急性腹症とは、急激に発症し、激しい腹痛を伴う疾患の総称で、とくに救急医療の現場で、早急に外科的処置が必要か否かの判断が要求される症候です。単なる腹痛と違い、差し迫った緊急事態というニュアンスがあります。

原因としては、消化器疾患に限らず婦人科疾患、泌尿器科疾患なども含まれますが、まずは、アセトアミノフェンの点滴で痛みをとってあげましょう

アセトアミノフェン

NSAIDsを使うと炎症がおさえられて腹膜炎の痛みがマスクされてしまって診断がわからなくなる

それでは、診断です。まずは、最初にする一番大事な質問は

今までに同じような痛みがありましたか?」です。これで「2年前に同じような痛みがありました」と帰ってくればもう診断がつきますよね。「その時の診断はなんでしたか?」「尿路結石でした」はい、一丁あがりです。

次の質問は、「痛み」の発症様式です。突然(痛みはじめて数秒から数分でピークに達する様な突然の痛み)から急性(突然発症ではないが急激に痛みが増悪)の場合は、詰まった(心筋梗塞、腸間膜動脈閉塞、尿管結石、胆石)破れた(腹部大動脈破裂、大動脈解離、消化管穿孔)捻じれた(S状結腸軸捻転、卵巣軸捻転、精巣軸捻転)が疑われます。

3つ目の質問は痛みの時間経過です。「痛かったり、痛くなかったりしますか?」間欠痛か持続痛かを聞きます。間欠痛(波がある内臓痛:痛くなったり治ったりする)のは管の痛みです。波がある痛みにもタイプがあります。痛くない時はゼロですか?たとえば、下痢、みなさん今まで下痢をしたことがないという人はいらっしゃいますか?ガ〜と痛くなって、今日は大変だなあと思いながらさすっているとフ〜と楽なってよかったよかったと思っていたらまた10分ほどして痛くなってきますよね。あれって大腸の痛みです。(小腸のイレウスなどはもう少し強い痛みで波があり、痛くない時はゼロになる)尿路結石は、もっと強い痛みですよね(経験したことがないのでわかりませんが)人生で一番痛いような痛みで脂汗を掻きながら七転八倒します。そこら中を歩き回って、寝転んで、机を叩いて、痛い痛いともがいていますが、波もあるようで少し楽そうにしている時もあります。しかし、痛みはゼロにはなりません。だいたい聞くと痛い時は10/10楽になっても7/10ぐらいのようです。(卵巣嚢腫の茎捻転も七転八倒するようです)七転八倒している人は痛みの強さはたいへんなものでしょうが、医師としてはちょっと安心ですよね。少なくとも腹膜炎はありません。腹膜炎があったら振動で響いてこんなことはできませんから。次に胆石の痛みですが、これも分類的には管の痛みであり、最初は間欠痛だと思いますが、完全に胆石が詰まると胆嚢が圧が高くなってきて、胆嚢周囲で限局した腹膜炎を起すため持続痛になるようです。持続痛(体性痛)は膜の痛み(腹膜炎、胸膜炎)で、また限局していることや振動で響くので、動くことができないことが特徴です。車に乗っていて感じる振動や歩いてて響きますか?咳払いで大丈夫ですか?踵落としテストなどもありますね。波があるのは間欠痛(内臓痛)ですが、どこが痛いのかはっきりしません。管(腸管や尿管)は平滑筋がたくさんあって間欠痛になりますが、実質臓器(血管、腎梗塞、脾梗塞)は持続痛になります。上腸間膜動脈閉塞症は、臍部の持続痛になります。

腹痛

間欠痛

また、年齢によって疾患の頻度が違います。若い人は、虫垂炎は必ず鑑別に入れておきます。高齢になってくるほど、虫垂炎の頻度は減少し、代わって腸閉塞急性胆嚢炎、消化管穿孔などが増えてきます

年齢

女性(妊娠可能)の腹痛

月経周期のどのタイミングで痛みがあるのかが重要です。月経中に痛みがある場合は、月経困難症子宮内膜症(月経中とは限らない)を考えます。子宮内膜症だと排尿時や排便時、性交渉の時の痛みを伴いやすいようです。PID(骨盤内炎症性疾患)は月経が終わってから排卵までの間に痛みが起こります。試験的に有名なのは、Fitz-Hugh-Curtis症候群(右上腹部痛を引き起こす肝周囲炎)などは、クラミジアによるものが多く、帯下が多かったり、膿性だったり、匂いがきつかったりします。月経中の性行為や婦人科の検診によることもあるようです。卵巣出血には排卵期の卵胞出血<黄体期の黄体出血があります。この原因は性行為による外傷性の出血ですが、多くは右側に起こります。(左側はS状結腸に守られている)また、子宮外妊娠は妊娠反応が重要ですがあまり経験がありません。

