入に対して、とりあえず膜電位が正電位になりすぎないように調整したり、ある一定時間興奮したらその後しっかりと負電位に戻す仕事をしています。(電位依存性Kチャネル、内向き整流型Kチャネル)

 

心房性期外収縮、心室性期外収縮

心房性期外収縮と心室性期外収縮は、日常診療で最も多く認める不整脈です。ホルター心電図の記録で、心房性期外収縮と心室性期外収縮を認めないのは、1/300以下です。つまり99.7%以上は期外収縮を認めるわけで生理的な現象と考えたい。

症状がないあるいは症状が我慢できるなら、器質的心疾患の有無に関わらず、心房性期外収縮および心室性期外収縮の数を減少させる目的での薬物治療は必要ありません。一方で、自覚症状が強く、QOLが著しく損なわれている症例では、治療の対象となり得ます。

治療は、心房性期外収縮、心室性期外収縮ともにサンリズムを使っています。以前は、心室性期外収縮はメキシチールが第一選択としていましたが、あまり効かないイメージです。

サンリズムは、不整脈の素人に使いやすい抗不整脈薬です。そこそこ効いてより安全です。Vaughan Williams分類ではIc群に分類されていますが、作用機序は単純で、ピュアーなNaチャンネル遮断薬です。代謝も腎臓のみ。副作用は、陰性変力作用ですが弱いです。一番の適応は、発作性の心房細動です。(上室性と心室性の頻拍性不整脈)K電流への影響はないので、QT延長に伴う催不整脈作用がなく、torsades de pointesを生じにくい。より有効性の高い、フレカイニドやプロパフェンもありますが、そこまでは使わずに不整脈専門医に紹介しています。

 

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CAST Study 

 

この試験は心室性不整脈のある心筋梗塞後の患者さんを対象として抗不整脈薬投与群とプラセボ群とを比較しました。当時最も強力で新しい抗不整脈薬であったフレカイニドやエンカイニドなどのIc群抗不整脈薬は見事にすべての不整脈を抑制したにもかかわらず、1年後の死亡率が著しく増加しました。つまり、不整脈を治療した方がたくさん死んだという衝撃的なものでした。

CAST

この意外な結果がいかなるメカニズムで生じたのか様々な検討が行われました。興味深いのは、抗不整脈薬投与群の死亡率は、Q波梗塞では、プラセボ群の1.7倍に対し、非Q波梗塞では8.7倍にのぼっていました。突然死発生の日内分布が虚血イベントの分布に近似していたことや非Q波梗塞の方が残存心筋が豊富であるため、抗不整脈薬投与群と急性虚血との関係が心事故発生と関係している事が推測されました。Ic群はその薬理作用からtorsades de pointesは起こりにくく、実際に抗不整脈薬投与群におけるホルター心電図でもtorsades de pointesの増加はなく、CAST試験の結果を催不整脈作用によってのみ説明する事はできないとしています。Ic群は、年齢、器質的心筋障害の有無および心機能に留意するだけで、多くの頻拍性不整脈を安全に使用でき、その卓越した薬効のゆえに現在の不整脈治療には欠かせない薬剤です。

 

 

 

 

 

発作性上室性頻拍 PSVT(Paroxysmal supraventricular tachycardia)

Narrow QRS tachycardiaの不整脈の代表です。

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原則としてリエントリー性で、4種類あります。リエントリー回路が異なると心房興奮と心室興奮の時間的関係が異なるので、心電図上のP波とQRS波の位置関係も変ってきます。AVNRTでは、心房と心室の興奮のタイミングが重なるため、P波がQRS波と重なって、P波が見えない場合が多いということです。一方、AVRTは、WPW症候群の時に生じるPSVTで、心房興奮が房室結節を通って心室に向かい、心室興奮は副伝導路を通って心房に戻るので、心房心室間に時間差が出来る故、P波とQRS波は重なることはありません。また、リエントリー回路の種類だけでなく、そのリエントリー回路をどっち向きに通るか、また回路を通る伝導速度にも個人差があるため、P波とQRS波の関係にはいろいろなバリエーションがあります。

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全部のバリエーションをすべて憶えるのは大変なので、逆行性P波(ⅡⅢaVFで陰性P波)がQRS波の後にはっきり見えていればWPW症候群のAVRTの可能性が高いということぐらい知っていればいいんじゃないでしょうか。あれやこれやといろいろ考えるのも楽しい人もおられますが、日常診療で遭遇するPSVTは、AVNRTとAVRTで90%を占め、AVNRTなのかAVRTなのかを判別できてなにか得することがあるかと言えば、たいしたことはありません。

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治療はどうするか? AVNRTでもAVRTでもリエントリー回路の中に房室結節が含まれているので、ベラパミル(ワソラン)かATPで停止できます。

