めまい

臨床現場では、よく遭遇する症状のひとつですが、「めまい」と言われるとちょっとドキッとするのは僕だけではないと思います。小脳系や脳幹系のめまいを見逃すと命取りになるし、失神系のめまいは、心臓が原因のものがあり、見逃すと1年後には死んでしまうような病気が隠れているのでことがあるからです。

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めまいは、体のバランスを保つ仕組みが上手く働かなくなることで起こります。耳の病気眼の病気脳の病気心臓を含めた全身の病気などで起こります。

歩いていて、走っていてなにか看板を見ているとします。文字がぶれますか?ちゃんと読めているでしょう。これって凄くないですか。カメラで言う手ぶれ補正が完璧というわけです。視覚情報や前庭神経の情報、深部感覚の情報などを瞬時瞬時で一致させているから平衡中枢は戸惑うことなく認識され、めまいが起きないのです。

めまいに関しては、患者さんの受け取り方も様々で、めまいぐらい大したことないと放っておく人もいると思えば、なにか重大に病気があるのではないかと悩んでいる人もいます。めまいを主訴に外来を受診される患者さんの多くは、脳梗塞を心配しておられるようです。

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どの教科書を見ても、回転性Vertigo、浮動感dizziness、失神syncopeって分類されてますよね。

 

(1)回転性:天井が回る、メリーゴーランドに乗ったような、景色が流れるような
(2)浮動性:船に上に立っているような
(3)失神:血の気が引くような、風呂場で急に立ち上がった時のような

しかし、患者さんに「グルグル回りますか?」「目の前が真っ暗になりますか?」「雲の上を歩くような、体がフラフラして揺れているような感じですか?」「気を失いそうな」などと聞いても、みなさんちょっと微妙で、言葉で表現するのは難しいようで、どれでも「はいはい」って感じで、口でいうほど簡単に鑑別できる人は少ないようにと思います。

めまいの鑑別には、めまいがどんな時に起こったのか、その起こった状況が重要です。朝、起き上がろうとした時、頭を動かした時、立ち上がった時、お風呂上がりに、なんの前触れもなく突然になどです。

持続時間はどうのくらいか?ずっとめまいがしていると言う人にでもよくよく聞いてみると、実際はじっとしていれば数十秒、長くても1分以内に治まるというものが多いのです。数時間続くもの、数日続いているものなど。初回か繰り返し起こっているか?耳鳴りや難聴(耳が詰まった感じ)を伴うか、頭痛、吐き気、手のしびれなどはどうかなどの問診も鑑別に重要です。

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回転性のめまいと言うのは、患者さんには実際どのように見えているのでしょうか?グルグル回っている・・・この表現はちょっと、イマイチです。眼振があって、景色が流れているというのが最も近い表現です。眼振の緩速相の方に体が倒れていく感じなんです。

 

怖いめまい 脳の病気

めまいを訴えて受診される患者さん(市中病院の耳鼻科と内科開業医では少し違うかも)の多くは、耳鼻科の病気ですが(原因がわかっている内では8割です)なんと言っても怖いのは、脳です。一般的に回転性めまいは末梢性、非回転性めまいは、中枢性と言われますが、回転性めまいの1割は中枢性が含まれています。まずは見逃すと怖いめまいを除外することから始めましょう。

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小脳は大脳とも密接な関係があり、小脳性の運動障害は小脳性失調と呼ばれ、協調運動、変換運動(手首をくるくる回すように、交互に回内回外させる運動など)障害、企図振戦などによって構成され、筋緊張低下、深部腱反射低下が伴います。この場合、麻痺はみられませんが、運動がスムーズにできず、ぎくしゃくとした動きになります。小脳性の構語障害は断綴性発語(スキャニングスピーチ)と呼ばれ、ゆっくりであったり、爆発的であったり、抑揚に異常がみられるなど特徴のある酔っ払いが喋っているような話し方になります。これは、発音のための筋の協調性運動障害によるものと言われています。

