アルコール依存症

アルコールに関する法律ができたのを知っていますか?日本は、酒にはすごく甘い社会ですね。かなりひどい状態まで社会が許容するんですよね。考えれば、タバコにも甘い、性にも甘い、頼れる宗教もなくて、こんなぐたぐたの文化でやっていけているのは、日本人はある意味すごいなとも思います。しかし、世界がグローバル化して、日本の常識だけでは通用しない社会になってきました。お酒は私たちの生活に豊かさと潤いを与えるものである一方、不適切な飲酒はアルコール健康障害の原因となります。更に、アルコール健康障害は、本人の健康の問題であるのみならず、飲酒運転、暴力、虐待、自殺などの様々な問題にも密接に関連します。アルコール関連問題は、多岐にわたります。これに鑑み、平成25年12月に「アルコール健康障害対策基本法」が成立し、平成26年6月に施行されました。

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あなたの飲酒 大丈夫?

あなたは、自分には関係ないと思っていませんか?アルコール依存症は「酒癖が悪い人」「意志の弱い人」だけがなるわけでなく、お酒を飲む人なら男女、年齢に関係なく誰にでも起こりえる病気です。長期間にわたりある量の飲酒を続けると、アルコールへの精神的・身体的依存が形成され、どうしても飲まずにはいられなくなってしまいます。アルコール依存症とは、お酒の飲み方(飲む量、飲むタイミング、飲む状況)を自分でコントロールできなくなった状態のことをいいます。飲むのはよくないことだとわかっていても、脳に異常が起きて飲むことをやめられなくなります。アルコールは麻薬や覚せい剤、タバコと同様の依存性の強い薬物です。またアルコール依存症は患者さん本人の意思の弱さによって起きるものではなく、薬物依存症という病気であり、医療機関で治療が必要なのです。

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週に3日以上、1日1合以上飲酒する人は、男性で35.1%、女性で7.7%と言われています。アルコール依存症になった人の多くが「まさか自分がなるとは思わなかった」と話します。仕事の疲れを癒すため、日常のストレスを発散させるため、気軽に飲んでいたお酒が週に3日が4日となり、毎日となり、いつしか「大切にしていた家族、仕事、趣味などよりも飲酒をはるかに優先させる状態」になってしまうのです。アルコール依存症は男性では、3〜5合を毎日のように飲んでいる人が10〜20年ぐらい経って(女性の場合は男性の半分の量、期間でアルコール依存症になる)次第にお酒の量をコントロールできなくなる、ビール1杯で終わりと思っていても飲み足りなくて強いお酒をどんどん飲んでしまうようになるのです。

アルコール依存症と診断されている人は、全国で100万人ですが、その背景にいるリスクの高い飲酒と言われている人達は、1000万人ぐらいと言われています。放っておいたらアルコール依存症になってしまう可能性の高い危険な飲酒に介入することで、飲酒量が減る、回数が減る、入院日数を減らすことができるのです。

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危険な飲酒(不適切な飲酒)とは、どういった飲み方でしょうか?つまり、有害事象のリスクが上昇する飲み方であり、3つのタイプがあります。

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過剰な習慣飲酒

男性で週に140g以上(ビール中瓶500ml 10本/週)、女性で週に70g以上、長期に渡り多量に飲む慢性問題飲酒。アルコー依存症、生活習慣病、がんなどの慢性的な健康障害が惹き起こされます。

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 1ドリンク 1単位
アルコール依存症の話をする時には、飲酒量を測るものさしとして「1ドリンク」「1単位」などの単語を理解しておく必要があります。

「1ドリンク」=アルコール10gで、「1単位」=アルコール20gです。一般的には、1単位という単位が使われていることが多いですが、危険な飲酒をスクリーニングするために用意されたAUDITは「1ドリンク」で計算するので間違わないようにしなければなりません。

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例えば、ビール中瓶(またはロング缶)500mlは?
500(ml)x0.05(%)x0.8(g/ml)=20g
ビール中瓶1本は、アルコール20g含むため、2ドリンク(1単位)
になります。

