予防接種

乳幼児期は病気に対する抵抗力が未発達ですが、生まれたての赤ちゃんは、お母さんから免疫をもらっているため、一部の病気には罹りにくくなっています。しかし、その免疫も生後6ヶ月くらいまでにはなくなってくるので、その頃からいろいろな病気に罹りるようになります。お母さんからの免疫の移行の程度は、病気の種類によってもかなり違いあり(百日咳などはほとんど移行抗体はない)また、個人差(お母さん自身が予防接種を打っていない)もあります。予防接種は、抗体が存在する時期に接種しても十分な効果が望めません。そのために、標準的な接種時期が定めらています。

また、予防接種は好発罹患年齢になる前に完了していることが肝心です。罹患しやすい、あるいは重症化しやすい年齢などを考慮し、標準的な接種時期にできるだけ早期に接種しましょう。

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しかし、スケジュールで一番大事なのはお子さんの体調です。行政の広報、啓蒙不足、また保護者の予防接種への無関心さなどによって、接種率の低下が目立ちます。

 予防接種を受けられる方に
◎前もって、お電話などで予約をした上でご来院下さい。
◎あらかじめ、予防接種の手引き(たつの市から配布)をお読み下さい。
  (当院にも予防接種の手引きを用意しております。)
◎母子手帳、予診票を忘れずにお持ち下さい。

予防接種について小泉重田小児科のHPを参照させてもらっています。

 

公費(無料)の予防接種  (たつの市)

ワクチンの種類 期別分類 対象者(標準的な接種期間) 備考
四種混合 Ⅰ期初回 3ヶ月〜12ヶ月未満
3〜8週の間隔で3回接種
7歳6ヶ月未満まで
Ⅰ期追加 初回の3回目の後12ヶ月〜18ヶ月 7歳6ヶ月未満まで
二種混合 Ⅱ期 11歳 13歳未満
BCG 初回 生後5ヶ月〜8月未満(1回) 1歳未満
麻疹・風疹
(MR)
Ⅰ期 1歳〜2歳未満
Ⅱ期 幼稚園(保育園)年長組
水痘 初回 生後12ヶ月〜15月未満(1回) 3歳未満
追加 初回接種後6ヶ月〜12ヶ月(1回) 3歳未満
日本脳炎 Ⅰ期初回 3歳
(1〜4週の間隔で2回 )
Ⅰ期追加 4歳
(初回接種後6ヶ月〜1年後で1回 )
Ⅱ期 9歳(1回) 13歳未満
ヒブ(Hib) 生後2ヶ月〜7ヶ月未満の児 5歳未満まで
小児肺炎球菌 生後2ヶ月〜7ヶ月未満の児 5歳未満まで
子宮頸がん 中学校1年生相当〜高校1年生相当の女児

三種混合:百日咳、ジフテリア、破傷風
、ポリオ
二種混合:ジフテリア、破傷風

 

任意(有料)の予防接種

ワクチンの種類 対象者(標準的な接種期間) 料金 備考
おたふくかぜ 1歳以上 6540円
みずぼうそう 1歳以上 8490円
帯状疱疹ワクチン 50歳以上 23000円x2回
麻疹 公費対象でない方 7301円
風疹 公費対象でない方 7301円
麻疹・風疹
(MR)
公費対象でない方 10779円
三種混合 公費対象でない方 5365円
二種混合 公費対象でない方 4839円
肺炎球菌 2歳以上 8140円 75歳以上、助成あり
日本脳炎 公費対象でない方 7192円
B型肝炎 10歳以上(生後すぐ) 5590円 性交渉可能年齢まで
子宮頸がん 10歳以上の女性 16254円 45歳ぐらいまで
中学生〜高校1年生
相当に助成あり
ロタウイルス ロタリックス 14910円 2回接種
ロタテック 9310円 3回接種
インフルエンザ 1〜13歳未満(2回)
13歳以上(1回)
4000円(1回目)
2000円(2回目)
65歳以上、助成あり。1000円
(自己負担金)

 

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VPDって何?

