循環器内科

 勤務医時代の10年間、香川県立中央病院、岡山大学附属病院、赤穂中央病院と主に急性心筋梗塞を中心とした虚血性心疾患の診療をしておりました。具体的には、カテーテルという道具を使って、詰まってしまった心臓の血管を広げる治療をしておりました。

平成12年に神岡町で開業して思うことは、患者さんや地域との距離感です。確かに大きな組織の看板の傘の下では、実力以上のことができ、正味の自分を見失いがちであります。開業して、一から立ち上げていくと、裁量権も増え、小回りも効く反面、自分ひとりで何ができるかを考えさせられます。

心筋梗塞の死亡率は、がんに次いで第2位です。

画像の説明

心筋梗塞の危険因子は、高脂血症、高血圧症糖尿病、タバコです。

画像の説明

画像の説明

急性心筋梗塞の死亡率は、最近では10%を切りました。つまり、10人心筋梗塞になって救急車で病院に担ぎ込まれても9人以上は元気で、帰ってくるというわけです。初回の心筋梗塞ではそうそう死なない時代になったということです。

たつの市では、カテーテルと使った最先端の治療はできませんが、姫路(姫路赤十字、新日鐵広畑、ツカザキ、姫路循環器など)や赤穂(赤穂市民、赤穂中央)では積極的にされており、死亡率も10%は切るレベルで治療されています。

確かに病院に生きてたどり着いた患者さんは90%以上助かっています。しかし、病院に着くまでに亡くなってしまう、もしくは救急隊が駆けつけた時に、既に心停止になってしまっている患者さんが沢山いることが、勤務医時代は、あまり考えたことがなかったというか、見ていなかった・・・いわゆる突然死と言われる病態で、70%は急性心筋梗塞による不整脈と考えられています。生きて病院に担ぎ込まれてからの救命率をもう数%改善するのは至難のことですが、pre-Hospitalでの心筋梗塞の死亡率を下げることはまだまだ糊代はのこっているわけで、開業医ができることもあるんではないかと思っています。つまりは、「心筋梗塞は、病院で起こっているんじゃない、家庭で起こっているんだ」ちょっと違う?

開業すると、もうカテーテルを使うことは出来ませんが、ここに家庭医の「循環器専門医」として貢献できることがあるのではないかと考えています。生活習慣病のコントロール禁煙支援心筋梗塞、心肺蘇生(AED)の啓蒙を行い、神岡町の心筋梗塞をひとりでも助けられたらと思っています。



どんな設備があるの? 何ができるの?

全自動血圧計

画像の説明

来たときは高かったけれど、もう一度測ると少し下がって、また測ると少し下がる、帰るときに測ると正常になりました。

「どの血圧が本当の血圧なんでしょうか」
「この血圧計は壊れているんじゃないの」

など患者さんから聞かれます。実はどれも本当の血圧です。みんな正しい血圧なんです。血圧を何回も測ると、血圧は刻々と変化するのがよくわかると思います。血圧とはそういうもんなんです。

血圧は、健康のバロメーターです。血圧が高くない人も医院に来たら、血圧を測ってみましょう。


家庭用自動血圧計

画像の説明

血圧を測って、高かった人には必ず、家庭血圧を測定してもらっています。

医院に来たときには血圧が高くて、測っているとだんだん下がってくるような人は「白衣高血圧」と言ってあまり、心配ないタイプかもしれません。健康診断高血圧症の疑いと言われた人も家で測ると全く正常の人もおられます。反対に「仮面高血圧」と言って医院で測ると正常な血圧ですが、朝の血圧が高くなっている早朝高血圧のパターンは危険なタイプです。
家庭用自動血圧計を貸し出ししておりますので、1週間ほど自宅で測ってみましょう。高血圧の治療を受けられている人は原則として、家庭血圧を測定して頂いています。

もし、一台、家庭に買っておいて、自宅で測ってみようかなあと思っている人には、格安(6800円税込)で家庭用自動血圧計(WHO推薦オムロン社)も斡旋しております。

画像の説明


名称未設定2

聴診器

画像の説明

聴診器は、ステトスコープと言って、胸を診る道具というラテン語の造語からできています。心臓の動く時に出る音や、呼吸する時に出る音などを聞きとります。1816年にフランスの医師が、診断学に革命を起こした画期的な大発明でした。

