不眠症

不眠症とは、不眠(入眠障害、中間覚醒、熟眠障害、早朝覚醒など)の訴えがしばしば見られ、かつ社会生活または職業的機能が妨げられることとあります。高齢になると睡眠時間の短くなりますが、日中も元気で過ごされているならば、現在の生活の活動量から見ると十分な休養が取れているわけで、何の問題もないということになります。なお精神的なストレスや身体的苦痛のため一時的に夜間良く眠れない状態は、生理学的反応としての不眠ではありますが、不眠症とは言いません。異常な不眠は、薬で対応することも必要でしょうが、正常な反応をしているのに、睡眠薬で無理やり寝たっていいことはありません。

 

「羊が一匹、羊が二匹・・・」

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頭の中で羊を数えていると、だんだん眠くなってくるという技があると聞きますが、実際試してみたけれど、100匹を過ぎても眠れずかえって頭が冴えてしまったという経験をした人も多いのではないでしょうか?実はこのやり方は「日本語では」うまくいかないと言うお話しです。羊は英語でsheep(シープ)です。はじめの頃はsheepの「p(ぷ)」の音をはっきり発音していたとしても、だんだん疲れてくると、pの音がなくなって、「シー、シー」という発音になってきて、自然と体の力が抜けて、リラックス状態となって眠れるようになるという仕組みなっています。また、眠るという意味のsleepと音感が近いため、何度もsheepと繰り返していると、だんだん発音があいまいになってきてsleep(眠りなさい)に近くなります。いわゆる自己催眠療法なのです。日本語の「ひつじ」を何度言っても、この語感だと100匹までいっても眠くならなかったわけです。それに、日本人にとって羊はそれほど身近な動物ではありませんよね。

 



睡眠とは?

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私たちはなぜ、眠るのでしょうか?よりよく活動するために眠るのです。実験で、ねずみを寝させないでおくと、2〜3週間ほどで死んでしまいます。ちなみに、 不眠のギネス記録は、アメリカの高校生が1964年に作った264時間(11日間)だそうです。 昔から寝る子は育つといいます。寝ているときに骨や筋肉を成長させ、身体の修復を行っています。記憶の定着もレム睡眠で行われており、身体もでき、頭もよくなるわけです。よく寝ることは、人生を豊かにするのに大切なことなのです。明石家さんまが「寝るのがもったいない、起きている時間が人生」と話しておりましたが、確かにと7時間寝るより、4時間しか寝ない人のほうが、人生、得しているのではということですが、7時間寝る人が一番長生きするという統計もあります。どちらが得だったか、死ぬまでわかりませんよね。セコセコ生きるより、寝るのが幸せという人生の方が楽しそうな気もします。

 



何時間寝たらいいの?

キリンは眠たそうな眼をしていますが、睡眠不足なんでしょうか?実に1日1時間しか寝ていないと言われています。かたやナマケモノは、1日20時間寝ているとされています。イルカに至っては睡眠時間は0時間だそうです。寝ない??実は、半分の脳ずつ(大脳半球)寝ているんだそうです。器用ですね。

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必要な睡眠時間は人それぞれです。一般的にはたくさん眠らなければならない人とあまり眠らなくても大丈夫な人がいることがわかっています。エジソンや、ナポレオンは3〜4時間の睡眠しかとらないでも大丈夫だったようですが、アインシュタインは10時間以上寝ていたようです。日中、元気に過ごせていれば、その人にとって必要な睡眠時間は確保できていると言うことです。比率的には、ショートスリーパー、ロングスリーパーも1割弱で、残りは凡人というわけです。

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大学時代は、時間的拘束が少ないので夜更かしして、昼間で寝ているような生活も珍しくありませんが、社会人になるとそう言うわけにはいきませんね。職業によっては、陽の昇らないうちから、仕事に出かける場合もあり、環境因子も大きな要素となります。

 
 

 

睡眠のメカニズム

睡眠には、恒常性維持機構と体内時計機構という2つのメカニズムがあります。恒常性維持機構は、覚醒していた時間の長さによって眠くなる仕組みです。目覚めていると体内にプロスタグランジンD2などの睡眠物質がたまってくると(起きているのに疲れてくると)睡眠が誘発されます。もうひとつの体内時計機構は、体内時計による規則正しい睡眠-覚醒リズムによって誘導される睡眠であり、夜になると 睡眠を引き起こすメラトニンを分泌され、眠くなる仕組みです。