教科書的には、まず迷走神経刺激(valsalva手技)を行うとしているが、効果は乏しく、特に眼球圧迫は時代遅れであり、危険であり、苦しがっている患者さんに時間の無駄です。さっさと血管確保して、除細動器、心肺蘇生の心の準備しましょう。(まずは、大丈夫ですが、医者が一人の診療所では、なにが起こるかわかりません。慌てないことが大事です。)

第一選択は、生食100mlで静脈ラインを確保して
ワソラン(5mg)2A 10mgを生食20mlに溶解し、そのうちの10ml(5mg)を5分かけて側注します。

もし、余裕があれば、心電図を記録しながら、ワソランを側注し、PSVTが停止する瞬間を捉えることができれば、ワソランの効果に客観性を持たせることができます。P波とQRS波が見えやすいAVRTにおいて、正常洞調律に戻った前に、P波を認めることでワソランが房室結節でブロックしたことを証明できるわけです。

なぜ、ワソランか?
(1)β遮断薬に比べると陰性変力作用が少ない。
(2)AVNRTであった時に、I群薬よりもきれがいい。
(3)ATPでは、一旦停止してもその後の再発予防効果が期待出来ない。
(4)作用が概ね用量依存的で効果を予測しやすい。
(5)ほとんどのPSVTが、回路に房室結節を含んでいるため、打率が高い。
などが挙げられる。

ワソランにも陰性変力作用、血管拡張作用があり、血圧低下を生じるが、健常心であれば、緩徐に投与すれば10mgまでは耐えられる。また、心拍数が落ちてくることから血行動態が改善され、相殺されます。

ワソラン10ml(5mg)を5分かけて静注しても頻拍のレートが全く変化しなければ、診断が怪しいかも?。しかし、この量では、頻拍発作が止まらないこともしばしばあり。止まらなければ、再度同じ量を5分かけて側注、止まった時点で投与中止します。

これでも止まらなかったら、心房頻拍、心房粗動(2:1伝導ですが、心房伝導比が低下して粗動波を確認できることが多い)心房細動のRR間隔が一定に見えた? 次の一手は、ATPかⅠ群薬、β遮断薬ですが・・・。僕はもう送りバントします。ややこしいことはしないのが、自分のため、患者さんのためです。

ATPでも頻拍発作は止まります。しかし、気管支喘息(禁忌)冠動脈攣縮の危険性、ペルサンチンを内服しているとアデノシンの代謝が遅れて効果が遷延する危険性あります。開業医にいろいろな在庫を抱えておくのも不経済なことです。ATPを急速静注すると、患者さんの心臓が一旦止まります。・・・・・「うっ」・・・・・・・・・・「ん〜」・・・・・・・・・この時間が長いのです。医師一人だと100%?大丈夫と思っていても嫌なものです。また、ATPは一旦停止してもそのあとの再発予防効果が期待できません。

I群薬の追加は、陰性変力作用のダブルパンチになりますし、もしPSVTの原因がAVRT(QRSの後に逆行性P波が見えれば:WPW症候群)だった場合、房室伝導(ワソランで抑制)と副伝導路(I群薬で抑制)の両者の不応期が伸びて、ゆっくりしたPSVTが続く可能性もある。もし心房粗動(2:1伝導)だと、粗動周期を延長させ、1:1伝導になったら大変です。

β遮断薬もまた、陰性変力作用のダブルパンチになり危険です。

不整脈の治療をしていて、もし、危険な不整脈???(頭の中も真っ白)が出てしまったら、心電図を診断しようとするとどつぼにはまります。深呼吸〜。基本に返って、バイタルのチェック、慌てず「大丈夫ですか?」「はい。大丈夫です」と返事があればひと安心です。白目をむいていたら、慌てずに「除細動」って叫びましょう。

WPW症候群(顕性=Δ波がある)と診断されている患者さんが、PSVTを起こした場合は、I群薬を優先します。僕の場合は、使い慣れたリスモンダン。リスモダンP(50mg/5ml)を生食10mlに溶解し、5分かけて側注します。効果なければ、同じ物ともう1回、止まった時点で投与中止します。

もし、ワソランを投与していて、PSVTの治療の最中に心房細動が生じてしまうと、ワソランが房室結節の伝導を押さえるため、副伝導路を経由した伝導が主体(Δ波があるということは、順伝導がある)となり、興奮頻度が増え、血行動態を危険にさらす。(pseud VT; 偽心室頻拍)