女性の腹痛はお腹が柔らかいことが多い。女性生殖器は骨盤内深くにあるので、所見を取るためには、ゆっくり手のひらで下腹部深くまで押し込んでからタッピングすることで、頭の中に子宮外(異所性)妊娠、卵巣腫瘍茎捻転、卵巣出血、骨盤腹膜炎腹膜炎を想定して診察することが大切です。

婦人科

①急性胃粘膜病変(AGML)大きなストレス、暴飲暴食によるものです。
②アニサキス症 しめさば、イカなどの刺身を食べて1~2時間以内です。
③胃・十二指腸潰瘍穿孔(せんこう)フリーエアーを認めます。
④胆石症 右季肋部の疼痛で、脂っこいものの食後に起こります。
⑤急性虫垂炎 吐き気を伴う上腹部痛から始まり、右下腹部に移動します。
⑥感染性腸炎 ウイルス性の胃腸炎と食中毒で、下痢が起こります。
⑦急性膵炎 アルコールや胆石発作が引き金になり、痛みが背部に放散します。
⑧大腸憩室炎 回盲部付近かS状結腸が多く、憩室に炎症です。
⑨虚血性腸炎 薬剤や食物に起因する場合があり、下血を伴うことが多い。
⑩腸閉塞 絞扼性イレウスの場合はすぐに緊急手術が必要です。
⑪腸間膜動脈血栓症 腸の動脈が詰まったもので、診断が難しい。
⑫腹部大動脈瘤破裂・解離性大動脈瘤 大動脈の瘤が破裂か亀裂で背部痛を伴う。
⑬尿管結石 下腹部痛や背部痛で発症し、血尿を伴います。
⑭子宮外妊娠 妊娠可能な女性に強い下腹部痛があり、貧血症状を伴います。
心筋梗塞 上腹部痛で発症、血圧低下、冷や汗があれば、心電図検査を。

 

帰してはいけない腹痛とは?

反対に帰してもいい腹痛は?というと、ご飯が食べれる、水が飲める、歩ける、熱がないなどがおおまかなところは大事かなと思います。帰してはいけない腹痛と言えば、お腹が硬い(いわゆる筋性防御や板状硬あり、腹膜炎を疑う)いつもと違う耐えられない腹痛などはすぐに上級の病院へ紹介すべきでしょう。また、危険なサイン(徴候)としては、増悪していく痛み、夜眠れない痛み、歩くとき響く痛み、食事がとれない痛み、発熱を伴う(数日間続いている)6時間以上持続する痛み、嘔吐があって脱水を伴うなどがあります。Heal drop testなどはCTをとるかどうかを簡単なスクリーニングに有用かもしれません。また、診察室に入ってきたときの印象や診察していて”なんかおかしいなあ”という感覚が重要な決め手になることもありますね。

 

 

 

 


内臓痛、
体性痛、関連痛

内臓痛(visceral pain)とは、管状の臓器(消化管、尿管、子宮・卵管など)の被膜の伸縮・収縮や炎症・壊死・組織圧の上昇により出現する間欠痛です。自律神経を介して感じる疼痛です。自律神経末端は腹腔臓器と腹膜に分布しています。腎臓、尿管を除く腹部臓器の自律神経は両側支配であるため、痛みの部位は原因となる臓器の近くではなく、体の中央付近で左右対称的です。範囲が広くて漠然とした痛みで、疼くような痛み、鈍痛と表現されます。軽い場合は、膨満感、消化不良に似た不快感として感じます。悪心・嘔吐、冷汗などの自律神経症状を伴います。歩行や体動による悪化(増悪)はありませんたとえば、急性虫垂炎の痛みは初期には内臓痛として心窩部・臍周辺の鈍痛です。炎症により伸展された虫垂の被膜の刺激が心窩部に投影されるためです。