不眠症


あかちゃんの睡眠

生まれたばかりの赤ちゃんには、体内時計がありません。体内時計は、成長するにしたがってできてきて、生後3~4ヶ月頃に完成すると言われています。グラフは赤ちゃんが生まれてから26週目までの睡眠記録です。よく見ると3種類の模様に見えます。8週目ぐらいまではあまり規則性がありませんが、2ヶ月を過ぎることから左上から右下に向かう斜めの模様が見えるようになります。これは、人が本来持っている約25時間のリズムが表れているわけです。16週目ぐらいから、光によってリズムを同調することができるようになると、白い部分つまり起きている昼間が真ん中に帯のように見えるようになります。お母さんもやっと夜寝れるようになってくるわけですね。

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体内時計機構

十分に睡眠をとった翌日も夜になると眠くなってきますが、これは睡眠が起こるタイミングが体内時計の制御を受けているからです。 朝、太陽の強い光を浴びると、視交叉上核(=体内時計)は、一旦リセットされ、 メラトニンは抑制され、 松果体へは、14時間後にメラトニンを分泌するように命令を出します。そして、14時間後に松果体からメラトニンが分泌され、体温・脈拍・血圧を下げ、眠気を誘発します。

画像の説明メラトニン



レム睡眠とノンレム睡眠

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睡眠にはレム睡眠と、ノンレム睡眠の2種類があります。レム睡眠とは、睡眠中に眼球がキョロキョロと活発に動いているため、レム睡眠(Rapid Eye Movement(REM 急速な眼球運動))と名前がついています。レム睡眠中は、全身の筋肉は完全に緩んでいますが、脳は活発に活動しており、眠りが浅い状態になっています。つまり、レム睡眠とは「体を休ませる睡眠」といえます。一方、ノンレム睡眠は、眼球がほとんど動かないため、ノンレム(Non-REM)睡眠と名前がついています。ノンレム睡眠中は、体の筋肉は起きている時よりは緩んでいますが、ある程度の緊張を保っています。一方、脳の活動は低下しており、眠りが深い状態になっています。つまり、ノンレム睡眠とは「脳を休ませる睡眠」といえます。猫の寝ている時は、比較的レム睡眠とノンレム睡眠がわかりやすいと言われています。ぐた〜っとだらしなく寝ている時はレム睡眠で、ちゃんとお行儀よく寝ている時はノンレム睡眠らしいです。

 

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レム睡眠            ノンレム睡眠
睡眠のリズム

人は、この2つの睡眠を約90分周期で交互に行い、一晩で3~5回の睡眠周期が観察されます。一晩の睡眠の前半には、ノンレム睡眠の中でも3~4段階の深い睡眠(いわゆる熟睡)が多く現れて脳を休ませ、後半にはレム睡眠の時間が長くなり、体を休ませています。

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金縛り

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レム睡眠は浅い眠りで、ほとんどの人は夢をみています。つまり、脳は起きている状態に近いのに、筋肉はゆるんでぐったりしているという身体の眠りです。このレム睡眠のときに急に目が覚めると、体の力が抜けきっているため、すぐには動けない。これが俗にいう「金縛り」現象です。レム睡眠の特殊な場合に起こる睡眠麻痺とよばれる生理的な現象です。ただ、この状態は数秒あるいは数分続くだけで徐々に、または突然に回復します。あるいは人が声をかけたり、軽く身体に触れるだけでも落ちついた気持ちになり中断されます。金縛りは若い人に多く、不規則な睡眠習慣や睡眠不足、心身のストレスが溜まっているようなときに起こりやすいといわれています。

 



日本人は寝れなくて困っている?

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ドリエルは、市販薬で、医薬品の風邪薬や鼻炎のお薬に含まれる抗ヒスタミン薬の眠たくなる副作用を逆手にとったお薬ですが、1年間で21億円と売り上げ、大ヒットとなりました。

 
 

 

日本人は、寝る間もおしんで働いてきたからでしょうか?睡眠時間は、世界各国と比べても、結構短いようです。眠らない日本?

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現在、日本においては、成人の5人に1人は不眠を自覚しており、高齢になるほど増加しています。

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不眠症とは?