昔は、白衣と聴診器は医者の象徴のようなものでしたが、近年ではいろいろと新しいハイテク器械が開発されて、特に勤務医時代にはだんだん聴診器を使うことも少なくなっていました。

開業してからは、外来診療が主体となり、問診や診察がないがしろにされがちの時代に、「手当て」はまさに医療の原点であり、患者さんとのコミュニケーションツールとして、また非常に有用な情報を得られる診断機器である聴診器を眠らせないように肝に銘じて心音の聴診の再トレーニングしております。

心電図検査

画像の説明

心電図検査は、心臓を診るために最も頻回に用いられる、最も重要な検査です。

心臓の筋肉が全身に血液を循環させるために拡張と収縮を繰り返すとき、微弱な活動電流が発生します。その変化を四肢と胸部に取り付けた電極から計12種の波形を記録し「12誘導心電図 」その乱れから病気の兆候を読み取ろうとするのが心電図検査です。

心電図で分かる状態には、左室肥大、心房負荷、不整脈心筋梗塞、狭心症、電解質異常などがあります。心臓全体のはたらきを調べることもでき、心臓病の発見や診断、病状の把握、治療効果の確認、薬の副作用の発見などにも欠かせない検査です。

画像の説明画像の説明


胸部レントゲン

画像の説明

真ん中にある左側(向かって右)に少し出っ張った白い固まりは心臓です。

X線は、骨や心臓などは通過しにくく、肺などは通過しやすいため、通過した後のX線をフィルムにあて感光させると、骨や心臓は白く、肺は黒く映つります。心臓の上にくっついている丸いのは大血管です。

高血圧や心臓弁膜症、拡張型心筋症などで、心臓が拡大する病気が見つかるきっかけになったり、心不全が悪化すると、肺水腫や胸水の貯留がわかります。


超音波検査(心エコー、頸部血管エコー)

インフル053

レントゲン検査のように被爆することもなく、人体に安全で痛みを伴うこともありません。

超音波検査の仕組みは、魚群探知器と同じで超音波という人間の耳には聞こえないくらいの高い周波数の音波を海中に向かって発射し魚にあたってはね返ってきた超音波を受信することによって魚がどれくらいの深さにいるかをキャッチします。それにより画像を構成します。


  • 心エコー

絶えず働いている心臓の動きをリアルタイムで観察できることは、超音波検査の最も優れた特徴です。

心臓の大きさ、形態、心臓の壁の厚さ、動き方などがわかることで、生まれつき心臓の壁に孔があいているような病気や心筋梗塞や心不全など壁の動きが悪くなる病気、心臓が大きくなる拡張型心筋症などの診断に役立ちます。

また、血球に当たり、はね返ってきた超音波の情報で、血液の流れる速度を測定したり、流れる方向に応じて色分けして表示することもできることで心臓の弁の異常(逆流や狭窄)を診ることができます。

心エコーで使われるドプラ法は、とても感度がよすぎて「ドプラ病」を作ってしまう可能性を常に考えておかなければならない。聴診器を当てても心雑音は聴こえない、医者が病気を作らないように、身体所見や臨床症状と照らし合わせて判断することが大切です。

勤務医時代は、カテ屋(カテーテルを使って、診断、治療をする人)だった僕にとっては、エコーは技師さんがするものでした。開業したら自分でなにもかもやらなくてはいけません。早く技師さんを雇えるぐらいにはなりたいものです。

  • 頸動脈エコー

高血圧や高脂血症、糖尿病など生活習慣病になると「動脈硬化」が進んで、脳梗塞や心筋梗塞を起こすというお話しを聞かれたことがあると思いますが、動脈の壁にコレステロールが溜まってなど目で見てきたように言われますが、実際は血管の中のお話しで、なかなか直接見ることができません。

