良性発作性頭位変換眩暈症 

頭を動かすと回転性(ぐるぐる)めまいが起こるが、頭を動かさないでじっとしていると1分以内に治まる。原則的には蝸牛症状(難聴や耳鳴り)はありません。末梢性の一方向性の眼振あり(何回もしていると慣れて弱くなる)高齢の女性に多い。

 

メニエール病

蝸牛症状(難聴、耳鳴り)を伴う回転性(ぐるぐる)めまいを繰り返す(初回のめまいでは診断がつかない)持続時間は、数時間〜数日間(数分で治る、反対に数日以上続くようなら違う)30〜40歳代が多い(高齢者は少ない)

 

前庭神経炎 

突然、立っていられないほどの激しいめまいが起こるのが特徴です。めまいで緊急入院する人の約6割を占めます。原則的には蝸牛症状(難聴や耳鳴り)を伴わない、純粋なめまいのみ。ほとんどに人に風邪など感染症が先行し、強い吐き気が見られます。数日以上にわたり強いめまいが続きますが(眼振も続く)2週間ほどで(長くても1ヶ月程度)次第に軽くなります。必ず治る病気で、再度めまいが起こることはまずありません。

 

突発性難聴

なんと言っても、末梢性で見逃してはダメなのは突発性難聴です。 ある日突然、片側の耳(両耳はまれ)が聞こえなくなって、耳鳴りがするのが「突発性難聴」です。めまいは半数に見られます。 治療を始めるのが遅くなればなるほど、聴力の回復に差が出てしまいます。(発症から1ヶ月以上たつと聴力が戻らなくなります)

 

難聴

突発性難聴の他にも難聴を引き起こす疾患jはいくつもあります。

騒音性難聴

大きな音が原因で起こる難聴。以前は鉄工所や空港など仕事で大きな音にさらされる人に多かったが、最近は若い人を中心にイヤホンやヘッドホンで音楽を長時間聞く人に増えています。

音響外傷

コンサートや花火大会など大音響にさらされることで発症。耳鳴りがしたり、聞こえにくくなったりする症状が現れる。

ムンプス難聴

おたふくかぜが原因で起こる難聴。治療が非常に難しく、一度発症すれば高度の難聴を残すケースが大半。おたふくかぜにかかった1000人に1人程度が発症する。予防はムンプスワクチンの接種しかない。

 

耳鳴り

耳鳴りのメカニズムはまだ完全にわかっているわけではありませんが、難聴と耳鳴りには非常に深い関係が あって、聞こえの悪い方の約7割に耳 鳴りが伴うとされています。 蝸牛からの聴力の信号が中枢に伝わる。 それがかなり小さくなる、あるいは途絶すると、中枢聴覚部の抑制系の活動がかえって低下して、それによって中枢の神経に過剰な興奮が生じるといわれています。これが耳鳴りのメカニズムです。つまり、耳鳴りは耳ではなくて、むしろ脳に起源があると考えられています。難聴あるいは環境的な因子で、外から音が十分に入ってきていないような状態では「聴こえの 脳」が過敏になってしまい、その結果、 音が入らない部分を逆に耳鳴りとして感じてしまうとされています。耳鳴りは、患者さん自身にしかわからない音の感覚で、患者さんの 訴えも非常に千差万別になります。患者さんは、ジーッ、キーン、あるいはセミの鳴くような音とか、いろいろな表現をされます。患者さんにとって耳鳴りは非常に辛い症状になります。患者さんは 自分の耳鳴りがどういう原 因で生じているのか、これからこの耳鳴りはどのようになっていくのかがわからないのがとても不安でさらにそれが苦痛になってしまう状態になっています。「耳鳴りは治りませんよ」などと安易に言ってしまうと、患者さんは絶望感を持ってさらに悪化したり、ドクターショッピング(医療機関を渡り歩く)することになってしまいます。 耳鳴りについてしっかりと説明 をして、患者さんに正しく理解してもらうことだけで耳鳴りが改善することも少なくありません。こいういったカウンセリングが耳鳴りに有効であることが示されています。

