がん
平成25年10月5日、たつの市太子町民健康講座が、赤とんぼホールで開催され、大阪府立成人病センターの中山富雄先生に「がんのことを知っていますか」という演題で講演をして頂きました。私もパネリストとして参加し、がんとたばこについてコメントしてきました。がんの原因として最も大きなものは、言わずと知れた「たばこ」なんですね。
「がん」と言われたら・・・ショックですよね。ああ、もうすぐ死ぬんだ・・・。不治の病?と思うからですよね。しばらく立ち直れない。ですが、誰も代わってくれません。(自分の子供ががんになっても代わってやれません)自分の中で、解決して受け止めなければならない現実があります。平均80歳という世界でも有数の長寿国で、なおかつ医学が進歩し、早期でがんが見つかるようになり、一生のうちで2人に1人ががんになる時代なったわけです。なんで俺やねんと考えてしまいがちですが、決して「がん」と言われること自体は、めずらしくもなんともありません。その辺に人が集まれば、半分の人ががんと言われてしまう時代なんです。
もう少し詳しく見ると、実際の統計データ「がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2011年データに基づく)は、生涯でがんに罹患する確率は男性62%(2人に1人)女性46%(2人に1人)2人に1人の確率でがんになるというのは間違いではないことがわかります。胃がんは男性が11%(9人に1人)肺がんは男性が10%(10人に1人)大腸がんは男性が9%(11人に1人)膵臓がんや食道がんなどは2%、悪性リンパ腫も2%で50人に1人ぐらいはがんになる確率をみているとほんとうに他人事ではありません。ちなみに、乳がんが9%(12人に1人)です。
しかし、現在年齢別がん死亡リスクを見ると、0歳の男性が、50年後の50歳までにがんになる確率は、なんと2%しかありません。つまり、がんを患う確率は50歳以降一気にあがるのです。
一生涯では、女性にくらべて男性の方ががんになる確率が高いのですが、60歳までをくらべると、女性ががんになる確率が高いこともわかります。
開業するまでは、がんの患者さんなんてほとんど診たことがなくて、漠然とがんは怖いなあというイメージしかありませんでしたが、開業してたくさんのがんの患者さんを看取った経験から考えるに、人間、生まれたからには死は避けられない訳で、脳卒中や認知症になるよりは、自分も最後はがんで死ぬのも悪くないかな、がんも捨てたものでもないと思うようになっています。(実際に自分が「がん」と宣告されたわけではないので、そうなった時に同じ心境でいられるかどうかはわかりませんが・・・)
現在、我が国の死因の第1位はがんです。
その内訳は、男性では肺がん、胃がん、大腸がんの順、女性では、大腸がんが胃がんと抜いて、死亡原因の一位になっています。
がん検診で早期発見?
がん対策を総合的に進めるための「がん対策推進基本計画」が、2012年に厚生労働省案が発表され、がん検診の受診率を50%に上げるなどの目標が掲げられています。がん検診をみなさんが受けない理由として「健康だから」と答える人が多くおられますが、がんは、早期の時点では自覚症状はほとんどありません。「がん検診について正しく知る人が少ないことや自治体の呼び掛けが不十分なことが主な原因と言われています。がん検診は、早期にがんを見つけることが出来る反面、結果が100%正しいわけではない(偽陽性・偽陰性がある)検診に伴う合併症もありうるなどのデメリットもあります。それらを知り、適切な方法と間隔で受診することが大切です。