小脳失調の診断は、開脚歩行であったり、指鼻試験、指タップ試験などを行いますが、症状が軽微な場合は、なかなか判断が難しいこともよくあります。そういった場合には、いろいろな試験の合わせ技で診断しますが、それぞれの試験に少し負荷をかけて小脳失調の症状を際立たせる方法があります。たとえば、歩く時の足の幅に注目して開脚歩行を見たら、これは小脳か脊髄の後索に問題がある症状です。開脚歩行も負荷をかけて、継足歩行を行ってみます。指鼻試験では、測定障害があるので、典型例では、目標に近づくにつれてづれが大きなって、典型的には行き過ぎて指にたどりつきますが、少し指を動かしてその指についてこれるかをみてみます。筋のトーヌスの低下を見る試験では、力比べをしましょうと言って上腕を屈曲して頂いて、突然手を離します。正常だと途中で止まりますが、トーヌスが低下していると腕が胸にぶつかります。顔の方に飛んでいかないように左手を左肩に当ててプロテクトしておきましょう。肩ゆらし試験では、腕の力を抜いてもらって、肩を前後に揺らして体幹を回転させると腕が体幹に引っ張られて、揺れますが、体を止めると腕は2〜3回揺れて止まりますが、トーヌスが低下しているとしばらく揺れています。膝蓋腱反射では亢進して長い間揺れています。指タップ試験では、だたタップするだけでなく、親指の第一関節付近に着地させるよう指示し、なるべく高い位置から目標に向けて下ろします。さらにスピードアップの負荷をかけると測定障害が顕著になって着地点がばらばらになります。さらに鑑別診断として、錐体路症状(脳梗塞や頸椎症など)があるとスピードアップができません。パーキンソン病だと最初は高い位置からタッピングしていてもだんだん低位置になっていきます。小脳失調が見られない場合は、脊髄後索障害が疑われますので、ロンベルグ試験を行います。足を揃えて立ってもらって、閉眼しても立っていられるかを調べるんですが、感度が低いので、片足で行う負荷をかけることもあります。(目をつぶって顔が洗えない)

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亜急性連合性脊髄変性症

亜急性連合性脊髄変性症の連合性とは後索と側索を示しており、後索の障害による深部知覚障害、脊髄性運動失調、側索病変による痙直性麻痺、脱力、深部腱反射の亢進が認められる。発症は1万人に1人程度で、40歳以上に多く、
ビタミンB12欠乏(神経同士の連絡が途切れてしまう)が原因の代謝性神経疾患であり、とされる。胃切除後の発症が有名であるが、ピロリ菌感染で萎縮性胃炎がすすんでいる方、プロトンポンプ阻害薬の長期服用(胃酸を抑える薬を飲んでいるとVB12が吸収できない)パラアミノサリチル酸カルシウム(PAS:抗結核薬)ビグアナイド(メトホルミン:ビタミンB12の吸収障害が起こる)慢性アルコール中毒、肉や魚を食べない菜食主義者(ビタミンB12は体内で作ることができず、また動物性の食べ物からしか摂取できない)など近年ではさまざまな原因が報告されている。最初に起こる症状として、手足のしびれ、チクチクする痛み、焼けるような痛みなど手足の感覚障害が典型的で、その他、全身の脱力感、体の位置の感覚(手がどのくらい曲がっているのかなど)が分からなくなる、歩行困難などが起こる。症状は数カ月〜数年の単位で緩徐に進行する。一般には血清ビタミンB12値が低値を示すことが多いが,これが基準範囲内(200〜400ぐらい)であっても体組織内のビタミンB12が欠乏することはありうる。また、銅欠乏によって生じる銅欠乏性脊髄症もビタミンB12欠乏による亜急性連合性脊髄変性症と酷似した臨床像や画像を呈することが知られている。(上部胸髄の後索を中心に左右対称性のT2WI高信号が認められる。後索の外側にある楔状束が障害され内側の薄束が保たれることから,典型的には逆V字型の高信号となる)画像上の鑑別となるのが上記の銅欠乏性脊髄症のほかに,ADEM(acute disseminated encephalomyelitis:急性散在性脳脊髄炎)やNMOのような脱髄性疾患やHIV,水痘帯状疱疹ウイルス,ヘルペスウイルス等による感染性脊髄炎,自己免疫性疾患であるが,症状や臨床経過,血液生化学所見から診断に苦慮することは少ないだろう。後索、側索の障害なので、典型的には膝蓋腱反射は亢進、アキレス腱反射は低下、バビンスキー反射陽性(側索となります。しかし、その通りになる症例はほとんどありません。後索、側索の障害なので、典型的には膝蓋腱反射は亢進、アキレス腱反射は低下、バビンスキー反射陽性(側索となります。しかし、その通りになる症例はほとんどありません。