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不眠症とは、日中にだるさや集中力の低下など日常生活に支障をきたしている状態をいいます。国会中継を見ていると、まさに仕事に支障をきたしているようです。不眠症?(というよりは、睡眠不足なんでしょうと善意に解釈しております) これは、まるで老人ホーム(高齢者が目立ちますね)日本の政治家ももう少し世代交代が進まないと・・・

 
 

 

不眠症のタイプ

不眠症は、症状によって4つのタイプに分類されます。

(1)入眠障害タイプ
いわゆる「寝つきが悪い」というものです。入眠障害は、年齢によって頻度差がなく、 一応の目安としては30分から1時間眠れなかったら入眠障害の可能性があります。 入眠障害の原因は、2つあると言われています。まずひとつが、寝ようとするのが早すぎるということです。これは、お年寄りにみられる傾向で、時間に余裕ができると早めに布団に入ってしまう方が多いのです。そのため、布団に入ってもすぐに寝られないのですね。人間の体内時計のタイマーは、朝起きて太陽の光を浴びたところから14〜16時間後に眠くなるようにセットされているので、 寝る時間を遅くしたり、起きる時間を早くすることで良くなる場合も多いようです。もう一つは、精神生理性不眠(神経症性不眠)と呼ばれるものです。こちらは、ストレスが起こす入眠障害です。 例えば試験の前日や修学旅行の前の晩に寝つけなかったなど人によって眠れない理由は様々ですが、その背後にはストレスが隠れています。最初は一過性の不眠なのですが、「眠れるだろうか」と不安になってくると、日常化していって、不眠症の症状となってきます。

(2)中途覚醒タイプ
中途覚醒は、一旦は眠るものの夜中に途中で起きてしまうという症状です。 特に中高年齢期になると、深いノンレム睡眠が減り、浅い睡眠状態になり、夜中に何度も目が覚めてしまうなど睡眠の質がどうしても落ちてくることは、いたしかたありません。生活習慣としての原因は、アルコールです。 寝酒は、眠りが浅くなり、熟睡感もなくなります。 また、お酒を飲んだ日は頻尿になって夜中にトイレに起きてしまい、眠れないこともあるかと思います。 また、中途覚醒の原因には、病気が隠れていることも多いので、注意が必要です。 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に低呼吸となるこの病気では、夜間頻尿を伴うこともあります。また、足がむずむずして寝られないという病気もあります。

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(3)早朝覚醒タイプ
「老人は朝が早い」といいますが、 4時くらいに目が覚めたあとに眠れないというものです。これは加齢によって起こる自然なことなのですが、老齢者の不眠症では最も多いタイプです。早朝覚醒の代表的な病気が、うつ病などの心の病と関係がある場合です。今や日本人の5人に1人はかかるといわれる心の風邪、うつ病にかかると、何よりもまず、うつ病の治療が必要となってきます。軽いうつ病は結構多く見られるものです。早朝に目が覚め、眠たいけれど、寝られない。朝までウトウトして疲れがとれず、昼間に気持ちの落ち込みやだるさがある場合があります。睡眠薬を処方しても効かない、2剤併用しても効かないような人は、うつ病の合併を考慮するべきで、抗うつ薬を併用すると睡眠薬が減量できることも薏経験します。睡眠を促す作用のある抗うつ剤は、睡眠障害に使われることもあり、鎮静系抗うつ薬と呼ばれたりします。(NaSSA:リフレックス/レメロン 四環系抗うつ薬:テトラミド その他:デジレル/レスリン)悪夢がみられるときは、レム睡眠を減少させる三環系抗うつ薬(少量のトリプタノールなど)が使われることがあります。

(4)熟眠障害タイプ
熟眠障害は、夜中に何度も目が覚めてしまう、いわゆる「眠りが浅い」というタイプのことで、「よく寝た」という感触が得られない症状を熟眠障害と呼びます。夜中にトイレに起きると意識が冴えて眠れない、家族のいびきで夜中に起きてしまい、一時間ほど寝付けないなど、夜中に目が覚める中途覚醒が何度も続くことで熟睡感が得られないケースが多いようですが、本人は、中途覚醒に気がついていない場合もあります。


Nightcap(寝酒)は?

不眠症

アルコールには、不安を減らしたり、気持ちを落ち着けて眠りに誘ったりする働きがあります。そのため、世界各地で眠る前にお酒を飲む風習があるのですが、世界の中では特に日本で、寝酒が好まれているようです。アルコールは脳の中で、興奮系の神経伝達物質であるグルタミン酸の働きを抑え、抑制系の神経伝達物質であるギャバの受容体を刺激することで、鎮静や催眠の作用を発揮します。ところが、アルコールは、浅い睡眠が増え、夜中に目覚めやすくなります。さらに、アルコールに対する耐性ができて、催眠効果が弱まり、だんだんとお酒の量が増えてしまい、毎日飲み続けていると、結果としてアルコール依存症になるリスクが高まります。また、利尿作用もあり、夜間覚醒の原因となります。

 

 

