フェントステープ

【組成・性状】フェンタニル(一般名)
       0.5mg、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg(貼付剤)

【効能・効果】

本剤は、他のオピオイド鎮痛剤が一定期間投与され、忍容性が確認された患者で、かつオピオイド鎮痛剤の継続的な投与を必要とする癌性疼痛及び慢性疼痛の管理にのみ使用すること。

慢性疼痛の原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、依存リスクを含めた包括的な診断を行い、本剤の使用の適否を慎重に判断すること。

【用法・用量】本剤は、オピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する。
通常、成人に対し胸部、腹部、上腕部、大腿部等に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替えて使用する。(24時間鎮痛効果持続)
初回貼付用量は本剤貼付前に使用していたオピオイド鎮痛剤の用法・用量を勘案して、0.5mg、1mg、2mg、4mg、6mgのいずれかの用量を選択する。
その後の貼付用量は患者の症状や状態により適宜増減する。

フェントステープ

 

【禁忌】

【使用上の注意】初回貼付用量として、フェントステープ8mgは推奨されない(初回貼付用量として6mgを超える使用経験は少ない)。初回貼付用量は換算表に基づく適切な用量を選択し、過量投与にならないよう注意すること。

オピオイドの増やしても耐性で効果が弱くなったり、強い副作用で使いにくい場合、投与ルートの変更が必要な時に、オピオイドの種類を変えてみると上手くいく場合があります。これをオピオイドスイッチ(ローテーション)といいます。中等量以上(オキシコンチン120mg以上)のオピオイドのスイッチをする場合は、一度で全部を変えるのではなく、半分を変えて、少し量を減らして、レスキューで対応し、徐々に違う製剤に変更していく。

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【薀蓄等】

フェンタニル

 

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アブストラル舌下錠

アブストラル舌下錠は、フェンタニルの速放性製剤(レスキュー薬)です。

舌下投与により突出痛に対して速やかな鎮痛効果が期待されます。従来のモルヒネ、オキシコドンの経口レスキューは立ち上がりが遅く突出痛をカバーしきれないが、アブストラルは、立ち上がりが早く、突出痛を押さえ込むことができる。

アブストラル

アブストラルの立ち上がりが早くても突出痛がより強い場合はカバーしきれない。投与30分後に痛みが続く場合は、同一用量をもう1回追加投与することで突出痛を抑える事ができます。

アブストラル

アブストラル舌下錠の投与間隔は2時間以上あけなければいけないことになっています。アブストラル舌下錠投与後2時間以内に痛みが出た場合は、オキノームなど他の薬剤などで対処することになります。

アブストラル

追加投与を必要とする突出痛が複数回続いたり、追加投与でも痛みが抑えきれない場合は、1回投与量を増量します。増量のパターンは、100μg → 200μg → 300μg → 400μg → 600μg → 800μg の順で増量します。最高量は800μgです。

アブストラル

アブストラル舌下錠は、2時間以上あけることが投与条件となっていますが、1日当たり4回を越えて投与することはできません。4回以上の突出痛がある場合は定時投与量の増量(30〜50%増量)を検討します。

アブストラル

アブストラル

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【組成・性状】100μg 200μg 400μg
【効能・効果】強オピオイド鎮痛剤を定時投与中の癌患者における突出痛の鎮痛
【用法・用量】通常、成人には1回の突出痛に対して、フェンタニルとして100μgを開始用量として舌下投与する。用量調節期に、症状に応じて、フェンタニルとして1回100、200、300、400、600、800μgの順に一段階ずつ適宜調節し、至適用量を決定する。なお、用量調節期に1回の突出痛に対してフェンタニルとして1回100~600μgのいずれかの用量で十分な鎮痛効果が得られない場合には、投与から30分後以降に同一用量までの本剤を1回のみ追加投与できる。至適用量決定後の維持期には、1回の突出痛に対して至適用量を1回投与することとし、1回用量の上限はフェンタニルとして800μgとする。ただし、用量調節期の追加投与を除き、前回の投与から2時間以上の投与間隔をあけ、1日あたり4回以下の突出痛に対する投与にとどめること。

国内では頬粘膜吸収錠(イーフェンバッカル)と舌下錠(アブストラル)が発売されています。
突出痛には
①薬の切れ際の痛み(定期的な鎮痛薬の少し前に痛くなるもの)
②体動に伴う疼痛
③予測できない突発的な疼痛、の3種類があります。
フェンタニル粘膜吸収製剤は②と③に対して使用します。がん患者の予測できない突発的な疼痛は、発生が急で、持続時間が短く、数十分のうちに自然に軽減することが特徴です。フェンタニル粘膜吸収製剤は、経口オピオイドに比べ効果発現時間がはやく、効果持続時間が短いので、このような突出痛の特徴に合った薬剤と考えられています。また、突出痛の治療に必要なオピオイドの量は、ベースのオピオイド量とは相関がないことが分かっています。(ベースのオピオイドが多くても、突出痛治療に必要な量は少ない場合、またはその逆がある。)このため、突出痛は突出痛として分けて、至適投与量を決定する必要があります。一方、ある程度の投与量の「目安」になるものとして、イーフェンとアブストラルは1:1換算ではありませんが、突出痛の治療に使用される場合、イーフェン200μg≒オキノーム15㎎が目安になります。

モルヒネ60㎎、オキシコドン40㎎、フェントス2㎎、デュロテップMT4.2㎎以上のオピオイドの定期投与を行っていない患者では使用しない。これより低用量の場合(フェントス1㎎など)の場合は「必要性を慎重に検討する」とされている。持続痛がコントロールされている。すなわち、一日のうち大半は痛くなく、1日に2~3回以下の突出痛がある。
(注)1日4回を超える突出痛がある場合には、持続痛がコントロールされていないと考えられるので、アブストラルを使用する前にベースの鎮痛薬を増量する。

至適投与量は1日の合計オピオイド投与量から決定することはできないため、「用量決定期間」をもうけてプロトコールにしたがって至適投与量を決定してください。至適投与量を決定するためには、突出痛を生じたときに、100ugから投与を開始し、2回続けて効果があった場合にその投与量を至適投与量とします。効果ない場合は、100ug→200 ug→300 ug→400 ugの順に増量し、効果を判定します)

処方例)アブストラル舌下錠100μg 1錠(必ず100ug/回から始める)

   疼痛時 5回分    30分後効果ない時1回のみ追加可。1回目から数えて4時間あけて1日4回まで可

 

デュロテップMTパッチ(フェンタニル)

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2.1mg/枚
4.2mg/枚
貼付剤、1回の貼付で約72時間鎮痛効果持続。ゆっくり効いてくる(18時間ぐらい、血中濃度が一定になるのに9日間)ので、過量にならないように増量には細心の注意が必要。(突然に、意識レベルが下がったり、呼吸抑制がくる、パッチを剥がしても、切れるのに1日かかる)

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