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心室頻拍もどきアーチファクト

病棟のナースステーションでのモニター心電図です。ちょっと慌てますよね。一見、心室頻拍ですが、病室へ駆けつけると本人は「何事ですか?」って平気な顔です。それはそれでよかったんですが・・・。なんでこんな心電図になったんでしょうか。実は、患者さんは、歯みがきをしていたんです。筋肉の動きでアーチファクトが出てしまったんです。モニター心電図を貼る場所が悪かったわけです。ちゃんと筋肉の運動を拾わないところに付け替えなければなりません。こんな心電図が、詰め所でしょっちゅう出ていると本当に心室頻拍が出たときにまたアーチファクトかと思ってしまうオオカミ少年になりかねませんよね。

 
 
 

カテコールアミン誘発性多形性心室頻拍

カテコラミン誘発性多型性心室頻拍(catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia: CPVT)は遺伝性の不整脈疾患で、1978年Coumelらにより4人の小児例が初めて報告されました。運動や情動の変化、あるいはカテコラミン投与で、二方向性あるいは多形性の心室頻拍が誘発され、心室細動に移行して失神、突然死を起こす比較的稀な疾患です。突然死のリスクが高い疾患ですが、有効な薬剤がありますので早期の診断および適切な治療が必要です。

病因
CPVTは常染色体優性遺伝例では1q42-q43 に存在するリアノジン受容体RyR2の遺伝子異常が、常染色体劣性遺伝例では1p11-p13.3に存在するcalsequestrin 2 (CASQ2)遺伝子異常が発見された。これらの異常により、筋小胞体から大量のCa2+放出がおこり、トリガードアクティビティーを機序とする心室頻拍が起こるとされている

症状
約30%の患者さんに失神および突然死の家族歴を認めます。身体的、感情的ストレスを契機に、失神や心停止をきたします。小児期から青年期の間に失神や心停止で発症するものが多く、平均発症年齢は7~10歳と報告されています。時として診断が遅れることがあり、青年以降または中年以降に診断される例もあります。

Leenhardtらは、カテコラミン誘発性心室頻拍21例について18年間にわたる経過観察を行い、本症候群の臨床病像の特徴を挙げています。年齢;9.9±4歳、運動により失神発作が誘発される。基礎疾患はなく、心電図のQT間隔は正常である。失神発作の原因は、多源性心室頻拍、2方向性心室頻拍、多形性心室頻拍などから心室細動に移行することにより起こる。家族歴に失神(33.3%)急死(14.3%)を高率に認める。平均7年間の経過観察中に失神3例(14.3%)、突然死2例(9.5%)を認めた。失神出現年齢は7.8±4歳(3〜16歳)であった。β遮断薬投与により症状、所見の著明な改善を認めた。

住友らは、わが国に於ける多施設協同研究において、本症(CPVT)35例を集め、その臨床病像、予後、治療について検討しています。性別:男性14例、女性21例。発症年齢:平均11±7.3歳で、2〜37歳。合併心疾患:軽症肺動脈狭窄、血管輪各1例を認めたが、何れも軽症例であった。遺伝:31家系中に6家系(19%)に家族歴を認め、何れも常染色体性優性遺伝形式を示した。臨床症状:失神を32例(91%)に認めた。3例では失神を認めず、家族歴から発見された。

原因遺伝子と発生機序
CPVTは遺伝性の疾患で、常染色体性優性遺伝形式をとるものと常染色体性劣性遺伝形式をとるものとがある。原因遺伝子は、1999年、Swanらは、常染色体性遺伝形式を示す2家系を報告し、この家系の遺伝子解析により変異遺伝子座が1q42-q43染色体にあることを報告し、2002年、Priori らは1q42-q43に存在する心臓リアノジン受容体遺伝子(RyR2)の変異がCPVTの発症に関与することを指摘した。リアノジン受容体(RyR)は心筋細胞内の筋小胞体膜にあり、Ca++induced Ca++-releaseを介して細胞内Ca++濃度の調節に重要な役割を演じている。遺伝子検査によるRyR2遺伝子変異の検出率40~60%と報告されています。また、2001年、Lahatらは常染色体性劣性遺伝形式を示すCPVT家系において、CASQ2(calsequestrin 2)遺伝子変異を報告した。calsequestrin 2蛋白は心筋の筋小胞体における主要なCa貯蔵を担っている物質である。これらの遺伝子異常により心筋細胞内の筋小胞体というカルシウムイオンの貯蔵庫からカルシウムイオンが漏れ出て、これに交感神経刺激が加わることによって、細胞内のカルシウムイオンがさらに増加して、トリガードアクティビティーを機序とする心室頻拍が起こるとされています。

診断
患者さんは運動したり興奮したりするときに失神発作を起こすことが多く、これまでの発作の状況を問診します。また血縁者の中にCPVTと診断されている方がいないか、若くして突然死した方がいないかなどを詳しく問診します。安静時の心電図は正常です。運動負荷心電図またはホルタ―心電図では、運動負荷の増加に伴って心室性期外収縮が出現し、やがて特徴的な二方向性心室頻拍に移行します。負荷をさらに続行すると、多形性心室頻拍を経て心室細動に至ることがあります。βアドレナリン受容体刺激薬(イソプロテレノール)の点滴によって運動負荷と同様の不整脈が誘発されます。

