COPD(シーオーピーディー)

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COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)は、慢性気管支炎と肺気腫を包括する概念です。(アメリカ胸部疾患学会 1987年)COPDは、取り残された生活習慣病と言われ、その最大の原因はタバコ(一部は大気汚染物質や職業性の粉塵など)です。症状が進行すると体動時の息切れという症状が起こってきますが「息が吐けない」という病気です。肺自体が、紙ふうせんのように弾力性がなくなり、息を吸ったはいいが、どんどん空気が貯まって過膨張になり、進行性でもとには戻らない病気です。

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COPDのわが国の推定有病者数は500万人以上にものぼり、2020年には世界における死亡原因の第3位になると予想されています。高血圧や糖尿病のようにCOPDは身近な病気にもかかわらず、その診断率は5%にとどまっており、大半の患者さんは見過ごされています。
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COPDの診断
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COPDは、血液検査、胸部レントゲンは正常(重症になると別だが・・・)です。では、どうやって診断したらいいでしょうか?

[check] 質問1 あなたは、タバコを吸ったことがありますか?

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COPD患者さんの10人中約9人は喫煙歴があり、また、喫煙習慣のある人では10人中約2人がCOPDにかかると言われています。患者さんに、喫煙歴について聞くときは、「今までに、タバコを1本も吸ったことはないですか」と聞くことが大事です。ひどい患者さんでは、今日、タバコを吸っていなければ、(今日はを省略して)タバコを吸っていませんと言う人もいます。COPDの候補者は、20本10年間のタバコの喫煙歴(既往)が大事で、今は吸っていない、といっても、ちょっとやんちゃした時代があるという人も多いので、ひつこく聞いてみましょう。

[check] 質問2 階段などを昇ると、息切れを感じますか?(労作時の息切れ)

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COPDの特徴は、労作時の呼吸困難です。じっとしているとあまり症状がありませんが、階段や坂道を昇った時に、息切れがするかです。誰でも昇るスピードが速ければ息が切れるし、自分のペースでゆっくり昇るとなんともないかもしれません。同年齢の友達の歩くスピードについて行けないかどうかを聞いてみましょう。

質問1と質問2の両者が当てはまるようなら、COPDアセスメントテスト(CAT)をやってみましょう。8点以上は、呼吸機能検査による精査を勧めます。

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画像の説明 COPDアセスメントテスト(CAT)


また、

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COPDの診断は、タバコ20本x10年以上で、グレード2(グレード1でOK、坂道で息切れあり)胸部Xpで異常なし。


スパイロメーター

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スパイロメトリーは、息を思い切りたくさん吸い込んだところから一気に勢いよく吐き出して、吐き出しの1秒間に吐いた量(1秒量)、最後まで吐ききった時の肺活量(努力性肺活量)、そしてその肺活量で1秒量を割った計算値(1秒率)から気流閉塞の有無を判定するものです。1秒率が70%未満の場合、COPDの可能性が考えられます。

またCOPD患者における気流閉塞の重症度もこの検査結果によって分類されます。

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しかし、スパイロによるCOPDの診断には落とし穴があります。初診時に息切れなどの症状がある時に、呼吸機能検査を行うと、息苦しくてうまく吹けないことも多く、努力性肺活量が途中で終わってしまい(本当の肺活量よりかなり少ない値になる)1秒率を求めるのに1秒量との比が大きくなってしまい、本当は70%未満でCOPDなのに、70%以上と出て正常と判定されてしまうことが少なからず発生します。だから、初診時は、臨床的にCOPDと診断し、長期作用型抗コリン剤で2週間〜1ヶ月治療してから、症状が改善した時に、スパイロで検査をすれば、COPDは、肺胞の破壊を認め、肺機能はもとに戻らないので、きれいにCOPDの所見がでてきます。


健常人では気管支の終末には、ぶどうの房のような肺胞が無数あり、酸素と炭酸ガスの交換を行っております。日本人に多いタイプは、肺胞の隔壁が壊れてつながってしまい、壊れた肺胞が大きく膨らんで弾力性や収縮性のない目の粗いスカスカの大きな風船のようになってしまいます。(いわゆる肺気腫)もうひとつは欧米人に多いタイプで、気管支に慢性の炎症や浮腫(むくみ)が生じ、気管支の分泌物が過剰になっています。そのため、痰を排出しようとして咳が出てきます。ウイルスや細菌に感染すると、膿性の痰が出て呼吸困難を生じます。空気の抜ける部分が狭くなって、空気がなかなか抜けなくなります。(慢性気管支炎)どちらかが優位、また同程度に合併しているものもあります。