垂直性の眼振は、中枢性を疑います。一度、チェックしておきましょう。

中枢性のめまいの原因となる部位は、脳幹か小脳ということになります。やはり、突然発症という要素は大事です。「何をしているときに起こりましたか」はっきりと言えるかどうか? また、リスクファクター(高血圧症、高脂血症、糖尿病、喫煙、脳梗塞の既往があるか、男性、高齢者など)はどうか?めまいやふらつきなどの症状は、一般的には後方循環(椎骨脳艇動脈系)のトラブルです。脳幹部に梗塞や出血が起こった場合は、Ⅷ(聴神経)だけがやられるというのは不自然で必ず、周りの脳神経の症状もいっしょに出るはずです。

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Ⅲ番(動眼神経)Ⅳ番(滑車神経)Ⅵ番(外転神経)などがやられれば、複視がおこります。
Ⅴ番(三叉神経)がやられれば、顔面のしびれ(Onion peel)を認めます。
Ⅶ番(顔面神経)がやられれば、中枢性の顔面神経麻痺を認めます。
Ⅹ番(迷走神経)ⅩⅡ番(舌下神経)などがやられれば、構音障害を認めます。「メダカ、メダカ、メダカ」と3回言ってもらって、構音障害とリズムの障害を確認しましょう。
XII番(舌下神経)Ⅴ番(三叉神経)Ⅶ番(顔面神経)がやられると嚥下障害が起こります。
延髄外側がやられると(ワレンベルグ症侯群)顔面と体の痺れている側が異なる交差性の神経症状があります。
周囲の神経路障害でも、軽い手足の麻痺、しびれも起こりえます。

小脳に梗塞や出血が起こった場合は、小脳症状を伴います。小脳上部(上小脳動脈、前下小脳動脈)では、構音障害と小脳運動失調が目立ちます。(指-鼻試験、お星様きらきらなどが肘を固定してできるか)小脳下部(後下小脳動脈)では、小脳運動失調は目立たないが、小脳虫部障害による躯幹失調(起立、歩行障害)を診ます。頭痛が伴うのもちょっと気持ちがいいものではありませんからすぐに専門医に紹介です。また、回転性のめまいのみ訴える場合は、脳が原因とは考えにくいのですが、持続時間が長く、千鳥足で歩いて帰れない(目の情報や深部感覚の情報で体の平衡維持が補正できないことがおかしい。末梢性なら、ゲロゲロ吐いて、見た目は激しいがなんやかんや言いながらもなんとか歩ける)など治りが悪い場合も紹介しています

