腹部エコー

ダイナミックレンジは、画像のコントラストを調整する機能です。ダイナミックレンジを上げると柔らかな画像となり、ダイナミックレンジを下げると硬い画像になります。通常は50〜60dBで使用します。一度調整すれば、それ以降はほとんど触ることはありません。ゲインは、画像全体の明るさを調整する機能です。STC(sensitivity time control)深さの方向の明るさを調整する機能です。一度バランスよく調整すれば、それ以降はほとんど触ることはありません。フォーカスは、臓器や腫瘤など観察したい部分にピントを合わせる機能です。通常は、7cmぐらいの深さに併せて井奥のが適切でしょう。ズームは、拡大したり、縮小したりする機能です。通常は実物大にあわせるのがよいでしょう。

僕は循環器が専門ですが、かかりつけ医の実臨床では、腹部エコーをするほうが圧倒的に多くなります。よく心エコーと腹部エコーとどちらが難しいかというようなお話しになりますが、僕にとっては、腹部エコーの方がかなり緊張します。まずは、見る臓器の多さと救急エコー以外にがんを主な標的にすることの見逃しのことがあります。心エコーは決まった断面での評価、計測が主なので、技師さんでもある程度の数値を出して頂けば客観的な判断が可能です。しかし腹部エコーは、ただ代表的な区域の画像だけでは、画像と画像の間のスキャンは保証されないからです。

門脈圧亢進症では、肝臓内の門脈が見えにくくなります。側副血行路として食道静脈瘤(80%)胃静脈瘤 メドウサの頭 脾腎シャント 内痔核、腸間膜腎シャント 胸膜心膜腹膜シャント 脾静脈奇静脈シャント等があげられる。

 

超音波上良く観察されるのはこの内、左胃静脈、臍傍静脈、脾腎短絡である。

左胃静脈肝左葉の裏面に沿って,数珠状の脈管像がみられる.拡張・蛇行した左胃静脈~食道静脈叢の断面である.健常者では血流は求肝性だが,肝硬変では門脈圧の亢進に伴い遠肝性となる場合がある。カラードプラーを入れいると脈管であることがわかります。もし色が付かなかったらリンパ節が類類を腫れている像であります。ドプラーで定常波であることを証明すれば、門脈であり、肝外側副血行路であることがわまります。もし

脾腎シャント

腫大した脾臓の脾門部に見られるのは、拡張した短胃静脈です。脾臓と腎臓と胃の間に見られます。拡張蛇行した血管は脾腎シャントである。ここでも波形解析を行うことで門脈であることを証明できる。

肝硬変では、門脈圧亢進症で、胆嚢壁の肥厚がみられます。

 

 

 

 

後方エコーは、腫瘤がエコーが透過しやすい均一な構造を示す組織や不均一でも液体の場合は増強します。反対に結合組織の成分が多い場合は、エコーが透過しにくくて減衰します。

内部エコーは高エコー(脂肪化)低エコー(索状型、偽腺管型)モザイクエコー(線維性隔壁、異なる分化度)転移性腫瘍は、Cluster signと言われ、小さな多数の高エコー結節が集族した像が特徴、 Bulls eye pattern(Target pattern)比較的幅の広いハローで弓の的の様な同心円状のエコーパターン

肝細胞がんの典型例は、単純結節型です。肝細胞がんの自然史では、5mmの高エコーの腫瘤が増大し、10mmの金平糖のような形からになって、15mmの球形の腫瘤になると内部に低エコー化(脱分化)し、2cmぐらいになると低エコー部分が数ヶ所に増えモザイク様になり、周囲への圧排で線維性被膜が出来てくるとハローができてきます。しかし、ハローは、線維性被膜がない腫瘤でも球形で周囲の組織を圧排する場合は、認められることがあります。

肝血管腫は、高エコー型、辺縁高エコー型(marginal strong echo)混合型(比較的大きな血管腫)

 

