CK

CK異常高値を示す疾患として心筋梗塞、横紋筋融解症、悪性高熱など緊急性の高いものが有名ですが、激しい運動や筋肉注射でも著しく高値を示すこともあります。また、慢性的にCKが高めのマクロCKという病態もあります。

CKは、骨格筋型(M)と脳型(B)の2つのサブユニットの2量体で構成され、3つのアイソザイムが存在し、それぞれの臓器特性があります。

血清CK値の上昇レベルによって考えられる病態を絞り込み、鑑別診断を進めます。

外傷、打撲、マッサージ、痙攣(筋注でもマラソンでも5000まで上がる)
筋疾患 感染症(トキソプラズマ)横紋筋融解、筋ジストロフィー、ミトコンドリア筋症
薬剤性 スタチン アルコール
内分泌 甲状腺機能低下症、低カリウム
膠原病 MCTD、全身性硬化症 SLEなど

原因不明の高CK血症の原因のひとつに甲状腺機能低下症が存在します。この場合,甲状腺機能低下症に伴いCKのクリアランスが減少した状態ということになります。また,1年間以上CK高値が継続している症例なら心筋梗塞や脳梗塞などの急性疾患も否定してよいと考えられます。よくみられるものは,患者さんの運動習慣やこむら返りなどです。改めてこちらから問診してみると「いつも山に登っています」あるいは「よくこむら返りが起こります」と言う患者さんもいます。否定が難しい疾患としては,軽症の多発性筋炎・皮膚筋炎・筋ジストロフィーなどが挙げられます。これらの疾患は,症状がまったくない場合には経過観察をするしかありませんので,筋力低下や家族歴などに注意して,明らかな所見が存在する場合には神経内科に紹介することとなります。

稀なものとしては,免疫グロブリンと結合したマクロCKなどがあります。この場合にはCK値は常に高値ですが,継続的に上昇し続けることはありません。このようにいつもCKだけ高値を示す患者さんが時々います。このような場合は、CKアイソザイム検査を行うべきです。マクロCKにはCK結合性免疫グロブリン(マクロCK type 1)とミトコンドリアCK(マクロCK type2)の2種類があります。マクロCKを認めた場合は、悪性腫瘍の検索も重要です。(腺癌ではCK-BBが高値となります)

 

ミオパチーの原因別鑑別

炎症症 多発性筋炎、血管炎 オーバーラップ症候群(SLE、強皮症、RA、シェーグレン症候群)
内分泌性 甲状腺機能低下症、クッシング症候群(あるいはステロイド性)
電解質異常 低K血症、低P血症、低Ca血症、高・低Na血症
代謝性 糖尿病、資質代謝異常、プリン代謝異常
薬剤性 HMGCoA還元酵素阻害薬 コカイン アルコール、ステロイド、コルヒチン、抗マラリア薬 ペニシラミン
感染性 ウイルス、細菌、真菌、寄生虫
横紋筋融解症 クラッシュ症候群 痙攣 アルコール乱用 労作 血管手術 悪性高熱症