しかし、なんと言っても確率的には脳卒中は、2〜3%です。シマウマ捜しにならないようにしましょう。

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ワレンベルグ症侯群

ワレンベルグ症侯群は,後下小脳動脈(椎骨動脈系)の閉塞により,その領域の延髄外側が梗塞に陥ることで起きる。患側の①三叉神経脊髄路核の障害(同側の顔面の温痛覚障害)②脊髄視床路(対側の頚部以下の半身の温痛覚障害)③下小脳脚の障害(同側の小脳性失調)④延髄網様体の障害(同側のホルネル症候群)⑤前庭神経核の障害(めまい、眼振)⑥疑核の障害(軟口蓋、咽頭、喉頭の麻痺による嚥下障害)、吃逆、複視などの症状を来す。ただし、必ずしもすべての症候が同時に出現するとは限らないことには留意する必要がある。顔面と体幹の感覚障害が同側でないのは,感覚線維の交叉する部位が感覚の種類により異なるためである。温痛覚は末梢神経から脊髄に入った後すぐ交叉し,反対側の脊髄・視床路を上行し,延髄外側部を通る。顔の知覚は三叉神経によるが,脳神経は交叉しないため患側と同側に感覚障害が起きる。なお位置覚・振動覚は脊髄に入った後そのまま後索を上行し,延髄で交叉する。その際,延髄内側へ近づくため,ワレンベルグ症候群では障害されない。また,運動神経の椎体交叉も内側のため,ワレンベルグ症候群では四肢の運動障害がないのが特徴である病因は動脈硬化性の機序の脳梗塞が多くを占めるが椎骨動脈解離が原因の30~40%という報告もあり、平均発症年齢が50歳前後と若年者の脳梗塞の症候として非常に重要である。動脈解離が原因であれば基礎疾患を有しない若年者でも発症する可能性があるため、頚部の外傷歴や捻転、後頚部痛の有無についてできるだけ詳細な問診をとることが診断の一助になり得る。

ワレンベルグ症候群

ワレンベルグ症候群 頭部MRI(特に拡散協調画像)

 

耳の解剖

耳は外側から外耳、中耳、内耳の三つに分けられます。

耳は音を聞く(蝸牛神経)だけではなく、体のバランスに関する情報をキャッチする役割(前庭神経)も担っています。その働きをしているのが、内耳にある「三半規管」「耳石器」です。
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だからめまいには大きく分けて二種類あるのです。めまいだけが起こるタイプ(良性発作性頭位性めまいや前庭神経炎など)とめまいと同時に耳鳴りや難聴をきたすタイプ(突発性難聴やメニエール病など)です。

 

BPPV(良性発作性頭位変換眩暈症) 頭を動かすとグルグル

脳を除外したら、今度は最も頻度の高い疾患であるBPPV(良性発作性頭位変換眩暈症)について解説しましょう。

三半規管は細い管で、3本がそれぞれ直角に向き合っています。三半規管の根元の膨らんだ部分を膨大部といい感覚細胞が並んでいて回転の情報をキャッチします。

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また、卵形嚢、球形嚢に耳石器があります。感覚細胞の上に耳石(六角形で炭酸カルシウム)が石畳のように並んでいて、重力の情報をキャッチします。

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この耳石が剥がれて、三半規管の中に入り込んで、頭を動かした時に、三半規管の中をゴロゴロと耳石が転がるとめまいが起こります。じっとしていると耳石の動きも止まるので数十秒で(遅くとも1分以内に)めまいは治まります。また、頭を動かすと耳石が動いて、めまいがおこりますが、じっとしていると治まるのを繰り返すわけです。

典型例を見てみましょう。

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◎良性発作性頭位変換眩暈症の診断のポイント

  • 頭を動かすとめまいが起こる寝返りのときトイレに行こうと起き上がった時 靴の紐を結ぼうと屈んだとき 洗濯をものを取り込もうと見上げたときなどだが、数秒の潜時があるのが重要です。(立ち上がって瞬間なら起立性低血圧の症状です
  • 意識は遠のかない
  • 頭を動かした時に起こるが、頭を動かさないでじっとしていると1分以内に治まる
  • 原則的には蝸牛症状(難聴や耳鳴り)はありません
  • 末梢性の一方向性の眼振あり(何回もしていると慣れて弱くなる)
  • 高齢の女性に多い。
  • 眼振は、頭を動かして数秒後に起こります。(しばらく安静にした状態で診察に行って、眼振があれば、BPPVにはちょっと合わない)

Dix-Hallpike法(頭位変換試験)
どちらの耳が原因でめまいが起こっているか調べます。三半規管は、後半規管(後方45度)外側、前(前方45度)があり、耳石の混入は主に寝ている時に起こりやすいので、後半規管に多いとされています。前半規管は、寝ていても立っていても上方にあるので耳石は入りにくいため、起こりにくいとされています。外側半規管もよく起こりますが、自然に治ってしまうことが多いため、後半規管が多いと考えられています。