肝膿瘍は、素人が見ると一見、癌との鑑別が問題になりそうですが、中身が膿(液体)なので後方へコーの増強が見逃さなければ大丈夫です。

胆嚢腺筋症 限局性壁肥厚 内腔狭小化 壁在結石 分節型 限局型 びまん型

肝臓

まず、最も大事な臓器である肝臓から始めましょう。肝臓は、体の中で一番大きな臓器で、ちゃんと見落としなく見ようとすると肝臓の解剖の理解が不可欠で、肝臓を区域ごとに分けて、その区域を意識しながら、プローブのティルティングしながらスキャンします。自分の見やすい順番で見て行きましょう。肝臓エコーを共通言語で語るには、まず、肝臓の解剖をクイノーの区域分類で理解しなければなりません。門脈をメルクマールにS1〜S8の番地に分類します。また、下から見上げた図も、反時計回りにS1〜S7(S8は肝臓の上部にあり下からは見えない)となっており、クイノー分類の理解の助けになります。腹部エコーをする時には、正面からの像だけでなく、下から見上げた像もイメージできないといけないので、慣れるまではなかなか大変です。

画像の説明

画像の説明

画像の説明

 

(1)正中での縦走査、大動脈を長軸で切る断面では、肝臓はS3、S2が見えております。大動脈からは、腹腔動脈、上腸間膜動脈が分岐し、大動脈と肝臓の間には、食道も見られます。肝臓の腫大もチェックします。膵体部がみえます。

画像の説明

(2)正中での縦走査のまま少しだけ右に平行移動すると、下大静脈を長軸で切る断面では、S3の下に突出して出てくるのが、S1(腫大の有無をみます)肝静脈のうっ血を確認します。膵頭部が見えます。IMG_0002 のコピー_edited-2

(3)左肋弓下走査では、左葉全体をくまなく丁寧に観察します。肝臓が見えなくなるまで十分に振って(端から端までおおきくプローベを振る)LHV(左肝静脈)が見えるまで縦に向ける。膵尾部が見えます。

(4)正中肋弓下横走査では、やや斜めに操作して門脈左枝臍部(umbilical potion)から、クイノーの肝区域分類がS1、S2、S3、S4(内側区域)と反時計回りに配置されていて、門脈は右枝と左枝に分かれます。右枝からは静脈間索から胆嚢に繋がります。

IMG_0009のコピー

(5)右肋弓下走査では、肝臓の広い範囲を見渡せます。

(5)肝右葉に入って、S5は前下区域なので右の浅いところは見落としやすいのしっかり見ましょう。S5S8での肋間操作で吸気では横隔膜のかぶりが大きい場合は、呼気にして横隔膜を上げて観察します。

(6)肋骨に沿って下がっていくと腎臓が出てくるあたりがS6です。肝臓のきれっはしのところも見逃しやしので、肝臓が見えなくなるまで丁寧に振り下ろします。上極に副腎の腫大がないかは心に留めておきましょう。

(7)そこで、こんどは思い切り見上げてS8をみましょう。下に見えているのが横隔膜です。

(8)そこから降ろしてくるとICVからRHV、MHV、RHVが扇状に見えてきます。MHVは外科的右葉、左葉を分ける境界線として重要です。RHVは肝臓の前区域と後区域をわけています。RHVより下はS7になります。

(6)えぐり走査で思いっきり上に振って、肝臓のテッペンS8を見えます。下に見えるのが横隔膜から肺で(天地逆転しているのでイメージがわかりにくい)

 

画像の説明

IMG_0006 のコピー

 

(7)胆嚢の長軸をなるべく長く観察下後、肝門部で総胆管を描出します。門脈の上に見える管腔です。seven eleven ruleにて7mm以上が拡張、11mm以上が明らかな拡張とされています。肝門部のリンパ節は12番です。

プローベをやや下にほどいて行くと、左葉と右葉の境界である胆嚢やMHV(左肝静脈)前区域を後区域の境界であるRHV(左肝静脈)が見えてきます。その後、門脈右枝で前枝と後枝に分かれ、後枝はさらにS6(後下区域)S7(後上区域)になります。

IMG_0003 のコピー 2

画像の説明

S5(前下区域)肝表面の浅い所を見逃さないように注意深く観察します。肝静脈は肝区域の間にあり、門脈は肝区域の真ん中を貫いて、かつお互いは直行して走行するので、肝静脈が長軸で見えているときには、門脈は短軸になります。

