モンドール病は、乳房あるいは前胸壁〜上腹部の皮下に突然出現する有痛性の索状物です。皮下静脈に血栓を起こすことにより生じる血栓性静脈炎で、厳密には乳腺疾患ではありません。30代から50代の女性に多いと言われています。(男性の3倍)原因は、激しい運動や過度の労働、きつい衣服や下着などで、局所的に血液やリンパ液の流れが悪くなってうっ滞することによって発症すると考えられています。手術後などに発症したり、原因不明の特発性が最も多い(32%)索状の硬結に一致して圧痛、突っ張り感があり、上肢の挙上や体のひねりなどで増悪します。(症状なないこともある)また、索状の硬結に沿って、皮膚の陥凹、隆起が見られますが、発赤など皮膚の炎症を疑う所見は通常、見られません。太さは数mm、長さは数cmから数10cmにおよぶこともあります。超音波検査では、索状物は無〜低エコーの管腔構造として描出されるが、血栓で閉塞しているので優位な血流所見は認めない。

 

 

モンドール病はフランスの外科医のモンドール先生が最初に記述したものです。本体はあまり強い炎症というのはなくて、いわゆる血栓が形成されることによって起こる病態と考えられおり、赤みを帯びたりとかそういうこともほとんどありません。

治療は、ほとんどの場合は経過観察のみで2〜8週間で自然に軽快(索状物は1~2か月で消失)しますが、痛みが強ければ鎮痛消炎薬などを処方します。

乳房に生じた場合、2.4〜12.7%に乳がんの合併率があり比較的高いとされています。乳癌は腫瘤が小さい割に腋窩リンパ節転移が多く、癌の占拠部位は索状物の先端に認められ、転移陽性例では索状物は腋窩に向かって伸びています。乳がんとの関係ははっきりとはしていませんが、モンドール病の診断の際には、乳がん検診を啓発を行なっておきましょう。