慢性咳嗽の定義は、8週間以上ですが、咳はかなり体力を使う辛い症状なのでここまで我慢させる理由はどこにもありません。臨床上は数週間で治療を開始することが多いでしょうか。鑑別診断では、 まずはとりあえずレントゲン写真、可能であればCTを撮って、少なくともがんやCOPD は否定しておくことが大事です。診断には、しっかりお話を聞くことが第一で、まずは好発時間が日中なのか夜間なのか?咳喘息は喘息ですので、日中より夜間、夜間の中でも副交感の緊張が高まってコルチゾールの分泌が下がってくるといわれている寝入りばなよりも、夜中から明け方に咳で目が覚めるのが特徴です。一方、風邪など感染関係は夜寝ようと思うと、寝入りばなに 咳で眠りにくいなどの特徴がありますし、痰を伴う場合は寝ている間にたま ってしまうので、明け方に痰がらみの 咳で起きる場合が多いと思います。また、COPDは息切れですが、咳とか痰が絡む人もいます。これは喫煙歴を聞いて、肺機能検査をすればある程度診断 がつく病気です。逆流性食道炎は、典型的には食後の胸やけ、それに合わせて咳が出て、制酸剤で改善するような咳であればあまり難しくありませんが、咳喘息に合併 しやすいという報告もあり、咳喘息の治療をしても昼間に咳が残っていたら胃食道逆流が合併していることを考えないといけません。有名なACE阻害薬、β遮断薬、 一部の糖尿病の薬が薬剤性の咳嗽の原因ともいわれていますので、やめれば治ります。

夜中から明け方の咳嗽や鼻炎などいろいろなアレルギー疾患の合併、家族歴があるかなどを積み上げていって、どうやら咳喘息っぽいということになったら、最初からステロイドと気管支拡張薬の合剤を使う機会が多いかと思います。私はそれは仕方がないと思います。症状が強くて、患者さんを何とかしてあげたいと思うのは医師の本分というか、気持ちとしては間違いないと思います。感染性のものでしたら気管支 拡張薬はまず効かないと見てよいので しょうか。 松瀬 気管支拡張薬自体に咳反射を 抑える薬理作用はないといわれていま す。気管支拡張薬で改善する咳は収縮に関係して起こる咳反射なので、喘息もしくは咳喘息とほぼ考えていいと思います。

一つは風邪のウイルスが感染すると、 咳の受容体のスイッチが非常に入りやすくなる。そうすると、ウイルス がいなくなっても、しばらくこの入りやすい状態が続いてしまうので、急性期を過ぎても咳が出続ける。あるいは咳は反射なのですが、ある程度長く続くと脳とつながってしまって、咳が出たらどうしようとか、何となくのどがもぞもぞするといって、少し気持ちの問題で咳が出る。こういういろいろなものが相まって、ウイルスもおらず、炎症もなくなっているのに咳だけが続くという現象が起きてしまうのが、感染後の咳の原因ではないかといわれています。