神経内科医が集まる学会(日本神経学会)のホームページには「神経内科は脳や脊髄、神経、筋肉の病気をみる内科です」と書かれています。最近では、脳神経外科に対して「脳神経内科」と呼ばれています。どんな疾患を診て、どんな症状の時にかかればいいのか?代表的な疾患は、パーキンソン病、てんかん、脳梗塞、片頭痛、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、重症筋無力症、筋ジストロフィー、ギランバレー症候群などです。症状で言えば、物忘れ、言葉が出ない、しびれ、頭痛、力が入らない、歩きにく、めまい、ふるえ、痙攣、複視、意識障害、嚥下障害などです。ちょっとイメージできてきましたか?神経内科と間違いやすい科として精神科や心療内科があります。これらの科は、精神的な問題を扱う科(そこから派生する身体症状)です。神経内科は精神的な問題からではなく、脳や脊髄、神経、筋肉に病気があり、体が不自由になる病気を扱います。

顔面神経麻痺

眼瞼ミオキミア

一般的にはまぶたがピクピクすることを眼瞼痙攣と呼んでいますが、神経学的には眼瞼ミオキミアといわれています。眼瞼ミオキミアとは、眼輪筋(目の輪っか状の筋肉)の攣縮が不随意に起こることにより、上眼瞼または下眼瞼がさざなみ状に動く状態で、通常片目に起こります。健常者でも眼精疲労、ストレス、睡眠不足などがきっかけとなることがあり、通常数日から数週間で、自然に治まります。眼瞼痙攣とは、眼輪筋の過度の収縮により不随意な閉瞼が生ずる疾患で、神経学的には局所ジストニア(身体のいくつかの筋肉が不随意に持続収縮し、ねじれや歪(ゆが)みが生ずる)に属します。一般的なまぶたのピクピク(眼瞼ミオキミア)とは異なり眼の違和感、瞬目増加、羞明(しゅうめい)(まぶしい)といった一般的な痙攣のイメージとは違った症状で発症するケースが多いようです。眼瞼痙攣は重症になると、手を使わないと目が開けられなくなる機能的失明に陥ることもあります。眼瞼痙攣の原因は、正確には分かっていませんが、視床、大脳基底核、脳幹の神経伝達異常と考えられております。また40歳未満の若年発症者では、薬物(向精神薬、睡眠導入剤など)内服歴、化学物質などの外来因子の暴露歴がみられることが多いようです。診断確定には、通常の眼科検査に加え、問診、瞬目テスト、筋電図検査などを総合的に判断する必要があります。また眼瞼痙攣の治療は、現在ボツリヌス療法(ボツリヌス毒素の局所注射)が一般的で有効とされており、眼輪筋を一時的に軽度麻痺(まひ)させ症状を緩和させるといった方法となります。眼瞼痙攣と眼瞼ミオキミアとの決定的な違いは、開瞼に影響を与えるかどうかがポイントと言えます。症状がピクピクだけであれば、典型的な眼瞼ミオキミアと思われ経過をみていただいて大丈夫と思われますが、眼局所の病気(ドライアイ、虹彩炎、白内障など)が原因のこともありますので、一度眼科での精査をお勧めします。眼科的に異常のない場合は、漢方の内服が有効なことがあります。また経過観察中に顔が引きつる、水をこぼすといった症状があれば顔面痙攣の可能性があり、早急に脳外科でMRI(磁気共鳴画像装置)などの精査が必要となります。