リツキサン(一般名:リツキシマブ)は、悪性リンパ腫やネフローゼ症候群など、幅広い疾患に使用されている抗CD20モノクローナル抗体薬です。

適応症は、CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫、免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患、ヴェゲナ肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、難治性のネフローゼ症候群 (頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)、慢性特発性血小板減少性紫斑病、下記のABO血液型不適合移植における抗体関連型拒絶反応の抑制(腎移植、肝移植)

非ホジキンリンパ腫は、悪性リンパ腫の種類の1つです。非ホジキンリンパ腫の中には、リンパ球の中でも「B細胞」ががん化したB細胞の多くは細胞膜表面に「CD20」と呼ばれるタンパク質を発現していることが知られています。

このように、B細胞性の非ホジキンリンパ腫の腫瘍細胞は「CD20」を有していることから、CD20を特異的に阻害するリツキサンが標準治療(R-CHOP療法:リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)として用いられます。リツキサンの作用機序は、腫瘍細胞のCD20を特異的に認識してその働きを阻害する抗CD20モノクローナル抗体薬です。腫瘍細胞のCD20に結合してその働きを抑制することで、病気の進行を抑えることができます。主な副作用には、好中球減少、感染症、悪心、倦怠感、口内炎、インフュージョンリアクションなどがあります。その他、B型肝炎ウイルスの再活性化なども報告されているため、既往歴のある患者さんでは特に注意が必要です。