✳︎間欠痛は、一定の間隔で繰り返す痛みです。(間欠泉などのように予想できる)一方、断続的な痛みは、繰り返す間隔も強さもバラバラの痛みです。断続的な地震、断続的な強風など次に起こるのがいつかわからない強さも予測不可能な場合です。

体性痛(somatic  pain)とは、内臓をとりまく腹膜や腸と腸の間にある腸間膜、横隔膜などの炎症や機械的刺激によって生じます。壁側腹膜の体性神経刺激(知覚神経)を介して起きる持続痛です。持続的で刺すような鋭い痛みで、疼痛部位は左右非対称で病変のある臓器の付近に限局します。体動や咳嗽で増悪します。急性虫垂炎では初期に感じた心窩部・臍周辺の内臓痛は、その後右下腹部に移動し持続的で差し込むような体性痛となります。

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腹膜には2種類あります。腹腔と裏打ちしている膜ですが、腹壁側の腹膜(壁側腹膜)と腸や肝臓など内臓を包んでいる腹膜(臓側腹膜)があります。敏感なのは、壁側腹膜で、臓側腹膜は鈍感であまり痛みを感じません。壁側腹膜の神経は皮膚の神経が潜り込んで壁側腹膜に分布しています。腹膜刺激症状は、壁側腹膜の侵害受容器が刺激されて生じます

体性痛

痛みを訴える場所に圧痛があった場合、腹膜刺激症状の程度を評価します。

最も強いものから並べると

(1)筋硬直/板状硬 rigidity or involuntary guarding 腹膜炎により強く刺激を与えられると患者さんの意図とは関係なく筋肉が収縮すします(脳は関係ありません)十二指腸潰瘍の穿孔(ケミカルな刺激)が圧倒的に多い下部消化管の穿孔は、お腹がパンパンに張る感じで板状硬にはなりにくい。一部だけ硬い場合を筋硬直という場合が多い。

(2)反跳痛 rebound tenderness 痛みを訴えるところを2〜3本に指で腹壁をゆっくり押し込み、一気に手を離して「押している時と手を離した時とどちらが痛いですか」と尋ねて「手を離した時の方が痛い」と答えたら反跳痛ありと判断します。痛みの強さは与えられた刺激の強さだけでなく時間も影響するので、単位時間あたりの圧変化が大きいほど痛みが強くなります。より正確に判定しようとすると双手法といって、右手でゆっくり押していくと痛みはあるが、筋収縮は認めない状態で、左手を腹壁に添えておいて、急に右手を引くと左手で腹筋の緊張を感じれれば、反跳痛ありと判断します。

(3)筋性防御 voluntary guarding or muscular defence 意識的に筋肉を硬直させている状態です。患者さんの腹腔内に炎症があるところを押さえられると更に痛くなるので、意識的に腹筋を緊張させて守っている、頑張っているというわけです。つまり、ゆっくり押していくと腹筋が硬直すれば、筋性防御ありとします。

(4)圧痛 tenderness 押さえると痛いが、筋緊張はなし。痛みを訴えるところを2〜3本に指で腹壁をゆっくり押し込み、一気に手を離して「押している時と手を離した時とどちらが痛いですか」と尋ねて「押した時の方が痛い」と答えたら圧痛のみと判断します。

最近は、反跳痛はやばんな手技とされている教科書もあるようです。打診痛 tapping pain or percussion tenderness 瞬間的に腹壁に手指で打撃を与える手技です。左手を腹腔内の奥深くに押し込んでから左手指先を右手指で叩くと陽性所見が出やすくなる。

痛みを訴えるときにその痛みが自発痛なのか圧痛なのかを意識して問診することが大事です。痛みがあるところを押さえると痛みが増強します。痛みを訴えるところを押さえても痛みが増強しない場合は、関連痛を考えましょう。虫垂炎の初期に心窩部痛を訴えますが、そこに虫垂があるわけではなく、関連痛なため、押さえても痛みの増強はありません。

 

筋硬直/板状硬の方が、腹膜炎をより強く疑って、反跳痛や筋性防御、圧痛より重症と思ってしまい、ついつい、お腹は柔らかいのに「痛い、痛い」と言ってるのは大袈裟な人やなと思ってしまったりしますが、血管が破れたり詰まったり(周囲は神経だらけ)の腹痛は命が危ない重症疾患でもお腹の所見はほとんどない場合もありますね。(6時間以上続くと危ない