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ビンジ飲酒(酩酊に至る飲酒、深酒、暴飲、どか飲み)

2時間に男性50g(ビール中瓶500ml 2.5杯)以上、女性40g以上の問題飲酒。一気飲みとは異なります。たまに飲みに行ったとしても酩酊に至る量をめば、 急性アルコー中毒、事故、ケンカ、DV 、性被害など、酩酊に起因する健康障害や社会問題を引きこリスクが高まります。お酒を出す店でよく見かけるサービスパック、2時間飲み放題は、ビンジ飲酒を推奨しているが如くです。大変危険な飲み方なんだと自覚しておく必要がありそうです。ゆっくり飲みましょう。

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急性アルコール中毒は、20歳代が圧倒的に多くなっています。特に若い人は、コンパや新入生歓迎会などで場を盛り上げるために「イッキ飲み」をすることが大きな原因となっています。

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飲んではいけない条件下での飲酒(妊婦、飲酒運転、未成年)

(1)妊婦
妊娠中にお酒を飲むと、胎盤を通じてアルコールがお腹の赤ちゃんに入り、さまざまな悪影響を及ぼすことがあります。胎児性アルコール症候群(FAS)とは、妊娠中にアルコールを摂取した女性から生まれた子供に特徴的な顔貌(小さな目、薄い唇など)発育の遅れ、中枢神経系の障害(学習、記憶、注意力の持続、コミュニケーション、視覚・聴覚などの障害)などの先天異常が見られます。また、妊婦がお酒を飲むと、早産や流産、分娩異常の原因になることもわかっています。

02 胎児アルコール


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 女性はお酒に弱い?

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男性より女性の方が飲酒の適量が少なかったり、女子特有の飲酒リスクがあります。最近、女性でお酒を飲む人が増えているんだそうです。背景には、女性の社会進出が進んだことが挙げられています。2008年の全国調査で20代前半年代では、女性の飲酒率が、男性の飲酒率を上回ったそうです。 習慣飲酒者(週3回以上飲酒する人)の割合も 男性は減少傾向にあるのに、女性は増加傾向にあります。確かに、女子会って飲み会があったりししますもんね。では、女性の方が飲酒のリスクが高いのは何故なんでしょうか?女性ホルモンのエストロゲンには、アルコールの分解を抑える働きがあり、アルコールの代謝能力が平均して男性の4分の3ほどしかないと言われています。特に、エストロゲンの分泌が多い生理の終わり~排卵日までの時期は、アルコールの分解が抑えられて、酔いやすい時期と言われています。また、女性は体脂肪が多く、その分体内の水分量が少ないです。このため、同じ体重で、同じ飲酒量でも、血中アルコール濃度が高くなりやすい傾向にあります。(血中アルコール濃度が高くなりやすいということは、急性アルコール中毒にもなりやすいということです)もちろん、体格差も関係しています。つまり、肝臓の大きさにも差があるということです。小さい肝臓は、アルコールのダメージを受けやすく、短い期間でアルコール依存症や肝硬変になりやすいと言えます。(男性がアルコール依存症になるまでには飲酒が習慣化してから10~20年、女性の場合は半分の6~9年と言われています)そして、過度の飲酒は女性特有の疾患(乳がん骨粗鬆症など)のリスクを高めます。また、妊娠中の女性は、胎児性アルコール症候群という障害や奇形、発達の遅れなどの悪影響が出る場合があります。よって、厚生労働省の推進する「健康日本21」によると、1日の適度な飲酒量は純アルコールで男性の半分くらいとされているわけです。飲めるお酒の量が少なくて、ちょっとそんした気持かもしれませんが、ほろ酔い加減が一番気持ち良いお酒です。女性の潰れている姿は美しくないですよ。飲みすぎに注意しましょう。


(2)飲酒運転
「飲んだら乗るな 飲むなら乗るな」飲酒運転の罰金が30万、50万と跳ね上がり、最初はやり過ぎとも思われましたが、これぐらい徹底してやらないと社会の雰囲気も変らないですよね。飲み屋さんも「飲酒運転はダメダメダメ」って正論には面と向かってはなにも言えません。平成18年、福岡海の中道大橋飲酒運転事故は連日大きく取り上げられ、飲酒運転厳罰化への大きな引き金となりましたが、まだまだ、飲酒運転は後が断ちません。