画像の説明

IMG_0011 のコピー 2のコピー


(6)肋骨に沿って右弓下走査で下方にずらして行くと腎臓が見えて、肝臓の端っこのS6部分は薄っぺいので見落とさないように丁寧に肝臓がなくなるまで振り切ります。

画像の説明

(7)右肋間走査は、門脈が前区域のS5とS8に分かれていきます。S8は肺が被って見えないので、息を吐いて肺を上に上げるとS8をなるべく広く観察出来るように、出来ればS8の分枝がみえるまで頑張りましょう。後区域のS6とS7がセットで見えて、肋弓下走査よりも脈管の解剖的イメージがつきやすくなります。RHVが前区域と後区域の境界なので、下がS7になります。腎臓の近く、表面に近いのは、S6です。肝静脈と門脈は走行が別行動なので一方が長軸なら、他方は短軸になります。

IMG_0003 のコピー

IMG_0011 のコピー 2のコピー

画像の説明

IMG_0011 のコピー 2のコピー


(8)さらに下方に見て行くと腎臓が見えてきます。これは肋弓下走査と90度垂直方向から肝臓を見えなくなるまで見ているわけで、いずれにしろ肝臓の端っこの部分S6になります。

 

IMG_0014 のコピー_edited-1

・・・というわけで、一応ですね、肝臓の住所を把握したということで、実際の症例について勉強を進めていきましょう。

まずは、びまん性肝疾患からいきましょうか。脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変と言うところです。

(1)肝の大きさです。正中での縦走査、大動脈を長軸で切る断面で見ることが多いようですが、何cm以上なんて基準もあるようですが、個人差が大きく、経験的な感覚が必要なようで、ここではカットします。

(2)肝表面の形状です。肝表面は、プローブを抑えると評価が困難です。正中での縦走査にて肝裏面での凸凹を見るのがいいようですが、これもちょっとした経験、いつも見る習慣が大事ですね。肝臓の表面を見るときには、9MHzの高周波リニアプローブを使って観察するのもいいでしょう。

正常肝

正常な肝臓              肝硬変

(3)最も重要なのが内部エコーの評価です。エコーレベルとエコーパターンを観察します。

脂肪肝

脂肪肝は、中性脂肪の肝への過剰蓄積により発症し、組織学的には肝小葉の30%以上に脂肪滴を認める場合をいいます。食文化の変化と伴にドックや健診で頻繁に遭遇する疾患であり、原因としては過栄養、飲酒、栄養障害、薬剤、他疾患との合併などが挙げられます。エコーレベルの上昇(hyperechoic)した代表としては脂肪肝があります。脂肪肝の腹部エコーの特徴は4つあります。
(a)エコーレベルの上昇(Brightness)
(b)減衰増強
(c)脈管の不鮮明
(d)肝腎コントラスト(同じ深さで行うこと)
ほぼ、4つの所見が揃った場合のみ脂肪肝と判定します。エコーレベルの上昇や減衰増強だけで脂肪肝と診断するのはやりすぎかもしれません。

まだら脂肪肝 脂肪の沈着が肝臓の部位によって異なるもので、時として肝腫瘤性病変との鑑別が困難なこともある。脂肪がつきにくく正常肝として残る部分は、門脈左枝水平部前方や胆嚢床近傍など肝血流が豊富なことによるとする報告もある。区域性地図状的な幾何学的な形状で内部を走行している脈管が正常で、正常なスペックルパターンを確認してまだら脂肪肝として経過観察できる症例も多いが、限局性肝脂肪化は、USガイド下肝生検で初めてまだら脂肪肝と診断される。