VPD Vaccine Preventable Diseases ワクチンで防げる病気の略です。日本では、現在でもワクチンで予防できるはずのVPDに感染して、苦しんだり、後遺症を持ったり、死亡したりしているのです。ワクチンで防げる主な病気に、麻疹(はしか)百日咳、風疹、おたふくかぜ、ポリオ、ジフテリア、みずぼうそうなど予防接種でおなじみの病気もたくさんあります。世の中にあるたくさんの感染症のなかでワクチンで予防できる病気だけでも予防して、大切な子供たちの命を守りましょう。


自然にかかるよりはるかに安全に免疫を作ります

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生ワクチンと不活化ワクチン

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生ワクチン
生きているウイルスや細菌の毒性や発病力を弱めてつくったワクチン。接種後しばらくしてからその病気の症状が軽く出ることがあります。

 

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不活化ワクチン
ホルマリンや紫外線などで処理をし、感染力や毒力をなくした病原体ないしその成分で作ったワクチン。1回接種しただけでは必要な免疫を獲得・維持できないため、数回の接種が必要です


ワクチンのスケジュール

ワクチンデビューは生後2ヶ月

これから、大きくなっていく子どもを確実にVPDから守るためには、たくさんの予防接種を受ける必要があります。そのためには、スタートダッシュが肝心です。。生後2か月の誕生日になったらすぐ始めましょう。VPDにかかりやすい時期になる前にあらかじめワクチンで十分な免疫をつけておくことが大切です。(ひとたびかかってしまうと重症化しやすく入院が必要になったり、命にかかわったりする場合があります。)早く免疫をつけるためには、同時接種が必要不可欠です。多数のワクチンを1本ずつ受けていては、毎週接種のため通院しなければなりません。そのうえ、接種が遅れがちになっって、VPDにかかってしまったらなにをしているのかわからなくなってしまします。

初めてのワクチンは、ヒブ+小児用肺炎球菌(+ロタウイルス+B型肝炎は、任意接種です。)ヒブと小児用肺炎球菌ワクチンは、細菌性髄膜炎を予防します。生後、3ヶ月のBCGは「集団接種」で行われています。ワクチンには「不活化ワクチン」と「生ワクチン」があります。不活化ワクチンを接種すると1週間後には、別のワクチンを受けられます。BCGは、生ワクチンは、次のワクチンとは4週間あけなければなりません。スケジュールをたてるときには、生ワクチンと不活化ワクチンの接種順序に注意しましょう。日程が合えば、3ヶ月のヒブ、小児用肺炎球菌、三種混合ワクチンなどの同時接種後、1週間以上してBCGを受けましょう。

平成24年9月より、不活化ポリオの予防接種が始まります。また11月からは、四種混合(DPT/IPV)ワクチンが出てくる予定です。不活化ポリオワクチン(単独)接種するのか、四種混合ワクチンを接種するのかは、これまでに三種混合ワクチンを接種しているかによって異なります。かかりつけ医と相談しましょう。

しかし、実際には、生後2か月からはじめられなかったり、体調を崩して予定通りにすすまなかったりすることもありますね。そのような場合でも、同時接種は重要になってきます。

1歳の誕生日プレゼントは、麻疹/風疹混合ワクチンを最優先で受けましょう。1ヶ月後に、次に受けたいのはみずぼうそうおたふくかぜの順番となるが、保育園などでおたふくかぜが流行っていれば、おたふくかぜワクチンを優先して下さい。みずぼうそうおたふくかぜワクチンは同時接種でもかまいません。

当院推奨のワクチン接種スケジュールです。

0歳 1歳 3
4
5〜6
9
11
13
20
65
2
ヶ月
3
ヶ月
4
ヶ月
5
ヶ月
6
ヶ月
7
ヶ月
8
ヶ月
0
ヶ月
1
ヶ月
3
ヶ月
6
ヶ月
ヒブ
小児肺炎球菌
B型肝炎
ロタ
DPT-IPV DT TX
10年毎
BCG
日本脳炎 ①②
MR
水痘
おたふくかぜ
HPV ①②③
成人肺炎球菌

 

キャッチアップスケジュールのポイント(例えば14歳)

ヒブ  5歳まで
小児肺炎球菌 5歳まで
B型肝炎 sexデビューするまでに
DPT  初回3回で基礎免疫(詳細はDPTへ)
ポリオ 生ワクチンの組み合わせに注意(詳細はポリオへ)
BCG  5歳未満で結核性髄膜炎、粟粒結核の予防
水痘  13歳以下 2回接種 2回目は、1回目の3ヶ月以降
13歳以上 2回接種 2回目は、1回目の4週間以降
おたふくかぜ 2回接種 2回目は、1回目の4週間以降

ワクチンの安全性 ワクチンはこわくないの?

