メタボリックシンドローム

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「メタボリックシンドローム

2006年の流行語大賞で第3位になり表彰を受ける。
( 受賞者:(社)日本内科学会)

ちなみに、年間大賞は「イナバウアー」荒川静香さんと「品格」藤原正彦さんが選ばれた。

 

2007年のサラリーマン川柳で、ベスト100に8席がランクイン
。

第9位  脳トレを やるなら先に 脂肪トレ
第10位 たまったなぁ お金じゃなくて 体脂肪
第16位 妻タンゴ 息子はスノボ 俺メタボ
第17位 デスノート 「脂肪」「脂肪」と 書く女房
第28位 俺だって 診断結果は チョイ悪だ
第68位 飲み仲間 ついた名前は メタボの会
第72位 そのすきま 席(せき)ゆずられても すわれない
第87位 なつかしや 妻のエクボが いまメタボ

ちなみに、第1位は 脳年齢 年金すでに もらえます

さて、以前より動脈硬化の危険因子が重なれば、心筋梗塞の発生率は増加することが報告されており「シンドロームX」「内臓脂肪症候群」「死の四重奏」「代謝異常症候群」「インスリン抵抗性症候群」などと呼ばれてきました。

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これらの危険因子は偶然に集まったわけではなく、上流に共通の発症基盤を持つひとつの疾病単位として「メタボリックシンドローム」という概念が生まれて来ました。つまり、最上流には生活習慣(過食や運動不足)のゆらぎがあり、肥満、インスリン抵抗性から生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病)が発症、最終的に脳卒中心筋梗塞になるという「メタボリックドミノ」と呼ばれるモデルです。

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栄養摂取量の年次推移ですが、ここ最近40年、摂取エネルギーはほとんど増えていませんが、脂肪(動物性)の摂取割合が4倍に増加しています。

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おいしいですが、諸悪の根源です。

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運動不足の原因は車社会の恩恵?でしょう。ついそこまででも車に乗っていませんか? 自動車の保有台数に比例して、糖尿病患者数が増えています。意識して運動しなければ、いつのまにか運動不足になってしまう社会構造です。

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メタボリックシンドローム」というのは、食生活の変化や生活スタイルの変化によって、今まで正常だった代謝機能に、異常や不調が発生する疾病群ということになります。「メタボリック」という言葉は日本語で言うと「代謝」となります。人間は、動かないでじっとして呼吸をするとか心臓を動かすということだけでもエネルギーを必要とします。体外から取り入れた物質を用いて新たな物質を合成したり、それにともなってエネルギーを産生したりするもとを「代謝」といいます。

心筋梗塞は働き盛りの突然発症すると、社会的にも極めて損失が大きく、大きな健康問題として持ち上がってきました。「メタボリックシンドローム」はその予防を目的として、2008年より始まった特定健診で腹囲測定が義務づけられました。

 

メタボリックシンドロームの診断基準

まずは肥満があることが前提条件です。腹囲(へそ周り)が男性85cm以上、女性90cm以上あって、なおかつ、脂質異常、高血圧、空腹時血糖の異常が2つ以上ある場合にメタボリックシンドロームと診断されます。

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女性の腹囲については、腹部CTにて内蔵脂肪面積を検討した結果として90cmとなっており、日本だけ男性より太くなっています。日本の診断基準については科学的根拠があるわけですが、諸外国にならって、見直す方向になっています。

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BMI>25を肥満と判定します。女性の体型はあまり変化していないが、男性はここ20年で約2倍にふくれあがっています。
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BMI Body Mass Index(体格指数)

従来の標準体重の計算式は、ブローカー変法が一般的でした。
肥満度=体重(kg)/(身長(cm)ー100)/0.9 しかし、この計算式では身長の低い人ほど厳しく判定されたり、そもそも「標準体重」というものが特に医学的根拠をもたないという問題がありました。
BMIは=体重(kg)/(身長(m)x 身長(m))とは統計学的に求められた値で22の時が、一番疾病の罹患率が低く、理想体重とされています。つまりBMIの小さい痩せた人は、肺炎や結核などの感染症の発病率が高く、BMIの大きい太った人は、糖尿病や心臓病などの発病率が高いのです。BMIは有疾患率がもっとも低い点を「理想体重」と設定しているのがミソで国際的にも広く普及しています。


