ジャヌビア
【組成・性状】シタグリプチン
【用法・用量】1日1回 50mg 効果不十分なら、100mgまで増量可
【薀蓄等】
DPP-4阻害薬は、合併症の抑制に関する長期間でのエビデンスはまだないが、現時点では重篤な副作用が報告されていないこと、単独投与では低血糖がほとんどないこと、体重増加を来さないこと、1日1回の服用でよく服薬コンプライアンスが高いことが利点である。
インクレチンとは、食事摂取に伴ない消化管から分泌され、膵β細胞からのインスリン分泌を促進するホルモンです。インクレチンには、GLP-1(小腸下部のL細胞から分泌)とGIP(小腸上部のK細胞から分泌)の2種類あり、GLP-1は、中枢への作用や胃からの食物排泄遅延作用により、血糖降下、体重減少、合併症の予防、膵β細胞の保護などが期待知れています。インクレチンは、生体内ではDPP4で数分以内に分解されます。よって、糖尿病治療薬としては、DPP4活性を阻害する事によって、活性型のGLP-1とGIPの血中濃度を増加させる、または直接GLP受容体を活性化させるお薬が開発されました。
ブドウ糖を経口摂取した場合、同程度の血糖上昇をきたすように経静脈投与した場合と比較して、インスリン分泌ははるかに大きくなることが知られていました。このことは、経口摂取により誘導される腸管由来のインスリン分泌促進物質が存在することを意味し、そのような消化管ホルモンをインクレチンと呼ばれていました。
薬剤として開発されたインクレチンのひとつであるGLP-1は、ペプチドホルモンなので生体内ではDPP4酵素で1〜2分(半減期)で不活化されてしまいます。よって、GLP-1を薬にするために、GLP-1を不活化させるDPP4酵素を阻害してGLP-1を長持ちさせる製剤とDPP4酵素に不活化されにくいGLP-1アナログ製剤が開発されたわけです。
SU剤とインクレチン(GLP-1)の膵β細胞への作用機序の違い
通常、ブドウ糖がβ細胞の中に取り込まれると、代謝されてCaチャンネルを開けることで、インスリン分泌を惹起します。SU剤やグリニドも同様の経路で作用していますが、インクレチンは、細胞内cAMPを上げて、開口分泌に作用してインスリン分泌を惹起します。この経路は、ブドウ糖からのCa上昇の無い状態では、cAMPだけが上がってもインスリン分泌は起きないので、低血糖を起こす心配がありません。SU剤と作用機序も違うので、SU薬を半量ないし3分の1まで減量してDPP-4阻害薬を追加することにより大きな血糖降下作用が認められます。また、膵ラ氏島のβ細胞のアポトーシスを抑制するという夢のような働きもあると言われています。
さらに,グルカゴン分泌抑制効果が注目されます。
SU薬はα細胞からのグルカゴン分泌も促します。
GLP-1の生理作用は、インスリンの分泌を促進するだけでなく、いろいろな膵外作用があり、グルカゴンの分泌抑制や胃からの食物排泄を遅くしたり、食欲を抑制(こそく核に作用)グルカゴン分泌抑制などにより、糖尿病の病態の改善に寄与する可能性が期待されています。
ジャヌビア(MSD)/ グラクティブ(小野) |
ネシーナ(武田) | エクア(ノバルティス) | オングリザ(協和) | トラゼンタ(べーリンガー) | スイニー(三和) | テネリア() | |
一般名 | シタグリプチン | アログリプチン |
ビルダグリプチン |
サキサグリプチン | リナグリプチン | アナグリプチン | テネリグリプチン |
用法/用量 | 50mg 1回 | 25mg 1回 | 50mg 2回 | 5mg 1回 | 5mg 1回 | 100mg 2回 | 20mg 1回 |
薬価 | 166円 | 207円 | 195円 | 166円 | 209円 | 166円 | 207円 |
腎排泄 | 87% | 72% | 85% | 75% | 5% 糞中80% | 73% | 45% |
代謝 | 受けにくい | 受けにくい | シアノ基の加水分解 | CYP3A4/5 | 受けにくい | コリンエステラーゼ | CYP3A4 |