ワクチンは、副作用が怖い?ってよく言われますが、実際には、起こるとしても、接種した場所が赤く腫れたり少し熱が出る程度の軽い副反応がほとんどです。

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◎接種した所が赤くなる
接種場所が赤くなることは、どのワクチンでもよくあります。特に、局所反応が
多いワクチンは3種混合(DPT;ジフテリア・百日せき・破傷風混合)です。ふつうは治
療の必要はありません。まれにひじを超えて腫れが広がることもあります。この場合は、
腫れをとる薬などを処方します。

◎熱が出る
生ワクチンは、病原性(毒性)を弱めたウイルスや細菌を使うので、ふつうは
特別な症状は出ませんが、中には軽くその病気の症状が出ることがあります。代表的なの
が麻しん(はしか)で、熱が出るケースが約20%あります。ただ、症状は強くはありま
せん。逆にいうと、毒性を弱めたワクチンのウイルスでさえ熱が出る子は、本物の麻しん
(はしか)にかかるとさらに重症になる危険性が高いといえるでしょう。

◎その他の副反応の問題
ワクチンを接種した場合に、合併症を起こすことがあります。たとえば、おたふくかぜ
のワクチン接種を受けると、数千人に1人(0.05%程度)、無菌性髄膜炎が起きるケース
があります。しかし接種を受けないで自然にかかった場合は、約2%(100人に2人)の
患者に無菌性髄膜炎が起こるとされているので、ワクチンを接種した方が、発生する割合は
 はるかに少ないのです。また、ワクチンで起こる無菌性髄膜炎は、ふつうはひどくなら
ず、短期間の入院か外来治療で済みます。

ワクチンを接種した時に起こる副反応と、ワ
クチンを接種しないでその病気にかかった時の危険性をくらべると、ワクチンを接種しな
いで重症になった時の方が、ずっと怖いのです。ワクチン接種は、国連のWHO(世界保健機関)を中心に、世界中で推進されています。世界中でこれほど多くの人に使用されている薬剤(ワクチンも薬の一種です)はありません。

ワクチンを接種後に、高熱を出したり、脳炎を起こしたという話が報道されることがあります。しかし、これが本当にワクチンのせいかというと、ワクチン接種後に起こったというだけでは、断定できません。もしかしたら他に原因があって、それがたまたまワクチンを接種した時期に起こったことかもしれないのです。たとえば、接種後にたまたまかぜをひいて熱を出した、というケースもよくあります。むしろ、ワクチンを接種した後にたまたま起こった紛れ込みの事故である可能性が高いといわれています。接種直後にショックが起こった時以外のことは、医師にもワクチンのためかどうか、判断が難しいのです。

ワクチンを接種する時注意しなければいけない子どもは、まず、ワクチンの成分に対して極めて強いアレルギー(アナフィラキシーと呼びます)がある場合です。この場合は、そのワクチンの接種はできません。接種を受けるとショックを起こす危険性が高いのです。また、生まれつき免疫が極めて弱い先天性免疫不全症がある場合や、小児がん治療などで免疫を抑える薬を使用している場合も、主治医と相談してください。その他、特別な病気のある場合も同様です。逆に言えば、こういう場合以外は、安心して受けることができます。

接種間隔

予防接種で使うワクチンには、生ワクチン不活化ワクチンがあり、異なるワクチンを接種する場合には間隔を守ることが必要ですが、2020年10月1日より、異なるワクチンの接種間隔について次のように規定改正が行われました。注射生ワクチン(BCG、麻疹・風疹、水痘、流行性耳下腺炎)どうしについては、現行どおり27日以上の接種間隔を開けて接種します。これ以外の接種につきましては、「制限なし」に変更となりました。