日本では、厚労省の推奨項目として、胃がん、子宮頸がん、乳がん、肺がん、大腸がんが勧められていますが、世界的に有用性が認められているのは、大腸がん(欧米では大腸がんが多かった。日本で証明されているわけではありません)子宮頸がん、乳がんの3つだけです。肺がん、胃がんは、日本でしか有用とされていません。我が国で、癌検診の有効性を証明したとされている言われている研究は、症例対象研究です。つまり、がんの症状で発見された患者群は、検診で発見された患者群より短命であったということで癌検診は有効であるという根拠となっているのですが、専門的なことを言えば、早く見つけたために長く生きる(lead time bias)進行の早い癌は、検診でみつからないで、進行の遅い癌は検診でみつかりやすい(length bias)実際に臨床的に死なないがんをたくさん見つけるので、高齢者では癌以外で亡くなること(pseudo-disease bias)がんもどきといわれる(microscopic cancer)ものも含まれるなどバイアス(偏り)となる原因が多数あり、胸をはってがん検診は有用ですとは言いにくいことも事実です。本当のことは、無作為化比較の大規模臨床試験(RCT)という手法を用いないとわからないわけで、一般的には、これらのエビデンスがしっかりしていないがん検診は、マススクリーニングとしては不向きだと言われていますが、日本の医療レベルの平均的な質の高さ、日本人特有の繊細さなどがあれば、年齢や患者背景を考慮してハイリスク群を絞れば、違った結果も出るのではないかも思っています。(希望的観測?でしょうかね)
たとえば、胃がんは、伝統的に日本の疫学上最も頻度に高いがんとして、早くから胃がん検診がおこなわれてきました。しかし、最近は胃がんは減っているので、どういう形で胃がん検診をつづけているかは、臨床的なバックグランドに基づいて、細かいカスタマイズした検診へと変えていくことが重要と思われます。(ピロリ菌やペプシノーゲン等の新しい指標も考慮して)肺がん検診もマススクリーニングとしてよい結果はでていませんが、一律40歳以上というようなおおざっぱなものではなく、喫煙歴など危険因子のある人については、肺CTの検査での放射線の被曝を説明した上で、検診を施行することは有用かもしれません。
いづれにせよ、1cm内外のがんを見つけることが出来るようになった時代に、がんが早期に発見されて、助かった患者さんも多数いるのも事実です。限られた社会保障費の中で、上手に検診を受けられるように、住民に対してテーラーメード的なアプローチが必要なのではないかと思います。
ステージの決定
がんと診断された時に
治療方針の決定
早期で見つかった患者さんは、根治を目指した治療を行います。根治治療が困難と判断された場合は、延命と緩和が中心となった治療になります。治療方針の決定は、エビデンスや患者さんの状態(PS、年齢、併存疾患など)患者さんの意向を汲んで行います。
Performance Status(PS)は、ECOG(米国の腫瘍学の多施設共同試験グループ)が決めた固形がん治療の全身状態の指標です。PS3は、日中の生活の半分以上寝てなければならない、もしくはソファで休んでなくてはいけないような状態です。PS3か4の患者さんは、抗がん剤治療をすると副作用でかえって悪くなってしまうことがわかっているので、化学療法は見送られます。PSが悪い場合は、抗がん治療中にPSの悪化が確認された場合であれば、抗がん治療を中止することになります。
化学療法を始める前に確認として予防出来ることのチェックが行われます。
(1)B型肝炎のスクリーニング
最悪の場合、de novoB型の劇症肝炎で亡くなることも想定されるので、キャリア、活動性肝炎を調べるために、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体をチェックします。
(2)ワクチン接種
肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチン(冬期など)なども転ばぬ先の杖です。
(3)歯科受診
歯科感染の予防、顎骨壊死リスクの軽減
最近のケースでちょっとびっくりしたのは、当院に高血圧で通院されている80歳の男性で肺がんが早期でみつかったのはよかったのですが、紹介先の病院で、手術をする条件として禁煙を求められた(手術のリスク、術後の肺炎の合併、肺がん再発に関しても問題となる)のですが、患者さんは同意しなかったので、それならば、手術はしませんということで追い返されてきました。もうそれぐらい徹底しているんですね。リスクマネージメント?時代ですかね。患者さんは、家族に説得されて、禁煙を約束して手術を行いましたが、術後、当院外来の日、胸のポケットにはタバコが入っていました。以前、心筋梗塞でPCI(経皮的冠動脈形成術)をした患者さんが、CCUから出たとたんに喫煙所でタバコを吸っているのが見つかった強者もいました。タバコを吸いながら、降圧薬を飲む、その人の人生観なのでそれはそれで。