高齢者の不眠症

1日の睡眠時間は新生児で16時間ですが、1歳児で12時間、小児で10時間としだいに減少します。大人になると睡眠時間は7~8時間とほぼ安定しますが、高齢になると減少します。(実際には睡眠時間には個人差があり)レム睡眠は新生児では睡眠時間の半分を占めますが、小児期では睡眠時間の20%程度になり成人と変わらなくなります。その後は高齢になると減少し、高齢者では15%程度となります。

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高齢になるとある程度、不眠が起こってしまうのは仕方がありません。原因は、いろいろとありますが、人が眠気を感じるのは、体温が下がるときです。しかし高齢になれば、体温が低くなって、眠気を感じにくくなります。 若いときほど体を動かさなくなったため、消費するエネルギー量が減っこたことや、睡眠作用を促す「メラトニン」というホルモン分泌が少なくなるためといわれています。また睡眠脳波を調べてみると、睡眠が浅くなりなかなか熟睡できず、尿意やちょっとした物音などでも何度も目が覚めてしまうようになります。高齢になると、血圧、体温、ホルモン分泌など睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しとなり、睡眠時間そのものが短くなり、早く目が覚めるようになります。 寝られないままに、寝床に長く入るほど、睡眠の質が低下します。2週間ほど睡眠日記をつけて、実際に寝ている時間を調べて、床に入る時間を制限してみましょう。 眠気が出たら床につき、朝方に目が覚めて二度寝ができないようであれば、床から出て朝の時間を有意義に使いましょう。

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睡眠薬

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不眠の原因を取り除き、生活習慣や睡眠環境の改善をしても充分な効果が得られないときに、睡眠障害改善剤(以後睡眠薬とする)による治療が行われます。不眠には入眠障害、熟眠障害、中途覚醒、早朝覚醒がありますが、薬剤もその症状によって使い分けられています。睡眠薬の使用に対して強い不安を持つ人もいますが、最近の睡眠薬は安全性が高いのが特徴です。 医師の指示を守って服用すれば、くせになったり、量を増やさないとだんだん効かなくなるということはなく、副作用もほとんど心配ありません。最初は最小用量から開始し、最低でも1週間は連日投与し、効果をみる。睡眠薬は半減期によって、超短時間型、短時間型、中間作用型、長時間型の4つに分けられる。原則的には、超短時間型は入眠障害、短時間型は入眠障害+中途覚醒、中間作用型または長時間型は中途覚醒から早朝覚醒に使われる。低用量から量を増やすと、抗不安作用、ついで筋弛緩作用、次に催眠作用がおこります。さらに高用量では健忘が生じます。健忘は作用時間が短い睡眠薬をアルコールと併用したときなどに、血中濃度が急上昇することにより生じるので、 睡眠薬を服用するときは、アルコール類を同時に飲まない。お年寄りの方は、肝臓や腎臓の機能が低下しているために、翌日まで睡眠薬の作用が残ることがある。眠気やふらつきなどの症状には注意する。睡眠薬は、就寝前に服用する。

睡眠薬の減量・中止法
(1)漸減法
 薬の量を2~4週間ごとに、1/4づつくらい減らしてゆく方法で、投与間隔はそのままにします。ある用量以下で不眠が生じたら、それが限界です。それ以上の減量は困難です。どのタイプの睡眠薬にも適応できます。
(2)隔日法
 毎日内服するのを、2日に1度に減らします。同時に内服量も減らします。中間作用型~長期作用型のみにできる方法です。超短時間作用型 ~短時間作用型にこの方法をとると離脱症状がでるので勧められません。
(3)置換法
 超短時間作用型 ~短時間作用型を中間~長時間作用型に置き換えて、徐々に薬の量を減らす方法です。完全に置換するのではなく、半量づつ置換するのもよい。超短時間作用型 ~短時間作用型を減量するときは、 離脱症状がでにくいマイスリーに変更するのもよい。

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GABA:γ-aminobutyric acid(γ-アミノ酪酸)
 
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脳の中には興奮性神経伝達物質と呼ばれ、神経の働きを活発にさせるような刺激を他の神経に伝える物質と、抑制性神経伝達物質と呼ばれ、神経の働きを抑えるような刺激を他の神経に伝える物質があります。GABAは抑制性の神経伝達物質の一つです。GABAが結合する受容体は、脳内のあらゆる部位に存在し、種々の生理機能に関与しております。そのため、ベンゾジアゼピン系睡眠薬(GABAの効果を強めるお薬)を投与すると、睡眠作用だけでなく抗不安作用、鎮静作用、健忘、筋弛緩作用などが起こり、副作用として表れる可能性があります 。