腹部大動脈破裂(解離)腸間膜動脈閉塞症(解離)絞扼性腸閉塞、卵巣捻転、精巣捻転、心筋梗塞、肝癌破裂 異所性妊娠など

 

 

     
     
     
自発痛なし 異常なし 軽度の炎症あり
恐怖/不安(局麻の処置など)
 自発痛あり  関連痛 虫垂炎の初期
腹膜刺激症状の程度を評価する
  圧痛なし 圧痛あり
自発痛なし 異常なし 軽度の炎症あり
恐怖/不安(局麻の処置など)
自発痛なし 関連痛
虫垂炎の初期
腹膜刺激症状の程度を評価する
 
 

関連痛(referred pain)とは、関連痛とは、内臓から生じた疼痛がその本来の場所でなく、体壁(皮膚、筋肉)の別の部位から生じているように感じられる痛みのことです。脊髄で内臓からの知覚神経と皮膚からの知覚神経が脊髄後根から入って、大脳皮質に伝達される時に、脊髄の同じレベルからの内臓神経痛を中枢が皮膚からの痛覚刺激として誤認識するために生じると考えられています。関連痛のうち腹部外に感じられるものを放散痛という。心筋梗塞(特に下壁梗塞)では心窩部痛や嘔気を認めることがあり消化器疾患と誤診されることがあり注意が必要。肺塞栓(上腹部痛)胸膜炎(上腹部痛)胆石発作(右肩の痛み)虫垂炎(心窩部痛)などが有名。

 

内臓痛は、自律神経を介して感じる疼痛で、体の中央付近で範囲が広くて漠然とした痛みで鈍痛です。膨満感、不快感として感じます。歩行や体動による悪化(増悪)はありません。関連痛は、内臓から生じた疼痛がその本来の場所でなく、体壁の部位から生じているように感じられる痛みのことです。皮膚からの痛覚刺激として誤認識するために生じるため、内臓痛よりも限局した部位で感じる痛みです。

関連痛

 
 
 

診断には、問診や身体診察は、もちろん大切ですが、診療所のセッティングで最も威力を発揮するのが超音波検査(エコー検査)です。患者さんに対する侵襲度も少なく、多くの情報を得ることが出来ます。

FAST(focused assesment with sonography for trauma)緊急の腹部エコー検査
外傷に限らず、心嚢液(心タンポナーデ)、胸水(血胸)、腹水(腹腔内出血)の検出に有用な方法です。6つの場所で観察します。

(1)心窩部縦走査
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(2)右肋間走査
少量の胸水は、背側寄りの肋間で観察します。かなり上方での走査が必要です。
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(3)右肋間走査
Morison窩を観察します。
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(4)左肋間走査
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(5)左(右)側腹部縦(横)走査
側腹部の走査で上行結腸、下行結腸の外側を観察します。
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(6)下腹部縦走査(ダグラス窩)
直腸膀胱窩、直腸子宮窩(ダグラス窩)膀胱子宮窩を観察します。
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異常ガス像
腹腔内遊離ガス(free air)は消化管穿孔を診断する重要な所見で、肝表面で検出されやすい。多重反射を伴う高エコーを示し、呼吸や体位変換による不規則な動き(これが鑑別点)が観察できる。
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いろいろ調べてもよくわからないということもよくあります。救急外来にきた腹痛の2割は診断できないと言われています。こういった場合は、時間をかけたフォローアップが大事で「腹痛が強くなってきた」「歩いたら響く」「熱が出てきた」「血便がでた」など悪くなったらまた来てくださいと説明しておくことが大切です。実臨床の現場では、診断できなかった腹痛の8割は2週間程度で自然治癒していますが、2割が悪化して再診していました。しかし、高齢者の場合、その時の腹痛と関係あるかどうかは不明ですが、1割に大腸癌が見つかったという報告もあるので、勝手に治った症例でもがん検診を勧めることは忘れずに。



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腹部大動脈切迫破裂・解離、腸間膜動脈閉塞症、絞扼性腸閉塞、卵巣・精巣捻転などはお腹は柔らかいのに激しい腹痛です。血管障害は腹膜刺激症状が出ないので注意が必要です。非特異的腹痛でも発熱を伴う場合や白血球減少を伴う場合、6時間以上持続する強い腹痛がある場合は、血行障害による腹痛の可能性もあり、小児であっても造影CT検査が必要な場合もあります。