治療ラインとは、初回治療/1次治療(ファーストライン)2次治療(セカンドライン)3次治療(サードライン)4次、5次、6次と続きます。たとえば、3次治療の患者さんとなるともうすでにいろいろと抗がん剤の投与をされてきた患者さんだということになります。
治療薬の臨床試験では、効果を厳密に評価する必要があるため、世界的に使用されている判定規準があります。それが、RECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors :固形がんの治療効果判定)Groupという、欧米の研究者グループが作成した「RECIST(レシスト)ガイドライン」です。がん(標的病変)の大きさがどのように変化したかで、4つに分類されます。なお、がん(標的病変)の大きさは、CTまたはMRIを用いて最長径を測定することで算出します。奏効率(response rate; RR)とは、臨床試験において有効性をみる重要な指標の1つであり、RECISTガイドラインで完全奏効(CR)となった人と、部分奏効(PR)となった人を足した割合を指します。つまり、がん治療により、がんが30%以上小さくなった人の割合を意味します。
胃がん
胃がんの死亡率は第2位(男の罹患率は第1位)日本人に多いがんです。最近、ピロリ菌との関係を日本人が発見しました。診断と治療が進歩し、早期に見つかれば、胃カメラで完治する病気になりました。
肺がん
死亡率第1位は肺がんです。喫煙大国日本の現状をよく表しています。検診では胸部Xpや喀痰検査を行いますが、早期に発見しても進行しているケースも稀ではありません。治療法は進歩し、さまざまな選択が可能になっていますが、肝臓がんと並び、予後の悪いがんのひとつです。
大腸がん
大腸がんも増えています。(特に女性では死亡率第1位)便潜血の検診が有効で、早期発見し、治療すれば、治癒させることができる疾患です。
子宮頸がん
子宮頸がん予防ワクチン接種が積極的な接種勧奨の差し控えになってしまいました。われわれにできることは、子宮頸癌の検診率をあげることです。
乳がん
乳がんは、日本人の女性に最も多いがんです。しかも若い年齢(40〜50歳)で発症するのが特徴で、 早期に発見すれば、十分治癒できるがんです。また、唯一自分で発見できるがんで、1cmぐらいになると注意深く触るとわかるようになります。(自己発見率75%)遺伝子検査により、乳がんになりやすいかどうか、どんな薬がよく効くかなどがわかるようになってきました。
前立腺がん
70歳代男性の4人に1人が前立腺がんをもっており、男性のがんでは胃がんを抜いて第1位になりました。 非常にゆっくり進行するがんであり、市民ドックでは、血液検査による(PSA:腫瘍マーカー) がん検診が行われています。(たつの市では、平成○年に住民検診に加わりました)
がん 癌 悪性腫瘍 悪性新生物(英: cancer、carcinoma 独: Krebs)
上記の語句は、ほぼ同義語であるが、細かいことを言えば、「がん」は、「癌」や「肉腫」(sarcoma)、白血病などの血液悪性腫瘍も含めた広義的な意味で悪性腫瘍を表す言葉としてつかわれている。(がんセンターなど)一般に「癌」は、病理学的には悪性腫瘍のなかでも特に上皮由来の「癌腫(上皮腫、carcinoma)」のことを指します。「悪性腫瘍」とは、腫瘍の中でも、特に浸潤性を有し、増殖・転移するなど悪性を示すもののことである。「cancer」は、かに座 (cancer) と同じ単語であり、乳癌の腫瘍が蟹の脚のような広がりを見せたところから、医学の父と呼ばれるヒポクラテスが「蟹」の意味として古代ギリシャ語で「καρκίνος (carcinos)」と名づけ、ケルススが「cancer」とラテン語訳した。
がんとは、いったい”なにもの”なのでしょうか?