同時接種について

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子どもを確実に守るためには同時接種が必要です。日本の赤ちゃんが0歳で接種するワクチンは種類も多く接種回数は17回以上(公費接種でできるすべての予防接種をすると26回)するとなるとになります。3ヶ月で受けるBCGは生ワクチンのため、接種後は4週間あけなければなりません。これらを1本ずつ単独で受けると、何か月間にわたってほぼ毎週接種することになります。しかし、いつも体調がよいとは限りません。同時接種をしない場合の一番のデメリットは、1本ずつ受けていては接種が遅れがちになり、確実にVPDを予防することができなくなってしまうことです。そこで、世界中で行われている有用な方法が同時接種です。同時接種で受けると、必要な免疫をより早くつけることができ、確実に子どもをVPDから守ることができます。世界中の小児科医が同時接種を実施しているのは、予防接種スケジュールが簡単になり、接種忘れなどがなくなる(接種率があがる)だけでなく、早く免疫をつけるというワクチン本来の目的を果たすためには必要だからです。これだけ、たくさんの予防接種があると、同時接種をする場合の組み合わせは、天文学的な数字になり、組み合わせについての安全性のエビデンスを求めることは、ナンセンスです。腕の接種の部位は、肘から1/3上部の皮下に打ちますが、必ず正中で行います。外側にずれて外側上腕皮神経に当たると上腕の外側にしびれがおこってしまいます。ちなみに、三角筋部の筋注は、肩峰より四横指下付近は、腋窩神経が通っているので、あまり深くすると三角筋の麻痺で腕の挙上ができなくなります。必ず、四横指以内で筋注しましょう。

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既に、何十年も前から諸外国では、同時接種を行って来た経験があり、健康被害が起こっていない、同時接種で副反応が増えていないという事実がその証拠として十分ではないかと思っています。しかし、日本では始まったばかり、お母さんも心配、医療機関も怖々であたりまえです。「医師が必要と認めた場合には・・・」国のお墨付きをもらって、正しい情報をお母さんに説明して、子どもの健康と安全を最大限願っていることを前提に、同時接種2本、3本との妥協点を見いだして行っています。まずは、かかりつけ医と相談してみましょう。

皮下注と筋注

ワクチンの接種方法として、生ワクチンは皮下注、不活化ワクチンは筋注という原則があります。ワクチンは海外では、殆ど筋肉注射で使用されています。ところが、日本ではB型肝炎など一部の例外を除いて、殆どのワクチンが皮下注射で行なわれています。これは一体何故でしょうか?

「筋肉注射による筋短縮症」
1970年代の初め、山梨県のある町の幼児に、筋短縮症と呼ばれる奇病が集団発生しました。太腿の前側にある「大腿四頭筋」という名前の筋肉が、異常に収縮して伸びなくなり、膝が伸びず、うまく歩けなくなるという症状です。この病気は当初遺伝病と言われたり、風土病と言われたりして、なかなか原因が分かりませんでした。当時、太腿への筋肉注射は、盛んに行なわれた一般的な治療でした。筋肉注射をする場所としては、肩かお尻か太腿というのが一般的です。その内容は、解熱鎮痛剤(スルピリン)と抗生物質(クロラムフェニコール)です。これらの溶剤の浸透圧やPHが、筋肉に障害を与える性質のものだったのです。この事件は、大腿四頭筋拘縮症訴訟になり、ワクチンも皮下注しか認めないということになってしまいました。しかし、なんら検討も行なわないままに、このような状況が続いているのも、あまり科学的な態度とは言えませんね。

厚労省の発行している予防接種ガイドラインには、通常見られる副反応(局所発赤・腫脹,硬結)に対する対策として、「接種はなるべく皮下深く接種する」との玉虫色の記述が見られます。

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平成24年の予防接種ガイドラインに皮下注(筋注ではない)ではありますが、接種部位として大腿部が解禁されました。突然ではありましたが、国もやっと筋短縮症という長い呪縛から解き放たれたようですね。


どうして、ワクチンを受けなければいけないか?