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よりよい睡眠のための12か条

第1条
適切な睡眠時間は人それぞれです。日中の眠気で困らなければ、十分な睡眠がとれているということです。 歳をとると必要な睡眠時間は短くなります 。 あまり、何時間眠らなければいけないと考えすぎるのはやめましょう。

第2条
昼食後から15時までの時間帯で30分未満の昼寝をすると、その後の活動力を高めることができます。長時間の昼寝や夕方以降の睡眠は、夜の寝つきを悪くします。

第3条
眠くなってから、床に就いてください。眠くないのに眠ろうとして床に就くと、寝つきが悪くなります。 床について30分以上眠れないときは、いったん寝室を出て、 眠たくなってから床に就くようにしましょう。
第4条
毎日同じ時刻に起床するようにしてください。週末に遅くまで床の中で過ごすと、その晩の寝つきが悪くなり、翌日の朝に起床するのがつらくなります。 休日でも、平日と同じ時刻に起きることが重要です。休日は寝だめをしたくなりますが、生活リズムが乱れてしまうので、遅くても平日の起床時刻の2時間以内に起床してください。就床時刻は起床時刻によって決まっています。「早寝」が「早起き」に繋がるのではなく、「早起き」が「早寝」に繋がるのです。

第5条
起床後、太陽の光を浴びると、体内時計のリズムがスイッチオンされ、体と心が活動に適した状態に切り替わります。 夜眠たくなる時刻を決めているのは、床につく時間ではなく、朝起きたときに光にあたる時刻で、夜眠くなる時刻が決まるのです。 逆に、就寝前に明るい光(テレビやパソコン)を浴びると、体内時計のリズムが乱れてしまい、寝つきが悪くなります。 夜は明るすぎない照明を。

第6条
なかなか寝つけないときは、積極的に遅寝・早起きして睡眠時間を減らすのが良いです。早起きすることで、日中の活動時間を充分確保でき、その晩の寝つき、熟睡感が良くなります。

第7条
覚醒作用のあるカフェイン(目を覚ます作用があり、その効果は飲んでから4~5時間持続します)タバコ(目を覚ます作用があり、吸ってから1~2時間持続します)は避け、眠る前にリラックスすることで寝つきが良くなります。軽い読書、ストレッチ、香り、音楽など自分にあった方法で行ってください。

第8条
朝食をしっかり摂取すると、体と心が活動に適した状態に切り替わります。1日3食をきちんと食べることで胃腸のリズムも整います。一方、夕食を食べ過ぎると、就寝時刻になっても消化器官が活発に働いてしまい、寝つきが悪くなります。また、昼間に軽い運動を行うと、寝つきがよくなり、熟睡を促進することが分かっています。昼の活動と夜の休息のメリハリをつけることが大切です。眠る1~2時間前にぬるめの入浴をしてください。人は暖まった体温が下がるときに眠くなります。入浴で上昇した体温が、2~3時間後に下がっていき寝つきがよくなります。逆に、熱い入浴や眠る直前の入浴は、体温が下がらず寝つきを悪くします。

第9条
日本では、寝酒をしている人が多いですが、眠りが浅くなり睡眠の質を悪化させるので、避けてください。 睡眠薬とアルコールとの併用はやめましょう。

第10条
激しいイビキ、足のむずむず感やぴくつきなどの症状がある場合は、不眠症以外の疾患の可能性があるので、専門医に相談してください。 睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群(レストレス・レッグ症候群)などが不眠の原因として報告されています。睡眠時無呼吸症候群は、難治性高血圧(利尿剤を含む3種類以上の降圧薬を使っても血圧をコントロールできない)の原因になっていることもございます。

第11条
十分な睡眠時間を確保しても、日中の眠気が改善しない場合は、専門医に相談してください。 降圧薬、ステロイド薬、抗パーキンソン病薬などの副作用として不眠がおきることもあります。うつ病などが、原因の場合は放っておくと、自殺などということにもなりかねません。

第12条
睡眠薬には、「依存性がある」「ぼけてしまう」「危険なお薬」という認識を持っている方がまだ多いと思いますが、これらは昔の薬の話です。現在の睡眠薬は、正しく使えばこのようなことはまず起こらないです。睡眠薬は医師の指示に従い、毎日服用することが大切です。自信がついてから必要に応じて徐々に減量しましょう。 急に中断するのは、勧められません。最近では、依存性などが認められていない新しいタイプの薬剤も登場しています。