うまく説明できる自信はありませんが、順を追ってわかりやすく?お話ししていきましょう。がんは、細胞の病気、であり、その原因は遺伝子の異常から発生します。つまり、遺伝子変異によって自律的に制御されない増殖を行うようになった細胞集団(腫瘍)のなかで周囲の組織に浸潤し、または転移を起こす腫瘍です。
遺伝子とは人間の体をつくる設計図に相当するものです。人間の身体は「細胞」という基本単位からなっています。この細胞の中心には「核」があり、その中に「染色体」があり、染色体は「DNA」からできていて、そのDNAの中にヒトの設計図であるいろいろな「遺伝子」が組み込まれています。
生物は、親から子へ膨大な量の遺伝情報を伝えてゆきます。この遺伝情報は細胞の核内にある染色体の中にまとめられています。ヒト細胞の核内には23対の染色体があり、これらのうち22対は母親と父親からそれぞれ1つずつ子供に伝えられたものが対になっていて常染色体と呼ばれます。常染色体は長いものから順に1番から22番まで番号がついています。残り1対の染色体は性染色体と呼ばれ、子供の性別を決定します。性染色体はXとYがあり、女性はXX,男性はXYの組み合わせを持ちます。受精の際に母親(XX)からはXと父親(XY)からのXが受精に関与すると子供はXX(女性)、母親のXと父親のYが関与するとXY(男性)の子供が生まれます。
染色体は、DNAの毛糸玉のようなものです。染色体(毛糸玉)を解いていくと、DNA(毛糸)がタンパク質の周りに巻かれているような構造になっています。DNAとは、デオキシリボ核酸(Doexyribo Nucleic Acid)を省略した名前で、その構造は2本の鎖がお互いに規則正しく右巻き(時計回り)に螺旋(らせん)状に絡まりあったような構造をしています。
この二重らせん構造の鎖は、ヌクレオチドと呼ばれ、糖とリン酸で鎖の背骨を作り、塩基にはアデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)の4種類あって、それぞれ糖の1’の位置に結合しています。(必ずAとTあるいはGとCがペアになって結合している)長~い、長~いDNA上には、生物の体の構築や生命活動に必要なタンパク質などを作るための設計図がたくさん書いてあり、この設計図の部分のことを遺伝子といいます。
さて、ヒトの遺伝子はいくつあるのでしょうか?
1990年、ヒトゲノム計画が立ち上がり、10年かけて全ゲノム解読が完了されました。人間の遺伝子の総数は新たに2万1787個と推定されています。今でこそ、人一人のゲノム解読は数時間で可能ですが、人の遺伝子その働きが解っているのは1割にも足りません。
ヒトは、60兆個の細胞から出来ています。60兆個の細胞が、みな新しい細胞に置き換わること(新陳代謝)を日々繰り返しています。がん細胞と正常細胞の違いはなんでしょうか。つまり正常細胞は、必要なときに増殖し、不要なときには増殖しないこと、アポトーシスと言って、20〜50回ほどの分裂をすると自ら死ぬようにあらかじめプログラミングされている有限の寿命を持つ細胞です。ヒトの寿命は、70年も80年ありますが、細胞一つ一つは、数日から数ヶ月の寿命しか持たなくて、後継者に情報( DNA)のコピーを繰り返すことで、個々の細胞は死んでも、個体としては同一性も保ちながら、崩壊せずに生き続けているのです。人体は、極めて複雑なので、80年も崩壊しないことのほうが奇跡であって、人ががんにならないほうが不思議なのです。
がんに係る遺伝子は、アクセル役の「がん遺伝子」とブレーキ役の「がん抑制遺伝子」があります。それぞれ逆向きに働く遺伝子が100個ぐらいづつあると言われています。
しかし、1個の遺伝子だけおかしくなってもがんになりません。複数、おそらくは5〜10個程度の遺伝子に傷がつくと初めてがん細胞ができると考えれられています。
人もコピーし自己を複製していく。コピーにコピーを繰り返していくと必ずコピーミスが起きます。毎日数千億個の細胞がコピーされ生まれ変わっており、そのひとつの細胞分裂のたびに30億塩基対のコピーが行われており、10億塩基対にひとつの割合でコピーミス(遺伝子の突然変異)が起こると言われています。その都度がん抑制遺伝子で修正されたりはしますが、ある遺伝子にコピーミスが重なると、細胞は死ぬこと(アポトーシス)ができなくなり、止めどもなく分裂を繰り返すことになります。この「死なない細胞」ががん細胞なのです。毎日、5千個のがん細胞ができては、免疫細胞で退治されたりして、そう簡単にがんはできないようになっていますが、免疫細胞の監視にもやはり完璧ではありません。(特に高齢者になり免疫力が落ちる)ひっそりと生き残ったがん細胞は、人知れず育っていくわけです。