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後半規管の場合、原因の耳(例えば右耳)の右斜め45度前方を向いて懸垂位に倒すと、後半規管の中を石がころころと動いて、回転性めまいが誘発されます。(どちらに寝転んでテレビを見ているかで当たることが多いようです)目蓋を挙げると眼振が見られます。眼球が回転しながら、下方向にゆっくり(緩徐相)上方向に早く(急速相)右回転(反時計方向)動きます。外側半規管の場合は、原因の耳(例えば右耳)の右方を下に向けると下方向(急速相)に水平眼振が起こります。反対側をしたにすると反対に方向に眼振がおこりますが、原因の耳の方を下にしたほうが、激しい眼振を認めます。

 

フレンツェル眼鏡

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末梢性の眼振は注視すると代償作用が働いて抑制されてしますのフレンチェル眼鏡使って確認するとよくわかります。牛乳瓶の底のような分厚いレンズで焦点が合いにくくしてあります。こちらからは眼球が大きく見えて、眼振がよくわかるようになっています。フレンツェル眼鏡を使わないと眼振の半分は見落とすとされています。使うと80%診断できる。(耳鼻科の先生が使われる赤外線カメラを使うと90%の診断ができる)

 

 

 

回転性眼振

回転性の眼振は、僕のレベルだと?、ちょっと難しいです。白目を見ないといけないんですが、なんとなく目が不規則に動くのにつられておかしいかなと思う程度です。


水平性眼振

こちらは、さすがにわかります。ちょっとやったって感じです。これがあれば、外側半規管型です。

Epley法

良性発作性頭位変換めまい症は、放っておいても3割の人はすぐに治ります。これは、耳石が小さければ、溶けてなくなるから、もしくは外側半規管に入ったものは自然に治りやすいと考えられます。

あまり、めまいが激しくてゲロゲロ吐いている人にあちこちゴロゴロ転がしてうまくいかなかったら、なんてひどいことをするんですかとお叱りを受けてしまいますので、まずは、生食200mlにアタラックスPを1A入れて30分ほど点滴すると抗ヒスタミン系の作用で鎮静をかけてから行います。

有効な治療法に Epley法(後半規管:耳介と同じような方向)とLempert法(外側半規管)があります。最も多いのは後半規管(後斜め45度)で(仰向けに寝るのであたりまえ)ベットの上に座ってもらって、45度右を向いた状態(右が多いと言われている)で後方に寝てもらって、そのまま頭をベッドサイドから頭を垂らします。(リウマチや頸椎症など首に疾患を抱える患者さんには禁忌)すると3〜5秒後に左向きに眼振を認めます。1分ぐらいで治ると、90度回します。左側臥位を向いた姿勢から起き上がります。すると魔法のようにあれっ治った?とよくなって喜んでもらえる人も多く(NNT=2 びっくりの2人に1人は治る)また治ればBPPV(良性発作性頭位変換眩暈症)と診断できるので(中枢性を除外できる)やるようにしています。

epley 2


なでしこジャパンのMF澤穂希(33)が110日ぶりに国際Aマッチのピッチに立つ。 平成24年3月12日、病院で検査を受け「良性発作性頭位めまい症」と診断された。( アルガルベ杯で先発予定だった米国戦前夜の3月4日に立っていられないほどのめまいで倒れた)個人差にもよるが自然治癒で1週間から1カ月で完治する(数日で日常生活に戻っていることが多い)軽い疾患というイメージでしたが、さすがにプロのパーフォーマンスとなると完全復活には時間がかかるんだなあと改めて感じるニュースでした。


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メニエール病 グルグルめまい発作を繰り返す

次は、名前だけは有名なメニエール病です。 聴力低下や耳鳴りもないのに、また初発なのにメニエルという診断が一人歩きしている人も多いですよね。特に一般内科にメニエルが来るのは、0.6%という統計もあるぐらいで、実際には、僕らがメニエルを診ることはほとんどないと言うことです。