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りんご型肥満 VS 洋なし型肥満

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悪いのは内臓脂肪(りんご型肥満 普通預金型)ですが、運動などの治療にも反応しやすいのも特徴です。女性では皮下脂肪(洋なし型肥満 定期預金型)が圧倒的に多いため内臓脂肪があまりなくてものウエスト径が大きくなってしまいます

 

内臓脂肪     皮下脂肪

そもそも肥満とは、脂肪組織が過剰に蓄積した状態をいい、高血圧や糖尿病などと比べてあまり注目されてきませんでした。しかし、余分のエネルギーを蓄えるだけしか能がないと考えられていた、脂肪細胞が実はアディポネクチン(善玉ホルモン)やTNFα(悪玉ホルモン)を分泌する最大の内分泌組織であるということがわかって、俄然注目されるところとなりました。

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「脂肪細胞の数は20歳前までに決まる」「脂肪細胞が増えるのは幼少期と思春期」なんて話を聞いたことがありますが、最近の研究では、脂肪細胞は分裂し増殖を繰り返すことが明らかになってきました。諸説あるようですが、食べ過ぎなどによって体内に余分な脂肪が入ると細胞がその脂肪を吸い取って、どんどん大きく膨らんでいきますが、膨張の限界(直径で1.3倍)に達すると、細胞分裂して数が増えます。さらに、分裂した脂肪細胞が同じように膨張することを繰り返すと、脂肪はどんどん増えて肥満が進んでしまうのです。つまり、軽度の肥満(BMI約27)までは脂肪細胞の肥大のみで対応できますが、それ以上になると細胞数が増えてしまうので痩せにくくなってしまうと言われています。


血圧は145/90mmHg、LDLコレステロールは150mg/dl、空腹時血糖は113mg/dl。みんな大したことはないちょっと正常値をはずれているくらいですね。しかし、ひとつひとつの疾患(高血圧、高脂血症、糖尿病)が、境界域あるいは軽度だからといって軽く考えるのは禁物です。1+1が2ではなく、3にも4にもなるのです。

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平成16年の国民健康・栄養調査でメタボリックシンドロームが強く疑われる人と予備軍と考えられる人(内臓脂肪型肥満に加え、高血糖、高血圧、脂質異常のうちいずれか1つが該当する人)を合わせた割合は、40〜74歳の男性の2人に1人に相当すると考えられています。また、厚労省の研究ではメタボリックシンドロームの危険因子をひとつも持たない人が冠動脈疾患を発症するリスクを1とした時、危険因子を2つ持つ人は約10倍、3〜4個持つ人は31倍も発症リスクが高いと報告されました。

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健診で「メタボですよ」とかわいい響きとは裏腹に怖い現実が隠されていることに気がつきましょう。「血圧が高いですよ」「糖尿の気がありますね」と言われるのと比較して数倍、心筋梗塞に近づいているわけです。心筋梗塞は医学の進歩により助かるようになってききておりますが、突然死もあるたいへん危険な病気です。特に見た目ではちょっとお腹が出たぐらいの 病院なんて行ったこともない健康には自信満々のお父さん、40歳。さらにタバコなんて吸っていれば、いつ心筋梗塞が起こってもおかしくない、かなり危険な状態です。癌になるのもいやですが、すぐに死ぬわけではありません。まだ、家族と過ごす時間は残されています。朝、会社の通勤途中に急に胸が痛くなって、ウッウッと唸って倒れ、救急車で近くの病院へ搬送されましたが、帰らぬ人となりました。亡くなったご本人はなにがなにやらわからずに天国から下界を見ます。自分の葬式が行われています。残された奥さんは、中学校1年生と小学校3年生の子供2人をかかえ、家のローンもまだ残っていて、途方にくれています。
「あ〜 あの時、ちゃんと治療をしておけば・・・」とならないように。