超音波検査(エコー検査)

レントゲン検査のように被爆することもなく、人体に安全で痛みを伴うこともありません。

超音波検査の仕組みは、魚群探知器と同じで超音波という人間の耳には聞こえないくらいの高い周波数の音波を海中に向かって発射し魚にあたってはね返ってきた超音波を受信することによって魚がどれくらいの深さにいるかをキャッチします。それにより画像を構成します。

ダイナミックレンジ 画像のコントラストを調整する機能です。ダイナミックレンジを上げると軟らかい加増に下げると硬い画像になります。通常は50〜60dBで使用します。最初に調整すれば後はほとんど固定です。

ゲイン 画像全体の明るさを調整する機能です。見やすい明るさに適宜、調節しながら検査を行うため、頻繁に使う機能です。ゲインに似た機能にSTC(sensitivity time control)深さ方向の明るさを調整する機能ですが、こちらも最初にうまく調整すれば後はほとんど固定です。

フォーカスは、臓器や腫瘤など観察する部位に焦点を合わせる機能です。通常は7cmぐらいの深さにあわせるのが適当でしょう。

ズーム 拡大率は、病変を見やすいように自由に設定できますが、通常は実物大で表示するのが適当です。

 

ゼリーは温めておきましょう。

心エコー

インフル053

絶えず働いている心臓の動きをリアルタイムで観察できることは、超音波検査の最も優れた特徴です。心臓の大きさ、形態、心臓の壁の厚さ、動き方などがわかることで、生まれつき心臓の壁に孔があいているような病気や心筋梗塞や心不全など壁の動きが悪くなる病気、心臓が大きくなる拡張型心筋症などの診断に役立ちます。

また、血球に当たり、はね返ってきた超音波の情報で、血液の流れる速度を測定したり、流れる方向に応じて色分けして表示することもできることで心臓の弁の異常(逆流や狭窄)を診ることができます。

 

 

心エコーで使われるドプラ法は、とても感度がよすぎて「ドプラ病」を作ってしまう可能性を常に考えておかなければならない。聴診器を当てても心雑音は聴こえない、医者が病気を作らないように、身体所見や臨床症状と照らし合わせて判断することが大切です。

 

頸動脈エコー

高血圧や高脂血症、糖尿病など生活習慣病になると「動脈硬化」が進んで、脳梗塞や心筋梗塞を起こすというお話しを聞かれたことがあると思いますが、動脈の壁にコレステロールが溜まってなど目で見てきたように言われますが、実際は血管の中のお話しで、なかなか直接見ることができません。

体の中の血管で動脈硬化を起こしやすい血管というのがあります。心臓の血管と、足の血管と腎臓の血管と頸の血管です。

その中でも、頸の動脈は皮膚表面に近いところを走っているので、エコー検査で動脈硬化があるかどうかを実際に目で見える形で調べることができます。高血圧、高脂血症、糖尿病などの患者さんを手当たり次第、心臓(狭心症)の検査をすることはできません。頚部血管エコーをすることで、心筋梗塞になりやすい人を事前に目星をつけて、フォローすることが出来るのです。
当院では、早期動脈硬化研究会の基準に則り検査を行っております。 

画像の説明

頸動脈エコー検査で観察できるのは、総頸動脈:CCA、内頸動脈:ICA、外頸動脈:ECA、椎骨動脈:VAのうちで黄色で囲んだところです。

 

 

動脈硬化の有無は、内膜中膜複合体厚(intima-media thickness:IMT)を測定して評価します。

画像の説明

動脈硬化性変化を伴わない健常者の総頸動脈長軸断層像は、血管の近位壁(near wall)遠位壁(far wall)ともに高エコー層、低エコー層、高エコー層の3層構造を示しますが、この3層構造が血管壁の内膜、中膜、外膜を画像化しているわけではありません。内側の高エコー層では血管内腔と内膜との境界が外側の高エコー層では中膜と外膜との境界が画像化されていて、近位壁、遠位壁ともに内膜と中膜の境界は現状では識別できません。そのため超音波検査では、内膜と中膜を合わせて「内膜中膜複合体」(intima-media complex:IMC)”とし、その厚さを内膜中膜複合体厚(intima-media thickness:IMT)とします。

