超音波検査(エコー検査)

レントゲン検査のように被爆することもなく、人体に安全で痛みを伴うこともありません。

超音波検査の仕組みは、魚群探知器と同じで超音波という人間の耳には聞こえないくらいの高い周波数の音波を海中に向かって発射し魚にあたってはね返ってきた超音波を受信することによって魚がどれくらいの深さにいるかをキャッチします。それにより画像を構成します。

心エコー

インフル053

絶えず働いている心臓の動きをリアルタイムで観察できることは、超音波検査の最も優れた特徴です。心臓の大きさ、形態、心臓の壁の厚さ、動き方などがわかることで、生まれつき心臓の壁に孔があいているような病気や心筋梗塞や心不全など壁の動きが悪くなる病気、心臓が大きくなる拡張型心筋症などの診断に役立ちます。

また、血球に当たり、はね返ってきた超音波の情報で、血液の流れる速度を測定したり、流れる方向に応じて色分けして表示することもできることで心臓の弁の異常(逆流や狭窄)を診ることができます。

 

 

心エコーで使われるドプラ法は、とても感度がよすぎて「ドプラ病」を作ってしまう可能性を常に考えておかなければならない。聴診器を当てても心雑音は聴こえない、医者が病気を作らないように、身体所見や臨床症状と照らし合わせて判断することが大切です。

 

頸動脈エコー

高血圧や高脂血症、糖尿病など生活習慣病になると「動脈硬化」が進んで、脳梗塞や心筋梗塞を起こすというお話しを聞かれたことがあると思いますが、動脈の壁にコレステロールが溜まってなど目で見てきたように言われますが、実際は血管の中のお話しで、なかなか直接見ることができません。

体の中の血管で動脈硬化を起こしやすい血管というのがあります。心臓の血管と、足の血管と腎臓の血管と頸の血管です。

その中でも、頸の動脈は皮膚表面に近いところを走っているので、エコー検査で動脈硬化があるかどうかを実際に目で見える形で調べることができます。高血圧、高脂血症、糖尿病などの患者さんを手当たり次第、心臓(狭心症)の検査をすることはできません。頚部血管エコーをすることで、心筋梗塞になりやすい人を事前に目星をつけて、フォローすることが出来るのです。
当院では、早期動脈硬化研究会の基準に則り検査を行っております。 

画像の説明

頸動脈エコー検査で観察できるのは、総頸動脈:CCA、内頸動脈:ICA、外頸動脈:ECA、椎骨動脈:VAのうちで黄色で囲んだところです。

 

 

動脈硬化の有無は、内膜中膜複合体厚(intima-media thickness:IMT)を測定して評価します。

画像の説明

動脈硬化性変化を伴わない健常者の総頸動脈長軸断層像は、血管の近位壁(near wall)遠位壁(far wall)ともに高エコー層、低エコー層、高エコー層の3層構造を示しますが、この3層構造が血管壁の内膜、中膜、外膜を画像化しているわけではありません。内側の高エコー層では血管内腔と内膜との境界が外側の高エコー層では中膜と外膜との境界が画像化されていて、近位壁、遠位壁ともに内膜と中膜の境界は現状では識別できません。そのため超音波検査では、内膜と中膜を合わせて「内膜中膜複合体」(intima-media complex:IMC)”とし、その厚さを内膜中膜複合体厚(intima-media thickness:IMT)とします。

画像の説明

近位壁のIMTの計測は、血管壁構造物の最内層の下縁(trailing edge)と最外層(高エコー層)の下縁(trailing edge)間の厚みを計測して求めます。
遠位壁のIMTの計測は、血管壁構造物の最内層の上縁(leading edge)と最外層(高エコー層)の上縁(leading edge)間の厚みを計測して求めます。

画像の説明

IMTの計測は、0.1mm単位の計測が必要なので、計測誤差を可能な範囲で除くことが重要となります。

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maxIMTの評価は健常者での加齢変化を考慮して、年代別基準値を参考データとして記載します。この総頸動脈の基準値では50代を1.0mm以下と設定ています。