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内耳にある蝸牛の内部は3つの部屋に分かれており(前庭階、蝸牛管、鼓室階)内リンパ液が溜まっている蝸牛管の内圧が上がると(内リンパ水腫)耳閉感が起こってきます。されに腫れて、膜が破れると激しいめまいや難聴が起こります。破れた膜は、自然にくっつくので、めまい発作は治まりますが、再び、内リンパ水腫ができるとめまいを繰り返します。原因はわかっていませんが、睡眠不足や過労がきっかけになると言われています。


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◎メニエール病の診断のポイント

  • 蝸牛症状(難聴、耳鳴り)を伴うめまい
  • 繰り返し起こすめまい(初めてのめまいではない)
  • 持続時間は、数時間〜数日間(数分で治る、反対に数日以上続くようなら違う)
  • 30〜40歳代が多い(高齢者は少ない)

 

 

前庭神経炎 突然激しいめまいが起こる

突然、立っていられないほどの激しいめまいが起こるのが特徴です。めまいで緊急入院する人の約6割を占めます。耳鳴りや難聴はありませんが、ほとんどに人に強い吐き気が見られます。しばらく強いめまいが続きますが、2週間ほどで(長くても1ヶ月程度)次第に軽くなります。必ず治る病気で、再度めまいが起こることはまずありません。

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◎前庭神経炎の診断のポイント

  • 原則的には蝸牛症状(難聴や耳鳴り)を伴わない、純粋なめまいのみ。
  • 数日以上にわたり続く(眼振も続く)
  • 風邪など感染症が先行して起こっている。

 

 

突発性難聴 片側の耳の難聴と耳鳴りが現れる

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なんと言っても、末梢性で見逃してはダメなのは突発性難聴です。 ある日突然、片側の耳(両耳はまれ)が聞こえなくなって、耳鳴り(80%)が伴うのが「突発性難聴」です。めまいは半数に見られます。 治療を始めるのが遅くなればなるほど、聴力の回復に差が出てしまいます。(発症から1ヶ月以上たつと聴力が戻らなくなります)

循環障害、ウイルスなどがさまざまな説はありますが、現在のところ原因はわからず、誰にでも発症する可能性がある病気です。片方だけの高度難聴のうち55%が突発性難聴と診断されます。何度も繰り返し発症する人もほとんどいません。好発年齢は50代、60代ですが、若い人も少なくありません。

治療はステロイドを投与しますが、高度な難聴が起きた場合、非常に治りにくいのが現状です。他には高気圧酸素療法や星状神経節ブロックといった治療法がありますが、対応できる施設は限られています。どの治療を行うにしても治療開始が早いほど改善する確率が上がります。突発性難聴は発症から7日以内に開始することが重要で、できれば3日以内に治療を初めて欲しい。聴力は1〜2ヶ月で固定してしまいます。耳鳴りがする、ちょっと聞こえにくいと思ったらすぐに病院へ行って下さい。

 

椎骨脳底動脈循環不全

椎骨脳底動脈系の一過性脳虚血発作(TIA)で、突発性のめまい(多くの場合、持続時間は数分)を繰り返します。動脈硬化の危険因子をたくさん持っている患者さんに多く、前下小脳動脈、後下小脳動脈の場合もあります。来院されたときには治っているので、診断は難しいのですが、患者さんが、めまい以外の症状に気がついていたかがカギになります。(激しいめまいのことしか憶えていない。繰り返すので、今度起こった時に、構音障害などがないか、転倒しなかったかなど確認するように言っておくことも大事です)実際は、脳梗塞として完成しないと診断は困難な場合が多いわけです。

 

食後低血圧 食後低血糖(ダンピング症候群)

