学校医

旧龍野市(合併する前)は、開業した当初より、学校医はくじ引き制になっています。このやり方については、言いたい事は山ほどあるのですが、今は実務的に、個人交渉で変更可能となったので止めておきます。

毎年、毎年、健診が本当に必要なのか?昔々ならともかく、今は、生まれた時に、先天性の疾患についてはきちんとチェックするし、3ヶ月健診、1歳半健診、3歳健診、保育園でも毎年、幼稚園でも毎年、小学校に上がってからもこれでもかって感じでやってますが、あんなうるさい教室で、聴診しても新たに心疾患が見つかるの?、あまりにもコストパフォーマンスが悪すぎるし(ペースメーカーの身障1級も昨年やっと改正されましたが)まじでお金もないんだったら、時代にあったシステムに変えていくことが大切です。全く疑問に思いながらやっていますが、法律で決まっているのでしかたがありませんね。

側弯症

以前、高校の学校医をやってた時は、女の子は、体操服でブラジャーOKでお願いしますとの学校からの要請あり、その上かたくなに服を上げない子もたくさんいて、心臓の聴診なんてほとんどできない状況です。最近の学校現場は、保護者の顔色も見ないといけないし、いろいろと大変そうですが、小学校でも4年生ぐらいからは、男の子でさえ上半身裸はいやという児童が多くて、それでいて、側弯症を見逃したら訴えられるって(それも敗訴)どうせいちゅうねんって感じですよね。

学校保健法施行規則に毎年行う健診での検査の項目です。

第四条  法第六条第一項 の健康診断における検査の項目は、次のとおりとする。
身長、体重及び座高
栄養状態
脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
視力及び聴力
眼の疾病及び異常の有無
耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無
歯及び口腔の疾病及び異常の有無
結核の有無
心臓の疾病及び異常の有無
尿
寄生虫卵の有無
その他の疾病及び異常の有無

側弯症については、昭和54年に、学校保健法施行規則の一部が改正され、「脊柱の疾病及び異常の有無は形態等について検査し、側弯症等に注意する」と定められています。

画像の説明画像の説明

①片側の肩が高い。
②片側の肩甲骨が高さが違う。
③ウエストのくびれが左右非対称。
④前屈すると片側の背中や腰部が隆起している。

せめて、服をまくり上げて、背中ぐらいは見ておかないといけないですかね。特に小学5年生〜中学2年生ぐらいの女の子を重点的に見ておく事が大切です。もし、側弯症を疑えば、整形外科医に紹介です。

モアレ法

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縞模様の左右差で診断します。

胸椎側弯症のレントゲン写真と矯正固定術

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背中のハンプの飛び出しを測る(コブ法)

なぜ、早期発見、早期治療することが重要か?確かに見た目の変形も気になりますが、医学的には、将来的に呼吸機能が低下するのが問題なんです。

学校検尿

わが国においては、多くの小児慢性腎炎患者が学校検尿により発見されています。小児のIgA腎症や膜性増殖性腎炎(MPGN)の70%以上が学校検尿により発見されています。IgA 腎症の患者は小・中学生1万人に2〜3人、膜性増殖性腎炎の患者は10万人に2〜4人位の割合で発見され、慢性腎炎の早期発見、早期治療が開始されたことにより、予後も改善してきています。

腎臓病の児童・生徒に対する今回の改訂(平成24年度)には、慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)の概念の導入され、運動制限が大幅に緩和されることになりました。また検診における尿沈渣(血尿・白血球尿)の判定基準も見直され、尿蛋白も尿蛋白・クレアチニン比による判定や評価が推奨されるようになりました。

尿沈渣の判定基準は、血尿の判定は、5個/視野以上を陽性とした。
これまで蛋白尿の判定は、早朝尿の蛋白の定性あるいは判定量の検査により判定されていたが、早朝尿などの濃縮された尿では、蛋白尿が正常範囲内でも陽性となることがあり、蛋白尿・クレアチニン比(g/g)が0.2以下を正常範囲内とするようになってきている。

学校検尿により尿異常を指摘される児童・生徒は大多数が、CKDステージ1に相当している。

1.無症候性血尿
2.無症候性蛋白尿
3.体位性蛋白尿
4.腎炎の疑い(血蛋白尿)

CKD に対する運動制限の考え方は、運動負荷が患者にとって何らかの不利益をもたらす場合を除き、運動制限は、原則として行わないとしています。特に有酸素運動は制限するより勧める方向で、腎臓病の進行を抑制し、心臓や血管系の合併症を減少する可能性を示しており、これは児童・生徒に対してもあてはまるとしている。

慢性腎疾患児において安静が必要とされるのは、急性糸球体腎炎の急性期などで高血圧や溢水や著明な浮腫を認め、状態が不安定な時期(nephritic state)やワーファリンなど抗凝固剤を使用している時期あるいは高度の骨粗鬆症がみられる時期においてである。