しかし、腹部CTが役に立たない腹痛もあります。非解剖学的腹痛とでもいいますか? DKA、アレルギー性血管炎、心筋梗塞、腹壁皮神経絞扼障害、帯状疱疹、Slipping rib syndromeなどがあります。

腹部大動脈瘤破裂

腹部大動脈瘤が5cm以上になると75%が触知できる(3〜4cmだと33%しか触診ではわからない)腹部大動脈瘤自体は、タバコを吸う男性に多く、実際に破裂するのは女性に多いと言われています。腹部CTでは診断(感度77〜94% 特異度75〜100%)腹部エコーでは大動脈瘤破裂はわかりません。後腹膜に破れると(腹腔内に破れると病院には辿り着きません)尿管に炎症が及んで尿潜血陽性になるため、尿管結石の誤診も多くなりやすい。骨盤腔に出血すると便意を催す。後腹膜に出血すると血液が回って皮下出血(5%)の所見が出ることがあります。腹部大動脈瘤破裂以外にも急性膵炎、子宮外妊娠、重度の腹部外傷などで見られます。

Grey-Turner(側腹部)
Cullen(臍部周辺)
Bryant(陰嚢部)
Fox(鼠径部)

 

 

 

急性胆嚢炎 

右側胸部で殴打痛あり

 

急性上腸間膜膜動脈閉塞症(塞栓症、血栓症)

血管の疾患なので、基本的には、腹痛の所見は、腹部は柔らかくて、持続痛ですが、初期には、内臓痛である間欠痛から始まる症例もあ流ようです。

塞栓にしろ血栓にしろ最初は血栓が小さく、末梢であったりして画像診断でも診断できないことが多く、半日以上経って、中枢側まで血管が閉塞して初めて造影CTなどで診断されるため、疑った時は時間を空けて再検査の必要があります。皆さんに心房細動があるわけではありません(7〜80%)

 

胆石、尿路結石はもんどりうつ

車で来る時振動で痛かったですか?

Blumbergサイン

Psoas徴候(腸腰筋)右足を

 

 

胸部Xpの方が、free air(立位で5分間)が出やすい。胸部の方が接線方向になるので出やすい

憩室炎 粘膜しかない。微小穿孔で脂肪組織に囲まれて、小膿瘍になっている 極めて限局した圧痛 間欠痛で起こりやすい。炎症なので

虫垂炎 8時間〜17時間でわかる

腹痛でアセトアミノフェン

NSAIDSha炎症をとってしまって、診断がわからなくなる

炎症が主体の尿路結石や胆嚢結石はNSAIDSwo使いましょう。

 

腸閉塞

腸閉塞の腹痛の特徴は、腹痛の所見は、腹部は柔らかくて、①間欠痛(痛みがないときはゼロになる)で、②排便、排ガスなし(腸閉塞時に腸管運動が亢進して閉塞部より肛門側の軟便が一気に出る。その後でない)③手術歴です。初期は蠕動なら間欠痛ですが、進行して、絞扼性になって、虚血の要素が絡んでくると持続痛(炎症も持続痛)になってきます。しかし、絞扼性で完全に壊死すると痛みが軽減します。痛いうちに、CTで虚血を判断し、手術に持っていることが大切です。

診断は、初期は、腹部立位のレントゲンで二ボー(ガスの分布を見る)を確認、腸閉塞が進んでくれば、ガスが無くなってくるのでわからなくなります。超音波検査は、key board sign(ケルクリング襞)が見えて、to and fro(水の分布をみる)を確認します。最も重宝される画像検査は、腹部CTでしね。血流が悪くなっているかどうかがわかりますし、。

腸閉塞の原因は、手術(小腸の術後癒着)によるもの多いですが、食事としては、餅(腹部CTで結石のように見える)を筆頭に昆布巻き、糸こんにゃく、キノコ類、わかめ、柿、タケノコなどで起こります。腸閉塞は圧倒的に小腸(狭いから)に多い。便秘に腸閉塞ですね。

 

ヘルニア

腹痛の基本系は、腹膜刺激症状ははっきりしなくて、間欠痛(蠕動運動で波あり)>持続痛(虚血+炎症)です。

鼠径ヘルニアは、パンツをずらすとわかります。大腿ヘルニアも痩せている高齢の女性(女性は妊娠して、骨盤底筋がゆるむ)に多く、その気になれば、わかります。閉鎖孔ヘルニアも高齢のやせた女性に多く、恥骨の横が腫れていて、閉鎖神経の圧迫(内腿がしびれる)Howship-Romberg徴候などからプロは診断するかもしれませんが、基本、CTです。内ヘルニアもCTです。腹部所見に乏しい、間欠痛+持続痛は、腹部CT検査をしてみましょう。

