高額療養費制度

高額療養費制度は、医療機関等の窓口でのお支払いが高額な負担となった場合に、あとから申請いただくことにより自己負担限度額を超えた額が払い戻される制度です。しかし、あとから払い戻されるとはいえ、一時的な支払いは大きな負担になります。「限度額適用認定証」を保険証と併せて医療機関等の窓口に提示すると、ひと月の窓口でのお支払いが自己負担限度額までとなります。(70歳以上の一部の方は限度額適用認定証の申請が不要の場合があります)

限度額適用認定証の申請を事前に行わず、事後に高額療養費を申請した場合、払い戻しまでに少なくとも3ヶ月程度かかります。医療費のお支払いに困った場合は、当面の医療費の支払いに充てる資金として、高額療養費支給見込額の9割を無理しで貸与する高額療養費貸付制度があります。制度が利用できるかどうか、貸付金の水準などは市町村か健康保険組合の窓口にお問い合わせ下さい。

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払ったひと月の自己負担額が上限額を超えた場合、その超過分を払い戻して医療費の負担を軽減する制度です。例えば、70歳以上で年収約156万〜約370万円の方は2割負担ですので、ひと月のそう医療費が100万円かかった場合、窓口で20万円の支払いが必要になります。高額療養費制度を利用すれば、実際の自己負担額を57600円に抑えることができます。

ひと月の上限額(自己負担限度額)は、年齢(70歳以上か69歳以下か)や所得によって区分され、区分ごとに計算式等が異なります。所得が少なく区分ほど自己負担限度額は低くなるように設定されています。

世帯合算とは、ご本人の自己負担額と同じ世帯(同じ医療保険に加入)の方が同じ月に支払った自己負担額を合算して申請できるものです。お一人では上限額を超えない場合でも世帯内で合算した合計額が上限額を超えた場合には、超過分が高額療養費として支給されます。

 

直近12ヶ月以内に、上限額に達した月が3回以上ある場合は、4回目から「多数回該当」になり、自己負担限度額がさらに引き下げられます。高額療養費制度の適応が受けられない区分の方も、健康保険組合や共済組合に加入していれば、付加給付制度が受けられる可能性があります。他の病気での医療費やご家族の医療費を確認しましょう。合算することで高額療養費制度の適応となったり、払い戻される高額療養費が増額になったりする可能性があります。

医療保険では高額療養費、介護保険では高額介護サービス費として、保険制度ごとに自己負担額の上限額を超えた額が支給されています。高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療と介護の両方のサービスを利用している世帯の負担を減らすため、1年間(毎年8月から翌年7月末)に支払った医療保険と介護保険の自己負担額を合計し、合算療養費制度の基準額を超えた場合に、その超えた金額を払い戻す制度です。高額療養費制度が月単位で負担を軽減するのに対し、合算療養費制度は、こうした月単位での負担軽減があっても、なお重い負担が残る場合に年単位で逸れたの負担をさらに軽減するものです。

 

 

難病医療費助成制度

患者数が少なく、治療方法が確立されていない「難病」にかかると、患者さんとそのご家族には大きな経済的負担がかかってしまいます。そこで、国は経済的負担を軽減するために、特定の難病を「指定難病」と定め、助成制度「指定難病医療費助成制度」を設けています。助成対象になると自己負担の割合が下がり、かつ上限額が定められます。長期の治療が必要な場合も、一定の自己負担額で治療の継続をすることが可能となります。

難病医療費助成制度の対象疾病(指定難病)は 2024年4月から 341疾病 に拡大しています。指定難病に関する情報については、「難病情報センター」のホームページをご覧ください。 https://www.nanbyou.or.jp/

当院では、IgA腎症、筋萎縮性側索硬化症、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、自己免疫性肝炎、進行性核上性麻痺、全身性アミロイドーシス、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多系統萎縮症、特発性拡張型心筋症、特発性間質性肺炎、特発性血小板減少性紫斑病、バージャー病、パーキンソン病、肥大型心筋症、皮膚筋炎/多発性筋炎などの指定難病を診ています。

指定難病医療費助成制度の対象となる方は、

(1)自分が指定難病の患者である(一定の重症度が必要)という医師の認定が必要です。
(2)症状の程度が疾病ごとの重症度分類等に該当しない軽症者でも高額な医療を継続すること(医療費総額が33,330円を超える月が支給認定申請月以前の12月以内に3回以上ある場合)


(3)高額な医療が長期的に継続する患者(月ごとの医療費総額が5万円を超える月が、申請日の月以前12月で既に6回以上ある場合)

指定難病の医療費助成を受けるためには、特定医療費(指定難病)受給者証(以下「医療受給者証」)が必要です。対象となっている疾病と診断された場合は、臨床調査個人票(診断書)と必要書類を合わせて、都道府県窓口に医療費助成の申請をします。(申請の窓口は、都道府県によって異なります。詳しくはたつの市の保健所等へお問い合わせください)認定審査期間は2~3か月程度かかります。