【診断基準】
1.器質的心疾患を認めず、心電図が正常な40歳未満の患者で、運動もしくはカテコラミン投与により、他に原因が考えられない二方向性心室頻拍、多形性心室頻拍、多形性心室期外収縮が誘発されるもの。
2.発端者もしくはその家族に、CPVTに関連する遺伝子異常を認めるもの。
3.発端者の家族に、心疾患を認めないにも関わらず、運動により多形性心室期外収縮、二方向性心室頻拍もしくは多形性心室頻拍が誘発されるもの。
4.器質的心疾患、冠動脈疾患を認めず、心電図が正常な40歳以上の患者で、運動もしくはカテコラミン投与により、他に原因が考えられない二方向性心室頻拍、多形性心室期外収縮、多形性心室頻拍が誘発されるもの。
1、2、3は確定、4は疑い

治療
生活指導は、個々の患者さんの状況に応じて運動を制限または禁止します。薬剤は、β遮断薬が第一選択となりますが、β遮断薬単独で効果が得られない場合は、ATPやカルシウム拮抗薬(ベラパミル)ナトリウム遮断薬(フレカイニド:タンボコール)を併用することがあります。心停止を起こしたことのある患者さんや、薬剤によって不整脈が抑制されない患者さんは、植込み型除細動器(ICD)をお勧めする場合があります。未治療では40歳までの死亡率が30~50%と極めて不良であることが報告されているが、早期診断をおこなって薬剤治療を行なっても10年で15から40%死亡すると報告されています。適切な生活指導と薬物治療(場合によってはICD治療を選択するが、頻回作動の危険性も報告されている)を行うことが重要です。星状神経節ブロックの有効性も報告されている。

 

ベラパミル感受性特発性心室頻拍

左脚後枝とその周辺に存在するslow conductionをもつ組織(左室内に存在する偽腱索もその組織として疑われている。)の間で発生するリエントリーによる心室頻拍。

動悸が主な症状である。

診断
非発作時の心電図は正常。発作時の心電図はwide QRS頻拍であり、鑑別としては変行伝導を伴う上室性頻拍と心室頻拍が挙げられる。頻拍発作時の心電図のwide QRS頻拍は、右脚ブロックパターンで左軸変位型の心室頻拍を認める。経過中,発作時にベラパミルを静注したところ 頻拍の停止を認めた。心エコーでは器質性心疾患を認めず冠動脈も造影検査で異常所見を認めない。電気生理学的検査では,右室心尖部刺激にて頻拍が誘発された。その頻拍の心内マッピングにて最早期は左室中隔と判明した。また同部でのペースマップは自然発作時の心電図と完全に一致していた。以上から,左室起源特発性心室頻拍と診断した。同部位へのカテーテル焼灼術により,頻拍は誘発されなくなった。ベラパミル感受性心室頻拍の中で右脚ブロック+左軸偏位を示す左脚後枝領域心室頻拍は約90%と最も多く見られ,common typeと呼ばれる。本症のリエントリー回路は心内膜側にあり、発作の根治にカテーテルアブレーションが有効である。若年の男性に多く比較的予後は良好であるとされている。

 

治療
薬物治療か、カテーテル治療を行う。高周波カテーテルアブレーションが成功した場合には、健常成人と予後は変わらないと考えられるが、長期予後の観察が必要である。
頻拍の停止:Caチャネル遮断薬(ベラパミル)静注でほとんど停止する。効果がなければβ遮断薬や解離の遅いNaチャネル遮断薬・(slow drug)(ジソピラミド,フレカイニドなど)を静注する。
頻拍の予防:
1)Caチャネル遮断薬の投与を行なう。β遮断薬の投与も併用することがある。
2)高周波カテーテルアブレーション(推奨クラスI)
1.症状を有する特発性心室頻拍で薬物治療が無効または副作用のため使用不能または患者が服薬を望まない場合。
2.植込み型除細動器植込み後に除細動通電が頻回に作動し,薬物治療が無効または副作用のため使用不能な心室頻拍

 

 
洞機能不全症候群
 
3つのパターン
 
症状があれば、ペースメーカーの適応はあるが、
QOLの問題、どれぐらいつらいのか
分類に関係なく、基本的に洞機能不全症候群はの生命予後はいいことに変わりはない。
 
洞不全症候群が完全房室ブロックになるのは数%のみしかない。
モニター心電図では、普通は心尖部に近いところに着けいているとP波は見えないので、右の方にづらすとP波は必ずみえる。
 
房室ブロック
 
Ⅰ度
 
Ⅱ度
 
Ⅲ度