S状結腸捻転 コーヒー豆サイン 超高齢者 大腸ファイバーで治す

若ければ、盲腸捻転を考える

大腸癌

腸閉塞 機械的閉塞

血行障害なし

 

イレウス 麻痺性

胆嚢結石、総胆管結石 

管の痛みであり、最初は間欠痛だと考えがちですが、胆嚢や胆管は平滑筋がほとんどない(間欠痛にはなりにくい)ので心窩部の鈍痛となることが多い、その後完全に胆石が詰まると胆嚢が圧が高くなってきて、胆嚢周囲で限局した腹膜炎を起すため持続痛(Murphy徴候陽性)になるようです。

診断は、エコーが第一選択(CTでは、ビリルビン結石は映るが、コレステロール結石は見逃す)ただ、エコーで胆石がなくても、食後(天ぷら 卵は胆嚢が収縮する)胆嚢が大きい(大きさではなく短軸で見て丸いかどうか)場合は、総胆管結石を疑うが、エコーでは見えないことも多いので、CTが有用です。

 

 

関連痛 胆嚢 右肩 膵尾部 左肩が痛い 骨盤腔の痛み

尿管結石 

尿管は平滑筋がたくさんあるので間欠痛

尿管結石は炎症なので持続痛

腸管は蠕動痛なので間欠痛

虫垂は蠕動がないので、持続痛

肋膜 胸膜 横隔膜 腹膜

小腸は間欠痛(周期が短い)大腸も間欠痛(周期が長い)

胆石 → 胆嚢炎 胆汁が滲み出てくると

胆嚢炎 殴打痛を確認

胆石 10〜20%有病率

80%はそのまま発作なく一生すごす(1〜4%)

 

 

急性膵炎 胸膝位が楽

アラーゼ 1/3は上がらない(アルコールたくさん飲む)

リパーゼが特異度が高いが、結果が出るまで数日かかる

伸ばされたり ねじれたり 炎症 虚血 化学物質 腫瘍の浸潤

副交感神経 上部気管 横隔膜 食道 胃カメラ 胃粘膜 痛くない

 

関連痛 交感神経と体性神経(臍 10番 TH六番  鼠径部 12番)

副交感神経 横隔神経(副交感神経)横隔膜に炎症が及ぶ疾患、胆嚢炎 膵炎などはC3〜C5 肩、首が痛い

横隔神経は心膜枝を出している 心臓も肩が痛い

胆石 右肩甲骨先 Collin’s sign 感度51%

胃 胆嚢 膵臓 腹腔神経節 大内臓神経 Th5〜9 胃が痛い

小腸 大腸(上行〜横行) 上腸間膜神経節 小内臓神経 Th 10〜12 お臍が痛い

大腸(下行〜肛門) 下腸間膜神経節 腰内臓神経 L1〜2

絞扼性腸閉塞は虚血だから持続痛と思いきや内臓痛(間欠痛)から壊死すると持続痛になる

腹腔神経節と上腸間膜神経節がつながっている

前皮神経絞扼症候群 ACNES

動くと痛い

腹直筋恥骨付着部炎

slipping rib syndrome

腸骨鼠径神経絞扼障害

陰部大腿神経絞扼障害

 

尿膜管遺残

剣状突起痛

盛り上がる紫斑 血管炎 感染

血管炎と感染症

IgA血管炎(ヘノッホ・シューンライン)

紫斑は100% 関節痛 75%(初期症状 15%) 腹痛 50% 下血(鮮紅色)30% 紫斑 浮腫 重力の影響で下肢に目立つ、仰向けに寝ていると背中に出ます。浮腫あり

