肺炎球菌

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肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)

 小児用肺炎球菌ワクチンとは、全く違うワクチンです。

対象者:2歳以上(主には高齢者の肺炎を予防のため、65歳以上)
        高齢者(75歳以上、たつの市の助成制度あり)
         
    摘脾(脾臓の摘出)手術を受けられた方のみ、
    保険適応
接種料:1回 8100円(助成制度で4000円)

任意接種 不活化ワクチン 1回 0.5ml 皮下注または筋注

高齢者の皆さんが健康に過ごせるよう、たつの市に住所を有する下記の対象者の方に「肺炎球菌ワクチン予防接種助成事業」があります。

【助成内容】
 *対象者 ①から③の全てに該当する方
   ①満75歳以上の市民 
   ②過去に肺炎球菌予防接種を受けたことのない方 
   ③aかbのいずれかに該当する方
    a心臓・呼吸器の慢性疾患、肝機能障害、糖尿 病等の基礎疾患のある方で肺炎球菌感染によって基礎疾患の悪化が考えられる方 
    b鎌状赤血球疾患、あるいはその他の原因で脾機能不全のある方
  *個人負担金 4000円(接種料8100円のうち、4100円は市が助成します。)
  *受け方 申込書(対象者であることの医師証明必要)を健康課・各保健センターに提出(申込書は、健康課〈はつらつセンター〉、各保健センター及び実施
医療機関に設置)し、実施医療機関に予約し、実施医療機関で接種する。
   詳細のお問い合わせ 健康課(はつらつセンター内)63-2112

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肺炎球菌ワクチン(プレベナー13)

 小児用肺炎球菌ワクチンとは、同じワクチンです。

対象者:2ヶ月以上6歳未満 → 小児用肺炎球菌ワクチンへ

    高齢者(65歳以上推奨、たつの市の助成制度なし)
       
    保険適応
接種料:1回 8100円(助成制度で4000円)

任意接種 不活化ワクチン 1回 0.5ml 皮下注または筋注

「プレベナー13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)」は平成26年6月20日付けで、65歳以上の者に対する肺炎球菌による感染症の予防の効能・効果が承認されました。「プレベナー13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)」を定期接種に使用するかどうかについては、今後、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果等に関するデータの収集を行い、科学的知見に基づいて専門家による検討を行うこととしています。このため、定期接種が開始される10月1日時点では「プレベナー13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)」を定期接種に使用することはできません。


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日本人の死因は、上位からがん・心疾患・脳血管疾患とつづき、肺炎は4位です。


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しかし、がんが原因で亡くなるピークは60歳で、その後は徐々にその割合は減少してきます。


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高齢になるほど肺炎による死亡率は急上昇します。肺炎で死亡する場合、65歳以上の方が95%を占めています。


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肺炎球菌ワクチンとは、肺炎球菌によって引き起こされる肺炎を予防するためのワクチンです。肺炎の予防は、特に高齢者にとっては死亡率を低下させるのみならず、耐性菌対策としても非常に大切です。肺炎の原因はいろいろありますが、一番多いのは肺炎球菌です。肺炎球菌による肺炎は、最も病原性が強く、重症化しやすいという特徴があります。また、耐性菌が増えており、お薬が効きにくくなってきています。

肺炎球菌は、健康な人の上気道に普通に存在する細菌(常在菌)で抵抗力が落ちてくると活動を始めます。例えば、肺気腫の人がインフルエンザにかかった場合、肺炎になりやすいことはよく知られています。また、 幼稚園や保育園に通う年齢になると、ほとんど全ての児から検出されるようになるという調査もあり、 子供から高齢者に肺炎球菌が感染し、肺炎が起りやすいので注意が必要です。

肺炎球菌には93種類の型がありますが、肺炎球菌ワクチン(23価)を接種しておけば、すべての肺炎球菌による感染症の約80%を予防することができます。肺炎球菌に対するワクチンは、 肺炎球菌の莢膜の成分(多糖体)を抗原とするワクチンのため、細胞性免疫がほとんど動員されず、メモリー細胞にも抗原が記憶されないため、免疫は5年程度で消失します。 (2回目の接種も認可された)