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プラークとは、maxIMTが1.0mmを超え、IMC表面に変曲点を有する限局性の隆起病変とします。見つかったプラークが安定しているものか、それとも危険なものかは、プラークの形態とエコー輝度で判定します。プラークの表面の形態は、平滑、不整、潰瘍の3分類が一般的です。プラークの輝度に関しては、周囲の同じ構造物と比較し、無エコーまたは明らかに低輝度なものは“echolucent plaque” 等輝度からやや高輝度のものを“echogenic plaque” 明らかに高輝度で音響陰影を伴うものは“calcified plaque”として輝度分類します。

画像の説明

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腹部エコー

胆嚢ポリープ

人間ドックでエコー検査を受けたところ「胆のうポリープ」が見つかりました。このまま放置していいのでしょうか?

画像の説明

胆のうは肝臓の下縁に張り付くナスの形をした袋状の臓器で、肝臓で作られ胆汁を蓄える働きを担っています。胆汁は、脂肪分の消化を助ける消化液で、食事をすると、胆のうが必要に応じて収縮し、胆汁を総胆管を経由して十二指腸へ送り出し脂肪の消化を助けます。

 

 

画像の説明

胆のうポリープとは、胆のうの粘膜が盛り上がってできる隆起性病変(ポリープ)です。40~50 歳代で発見されやすく、男女差はありません。(胆石は、女性に多い)胆のうポリープの発見率は5~10%となっています。胆のうポリープが増加している原因として、超音波検査などの画像診断の進歩や普及したこと、またコレステロール系のポリープが多いことから、胆石と同じように食生活の欧米化が関係していると考えられています。

胆のうポリープは、胆のうの機能にほとんど影響が出ることはなく、症状もありませんが、稀にポリープの大きさやできた場所によって腹痛や腹部不快感などがみられることがあります。

胆のうポリープの分類

胆のうポリープには、過形成性ポリープ、炎症性ポリープ、コレステロールポリープと呼ばれる三つの種類があります。胆のうポリープのほとんどは、コレステロールポリープで(55%)胆汁内のコレステロールが結晶化して、胆のう粘膜に付着した良性のポリープで、がんになることはありません。その他、胆のう上皮細胞が増殖した過形成ポリープ、胆のう炎の繰り返して組織が隆起した炎症性ポリープがあります。また、分泌腺の細胞が増殖して盛り上がった胆のう腺腫と呼ばれる良性ポリープと悪性腫瘍である胆のうがんとがあります。

画像の説明

胆のうポリープは、胃や大腸ポリープのように内視鏡で直接ポリープを取って顕微鏡で調べることができないため、良性か悪性かの判断は、エコーにしろ、CT、MRIなどの画像診断では、ポリープの大きさや数、形態、胆嚢壁の状態から判断するしかありません。(奥の手の超音波内視鏡下穿刺吸引生検法での組織診断はあり)

ポリープの大きさが10mm よりも小さく、数が多い場合は、良性のコレステロールポリープの可能性が高くなり、治療は不要です。10mm 以下のポリープでは、悪性腫瘍の可能性はほとんどないので(5%は悪性の可能性あり)3〜6 ヶ月後に超音波で再検査します。大きさ・形に変化がなければ年に1回の超音波検査を受けるようにします。これに対して、大きさが10mm以上で、ポリープの茎が広く、盛り上がりの少ないポリープは悪性腫瘍(胆のう癌)が疑われ(10~15mmで25%、16~20mmで60%、20mm 以上で80%が悪性)胆のう摘出手術を勧めることになります。(悪性の確率が高い場合は開腹手術、悪性腫瘍の確率が少ない場合は腹腔鏡の手術)胆のうを摘出した場合、油っこい食事を取り過ぎると胆汁の分泌が追いつかなくて下痢をしやすくなりますが、肝臓あるいは胆管が代償的に働き、胆のうの機能を肩代わりするため、しばらくすると手術前のような食生活を取り戻すことができるようになります。

また胆のうポリープが10mm以上あり、胆のうがんに進行してしまっている場合、その70%に胆石を合併しており、逆に胆石を合併している患者では4~6%の患者に胆のうがんを合併しているといわれています。すなわち、胆石と胆のうポリープ・胆のうがんとの関連に注意が必要です。