画像の説明

近位壁のIMTの計測は、血管壁構造物の最内層の下縁(trailing edge)と最外層(高エコー層)の下縁(trailing edge)間の厚みを計測して求めます。
遠位壁のIMTの計測は、血管壁構造物の最内層の上縁(leading edge)と最外層(高エコー層)の上縁(leading edge)間の厚みを計測して求めます。

画像の説明

IMTの計測は、0.1mm単位の計測が必要なので、計測誤差を可能な範囲で除くことが重要となります。

画像の説明

maxIMTの評価は健常者での加齢変化を考慮して、年代別基準値を参考データとして記載します。この総頸動脈の基準値では50代を1.0mm以下と設定ています。

画像の説明

プラークとは、maxIMTが1.0mmを超え、IMC表面に変曲点を有する限局性の隆起病変とします。見つかったプラークが安定しているものか、それとも危険なものかは、プラークの形態とエコー輝度で判定します。プラークの表面の形態は、平滑、不整、潰瘍の3分類が一般的です。プラークの輝度に関しては、周囲の同じ構造物と比較し、無エコーまたは明らかに低輝度なものは“echolucent plaque” 等輝度からやや高輝度のものを“echogenic plaque” 明らかに高輝度で音響陰影を伴うものは“calcified plaque”として輝度分類します。

画像の説明

画像の説明

 

腹部エコー

肝臓からいきましょう。

ちゃんと見落としなく見ようとすると肝臓の解剖の理解が不可欠です。

まずは、クイノー(Couinaud)の肝区域分類は、門脈の分枝をもとに分類した肝臓の番地を言える事で、共通言語が生まれます。(S3に癌があるなど)

クイノー分類

腹部エコーをする時には、正面からの像だけでなく、下から見上げた像もイメージできないと行けないので大変です。

 

(1)大動脈面 まずは、大動脈の縦走像で腹腔動脈と上腸間膜動脈を見ると肝臓はS3、食道が見えます。この面では、肝臓の腫大を判断します。膵体部がみえます。

(2)右に平行移動 大静脈が見えるとS3の下に突出して出てくるのが、S1(腫大の有無をみます)肝静脈のうっ血を確認します。膵頭部が見えます。

(3)左肋弓下操作では、丁寧に観察(端から端までおおきくプローベを振る)LHV(左肝静脈)が見えるまで縦に向ける。膵尾部が見えます。

(4)心窩部でやや斜めに操作してクイノーの肝区域分類がS1、S2、S3、S4と反時計回りに配置されていて、門脈は右枝と左枝に分かれます。右枝からは静脈間索から胆嚢に繋がります。

胆嚢の長軸をなるべく長く観察下後、肝門部で総胆管を描出します。門脈の上に見える管腔です。seven eleven ruleにて7mm以上が拡張、11mm以上が明らかな拡張とされています。肝門部のリンパ節は12番です。

(5)肝右葉に入って、S5は前下区域なので右の浅いところは見落としやすいのしっかり見ましょう。S5S8での肋間操作で吸気では横隔膜のかぶりが大きい場合は、呼気にして横隔膜を上げて観察します。

(6)肋骨に沿って下がっていくと腎臓が出てくるあたりがS6です。肝臓のきれっはしのところも見逃しやしので、肝臓が見えなくなるまで丁寧に振り下ろします。上極に副腎の腫大がないかは心に留めておきましょう。

(7)そこで、こんどは思い切り見上げてS8をみましょう。下に見えているのが横隔膜です。

(8)そこから降ろしてくるとICVからRHV、MHV、RHVが扇状に見えてきます。MHVは外科的右葉、左葉を分ける境界線として重要です。RHVは肝臓の前区域と後区域をわけています。RHVより下はS7になります。

(9)肋間操作で門脈がS5とS8に分かれていきます。S8は肺が被って見えないので、息をはいてもらうとよく見えるようになります。出来れば、S8の分枝がみえるまで頑張りましょう。

(10)最後に後区域の観察です。RHVが前区域と後区域の境界なので、下がS7になります。腎臓の近く、表面に近いのは、S6です。肝静脈と門脈は走行が別行動なので一方が長軸なら、他方は短軸になります。

(11)大動脈は、短軸であたりを付けてから、長軸を斜めから見ると16番リンパ節 臍部で左右の総腸骨動脈に分枝するところまで見ます(腹部大動脈瘤の好発部位)

(12)膀胱、子宮、卵巣を観察します。

(13)短軸で腸腰筋と腸骨動静脈を指標にします。その上に腸腰筋を乗り越えて回盲部に向かう回腸末端を探します(小腸は動いている)なにがなんだかわからん像とも呼ばれています。炎症や壁の肥厚などがあればわkります。