体の中の血管で動脈硬化を起こしやすい血管というのがあります。心臓の血管と、足の血管と腎臓の血管と頸の血管です。

その中でも、頸の動脈は皮膚表面に近いところを走っているので、エコー検査で動脈硬化があるかどうかを実際に目で見える形で調べることができ、心筋梗塞になりやすい人を事前に見つけることが出来るのです。
 
image_large のコピー画像の説明


名称未設定2

ホルター心電図(24時間心電図

画像の説明

24時間と書いてありますが、入院の必要はありません。器械を装着していただいた後は、ご自宅で普通に生活していただきます。検査のために無理に安静をとる必要は全くなく、むしろ通常通りの生活をしていただくことが大事です。

普通の心電図検査「12誘導心電図 」は5秒ほどで終わってしまいます。胸痛や動悸がしたけれど、病院に来ているうちになおってしまったということはよく経験されます。

そういった場合に、ウオークマンより少し大きいくらいの小型の心電計を24時間装着して日常生活をしている間の心電図を記録します。ちなみに「ホルター」という名称はアメリカの物理学者で、24時間心電図記録法の発表者であるHolter博士の名前に由来しています。(腰に固定(ホールド)することから、ホルダーと誤解されていること多いようです)

画像の説明画像の説明

不整脈や狭心症の診断するために検査をします。ホルター心電図検査の欠点としては、器械はベルトで腰回りにつけたり、肩からつるしたりして使いますので少し面倒です。 専用の絆創膏を使用していますが、 皮膚の弱い方はかぶれる場合があります。 器械は耐水性はありませんので入浴はできません。(なるべく真夏は避けたいと思いますが、病状から検査の必要な場合は、申し訳ありません)それと、検査代が少し高く、2割の人で3000円、3割の人で4500円かかります。

装着中の簡単な行動日記を書いて頂きます。胸痛や動悸などの症状以外でも、起床時間、就眠時間、トイレ、食事なども解析に重要ですのでご面倒ではありますが、ご記入よろしくお願いします。
画像の説明



当院にはホルター心電図の器械が3台あります。2誘導(FM-160)と
3誘導(FM-300)記録できるものがあります。
インフル051画像の説明

FM-160 は45gと軽く、小さくなっており、首からつるす感じでの装着方法で、患者さんの負担も少なくなっております。
画像の説明画像の説明

インフル050

当院では、SCM5000で解析しております。

日常生活で不整脈や心筋虚血が起きるかどうか、あるいは症状が心臓に起因するのかどうかがわかります。

また、最高、最低心拍数や不整脈の種類、数、発生時間や心拍数との関係を調べます。

症状がなくても重症な病気を持っている場合などは、明らかに重症な不整脈や狭心症が記録されていることもしばしば経験します。


携帯型心電計

胸痛や動悸などの症状がある場合は、一般的には、上記のホルター心電図(24時間心電図)で検査を行います。

しかし、症状が1週間に1回程度、1ヶ月に一度と忘れた頃に起こるような場合は、せっかく検査をしても、1日だけなら「異常なし」となる可能性が高くなります。何回か繰り返して検査を行っても、うまく捕まらない場合もしばしばです。そういった場合には、胸痛や動悸が起こった時に、自分で心電図を記録する器械が有用です。

携帯型心電計は、症状が起きたその時の心電図波形を約30秒間記録することが出来ます。

画像の説明画像の説明
右手の人差し指を指電極全体に当てて持ちます。そして、素肌の左乳頭の約5cm下に胸電極を密着させます。そのまま測定スイッチを押して約30秒で測定完了です。


運動負荷試験

運動負荷試験とは運動中および運動の前後で心電図や症状から心臓の病態を調べる検査です。

狭心症の患者さんは、発作が起きていないときの心電図では、正常な人と区別がつきません。狭心症の発作が起こって(胸が痛くなって)初めて心電図に異常が出てきますので、この発作を運動することによって誘発します。

階段を昇ったり、自転車をこいだりして、心臓に負担をかけて、心電図の変化を記録します。異常が認められれば、狭心症と診断されます。  

  • マスター階段昇降試験
画像の説明

2段になった踏み台を昇り降りしてもらい、運動前後の心電図をとって心臓の状態を調べます。一般的な階段の昇降時間は3分間(ダブル)で行います。階段の昇降速度は年齢や体重、性別などによって決められます。簡便ですが、十分な負荷が得られない場合もあります。