食事後に席を立とうとしたとき、めまいやふらつきを起こしたことはありませんか。もし、そんなことが何度かあったら、食後低血圧、食後低血糖の疑いががあります。

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食後低血圧が起こりやすいのは、食後30分~1時間程度です。食事をすると、多くの血液が腸の近くに集まります。高齢者や病気(高血圧、糖尿病パーキンソン病など)によって、体内の代謝をコントロールする自律神経などがスムーズに働かなくなると、急激な血圧低下が起こりやすくなるのです。食後1時間頃の血圧が食前よりも20mmHg以上低下する場合には、食後低血圧の可能性が高いといえます。最も多いのは,休日の昼に家族や友人などと外出先で炭水化物の多い和食をゆっくり取り、少量のアルコールを摂取して帰宅する途中に失神発作を生じて救急車を呼んで、救急病院で頭部CTを撮って異常なしというパターンです。対応策としては、食べすぎない、とくに炭水化物をとりすぎると、食後低血圧を起こしやすくなるので要注意です。また、早く食べるとそれだけ腸に血液が集まりやすく、食後低血圧を起こしやすくなるのでゆっくり時間をかけて食べるように心がけましょう。カフェインには血管を収縮させて、食後低血圧を予防する効果があるので、食後1時間以上はゆっくり休息をとりながら、コーヒーや緑茶などを食前・食後に飲んでみましょう。

ダンピング症候群は、胃切除手術を受けた人の15〜30%にみられるます。炭水化物が急速に 小腸に流入するために起こるものです。食事中や食後の直後に症状が現れる早期ダンピング症候群と、食後2~3時間たってから 現れる後期ダンピング症候群に分けられます。早期ダンピング症候群は、胃切除による胃液の分泌量が低下、貯留機能の喪失のため、食べ物が直接、腸内に入るために起こります。主な症状は、冷や汗、動悸、めまい、顔面紅潮、全身倦怠感、全身脱力感などです。後期ダンピング症候群は、腸管からの炭水化物の吸収が増大すると、高血糖になります。 そこでインスリンが過剰分泌され、逆に低血糖になってしまうことで起こるものです。食後2~3時間たって頭痛や倦怠感、発汗、めまいなどがおこります。早期ダンピング症候群の場合、低糖質、高たんぱく、適度な脂肪の食事で、 なるべく水分を少なくし、1日5~6回に分ける少量頻回食が理想とされます。また、刺激の強い食べ物、熱い物、冷たい物は避けて、食後は20~30分ほど横になることも必要です。後期ダンピング症候群の場合は、1回の食事量を少なくし、ゆっくりと時間をかけてとるようにします。症状が現れたときには、飴など少量の糖分を摂取すると治まります。食後低血糖は、ダンピング症候群が有名ですが、うつ病や神経症と診断されている一般の人にもみられることがあります。(反応性低血糖症)

 

失神性のめまい いわゆる立ちくらみ

広い意味ではめまいに含まれていますが、平衡感覚の異常ではありません。「目の前が真っ暗になる」「気の遠くなるような感じ」は血圧や脈拍が急激に低下したりして、脳への血流量が減少することで起こります。めまいというのは、人によって意味あいが異なっているのです。お風呂から上がった時に経験するのは、いわゆる立ちくらみっていう感じで、ちょっと軽めで椎骨脳底動脈循環不全、典型的には目の前が真っ暗になって、奈落の底に落ち込んでいくって感じですね。失神性のめまいと言うのは、つまり一過性の意識消失がおこるわけなので、両側の大脳半球の広範な虚血脳幹の上行網様体系の虚血があるわけです。不整脈など心血管性失神に関連するものは、見逃せば、1年後に3割は死んでしまいます。こうなれば、まずは心電図(ホルター心電図)です。後は、出血貧血 脱水など起立性低血圧を起こす病態を調べて、なにもなければ、血管迷走神経反射性失神ということになります。


数ヶ月間、めまいがずっ〜と続いていると言われたら、う〜ん精神疾患(心因性や自律神経失調症など)かなっと思っちゃいますね。 その他、頚性めまい、薬剤性めまいなどもあります。 また、内耳の弱い人?は、台風の後など 低気圧の時に悪化してよくこられますよね。(省略)