肺炎

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これってなにかわかりますか?もやもやってしててちょっとかわいいような感じですが、実はこれが肺炎球菌なんです。開業当初は、喀痰をグラム染色して肺炎球菌を見つけることを万年研修医としての到達目標としていました。兵庫臨床で臨床検査技師さんにグラム染色の仕方を教えてもらって、試薬等の器具も揃えて挑戦してみましたが、かなりハードルが高く、結局は断念しました。まずは、良質な痰を取るのが難しい(呼吸機能検査の比ではありません)そしてたとえ肺炎球菌らしきものが見えてもそれが肺炎の原因かどうか判断が難しい、教科書的には、好中球の貪食像など云々とわかったようなことが書いてありますが、その判定には、かなりの経験値が必要なようです。最後に、入院を要するような重症例の場合は、後々のためにも原因微生物を確定しておくことの重要性は高いわけですが、僕ら開業医の外来診療で軽症の肺炎をエンピリック治療するにあたり、あまり有用性を感じられないというのが正直なところです。買った顕微鏡は、膀胱炎や白癬菌の診断に大活躍していますのでご心配なく。

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肺炎の診断って結構、難しいんですよね。典型的な大葉性肺炎は誰が見ても一目瞭然ですが、咳、痰が出て、熱もあって、心配そうにしているから、胸部Xpを撮ってみると、う〜ん・・・浸潤影がありそうで、なさそうで。肺炎ですねって言ったもん勝ちってのもありますよね。まだまだ若いと思っても、年齢とともに、からだの抵抗力(免疫力)は低下しています。思いがけず、肺炎ということもあるわけです。


肺炎は、日本人の死因第3位だということをご存じですか?

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我が国の死亡原因の第1位はがん、第2位は心臓病となっており、これらの病気が上位を占めいている一番の要因は、長生きするようになったことでありますが、実際には、65歳以上まで長生きすると、亡くなる原因は、ほとんどが「肺炎」というわけです。


つまり高齢人口の増加に伴い、65歳以上の高齢者では肺炎の死亡者数は5歳ごとに倍増するとされ、2030年には約2倍、2055年には約3倍に達すると予想されています。

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肺炎の原因は、ウイルスなども含まれますが多くは細菌によるもので、その半分近くが「肺炎球菌」です。特に、インフルエンザの流行する時期には、半数以上が、肺炎球菌によるものになります。

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NHCAP(Nursing and healthcare associated pneumonia:医療介護関連肺炎)

肺炎を治療する場合に、発症の場所によって市中肺炎と院内肺炎とに分けて対応するのが一般的で、それぞれの診療ガイドラインが発行されている。私たち開業医が診るのは市中肺炎の範疇に入る病原体だったのですが、近年の社会情勢により、老健施設や長期療養型病床群、ADLの低下した(寝たきり)在宅患者等、市中肺炎と院内肺炎の中間的な新たな第三の肺炎、NHCAP(Nursing and healthcare associated pneumonia:医療介護関連肺炎)のガイドラインが、平成11年8月に出されました。

レジオネラ肺炎

1976年にアメリカの在郷軍人の集会があり、ホテルで221人の感染者が発生し、そのうち34人が亡くなられました。その時に初めて発見されたのがレジオネラ菌です。この菌は自然界のいろいろな環境にいますが、特に水の中に好んで存在します。通常は少量ですが、水が入れ替わらない循環式の温泉、貯水装置などで増殖します。だから日本各地の古くからある由緒ある老舗の源泉かけ流しという温泉は安全ですが、最近新しくできたお湯を循環させて沸かして何回も使うような施設で、大規模は集団発生が報告されています。

病初期は、通常の感冒、肺炎と同じように、発熱、筋肉痛、食欲不振、咳、痰といった症状から始まりますが、普通の肺炎と違い、息切れ、呼吸困難間が早期から認められ、腹痛、悪心、下痢等の消化器症状や頭痛、傾眠、昏睡等の神経症状が見られるのが特徴的で、その他、肝障害、腎障害、横紋筋融解等、普通の肺炎では認められないものを合併することもあります。

このため、数日間の間で急速に悪くなり生死にかかわりますので、出来るだけ早く、治療を開始する必要があります。温泉に行っていたり、24時間風呂を使われている人などの病歴を参考に、ちょっと変わった重症肺炎で受診されたら、確定診断をするまでに抗生剤の投与を開始しなければなりません。

レジオネラ菌は、細胞内寄生性で人の肺であれば、肺の上皮細胞やマクロファージの中で増殖します。だから抗生剤もペニシリン系やセフェム系、アミノグリコシド系は細胞内への移行が悪いので、マクロライド系やニューキノロン系が第一選択薬になります。

確定診断は、培養と尿中抗原の検索ということになります。培養は数日かかるので、現実には尿中抗原ということになりますが、キットで血清型の1しか検出できませんので、レジオネラ肺炎全体の6割ほどしか確定診断ができません。残りの4割は見逃されるので、呼吸器学会の市中肺炎のガイドラインでも重症肺炎の治療にはレジオネラ肺炎も想定して対処しておくことが重要です。