脂肪肝

深部方向の減衰増強
Brightnessの上昇
脈管の不明瞭化
肝腎コントラストの上昇(同じ深さで評価)

30%についたもの

脂肪がついたりしなかったり まだら脂肪肝と肝腫瘍の鑑別は、内部の脈管走行が正常化か、スペックルパターンが正常かが問題です。

NASHは、脂肪肝の鑑別はエコーではできません。組織所見によって確定診断されます。組織所見だけでは、アルコール性肝障害との鑑別は困難なので、診断基準としてアルコールも飲まないということが大切です。

エコーパターンが均一か不均一(粗造)かは、ほぼ経験によるもので、はっきりした定義はありません。急性肝炎(劇症肝炎)では、内部エコーは不均一(粗造)で激しい炎症で大きな塊で脱落壊死がおこって出血、腹水を認める事もあります。B型肝硬変は、Mesh patternと言って、ワイヤーメッシュなギラギラ様な特有の小網目状のパターンを呈します。原発性胆汁性肝硬変は、肝表面が紙やさざ波模様のような滑らかな曲線での凹凸不整が特徴で、内部エコーは、Glittering patternと言って、キラキラしたイメージ 日本住血吸虫症は、Network patternと言われる網目状のエコー像を呈します。肝癌を合併することがあるので注意が必要です。

静脈は壁に筋層がないために、肝硬変では肝静脈が押しつぶされて凹凸になって描出されにくくなります。

門脈圧亢進症では、肝臓内の門脈が見えにくくなります。側副血行路として食道静脈瘤(80%)胃静脈瘤 メドウサの頭 脾腎シャント 内痔核、腸間膜腎シャント 胸膜心膜腹膜シャント 脾静脈奇静脈シャント等があげられる。

側副血行路

超音波上良く観察されるのはこの内、左胃静脈、臍傍静脈、脾腎短絡である。

左胃静脈肝左葉の裏面に沿って,数珠状の脈管像がみられる.拡張・蛇行した左胃静脈~食道静脈叢の断面である.健常者では血流は求肝性だが,肝硬変では門脈圧の亢進に伴い遠肝性となる場合がある。カラードプラーを入れいると脈管であることがわかります。もし色が付かなかったらリンパ節が類類を腫れている像であります。ドプラーで定常波であることを証明すれば、門脈であり、肝外側副血行路であることがわまります。もし

 

脾腎シャント

腫大した脾臓の脾門部に見られるのは、拡張した短胃静脈です。脾臓と腎臓と胃の間に見られます。拡張蛇行した血管は脾腎シャントである。ここでも波形解析を行うことで門脈であることを証明できる。

肝硬変では、門脈圧亢進症で、胆嚢壁の肥厚がみられます。

肝門部のリンパ節 細長く扁平なのは、炎症性の変化だが、球形の場合は悪性のことが多い

肝細胞癌 5mm大の結節

限局性結節性過形成(FNH)は、腫瘤性病変。造影エコーで中心部から拡がる血流あり。

存在診断。輪郭にハロー(辺縁環状低エコー帯)があるということは、被膜があって、膨張性発育していることを意味します。被膜がない場合は、浸潤性発育もしくは多結節癒合となります。

側方エコーは、腫瘤性病変が平滑な場合に側方に引く黒い影です。胆石で見られるASも黒い影です。撮影角度によって側方エコーが出たり出なかったりします。

後方エコーは、腫瘤がエコーが透過しやすい均一な構造を示す組織や不均一でも液体の場合は増強します。反対に結合組織の成分が多い場合は、エコーが透過しにくくて減衰します。

内部エコーは高エコー(脂肪化)低エコー(索状型、偽腺管型)モザイクエコー(線維性隔壁、異なる分化度)転移性腫瘍は、Cluster signと言われ、小さな多数の高エコー結節が集族した像が特徴、 Bulls eye pattern(Target pattern)比較的幅の広いハローで弓の的の様な同心円状のエコーパターン

肝細胞がんの典型例は、単純結節型です。肝細胞がんの自然史では、5mmの高エコーの腫瘤が増大し、10mmの金平糖のような形からになって、15mmの球形の腫瘤になると内部に低エコー化(脱分化)し、2cmぐらいになると低エコー部分が数ヶ所に増えモザイク様になり、周囲への圧排で線維性被膜が出来てくるとハローができてきます。しかし、ハローは、線維性被膜がない腫瘤でも球形で周囲の組織を圧排する場合は、認められることがあります。