脂肪肝

NASHは、通常の脂肪肝との鑑別はできないため、組織診断が必要となります。組織的には、アルコール性肝障害と同じ像を呈するため、鑑別には飲酒歴が重要です。

慢性肝炎、肝硬変

エコーパターンの評価では、内部エコーが均一か不均一(粗造)であるかの観察は、ほぼ経験によるもので、はっきりした定義はありません。循環器医が心電図を見る時、内視鏡医が胃の粘膜を見る時と同様にエコー屋さんが肝臓を見る時には、常に基準となる正常なスペックルパターン像と思い浮かべながら比較検討され、長年の経験により正しく診断できるようになるわけです。エコーパターンは肝臓の内部の線維化や炎症の程度を表しているようですが、僕ら素人には基準となる正常なスペックルパターン像が頭の中にないので、内部エコーが均一か不均一(粗造)であるかを判断することは困難です。急性肝炎(劇症肝炎)では、内部エコーは不均一(粗造)で激しい炎症で大きな塊で脱落壊死がおこって出血、腹水を認める事もあります。B型肝硬変は、Mesh patternと言って、ワイヤーメッシュなギラギラ様な特有の小網目状のパターンを呈します。原発性胆汁性肝硬変は、肝表面が紙やさざ波模様のような滑らかな曲線での凹凸不整が特徴で、内部エコーは、Glittering patternと言って、キラキラしたイメージ 日本住血吸虫症は、Network patternと言われる網目状のエコー像を呈します。肝癌を合併することがあるので注意が必要です。

経験があるプロが診るとB型肝硬変症では、Mesh pattern(小網目状のエコー像)PBC(原発性胆汁性肝硬変)ではGlittering pattern(キラキラしたイメージ)など肝硬変の質的診断もできるようです。

慢性肝炎

肝硬変になってくると静脈は壁に筋層がないために、肝静脈が硬くなった組織に影響されて、押しつぶされて凹凸になって描出されにくくなります。腹水が溜まってくると肝表面の凸凹をわかりやすくなります。

側副血行路

肝臓が硬くなって門脈圧が亢進してくると、正中縦操作で、肝臓の左葉の下端に無エコーの嚢胞上集積を認めます。カラードプラーを当てると血流の表示が乗っていることで左胃静脈の拡張が認められます。これに波形解析をおこなうことで定常波を確認すれば門脈(肝外側副血行路)であることが確認されます。

胃静脈瘤

その他の側副血行路としては、短胃静脈系(脾門部脾臓と腎臓と胃の間)傍臍静脈系 脾腎シャントを認めます。また、胆嚢静脈は門脈に繋がっているために肝硬変になると胆嚢壁が肥厚します。

 

肝臓がん(肝細胞がん)

最近のエコー装置では、5mm大の腫瘤性病変を見つけることも可能になってきました。この腫瘤がががんであるかどうか質的診断ができるかは、みんなが納得できる特徴的な所見を捉えられるかにかかっています。典型的な肝細胞がんのエコー像であるhalo=ハロー(辺縁環状低エコー帯)や側方エコー(lateral shadow)モザイク(mosaic)などがあるかを探しに行きます。みんなが納得するには、これらが写った画像を撮ることが大事です。腫瘤自体の内部エコーは、高エコー(脂肪化)低エコー(索状型、偽腺管型)モザイクエコー(線維性隔壁/異なる分化度)などいろいろです。転移性肝腫瘍だとクラスターサイン(Cluster sign)で小さな高エコーの集族でのように見えます。

ハロー

(1)halo=ハロー(辺縁環状低エコー帯)

haloハローができる辺縁環状低エコー帯は、腫瘤の辺縁にできる黒い輪っかです。肝細胞がんの特徴的な所見ですが、肝細胞がんだから必ずできるというわけではありません。まずは大きさですが、5mm、10mmと小さい腫瘤には認められにくく、20mm以上の腫瘤になるとハローを伴うことが多いようです。また円形で病理組織で線維性被膜(線維性被膜にはがん細胞はない)を伴うがん細胞癌に見られます。不整形で被膜がなく、浸潤発育型、多結節癒合しているような腫瘍ではハローは見えないようです。しかし、被膜がなければエコー所見としてハローが見られないかというとそういうわけでもなく、転移性腫瘍などで被膜がなくても、周辺の正常肝細胞を圧迫しながら膨張性発育をしているような腫瘤ではハロー(分厚い辺縁低エコー帯=Bulls eye、Target pattern)ができるようです。

(2)側方エコー、外側エコー(lateral shadow)

腫瘤が平滑の場合、超音波ビームが屈折し、側方部分の音波が欠損(黒い影)してハローに沿って後方に伸びる黒い線状エコーを認めます。胆石で見られるAS (acoustic shadow)も黒い影です。撮影角度によって側方エコーが出たり出なかったりします。また、腫瘤の辺縁が平滑であることが条件であり、被膜などを破って浸潤していると見えなくなってしまいます。