子供に多い 圧倒的に10歳以下 90% 成人 10%

10〜40%は腹痛が先行して翌日ぐらいに紫斑がでることもある

原因 インフルエンザワクチン 感染 アレルギー

DKA

高カルシウム血症

腹部アンギーナ

大建中湯 血流をよくする

2〜3時間(脂肪分が多ければ3〜4時間)膵液、胆汁をかける

小腸 食後4〜6時間で通過 回腸末端で胆汁、水分を再吸収 水様便

大腸 1〜2日で通過

精巣捻転

精巣上体

立って診察する

2週間以上前にも痛い

外傷で

朝立ち 勃起する

蹴られていたかった

精巣挙筋反射がなくなる 感度100%

自分で握ってもらう

カンピロバクターは、10%の人はインフルエンザ症状でくるので、最初から38度〜39度のかなり高い熱が出ます。頭痛で来る人も多い、最初、右の下腹部痛でくる、その後下痢(血便)になります。回盲部炎、回盲部周囲のリンパ節炎

鳥を使った鍋、スーパーの鶏肉は半分ぐらいカンピロバクターがいる 80度以上の熱湯をかける 感染型の食中毒 2〜10日(平均5日)で腹痛、発熱あり。

マックバニー 反対側を押さえて ロブジング 閉鎖筋兆候 骨盤の方に垂れ込んでいるとわからない 内閉鎖筋をし 腸腰筋兆候

アクネス 前皮神経絞扼症候群

どの層に問題があるか 皮膚 カーネットサイン

腹直筋を緊張させる(お臍を見る姿勢)と痛みがなくなれば、腹腔内の痛み 同じように痛ければ、腹直筋に原因がある

ピンポイントで痛い  子供の慢性の腹痛の90%はこの病気 大人は急性、慢性 神経痛なので無茶苦茶に痛い

ピリピリ いつくるかわからない

寝返りなど体の姿勢で起こることもある

皮膚を摘んで表在の皮膚の感覚異常

治療は1%キシロカイン10ml

2〜3ヶ月後にまた痛くなる人も

複数箇所痛くなる人も

右の下腹部に多い

手術をした人 急に太った人

急性膵炎

左前腎筋膜(ゲタロ筋膜)に及ぶ輝度上昇
アミラーゼ正常の膵炎は多い。原因としては、胆石(45%)アルコール(35%)が多いが、薬剤、ウイルス(CMV、EB等)中性脂肪>1000mg/dl

 

閉鎖孔ヘルニア

高齢で痩せ型の女性が大腿内側部痛を訴えている場合は、出産歴を問診。全絞扼性イレウスの0.2〜0.4%

卵巣出血

排卵日や黄体期に重なる性行為は卵巣出血の誘因となる。月経中の性行為は骨盤腹膜炎の原因になる。

 

経過観察するときもただ「様子を見て下さい」ではなくて、「腹痛が強くなってきた」「熱がでてきた」「歩いたら響く」「血便あり」など具体的な症状を挙げて、こういった症状がでてきたら再診するように指示しましょう。実際の救急外来では腹痛で診断がつかない原因不明は20%ぐらいあります。

 

血液検査は異常なし。腹部も柔らか(腹膜刺激症状なし)なのに、6時間以上腹痛が持続。これは血管障害を疑い、造影CTを撮りましょう。腹部大動脈瘤破裂、解離、腸間膜動脈閉塞症、解離、絞扼性腸閉塞、卵巣、精巣捻転等。原因不明の腹痛は、造影CTで80%は診断がつくようです。

腹痛の診断にCTは優秀ですが、苦手な分野もあります。DKAやアレルギー性血管炎、高Ca血症、セアカゴケグモ、心筋梗塞、腹壁皮神経絞扼障害、帯状疱疹など

 

大腸憩室

憩室は、500円玉ぐらいの丸い感じ 大きさあり、若い男が多い 憩室炎 3日〜5日ぐらい痛い 食欲あって、パクパク食べる 3日間でヘロヘロ 食欲もない(虫垂炎)

 

真性憩室

仮性憩室

精巣捻転 腸間膜のリンパ節炎 全身麻酔をかけると筋弛緩が起きて、軽い捻転は元に戻ってしまう

参考図書

急性腹症の早期診断

  圧痛なし 圧痛あり
自発痛なし 異常なし 軽度の炎症あり
恐怖/不安(局麻の処置など)
自発痛なし 関連痛 虫垂炎の初期
腹膜刺激症状の程度を評価する

 

 

 

 

 

 

非解剖的腹痛(CTではわからない)

DKA
アレルギー性血管炎
電解質異常(高Ca血症)
中毒
セアカゴケ蜘
AMI

帯状疱疹

腹壁皮神経絞扼障害

急性間欠性ポルフィリア

SLE、リンパ腫、白血病