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小児肺炎球菌ワクチン(プレベナー7)はキャリア蛋白を結合させており、Tリンパ球を介して免疫記憶を確立します。現在は、プレベナー13と6価増えています。

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以下の方には強くお勧めいたします。

 1.65歳以上の方

 2.心・呼吸器の慢性疾患、腎不全、肝障害、糖尿病、慢性髄液漏等の基礎疾患のあ
る方

 3.脾臓機能不全の方(鎌状赤血球疾患など)

 4.免疫抑制作用を有する治療が予定されている方で、治療開始まで少なくとも10日以上の余裕のある方

ニューモバックスは、本当に効くの?
小児の肺炎球菌ワクチンの有用性は疑いの余地はありません

成人の肺炎予防目的で23価肺炎球菌ワクチンが接種されていますが、本当に肺炎が防げたり死亡率が下がったりするのでしょうか。2009年のCMAJに出たメタアナリシス(CMAJ 2009;180:48)では、22件の臨床試験(n=101,507)で、23価肺炎球菌ワクチン接種により、全肺炎、肺炎球菌肺炎(疑診)も有意に減少しましたが、いずれも異質性が高く有効と結論づけるのは困難で、推奨されていません。サブ解析でも、割付けの無作為化が正しく行われた質が高い研究だけを集めると肺炎球性肺炎、全肺炎とも見られた有意差はなくなってしまいました。また,総死亡は有意な減少効果を認めらませんでした。

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2010年に三重大学の丸山先生が行ったRCT(BMJ 2010;340:c1004)では、病院と施設での23価肺炎球菌ワクチン接種した結果,n=1,006、平均追跡期間2,27年で、肺炎全体、肺炎球菌肺炎、肺炎球菌肺炎による死亡(14例中0例と37例中13例と症例が少ない)も有意に減りました。(全ての肺炎による死亡と総死亡では有意差なし)

どのエビデンスを見ても死亡率が減らないことは確かです。肺炎球菌性肺炎,全肺炎については、外来を受診してくる患者に23価肺炎球菌ワクチンを個別に接種しても肺炎減少効果は期待できませんが、施設のように1人が罹患すると,他の入居者に伝染する可能性が高くなるような環境では、施設内の全入居者に接種すれば、肺炎を減らせることが期待できるかもしれません。(肺炎球菌ワクチンで肺炎を減らせても,死亡率は減らせていない)CDCのACIPのガイドラインでも肺炎球菌ワクチンを推奨していますが、肺炎を防いだり,死亡率を下げたりするとは言っていません。ただ「IPDすなわち,侵襲性肺炎球菌性疾患の予防のためにはワクチン接種を推奨する」と書いてあるのです。発症が稀なIPDを予防するために,65歳以上の全員にワクチンを接種するのは費用対効果がよいとは言えませんね。

とは言え、公費での肺炎球菌ワクチンの定期接種が始まりました。65歳以上の高齢者でワクチンを希望する人に打たないというわけにもいきません。(国策ですからね)あえてこちらから勧めることはしておりませんが、受けたいと言う方には「インフルエンザのワクチンといっしょで、肺炎球菌による肺炎に効くかも知れませんが、肺炎(他にも肺炎をおこすばい菌はたくさんいます)にかからないというわけではありませんよ」と一言付けて接種しております。ただ、5年以上経って、2回目の接種を希望される方には、ちょっと高くなりますが、プレベナー13の接種を勧めています。(エビデンスには乏しいが、抗体産生がより確実で効果を期待出来るかな)

プレベナー13は、肺炎球菌由来の莢膜多糖体にアジュバント(キャリア蛋白)を結合してあります。結合型ワクチンであるプレベナーは、T細胞を介して、杯中心で優れた免疫応答を誘導し、抗体をたくさん産生し、免疫記憶を確立します。

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世界のワクチンの流れは、抗体をたくさん作らせるキャリア蛋白を結合したワクチンですが、一方、ニューモバックスの売りは、23価の血清型をカバーしていて、歴史があって、公費を勝ち取っていることです。(効かない?というエビデンスがあります)

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たつの市揖保郡医師会学術講演会
 平成21年6月13日 たつの市はつらつセンター 
 「急性肺炎の減少を目指して」
   講師 医療法人財団 夕張希望の杜 理事長 村上智彦 先生

