アクトス

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【組成・性状】ピオグリタゾン

【用法・用量】1日1回 15〜30mg 朝食前or朝食後 最大45mgまで

 


【禁忌】

2011年に疫学研究において、ピオグリタゾンにより膀胱がんの発生リスクが増加する事が報告されました。本当に増えるかどうかは議論のあるところですが、添付文書の記載内容が、膀胱癌治療中の患者さんには投与を避けることと変更されました。

【副作用】浮腫(腎臓の遠位尿細管においてNa再吸収を増加させるため)市販後調査では、女性で12%(男性4%)と頻度も高い。原則的には、薬剤の中止、変更であるが、他に選択肢がないときには利尿剤の併用も考慮する。なお利尿剤を併用する場合は、ループ利尿剤(フロセミドなど)は効果なく、サイアザイド系あるいはK保持性利尿薬を選択する。フルイトラン1mgから始める専門医が多い。

【薀蓄等】
◎PPARγに結合して、インスリン抵抗性を改善する。肝臓、骨格筋、脂肪でのインスリン感受性の改善、アディポネクチン増加作用あり。

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PPARγって何?

ピーポーではありません、ピーパーです。PPARとは何でしょうか。PPARs(Peroxisome proliferator-activated receptors )とは、細胞の核の中にある蛋白質で、多くのDNAの発現や活性などを調節する働きを持っています。これを核内受容体型転写因子と言います。PPARは、見つかった順にα、β、γの3種類が知られています。PPARγは、プロスタグランジンという炎症物質の1つと結合し、複数の遺伝子を活性化させます。最も知られているのはインスリン抵抗性を改善する作用です。PPARγの活性化は、脂肪細胞に作用し、大きな脂肪細胞を小さくし、アディポネクチンというインスリンの効きを改善するサイトカインを、増加させてインスリン抵抗性を改善します。

PROactive Study 心血管イベント抑制(二次予防)

P:食事療法あるいは経口血糖降下薬の投与にもかかわらず、HbA1c値が6.5%以上で、合併症(心筋梗塞脳卒中、PADのひとつ以上を有する高リスク患者。5238例(35-75歳)糖尿病罹病期間は8年(中央値)
E:ピオグリタゾン
C:プラセボ
O:全死亡、非致死的心筋梗塞(MI:無症候性MIも含む)、脳卒中、急性冠症候群(ACS)、冠動脈または下肢動脈における血管内または外科的インターベンション、足首より上の下肢切断を減らせるか?

多施設無作為化プラセボ対照試験。結果は、両群間に有意差は認めなかった(ハザード比[HR]0.90、95%信頼区間[CI]:0.80-1.02、p=0.095)。
2次エンドポイント(全死亡+非致死的MI+脳卒中)は、ピオグリタゾン群で有意に抑制した(HR 0.84、95%CI:0.72-0.98、p=0.027)
(The Lancet. 2005; 366:1279-1289)