肝血管腫は、高エコー型、辺縁高エコー型(marginal strong echo)混合型(比較的大きな血管腫)chameleon sign wax and wane sign disappearing sgin

海綿状の血管腔に血流がたまっているのを見に行くことが重要です。

肝膿瘍は、素人が見ると一見、癌との鑑別が問題になりそうですが、中身が膿(液体)なので後方へコーの増強が見逃さなければ大丈夫です。

胆嚢腺筋症 限局性壁肥厚 内腔狭小化 壁在結石 分節型 限局型 びまん型

 

胆嚢ポリープ

人間ドックでエコー検査を受けたところ「胆のうポリープ」が見つかりました。このまま放置していいのでしょうか?

画像の説明

胆のうは肝臓の下縁に張り付くナスの形をした袋状の臓器で、肝臓で作られ胆汁を蓄える働きを担っています。胆汁は、脂肪分の消化を助ける消化液で、食事をすると、胆のうが必要に応じて収縮し、胆汁を総胆管を経由して十二指腸へ送り出し脂肪の消化を助けます。

 

 

画像の説明

胆のうポリープとは、胆のうの粘膜が盛り上がってできる隆起性病変(ポリープ)です。40~50 歳代で発見されやすく、男女差はありません。(胆石は、女性に多い)胆のうポリープの発見率は5~10%となっています。胆のうポリープが増加している原因として、超音波検査などの画像診断の進歩や普及したこと、またコレステロール系のポリープが多いことから、胆石と同じように食生活の欧米化が関係していると考えられています。

胆のうポリープは、胆のうの機能にほとんど影響が出ることはなく、症状もありませんが、稀にポリープの大きさやできた場所によって腹痛や腹部不快感などがみられることがあります。

胆のうポリープの分類

胆のうポリープには、過形成性ポリープ、炎症性ポリープ、コレステロールポリープと呼ばれる三つの種類があります。胆のうポリープのほとんどは、コレステロールポリープで(55%)胆汁内のコレステロールが結晶化して、胆のう粘膜に付着した良性のポリープで、がんになることはありません。その他、胆のう上皮細胞が増殖した過形成ポリープ、胆のう炎の繰り返して組織が隆起した炎症性ポリープがあります。また、分泌腺の細胞が増殖して盛り上がった胆のう腺腫と呼ばれる良性ポリープと悪性腫瘍である胆のうがんとがあります。

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胆のうポリープは、胃や大腸ポリープのように内視鏡で直接ポリープを取って顕微鏡で調べることができないため、良性か悪性かの判断は、エコーにしろ、CT、MRIなどの画像診断では、ポリープの大きさや数、形態、胆嚢壁の状態から判断するしかありません。(奥の手の超音波内視鏡下穿刺吸引生検法での組織診断はあり)

ポリープの大きさが10mm よりも小さく、数が多い場合は、良性のコレステロールポリープの可能性が高くなり、治療は不要です。10mm 以下のポリープでは、悪性腫瘍の可能性はほとんどないので(5%は悪性の可能性あり)3〜6 ヶ月後に超音波で再検査します。大きさ・形に変化がなければ年に1回の超音波検査を受けるようにします。これに対して、大きさが10mm以上で、ポリープの茎が広く、盛り上がりの少ないポリープは悪性腫瘍(胆のう癌)が疑われ(10~15mmで25%、16~20mmで60%、20mm 以上で80%が悪性)胆のう摘出手術を勧めることになります。(悪性の確率が高い場合は開腹手術、悪性腫瘍の確率が少ない場合は腹腔鏡の手術)胆のうを摘出した場合、油っこい食事を取り過ぎると胆汁の分泌が追いつかなくて下痢をしやすくなりますが、肝臓あるいは胆管が代償的に働き、胆のうの機能を肩代わりするため、しばらくすると手術前のような食生活を取り戻すことができるようになります。

また胆のうポリープが10mm以上あり、胆のうがんに進行してしまっている場合、その70%に胆石を合併しており、逆に胆石を合併している患者では4~6%の患者に胆のうがんを合併しているといわれています。すなわち、胆石と胆のうポリープ・胆のうがんとの関連に注意が必要です。