(3)モザイク(mosaic)

モザイクとは、隔壁によって区分された多様な結節が集合した像を表現しています。肝細胞がんが小さいときは高エコーであったり、低エコーであったりしますが、20mmを超えてくると高エコーと低エコーが混在して存在するようになってきます。これをモザイク(mosaic pattern)といいますが、腫瘍が高分化型から中分化型、低分化型へと脱分化していくのを表しています。

(4)リンパ節腫大

肝門部リンパ節の観察を行います。細長く扁平なのは、炎症性の変化だが、球形の場合は悪性のことが多い。カラードプラーを当てると脈管との鑑別に役立ちます。

リンパ節腫大

 

実際は、腹部エコーで、肝臓内に腫瘤性病変を見つけた時、がんが疑わしい時は腹部CTやMRIと上位医療機関へ精査を依頼すればいいのですが、腫瘤も小さいし、halo=ハロー(辺縁環状低エコー帯)や側方エコー(lateral shadow)モザイク(mosaic)など特徴的な所見も乏しいような場合、この腫瘤を的確にフォローすることが大事です。基礎に肝硬変などがあれば、再生結節かもしれないし、FNH (限局性結節性過形成)かもしれなし、がんに育っていくのかも知れないわけです。まずは腫瘤の存在診断をきちんどできる目が大事です。

肝血管腫

肝血管腫は、最も頻度の高い肝臓の良性腫瘍です。組織学的に最も頻度が高いのは海綿状血管腫で女性に多い。エコー所見としては、高エコー型や辺縁高エコー型(marginal strong echo)混合型があります。がんと異なり膨張性に発育するわけではないので大きくなると正円形でないことも多い。海綿状の血管腔に血流が溜まっているため、体位変換によって内部エコーパターンが変化する(chameleon sign)経時的に肝血管腫の内部エコーが月の満ち欠けに似た変化を示す(wax and wane sign)探触子の圧迫によってエコー像が変化しほとんど消失したようにみえる(disappearing sign)など動的な変化を逃さないことです。

胆嚢

胆嚢結石

胆石のエコー像の特徴としては、囊胞状の胆嚢内腔に輝度の強い鮮明なstrong echo(SE)を認めます。さらにSEに音響陰影(acoustic shadow:AS )を伴っています。体位変換で胆石が動けばいいのですが、胆石により胆嚢全体が占められていたり、消化管ガスが停滞していたりするとなかなか鑑別が難しい場合もあります。しかし、肥厚した胆嚢壁(3mm以上)を確認できれば、消化管ガスエコーなどと間違えることもなく、胆石と診断できます。壁内結石の存在をうかがわせるcomet like echoも伴うこともある。

胆嚢結石

胆嚢ポリープ

人間ドックでエコー検査を受けたところ「胆のうポリープ」が見つかりました。このまま放置していいのでしょうか?

画像の説明

胆のうは肝臓の下縁に張り付くナスの形をした袋状の臓器で、肝臓で作られ胆汁を蓄える働きを担っています。胆汁は、脂肪分の消化を助ける消化液で、食事をすると、胆のうが必要に応じて収縮し、胆汁を総胆管を経由して十二指腸へ送り出し脂肪の消化を助けます。

画像の説明

胆のうポリープとは、胆のうの粘膜が盛り上がってできる隆起性病変(ポリープ)です。40~50 歳代で発見されやすく、男女差はありません。(胆石は、女性に多い)胆のうポリープの発見率は5~10%となっています。胆のうポリープが増加している原因として、超音波検査などの画像診断の進歩や普及したこと、またコレステロール系のポリープが多いことから、胆石と同じように食生活の欧米化が関係していると考えられています。胆のうポリープは、胆のうの機能にほとんど影響が出ることはなく、症状もありませんが、稀にポリープの大きさやできた場所によって腹痛や腹部不快感などがみられることがあります。