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鑑別診断

除外診断で大事なのは「肺がん」と「肺結核」です。
鑑別診断として大事なのは「気管支喘息」です。

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では気管支喘息とはどこが違うのでしょうか。気管支喘息とCOPDは、同じような症状が出るのですが、気管支ぜんそくは、明け方などに呼吸困難発作が起きるというのが典型的で、COPDは、動いたときのみ呼吸困難がでます。肺や気管支の変化としては、気管支喘息では気管支にアレルギー性炎症を起こし、基本的にはその症状は発作性のもので、発作時には気管支の平滑筋の収縮も加わって狭くなりますが、治療等によりこのような狭窄は改善されるのがCOPDとの大きな違いです。COPDは、肺胞の破壊を認め、肺機能はもとにもどりません。よって、気管支ぜんそくは、治療により、肺機能の1秒率の改善が認められますが、COPDは、治療しても肺機能の改善はみとめられないので鑑別する事ができます。ただし、喫煙者の慢性喘息例などでは区別がつきにくいことも多く、COPDと喘息を合併していることもあります。


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COPDは肺の組織に不可逆性の変化をきたすため、治療で元の健康な肺に戻すことは出来ません。喫煙者では呼吸機能の低下が急速に進むので、出来るだけ早く禁煙を開始することが最大の予防となります。禁煙を開始した時点からその低下は緩やかになります。


ちょっと動くと息苦しいので、運動すると息切れするので運動しない、動かなければやせ

アシストユース
庭の手入れ、草むしり、農作業、外出、散歩、布団の上げ下げ、お風呂、車を洗う時など


COPDの治療

COPDの薬物療法は、喘息のように可逆性ではありませんので、最初にどんと叩いておいて徐々に減らしていくような使い方はしません。まずは、息切れに対して気管支拡張剤である長時間作用性抗コリン剤を使います。また、咳、痰などの症状に合わせて対症的にβ2刺激薬、去痰剤などで気道閉塞の改善するように、徐々にお薬を加えていきます

吸入長時間作用型抗コリン薬 スピリーバ、シーブリ
慢性的に交感神経が過緊張しているとされており、気管支の収縮をおさえ、空気の流れをよくして呼吸を楽にします。アトロベントとテルシガンは短時間型です。こちらは、早期の軽い息切れ症状に頓用したり、β2刺激薬で効果不十分な呼吸困難時に追加・併用することがあります。

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◎吸入抗コリン薬・β2刺激薬配合薬 ウルティブロ
抗コリン薬としてグリコピロニウム(シーブリ)、β2刺激薬としてインダカテロール(オンブレス)が配合されます。これらの異なる気管支拡張作用が合わさり、優れた治療効果を発揮するのです。どちらも長時間作用型なので、長期管理薬として定期吸入することになります。

第一選択薬は抗コリン薬の吸入です。

なぜ抗コリン薬なの…?

①COPDにおける気管支の収縮は、コリン作動性である副交感神経系の緊張が病的に高まることによって起こる。

②COPDは高齢患者に多いが、β2受容体は加齢とともに減少している。

③COPD患者において、肺組織のβ2受容体の比率は健常者に比較して低下している。

これらが喘息とは違う抗コリン薬を使用する
理由と考えられています。


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 アシストユース

メプチンエアー(メプチンクリックヘラー)は吸入後5〜15分で効果が現れます(速効・短時間型)になるので、呼吸困難を感じる時に吸入します。一方で、運動前など、ご自身の息苦しい動作に合わせて使用し、息切れをのアシストユースとして用いられます。

吸入β2刺激薬 セレベント、メプチン
すみやかな効果が期待できる気管支拡張薬です。このうち、セレベントは長時間作用型で維持管理薬として定期吸入します。一方、

吸入ステロイド薬 キュバール、フルタイド、パルミコート
抗コリン薬やβ2刺激薬などの気管支拡張薬で効果不十分で、喘鳴などの症状がある場合に(喘息を合併しているかも)ステロイド吸入薬の併用が考慮されます。急な悪化が少なくなり、症状の安定効果が期待できます。

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禁煙、ワクチン接種、呼吸リハビリテーションが行われます。COPDによる症状を悪化させないためにも禁煙と肺感染の予防が重要です。

増悪対策 ABC

最終的に、COPDは進行すると酸素ボンベなしでは生活が困難となります。在宅酸素療法(HOT)を行っている人の多くはCOPDの方です。

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日本人が肺気腫になる原因の98%は喫煙です。喫煙によって肺胞の構造が壊れるのは、喫煙した期間に比例します。今は吸っている人は現在進行形で壊れていますし、今は素知らぬ顔で聖人君子ぶっている人も、昔々若気の至りで喫煙したことがあるツケは背負わされるわけなので、これだけ長生きする時代になると、長生きすればするほど老後は管に繋がれた人生が待っているかもしれません。(これでも医学が進んで、在宅で生活できるようになっただけでもありがたいことで、昔は死ぬまで病院のベットに縛り付けられていたんですよね。)

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