「マドンナ」という漫画を読んだことがありますか?ラクビーの青春ドラマ「スクールウォーズ」主題歌は麻倉未稀の「Hero(ヒーロー)」の漫画版のようなものです。

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「ワールドカップ」といえば、サッカー。日本でもJリーグが定着し、市民権を得たようですが、ラクビーにもワールドカップがあり、2019年、日本開催が決まっています。ラグビーには「One for all All for one 1人はみんなのために、みんなは1人のために」という精神があります。

ワクチンも同じです。確かに極めて稀とはいえ、ワクチンの副作用で、残念な結果となったお友達がいることは事実ですが、ワクチンを接種しないで病気にかかかり、重症になる危険性の方がはるかに高いことがわかっています。ワクチン接種は、国連のWHO(世界保健機関)を中心に、世界中で推進されています。世界中でこれほど多くの人使用され、恩恵を与えている薬剤(ワクチン)は他にはありません。ワクチンを接種した後の多くの科学的調査でワクチンの安全性は証明されています。一部のワクチン反対派の方々のお気持ちもよくわかりますが、世の中に絶対100%安全というようなものはありません。

ワクチン接種は、自分がかからない(もしかかっても症状が軽くてすむために)「個人防衛」のために受けることはもちろんですが、もうひとつ大事なことは、ワクチンを接種できる人たちが、きちんとワクチンを受けることにより、地域社会で病気の流行を防ぐこと「社会防衛」ができます。病気が流行しなければ、ワクチンを接種したけれどうまく免疫ができなかったお友達、病気のためにワクチンを受けたくても受けられないお友達、ワクチンを受ける年齢になっていない赤ちゃん、おなかに赤ちゃんのいる妊婦さん、体力の低下した高齢者も病気から守られるのです。 ワクチン接種は、自分のため、そしてみんなのために受けるようにしましょう。

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2歳男児が、ヘルニアの手術で入院。(水痘ワクチンの接種歴は1回で、入院前の3週間で水痘の曝露歴はなし。水痘の発症リスクは非常に小さいと考えられる)ところが、入院翌日に体幹に皮疹が発見され、PCR検査で水痘の確定診断となる。こういったすり抜けて入院してくる水痘感染児は予測のしようがありません。水痘は、発疹が現れる48時間前から感染性があるので、そこまでさかのぼって病棟内の曝露者を確認し、水痘の免疫がない小児が曝露していたら、ワクチンを緊急接種しなければなりません。小児病棟には、白血病や悪性腫瘍、腎炎などで大量のステロイドホルモンを服用しているお友達がたくさん入院しています。ワクチンを接種できない小児にはアシクロビルを予防内服させ、重度免疫が低下している小児には、γグロブリンを投与して発症しないことを祈るしかありません。東京都立小児総合医療センターでは、こうした水痘による病棟閉鎖を年間に10回近く余儀なくされているわけです。


「世界がもし100人の村だったら」

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50人は栄養失調に苦しみ、25人は雨露しのぐ家がなく、25人の子供は働いています。17人はきれいな水が飲めません。日本人は2人です。日本人として生まれたことが幸せです。世界では、多くの子供たちが予防接種も受けることができずに命を奪われています。

防ぐ方法があるのに防がない。こんなもったいないことはありません。ワクチンで予防できる病気は、いったん罹ってしまうと日本の現在の最新医学をもってしても、治療がむずかしく後遺症を残したり、命を落としたりしてします。感染症以外にも致死的な病気はありますが、ワクチンで防げる病気だけでも予防して大切な子供たちの命を守りましょう。

 

アレルギーや思想的なことなどで、保護者が予防接種を受けない権利を主張される場合もありますが、はっきりとした理由もなく、子供の予防接種を受ける権利を侵害しないように配慮することも重要です。よく考えて、計画的に予防接種を受けましょう。予防接種は最も副作用が少なく、最も費用対効果もすぐれた医薬品です。


子どものかかりやすい病気

ワクチンで予防できる病気(VPD)は、ワクチンを受けておくことが、大事です。

ワクチンがない(予防が難しい)   ワクチンがある(予防できる)

突発性発疹             麻疹(はしか)/風疹
ヘルパンギーナ           ポリオ
手足口病              ジフテリア/破傷風/百日咳
伝染性紅斑(りんご病)       日本脳炎
咽頭結膜熱(プール熱)       おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
伝染性(とびひ)          みずぼうそう(水痘)
伝染性軟属腫(水いぼ)       肺炎球菌感染症(小児)
溶連菌感染症            インフルエンザ
マイコプラズマ肺炎         Hib-ヒブ感染症
尿路感染症