胆のうポリープの分類

胆のうポリープには、過形成性ポリープ、炎症性ポリープ、コレステロールポリープと呼ばれる三つの種類があります。胆のうポリープのほとんどは、コレステロールポリープで(55%)胆汁内のコレステロールが結晶化して、胆のう粘膜に付着した良性のポリープで、がんになることはありません。その他、胆のう上皮細胞が増殖した過形成ポリープ、胆のう炎の繰り返して組織が隆起した炎症性ポリープがあります。また、分泌腺の細胞が増殖して盛り上がった胆のう腺腫と呼ばれる良性ポリープと悪性腫瘍である胆のうがんとがあります。

画像の説明

胆のうポリープは、胃や大腸ポリープのように内視鏡で直接ポリープを取って顕微鏡で調べることができないため、良性か悪性かの判断は、エコーにしろ、CT、MRIなどの画像診断では、ポリープの大きさや数、形態、胆嚢壁の状態から判断するしかありません。(奥の手の超音波内視鏡下穿刺吸引生検法での組織診断はあり)

ポリープの大きさが10mm よりも小さく、数が多い場合は、良性のコレステロールポリープの可能性が高くなり、治療は不要です。10mm 以下のポリープでは、悪性腫瘍の可能性はほとんどないので(5%は悪性の可能性あり)3〜6 ヶ月後に超音波で再検査します。大きさ・形に変化がなければ年に1回の超音波検査を受けるようにします。これに対して、大きさが10mm以上で、ポリープの茎が広く、盛り上がりの少ないポリープは悪性腫瘍(胆のう癌)が疑われ(10~15mmで25%、16~20mmで60%、20mm 以上で80%が悪性)胆のう摘出手術を勧めることになります。(悪性の確率が高い場合は開腹手術、悪性腫瘍の確率が少ない場合は腹腔鏡の手術)胆のうを摘出した場合、油っこい食事を取り過ぎると胆汁の分泌が追いつかなくて下痢をしやすくなりますが、肝臓あるいは胆管が代償的に働き、胆のうの機能を肩代わりするため、しばらくすると手術前のような食生活を取り戻すことができるようになります。また胆のうポリープが10mm以上あり、胆のうがんに進行してしまっている場合、その70%に胆石を合併しており、逆に胆石を合併している患者では4~6%の患者に胆のうがんを合併しているといわれています。すなわち、胆石と胆のうポリープ・胆のうがんとの関連に注意が必要です。

胆管

閉塞性黄疸

黄疸の鑑別診断でどの部位での閉塞かさらに閉塞原因の質的診断もかなり的確に診断することができます。左肝菅と右肝管は肝内胆管で肝門部で合流し総肝管になります。その後、胆嚢管が合流し総胆管になります。

胆管

胆管が十二指腸に開口するまでのどこで閉塞するかですが、Laplaceの法則では閉塞部位の上流に同等の圧が加わりますが、肝内胆管は周りに肝臓の組織があるため、肝内胆管が拡張する前に総胆管が紡錘状に拡張してきます。閉塞期間が短ければ、下部胆管の閉塞の場合、肝内胆管の拡張は認められないこともあります。

parallel channel sign 門脈と並走している左肝内胆管が拡張している

parallel channel sign

shotgun sign 肝門部において門脈と並走している総胆管(総肝管)が拡張している。Seven-Eleven Rule 7mm以上で拡張と考え、11mm以上では、明らかな拡張で肝外閉塞性黄疸と判断します。

shotgun sign

 

膵臓

膵臓がん

膵癌のエコー像の特徴としては、腫瘤は辺縁は不整で境界は比較的明瞭な限局性の充実性腫瘤像で、内部エコーは腫瘤が小さければ、正常膵に比して低エコーである場合が多いが、腫瘍が大きくなれば出血、壊死を伴い、内部エコーは高エコー像を呈してくる。間接所見としては、膵管の拡張を伴う頻度が高く、尾道の膵癌早期診断プロジェクトでは、主膵管2.5mm以上を精査の対象としている。

膵癌

 