1個が2個、2個が4個、4個が8個、8個が16個と時とともに倍々ゲームのように増えて行きます。その倍々に増えていき、がんの体積が2倍になる時間をDT(doubling time)といいます。1個のがん細胞が20回分裂すると、100万個のがん細胞からなる約1mgのがんが出来ますが、この時点では、がんは、目には見えません。さらに10回分裂すると、10億個のがん細胞からなる約1g(1cm)のがんになり、CTやMRIなどで診断可能となります。
そのまま放置され、さらにもう10回分裂すると、1kgのがん組織になってもう手遅れの状態です。DT(doubling time)は、時期により数10日〜数100日と異なりますが、平均数ヶ月かかります。最初、1個のがん細胞ができて、目で見える大きさに成長するまでに20〜30年かかることになります。だから、早期に見つかった、ちょっと大きくなって見つかって、去年からあったのに見逃されたのではとは言っても、実は10年以上前からがんはあったことになります。
がんの進行度
ガンは、まず腫瘍(T)ができ、リンパ節に転移をし(N)、そして全身に散っていく(M)経過をとることが多いとされます。直接、血流に乗って転移を起こすこともありますが、腫瘍近くのリンパ節に転移があれば、その先の全身に転移がある確率も高まります。ほぼ全てのガンが、このT N Mによって、病期が決まります。 一般の方は、病期を早期、末期と分けますが、我々は (0) I II III IVと分けます。 一般に言われる分類だと、Iが早期、IVが末期、II、IIIが進行ガンとなります。
がんは遺伝子の病気であるということは、遺伝すると思われがちですが、これは違います。確かに稀に、家族性大腸腺腫症や乳がんの一部(アンジェリーナ・ジョリーが乳がん予防のため、両乳房切除、再検手術)などで遺伝性のものもありますが、全く同じ遺伝子の一卵性双生児でもせいぜい10%以下で、すべてが遺伝子で決まる訳ではありません。プロスポーツ選手の息子がすばらしい遺伝子を引き継いだとしても、一流の選手になるには、99%の努力が必要なのと同じです。
がんの手強さ、したたかさはどこからくるのでしょう
これだけ医学が日々進歩し、がんの研究に多くの人がたずさわって、多くの時間が費やされているにもかかわらず、がんについては、なにもわかっていない、入口のほんの少しだけ、がんの肝腎なところはこんなに解っていないのかと不思議に思うくらいですが、その正体について考えるヒントが、生命の進化のなかにあるかもしれません。
137億年前 ビックバンで宇宙が誕生
46億年前 地球が誕生
38億年前 生物(原核細胞)が誕生
32億年前 光合成をする生物が誕生
15億年前 生物(真核細胞)が誕生
10億年前 多細胞生物が誕生
5億年前 魚類が誕生

生命が陸へ上がった(両生類)のは、4億年前です。進化の過程で海を離れるのに34億年もかかっています。そこからヒトまで進化するのに1/10の時間です。生まれ変わったらカエルなっていた?。カエルとヒトでは、全く違った生物と思ってしまいますが、遺伝子が90%ぐらいが同じなのもうなずけるところです。陸へ上がるということは生物にとっては、生きることがより厳しい環境になるわけで、腎臓(RAS系)が大きな役割を担っているという話は、循環器の講演会ではよく使われるくだりです。
3億年前 ゴキブリ
1億年前 恐竜の誕生
6000万年前 霊長類の誕生
500万年前 人類の誕生
10万年前 ヒト(現在)の誕生
1万年前 縄文時代
動物界 Animalia
脊索動物門 Chordata
脊椎動物亜門Vertebrata
哺乳綱 Mammalia
霊長目 Primate
ヒト科 Hominidae
ヒト属 Homo
ヒト H. sapiens
人間とチンパンジーのゲノムの差は、1%だけです。
では、人間の個性の差はどれくらいでしょうか。
環境にもよりますが、遺伝子多型と呼ばれる配列レベルで、AGCTが30億個並んでいるうちの300万カ所ぐらい異なっており、個性の差は0.1%です。人間とチンパンジーのゲノムの差の1割と考えると結構大きいですよね。