任意接種のワクチンはお金がかかる

皆保険制度が整備され、医療先進国の日本ですが、予防接種の制度は世界からみるとかなり遅れています。欧米の先進国ではできても日本ではできないワクチンや無料で接種できないワクチンが多くありましたが、最近はだいぶん改善されつつあります。

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日本のワクチン行政は、子供たちにはやさしくない制度です。ほとんどの場合は全額自己負担で、何回も接種が必要なものもあり、決して安い金額ではありません。しかし、なにもせずにその病気に罹ると、お母さんやお父さんは仕事を休んで、病院に通院しなくてはなりません(逸失利益)入院などとなるとさらに大変です。兄弟にうつると2倍3倍の負担となります。後遺症など残れば一生モンです。そうなれば、なにより決してお金には換算できませんが、心理的損失は多大なものになります。ワクチンの値段は決して安くはありませんが、後で後悔するよりも、TVゲーム1個か2個分をワクチンに回すのも賢いお母さんのやりくりではないでしょうか?

医療費の増大が問題となっている今日ですが、必要なワクチンをすべて公費にすれば(先進国では概ねそうなっています)みんながワクチンを受けて、その病気に罹る人がいなくなっていくわけですから、大切な子供たちの命を健康を守ることができ、医療費も削減できます。だれか、票にならなくても、こういう施策を推し進める信念のある政治家は出てこないものでしょうか。

予防接種の料金は、どうして医療機関でバラバラ?

任意の予防接種インフルエンザ、水ぼうそう、おたふくかぜなど)は、共通の料金を医師会等で設定することは、独占禁止法で禁じられており、各医療機関毎に決めることになっています。概ね、公費の予防接種の料金を目安に設定しております。

予防接種料=①診察料 + ②ワクチン接種手技料  + ③ワクチン代 + ④ワクチン接種後の健康被害対策費 + ⑤税金

① 診察料 予防接種法で、予防接種を行う前には問診と診察をしっかりと行い予防接種
に際しての禁忌事項や注意事項に照らし合わせて問題がなく、予防接種を行っても差し
支えないことを確認することが要求されています。

② ワクチン接種手技料 注射器代を含め、ワクチン接種における技術料です。

③ ワクチン代金

④ ワクチン健康被害対策費 ワクチン接種で被接種者に健康被害等の問題が発生する可
能性があります。その際の対策費です。

⑤ 税金 自費診療(その他、健康診断など)には消費税がかかります。

ぶっちゃけ言うと、予防接種料が高いのは、仕入れ値の③ ワクチン代金が高いということですが、医療機関毎に接種料金が異なっている最も大きなものは、④ ワクチン健康被害対策費です。接種料金を安く設定している医療機関は、本来のワクチンの役割である多くに人に行うべきという純粋な考えられている場合やワクチンを餌に患者さんに医療機関に来てもらおうと集客を目的にしている場合もあります。反対に、ワクチンを打つのがめんどくさい、いろいろなトラブルに巻き込まれるのが嫌だと思っているところは、とにかく接種料金を高く設定しがちです。しかし、一般的には、個人的にはいろいろ考えるところはあるものの、予防接種事業を円滑にすすめるために行政に協力しているところが多いようです。小児科で接種することが最も安心とは思いますが、安い料金の医療機関を探してみることも、一つの方法かもしれません。当院は、標準かちょっと高めの設定かもしれません。今回の新型インフルエンザのように、お上が決めて全国統一料金にするのが、めんどくさくなくていいと思うのですが・・・。

予防接種を受けるときの姿勢

お母さんは、子供を抱いて椅子に座り、お母さんのお腹と子供の背中をぴったりと密着させます。そして、お母さんの両足で子供の足をしっかり挟みます。それから左手で子供の右手の二の腕あたりをしっかり持って、その上から右手で子供をしっかりと抱きましょう。(右手に注射するときは、手は反対になります)

予防接種の姿勢 ピクチャ のコピーのコピー