腎臓

腎結石

腎結石も胆石と同じで輝度の強い鮮明なstrong echo(SE)を認め、その後方に音響陰影(acoustic shadow:AS )を伴っているのが基本です。しかし、胆石ほどASが明瞭に認められない場合も多いようです。これは結石の成分の相違によるもの、結石が存在する臓器による違いとされています。結論から言うとある程度の大きさ(5mm前後)になると診断が可能になるようです。strong echo(SE)だけで、ASを伴わない場合は、腎石灰化をしています。石灰化とは、カルシウムが体の組織のどこかに沈着した状態です。腎石灰化は腎結石へと進展していく前段階に当たります。 ところが実際には、なかなか簡単に鑑別できないケースも存在し、石灰化であっ ても音響陰影が認められる場合や、結石なのにそれがないこともあります。

腎結石

副甲状腺機能亢進症やサルコイドーシス、遠位尿細管アシドーシスといった聞き慣れない名前の病気が原因となって、血液中や尿中のカルシウムが異常に高くなる状態が続くと、腎臓の髄質という部位で広範囲に石灰化が起こってきます。 これは「腎石灰化症」と呼ばれる疾患で、やがて腎機能障害をもたらし、ついには腎不全に至るため、すみやかに原疾患の治療を行い、少しでも早く高カルシウム血症を改善しなくてはなりません。

血管筋脂肪腫

血管筋脂肪腫は、比較的稀な腎臓の良性腫瘍で、エコーでは、境界鮮明で内部エコーは均一なかなりhyper echogenicな腫瘤として描出されます。

血管筋脂肪腫

 

 

脾臓

脾腫

脾腫指標のIndexとして古賀らの測定法が臨床現場で使用されていることが多い。どこまでを正常とするかは年齢や体格で異なり難しいが、目安としては〜30、30〜60、60〜90、90〜と一応4段階分類して(ー)(+)(++)(+++)と脾腫の判定としている。

頻度の高い疾患としては、肝硬変、伝染性単核球症などウイルス感染、骨髄増殖性疾患、悪性リンパ腫がある。

脾腫

 

膀胱

 

 

前立腺

前立腺肥大

前立腺肥大

4.7×3.1×3.5/2=25

容積が10〜20mlで正常〜軽度肥大、20〜50mlで中度肥大、50ml以上で高度肥大と診断します。

 

大動脈

腹部大動脈瘤

腹部大動脈瘤はその名の通り、お腹にある大動脈がコブ状に膨らみ、最終的には破裂して死に至ることもある病気です。歴史上の人物では、アインシュタインや司馬遼太郎が腹部大動脈瘤の破裂で亡くなったことがよく知られています。腹部大動脈瘤の多くは、動脈硬化が進行し動脈の壁が脆くなり、血圧に耐えられなくなって拡張することで発症します。従って、基本的には高齢、喫煙、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの動脈硬化危険因子を多く持つ方は注意が必要です。また男女比が5:1と男性に多い病気でもあります。症状は破裂するまで全くないことも多く、実際に破裂してしまうと4~5人に1人しか助からないと言われています。一方で、破裂する前に見つかり、適切な時期に手術をすれば95%以上の手術成功率が期待できます。通常、腹部大動脈は直径が1.5~2cm程度ですが、これが3cm以上になった場合に腹部大動脈瘤と診断します。直径が大きくなればなるほど破裂する危険性が高くなるため、4 cm以上の場合には専門医(循環器内科、心臓血管外科)を受診し、経過をみながら手術の時期を検討する必要があります。一般的には5.5cm以上ある場合や、半年で0.5cm以上大きくなっている場合では手術を考慮することになります。

腹部エコーでは、短軸であたりを付けてから、長軸を斜めから見ると16番リンパ節 臍部で左右の総腸骨動脈に分枝するところまで見ます。動脈硬化が進むと大動脈が蛇行し、なかなか長軸できれいに描出することが難しい症例も増えてきます。腹部大動脈瘤の好発部位は、腎動脈の遠位部です。腎動脈は描出が難しいことがあるので、上腸間膜動脈から数cm下あたりの大動脈を観察します。

大動脈

腹部大動脈瘤

(12)子宮、卵巣を観察します。

(13)短軸で腸腰筋と腸骨動静脈を指標にします。その上に腸腰筋を乗り越えて回盲部に向かう回腸末端を探します(小腸は動いている)なにがなんだかわからん像とも呼ばれています。炎症や壁の肥厚などがあればわkります。