薬物療法については、耳 鳴りそのものを消失させるというエビ デンスはありません。内耳の機能の改善を期待して、ビタミン剤とか血流改善薬を投与したりすることは あります。 また、メンタル系の薬として、抗不安薬とか抗うつ薬が耳鳴り による苦痛を改善させる可能性はある と思います。耳鼻科の治療としては、音響療法が行われています。これは耳鳴りを消失させるのが目的ではなくて、耳鳴りに対する順応が起きることで耳鳴りに対する苦痛を軽減させる治療法になります。聴覚には、その感度を環境信号のレベルに応じて 調整する機能があります。例えば、聴力検査をするような防音室に入ると、 健康な方でも耳鳴り、キーンというよ うな耳鳴りを感じるのです。 これは聞こえの感度が極度に増幅さ れた状態になったからです。耳鳴りを軽減させる基本は静寂を避けることだと思います。外から音が入っていない分だけ敏感になるというスタンスからすると、逆にいえば、単純に音を入れてあげればいいわけで、例えば好きな音楽を聴いて、静寂を避けることにしてもよいと思います。この際の音は耳鳴りを消すよう な大きさである必要はなくて、本当に小さな音でいいのです。それだけで十分に効果がある場合もあります。現実的には外から 音が入ることで注意が耳鳴りのほうに向かなくなるというのが大きな要素かと思います。

もうちょっ としっかりとしたものであれば、耳鳴り治療器というものが出ています。耳 にかけて音を入れっぱなしにするとい う器械です。ただ、難聴がある方の場合には、補聴器の使用を開始し、しっかりと調整したうえで常用していただく。長い期間ずっとつけっぱなしにしていただく。これによってかなり耳鳴りに対する苦 痛度は和らぐといわれていて、報告に もよりますけれども、8割ぐらいの方に効果があるといわれています。補聴器というのは、なかなか 個々人の方に勧めても、ギブアップし てしまう方が多いようです。これは患者さんは、長い期間ある難 聴ですと、音が入ってこないことに「聴こえの脳」が慣れているので、そうするとちょっとした音でも響きます。補聴器を出すときによく言う ことは、これはリハビリなのだと。ち ょっとうるさいと思うかもしれないけ れども、「聴こえの脳」が忘れてしま っている音だから、それを取り戻すた めに、ちょっとたいへんだけれども、 しばらくの間はつけっぱなしにしてく ださいとご説明します。 面白いもので補聴器が合ってくると、 耳鳴りの話を患者さんがいつの間にか しなくなります。1週間、2週 間で、何となく煩わしいからといって 諦めずに、半年ぐらい使い続けていただくということです。

逆に、騒音もよくありません。大きな 音を連続的に聴いていると、内耳に大 きなダメージが加わります。そうすると、それをきっかけにして耳鳴りが生 じることは十分に考えられます。

 

マクロライド少量長期投与療法について


抗生剤の投与は長くても2週間以内というのが一般的な投与方法です。慢性副鼻腔炎に対してマクロライドという抗生物質を少量で、長期間(3~6か月)内服する治療方法があります。

この治療法は長期間抗生剤を内服しても重篤な副作用が少ないといわれております。マクロライドは主に気管支炎や肺炎等に効果のある抗生物質で、呼吸器科ではびまん性汎細気管支炎などにマクロライド少量長期投与療法が行われております。エリスロマイシン(EM14員環マクロライド)に比べて、ニューマクロライドといわれるクラリスロマイシン(CAM14員環マクロライド)の方が、効果があるといわれております。