  • 自転車エルゴメーター試験

固定式の自転車ペダルをこいで、その時の心電図変化を調べる検査です。ペダルの回転力を徐々に重くすることで負荷を増やし、負荷中に血圧測定をしながら、これ以上こげないというところまで続けます。



名称未設定2

動脈硬化検査

この器械を使って、手足に血圧計を巻いて、血管の硬さと詰まり具合を調べます。


画像の説明

脈波伝播速度(PWV Pulse Wave Velocity)=動脈の硬さ
脈波伝播速度は、心臓から出て動脈を伝わっていく脈のスピードを測定する検査です。心臓から押し出された血液により生じた拍動が、血管を通じて手や足に届くまでの速
度のことで、血管が硬い程、その速度は早くなります。
 
上腕と足首の血圧比(ABI Ancle-Brachial Index)=動脈の狭窄度
足首と上腕の血圧の比を測定することで血管の狭窄の程度が分かります。健常人の場
合、足首血圧は上腕血圧より高いのが普通ですが、足の動脈が脂質等で詰まったりす
ると血流が悪くなり、上腕の血圧より低くなり、ABI値が低くなります。



物理学上、波は硬い材質のものを伝わる時に速く、柔らかい材質のものを伝わる時にゆっくりと進みますので、脈のスピードを知ることにより、脈の伝わる場所つまり動脈の硬さを推し量ることができるのです。
画像の説明

画像の説明

検査は、5〜10分ほどで出来ます。血圧を測るのと同じくらい気軽に受けられます。両手、両足首の4箇所の血圧を同時に測定するだけなので、ほとんど痛みはありません。(足は血圧が高めなので、少しきつく締まります)薄手の服でならそのままで測定できます。


24 時間血圧計

画像の説明

上記の24時間心電図というのは比較的よく知られた検査ですが、24時間血圧計という検査は、最近保険を使って出来るようになりました。 右の写真のような器械を24時間つけていただきます。

また検査の最中は起床、就眠時間などを書いていただく日記帳をお渡しします。なお検査の最中は入浴できません。

画像の説明

心臓は一刻も休むことなく拍動しています。
心臓がぎゅっと収縮して血液が送り出されるとき、動脈で計る圧力が 収縮期血圧(最高血圧)、そのあと心臓が広がって中に血液がたまってくる時の圧力が拡張期血圧(最低血圧)です。
つまり、厳密に言えば、血圧はふつう一日に約10万回も変動しているわけです。数分間で血圧が変わるというのは、刻々と変化する血圧の一部を切り取って測定しているからです。


一般的には、 血圧は、緊張したり、興奮したりすると上がるし、リラックスしているときや、眠っているときは下がります。白衣高血圧は、医師や看護婦が測った血圧は高くても自宅で測ると正常の場合は白衣高血圧と呼ばれ、薬の必要はなく、経過観察でよい場合がほとんどです。
画像の説明

高血圧の治療は、随時血圧(医院で測る血圧)と家庭血圧(自己測定してもらい手帳に記録)を参考に行っていますが、中には、随時血圧と家庭血圧があまりにも違っている場合や、実際の血圧と臓器障害(腎障害や心肥大など)が相関していない症例などは、24時間血圧計のよい適応です。

24時間血圧計は、 日中は30分毎、夜間は1時間毎に機械が自動的に働いて血圧を測定記録します。 血圧計の布(マンシェット)を腕に巻き付けたままですから、多少うっとおしいですが、夜も寝られないというほどではありません。

車の運転はなるべく控えてください。

血圧のパターンは人ぞれぞれ違います。高血圧の薬により、一日を通じて血圧がちゃんんとコントロールされているかどうかの判定に用います。降圧が不十分または過度な時間帯があればそれにあわせて降圧剤の服用時間を変更したり、薬を加減します。 高血圧のテーラーメイド治療に有用なのです。

睡眠時に血圧が下降しない場合や夜間に血圧が上昇するような方は、内臓障害が進行 しやすく、脳卒中や心臓発作発症との関連が深いことが報告されています。


名称未設定2