運動制限の問題点としては、筋力、心機能、骨密度の低下、肥満などの他に、他の児童・生徒と異なった生活パターンを送らなければならないことや、両親からの過保護、過干渉などによる精神的な問題が起こり、患児の将来の自立や社会性に悪い影響を与えることがある点である。

今回の改訂では、学校検尿で発見される無症候性血尿や蛋白尿の児童・生徒においては、これらの食事制限は不要としています。

日本小児腎臓病学会より0.349 ×身長(cm)/血清クレアチニン値(mg/dl)が提唱されています。

学校検尿で異常が発見された後、蛋白尿が持続する場合、肉眼的血尿、低蛋白血症(血清アルブミン値が3.0g/dl 以下)低補体血症、高血圧、腎機能障害などがみられる場合には、専門医に紹介する基準が示されています。

尿検査の結果で「尿蛋白1+以上」を指摘された場合、再検査では、尿定性検査(+かーの検査)に加えて蛋白尿の定量評価(実際の量)である「尿蛋白濃度と尿クレアチニン濃度の比」をみる検査「尿蛋白/尿中クレアチニン(尿P/C)比」の確認をしましょう。

腎臓の働きが正常の場合は、尿中にはほとんど蛋白は排泄されません。

特に尿潜血を伴う場合は、「糸球体腎炎」を想定して精査していきます。他に「多発性骨髄腫」などの病的に血中の蛋白質産生が亢進している病気、この他には、尿細管という場所の障害による「尿細管性蛋白尿」、結石や腫瘍など尿路系疾患由来の「炎症性蛋白尿」があります。しかし、「起立性蛋白尿」などの「生理的蛋白尿」という病的では無い蛋白尿を除外することも大事です。

尿蛋白定性の変化(ー、±、+)は、尿蛋白の実際量の増減でも変化しますが、尿の希釈や濃縮の変化(飲水量の影響で尿が薄くなったり濃くなったりする変化)でも変動します。このような点から、尿定性検査(+かーの検査)は、あくまでもスクリーニング的検査となります。したがって、尿蛋白陽性「尿蛋白1+以上」を指摘された場合、医療機関(腎臓内科)では、早朝第一尿を含む複数回の検査を行ない、持続性蛋白尿の有無を定量的検査「尿蛋白/尿中クレアチニン(尿P/C)比」で確認します。

「尿蛋白/尿中クレアチニン(尿P/C)比」の意味は?
本来は、24時間蓄尿で1日尿蛋白排泄量を測定することが正確ですが、一般的には、外来での随時尿を用いた「尿蛋白/尿中クレアチニン(尿P/C)比」検査を行ないます。この「尿P/C 比」は、尿中クレアチニン1g あたりの蛋白量です。健常人の尿中クレアチニン排泄量は、1日約1g であることから、「推定1日尿蛋白量」を意味します。しかし、クレアチニン排泄量も個々の筋肉量や加齢変化の影響を受けるため、私的には「尿P/C 比」も半定量的検査と捉えています。 つまり,注意すべき点というのは,1日の尿Cr排泄量が1gより大幅に多かったり,少なかったりすると,実際の値とずれる場合があるのです.

「尿蛋白/尿中クレアチニン(尿P/C)比」の結果から確定診断となる「腎生検」検討する場合の目安は、尿P/C 比0.5g/gCrです。尿P/C比が0.5g/gCr以上が複数回の検査で持続する場合は、「腎生検」の適応となります。尿蛋白に加え、尿潜血も陽性である患者さんの場合では、尿P/C比0.5g/gCr未満であっても「腎生検」を考慮します。日本人に最も多い、慢性糸球体腎炎である「IgA腎症」の可能性が高いからです。(IgA腎症は、尿潜血が必発所見です。)「IgA腎症」は、末期腎臓病の原因となる腎臓病です。確定診断を受けて治療を開始することで末期腎臓病(人工透析療法を必要とする慢性腎不全)への進行増悪を抑制できる可能性があります。
定量しないと,具体的な量はわかりません.蓄尿がよいと思われます.

研修医B 蛋白とクレアチニンの比をみて,おおよその1日の尿蛋白量を推定します.随時尿で,尿蛋白量(mg/日)=尿蛋白/尿Crと表されます.

尿蛋白量(mg/日)=尿蛋白濃度(mg/dl)×尿量(dl/日)
尿Cr排泄量=尿Cr濃度(mg/dl)×尿量(dl/日)
尿蛋白量/尿Cr排泄量=尿蛋白濃度/尿Cr濃度
尿蛋白量(mg/日)=尿蛋白濃度/尿Cr濃度×尿Cr排泄量
 ここで尿Cr排泄量≒1,000mg/日=1g/日と仮定すると,次のようになります.

尿蛋白量(g/日)≒尿蛋白濃度/尿Cr濃度