「難病指定医療機関」で「医療受給者証」を提示すると医療費の助成が受けられます。医療費助成は、申請日から遡り「重症度分類を満たしていることを診断した日」から開始されます。ただし、遡りの期間は原則として申請日から1か月です。軽症高額該当者の医療費助成は、申請日から遡り「軽症高額の基準を満たした日の翌日」から開始されます。ただし、遡りの期間は原則として申請日から1か月です。支給認定の有効期間は、原則1年以内で、病状の程度・治療の状況から医療を受けることが必要と考えられる期間です。治療継続が必要な場合は更新の申請を行います。
認定を受けた疾病に対する医療及び介護サービスに関する費用について、医療保険等適用後の自己負担分を助成します。医療費等の3割を自己負担している患者さんについては、負担割合が2割になります(もともとの負担割合が1割又は2割の方は、変更ありません。)。指定難病として認定されたとしても医療費については、2割の自己負担があります。所得状況(区市町村民税の課税状況等)に基づき、月ごとの自己負担上限額が設定され、同月内の医療等に係る費用(複数の医療機関、薬局等で受けたものを合算する。)について、当該上限額を超えた自己負担額は全額助成されます。指定難病の医療費の給付を受けることができるのは、原則として指定医療機関で行われた医療に限られます。

人工呼吸器その他の生命の維持に必要な装置を装着していることにより特別の配慮を必要とする患者については、負担上限月額は所得階層にかかわらず月額1,000円です。対象となる要件は、支給認定を受けた指定難病により、(1)継続して常時生命維持管理装置を装着する必要があり、かつ(2)日常生活動作が著しく制限されていることで、次のような具体例が想定されています。
1.気管切開口または鼻マスク若しくは顔マスクを介して、人工呼吸器を装着している神経難病等の患者
2.体外式補助人工心臓を装着している末期心不全等の患者等

 

助成対象とならない費用(例示)

認定された疾病以外の病気やけがによる医療費
医療保険が適用されない医療費(保険診療外の治療・調剤、差額ベッド代、個室料、入院時の食事等)
介護保険での訪問介護の費用
医療機関・施設までの交通費、移送費
補装具の作成費用や、はり、きゅう、あんま、マッサージの費用
認定申請時等に提出する臨床調査個人票(診断書)の作成費用
療養証明書の証明作成費用

 

自己負担上限月額は、受診した複数の指定医療機関の定率負担割合合算額に適用されます。このため、医療受給者証とともに交付される「自己負担上限額管理票」で管理されます。各指定医療機関では、受診のつど自己負担上限月額の範囲内で医療費の2割(又は1割)を徴収します。患者は、指定医療機関を受診のつど、徴収額を管理票に記入してもらいます。自己負担累積額が自己負担上限月額に達した場合は、その時の指定医療機関が確認し、その月に負担上限月額を超える費用徴収は行われません。

 

医療費控除

医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額(10万円など)を超えた場合に、確定申告することによって所得の控除が受けられる制度です。高額療養費制度の対象にならない診療費や薬剤費はもちろん、入院時の食事代や通院のための交通費なども医療費として合計することができます。領収書やレシートなどの提出は不要ですが、5年間保管しておく必要がありますので、紛失しないように注意しましょう。

医療控除の対象となる医療費として含まれるものは、診療費、治療費、入院費、入院時の食事代(医療機関から提供された食事のみ)医師の処方による薬剤費、診療等を受けるための通院費、診療・治療に必要な医療用器具の購入代や賃貸料、介護保険による一定の施設・居宅サービスの自己負担額など

医療費控除額=(1年間に支払った医療費の総額ー任意で加入している保険金などで補填された金額)ー10万円

✴︎所得の合計額が200万円未満の場合は、所得合計額の5%

 

自立支援医療制度

自立支援医療は、通院を続ける必要のある方の通院医療費の自己負担を軽減するための公費負担医療制度です。たつの市の担当窓口(障害福祉/自立支援医療)

自立支援医療制度(精神通院医療)の対象者

 

  • 統合失調症
  • うつ病、双極性障害(躁うつ病)などの気分障害
  • 薬物などの精神作用物質による急性中毒またはその依存症
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)などのストレス関連障害
  • パニック障害などの不安障害
  • 知的障害、心理的発達の障害
  • アルツハイマー病型認知症、血管性認知症
  • てんかん など

 

付加給付制度

付加給付とは、健康保険組合の一部や共済組合における独自の給付制度(共済組合では名称が異なる)です。高額療養費制度に付加制度を組み合わせることで、さらに自己負担の上限額を引き下げることができます。付加給付の実施は健保組合の任意であるため、組合ごとにその内容はさまざまで実地していないところもあります。制度の詳細については、加入されている健保組合にお問い合わせ下さい。