慢性副鼻腔炎は主に細菌感染がきっかけで起こり、炎症産物により鼻粘膜が障害されて、粘液の分泌が亢進し、鼻汁の排泄の通路が妨げられたりします。マクロライドはこれらの炎症産物を減少させたり、鼻汁の分泌を抑制するのに有効です。少量のマクロライドは本来の抗菌作用を期待するのではなく、抗炎症作用、免疫系への作用、細菌のバイオフォルム形成や付着抑制作用などを期待して投与されます。マクロライド少量長期投与療法は滲出性中耳炎の治療に応用される場合もあります。しかし、鼻ポリープがある方や鼻中隔弯曲症などの骨格異常のある方、アレルギー性鼻炎を併発している方、気管支喘息などを合併している方に対しての有効性は低くなるといわれております。

小さいお子さんに対してもマクロライド少量長期投与療法は大人の方と同じぐらいの有効率があるといわれております。しかし、小さいお子さんはマクロライド投与期間中でも急性増悪を起こす場合が多く、完全な症状の消失を目標とすると投薬終了が難しくなってしまうことがあります。したがって、症状経過をみて、お薬の投与期間を判断させていただくことになります。急性増悪時には他の適切な抗生剤を使用することもあります。

お薬は、通常の内服量の半分の量を3か月から6か月間、毎日内服していただきます。小さいお子さんはできるだけお薬の内服期間を短くできるようにします。有効な場合は途中でマクロライドを一度打ち切り、症状がまた出てきたときに再びマクロライドを飲んでいただくことがあります。再投与してマクロライド少量長期投与療法は効果が期待できるといわれております。

慢性副鼻腔炎に対するマクロライド療法のガイドラインでは、成人は1日エリスロマイシン400~600mg、またはクラリスロマイシン200mg、またはロキシスロマイシン150mg、小児は1日エリスロマイシン10mg/kg、またはクラリスロマイシン5mg/kgを基準として症例により適宜増減する。3ヶ月投与で全く無効な症例は速やかに他の治療法に変更し、有効症例でも連続で3~6ヶ月で一度中止し、症状再燃時に再投与する。小児にはできるだけ投与期間を短縮し、2ヶ月で有効性を認めなければ中止する。

気管支拡張症に対するマクロライド系抗菌薬の適正使用のお願い 日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会

2025 年 4 月 24 日

1.はじめに 気管支拡張症は、気道の不可逆的な拡張と慢性的な炎症を特徴とする疾患であり、慢性の

咳嗽、喀痰の貯留、頻回の急性増悪を主症状とする。近年の疫学調査により、本疾患の有病 率は増加傾向にあり 1,2)、高齢化の進行とともにさらなる患者数の増加が予測されている。 特に急性増悪の頻度は患者の予後に大きく影響を与えるため、その管理が重要な課題とな る。

マクロライド系抗菌薬は、本来は細菌感染症に対する抗菌薬として開発されたが、その後、 抗炎症作用や免疫調節作用を有することが明らかとなり、気管支拡張症を含む慢性気道疾 患の管理に応用されるようになった。過去のランダム化比較試験(RCT)およびメタアナリ シスの結果 3~7)から、少量長期投与が気管支拡張症の急性増悪頻度を低減することが示さ れており、一定の条件下での投与が推奨されている。しかしながら、長期使用に伴うマクロ ライド耐性菌の増加 5)や、副作用のリスク 3~5)が指摘されており、その適応については慎 重な検討が必要である。

2.マクロライドの作用機序と臨床的有効性
マクロライド系抗菌薬は、細菌のリボソーム 50S サブユニットに結合し、タンパク質合

成を阻害することで抗菌作用を発揮する。これに加え、抗炎症作用として好中球の遊走抑制、 サイトカイン産生抑制、粘液分泌調整などが報告されている 6,8)。さらに、気道上皮細胞に 対する免疫調節作用を通じて、慢性炎症の進行を抑制する可能性が指摘されている 9)。

臨床的には、複数の研究結果がマクロライド長期投与の有効性を示し、海外からガイドラ インが発出されている 10~12)。最近のシステマティック・レビューに依れば、マクロライド 系抗菌薬の投与は増悪の頻度の減少、初回増悪までの期間の延長が期待できる 13)。エリス ロマイシンに特化すると、エリスロマイシンを 12 か月間投与した群において、プラセボ群 と比較して急性増悪の発生率が有意に低下したこと、また、特に Pseudomonas aeruginosa 感染例において急性増悪に対して低減効果が高いとされることが報告されている 5)。