平成18年に財政が破綻した夕張市。同時に市民病院の経営も40億円の負債を抱え、19年3月から「医療法人 夕張希望の杜」が経営を引き継いでいます。

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「今日の夕張希望の杜」ブログより
「先週は兵庫県たつの市という町の医師会に招かれて、肺炎球菌ワクチンを中心にした予防医療の話をしてきました。たつの市は人口約80,000人で兵庫県の南西に位置し、2005年10月に竜野市、揖保郡新宮町、揖保川町、御津町が合併して誕生した町です。北海道の方にはあまり馴染みのない地名ですが、「揖保の糸」が有名だと思います。この町は肺炎球菌ワクチンの公費助成(接種費用の一部を自治体が負担し、接種しやすくする制度)を医師会が中心となり、兵庫県で初めて開始しました。開業医の先生方がかかりつけ医として、高齢化が進む住民の安全を考えてこの様な制度を行政に働きかけたというのは素晴らし事だと思います。

丁度、時期的に「新型インフルエンザ」の流行もありました。インフルエンザの流行時に二次感染として、ウィルスによって傷ついた気道に鼻や喉に常在する肺炎球菌が感染して肺炎になるのが55%程度あるといった報告があります。つまり、インフルエンザ自体よりもその後の肺炎球菌によって重症化するのをワクチンで予防しようとするものです。1回の接種で5−10年効果が持続し、日本以外では再接種が認められています。アメリカの高齢者の70%以上が接種している非常にポピュラーなものですが、日本での接種率は5%程度です。世界一高齢化が進んだ日本では年間10万人以上の方が肺炎で亡くなっています。(日本人の死因の第4位です)インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの両方を接種すると亡くなる方が半分は防げるといった研究報告もあります。是非これを機会に一人でも多くの高齢者の方に受けていただきたと思います。

朝6時に起きて夕張を出発して新千歳空港へ車で行き、8時の飛行機に乗り神戸空港へ行き、そこから車で約1時間半かけてたつの市へ行きました。流石に移動に5時間以上かかりました。インフルエンザ騒ぎもあった地域ですので、マスクをして移動していましたが、周囲にはマスクをした人の姿は殆ど見ない状態でした。夕張市の気温が5℃位で、着いたら20℃以上の暑さですっかり参ってしまいました。帰りの神戸空港で大好きな阪神タイガーズグッズをお土産に買いこみ、また雨降りで寒い夕張へ帰りました。毎週末は講演や取材があり大変なのですが、夕張の経験から伝えられることは沢山あるように思います。来月からスケジュールの関係が忙しくなりますが、少しでも時間を作って伝えていくつもりです。 
医療法人財団 夕張希望の杜 理事長 村上智彦
[ http://www.kibounomori.jp/ ]…………………引用ここまで


まちを変えた予防医療
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                 (旧) 瀬棚町 日本初の洋上風車「風海鳥」

 瀬棚町は、1996年に町内に1軒しかなかった開業医が入院施設を廃止することになり、町にとっては大きな問題となりました。平田町長は保健、医療、福祉を中心としたまちづくりを掲げ、診療所に赴任したのが、村上先生でした。彼は、3人の医師と医療スタッフをそろえて24時間診療を行い、役場とも連携しながら高齢者の在宅医療を進め、また予防医療に力を入れて、当時、老人医療費が一人あたり140万円(平均80万円)と4年連続日本一高い自治体という汚名をはらし、その引き下げに成功しました。地域医療の先進例として全国的に注目され、視察や研修医の派遣が相次いでいました。しかし、平成の大合併で「せたな町」が誕生し、新しい首長は、村上医師と考えを異にし、診療の縮小を進めたため、退職を余儀なくされた。この詳細は、ETV特集でも放映だけでは詳細はわかりませんが、たしかに行政との関係は是々非々でなければいけませんが、お互い尊重しながら理解しあうことが重要であろうと思われました。

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日本の女医第1号「荻野吟子」は、明治の初期、北海道開拓に理想郷の夢を抱いて入植した夫と共に、この瀬棚町で医院を開業しました。さまざまな偏見と苦難を乗りこえて医師の資格を得、女性の地位向上のためにも尽力しました。渡辺淳一の作品としてはやや異色のタッチで描かれています。