3.適正使用のための推奨事項 気管支拡張症に対するマクロライド系抗菌薬の適正使用を考える上で、現時点では適応

外使用であることを熟慮した適応の明確化が重要である 10)。現在のエビデンスに基づくと、 急性増悪を認めた既往のある患者に対して、他の治療法(気道クリアランス療法、理学療法 など)で十分な管理が困難な場合に適応を考慮すべきである。また、投与期間については、 6 か月以上の継続が有効と示されている論文 12)もあるが、不必要な長期使用を避けるため、

定期的な評価を行いながら治療の継続を判断することが求められる 9)。 一方で、マクロライド耐性菌の出現を防ぐため、不適切な投与は厳に慎む必要がある。特 に、Pseudomonas aeruginosa 感染例や明確な適応のない症例において他療法の検討が望ま しい。さらに、副作用として消化器症状、肝機能障害、QT 延長による心血管リスク、聴覚 障害などが報告されており 13-15)、これらのモニタリングも適正使用の観点から不可欠であ

る。 また、本邦では非結核性抗酸菌症患者数が増加し、診断未確定の患者が気管支拡張症ある

いは慢性下気道疾患患者に潜在している可能性が高い。欧米のガイドラインではアジスロ マイシンの投与について記載されているが、精査を十分に行わず、安易にクラリスロマイシ ン、アジスロマイシンをエリスロマイシン・エリスロシンの代替薬剤として用いる事は、 患者の予後を悪化させる可能性がある。

4.エリスロマイシン、エリスロシン供給状況 現在、エリスロマイシンおよびエリスロシンの供給に関し、一部の医療機関において

処方が困難となる事例が報告されている。本学会では、この状況を踏まえ、製薬企業への調 査を実施した。

A 社は電話での聞き取りであるが、昨年比 120%程度の流通量に回復しているものの、1 月は 12 月の出荷増加の反動で出荷量が減少。公式には「出荷調整中」として報告している ことが説明された。

B 社は対面で以下を聴取した。2022 年の減産以降増産は行っていないが一定の生産量を 維持している。しかし、現状は出荷調整を実施している。なお、原薬はブルガリアで生産さ れており、今後の供給が不安定であり、他の感染症関連学会とともに打開策を検討中である。

いずれの製薬会社も在庫は保持せず、生産と販売を同期させている。この結果から、エリ スロマイシンおよびエリスロシンの供給量は今後増加する見込みは少なく、むしろ減産 の方向に動く可能性もある。

5.学会としての今後推進すべき対応方針

1. 適正使用の啓発 気管支拡張症に対するマクロライド系抗菌薬長期投与の適応を明確にし、適正な投 与が行われるよう啓発を行う。

2. AMR(抗菌薬耐性)対策の推進 不適切な抗菌薬投与を防ぎマクロライド系抗菌薬の消費量を減らすため、日本呼吸 器学会感染症・結核学術部会を中心に、他の感染症関連学会と協調し、手引きの見 直しを行う。

3. 供給安定化に向けた関係機関との連携 行政および製薬企業と連携し、安定供給に向けた働きかけを強化する。

6.おわりに

マクロライド系抗菌薬の少量長期投与は、気管支拡張症の急性増悪抑制に有効な治療法 であり、特定の患者群においては予後改善が期待される。しかし、その使用は慎重に適応 を判断し、耐性菌リスクや副作用管理を考慮した適正使用が求められる。今後、さらなる 研究による長期的な安全性評価や、新たな治療選択肢の確立が期待される。

注)本学会としては、引き続き最新の情報を収集し、会員の皆様へ適宜ご報告してまいりま す。何かご不明な点がございましたら、事務局までお問い合わせください。