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 ハンドルキーパー運動

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「ハンドルキーパー運動」は、自動車で飲食店に来て飲酒する場合、お酒を飲まない人(ハンドルキーパー)を決めることで、飲酒運転を防止しようとする運動です。ベルギーで「ボブ運動」として発祥、全日本交通安全協会では日本版に「ハンドルキーパー運動」の名を付けて実施しています。

アルコール依存症とは、アルコールに関するコントロール障害です。ゴルフ場で昼ごはんに中ジョッキ1杯ぐらいなら、午後のラウンド2時間ちょっと、風呂に入って帰る頃には、大丈夫?だとは思いますが(個人差あり、体調にもよります)次の日の朝に、運転をしなければならないとわかっていて、60g以上の飲酒で午前様になるような飲み方をすれば、立派なアルコール依存症です。酔いの程度は、脳内のアルコール濃度によって決まりますが、実際に脳内の濃度を測るのは不可能なので、代わりに血中アルコール濃度によって酔いの程度を判定しています。日本の道路交通法では、呼気1L中0.15mgで酒気帯びで検挙されます。(深い呼気2L中のアルコール量と血中アルコール(mg/ml)がほぼ等しい。欧米の半分以下と厳しい)朝から飲酒検問はしてないでしょうが、もし、人身事故を起こせば、一晩拘留され、実刑はまぬがれません。社会人として節度ある飲酒に心がけましょう。

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(3)未成年
20歳未満の未成年者は、お酒を飲んではいけません。「未成年者飲酒禁止法」という法律で禁止されています。アルコールには中枢抑制作用(麻酔作用)があり、アルコールを代謝する酵素の働きが弱い未成年者の場合は、急性アルコール中毒に陥りやすくなります。また、アルコールそれ自体が成長期にある脳の神経細胞へ悪影響を及ぼし、成長障害、性腺機能障害(生理不順、インポテンツ)の危険が高くなり、肝臓や膵臓などの臓器障害も起こりやすくなります。さらに、未成年のうちから飲み始めると、数ヶ月〜2年でアルコール依存症になりやすい(大人は15年〜20年)という危険もあります。最近の調査によると、中学生の17.1%、高校生の30.5%が「飲酒経験あり」とされていますが、冠婚葬祭や誕生日やクリスマスなどのイベントで、自分が飲んだ勢いでついつい子どもに一杯勧めてしまうという場面が多いようなので、大人自身が気をつけなければなりません。

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まずは、あなたの飲酒、自己チェックしてみましょう。

アルコール依存15 のコピー

アルコール依存15

あなたは、100人中何位でしたか?ちなみに僕の場合は、家では、週に1回ぐらい、350mlの缶ビールを嫁さんと半分個するぐらいで、今のところ習慣飲酒は大丈夫そうですが、月に1回程度外に飲みに行けば、2時間飲み放題(ビンジ飲酒)で、1時間も経たないうちに、気がついたら空の中ジョッキが2〜3個並んでいるので、24〜48位の範疇に入りそうです。女性では、月に1回以上、1合以上でベスト10に入るというのはちょっと厳しそうですね。前述したように2008年の調査で、20歳代前半では、女性の方が飲酒機会が多いようで、この表は、40歳以上ぐらいのターゲットでしょうか。いずれにしろ標準化して行く、飲酒量の多い人を減らす行動変容に導けるツールとして利用出来そうです。

AUDIT(アルコール問題のスクリーニングテスト)

外来に来られている患者さんで、医師がちょっと思う患者さんは、ほぼ間違いなくアルコール問題を抱えていますが、問題は、医師がこの人は、大丈夫と思っている患者さんの7割に危険な飲酒があり、見逃す可能性があることを心に留めておく必要があります。では、どうやってこのような隠れ飲み助の危険な飲酒をスクリーニングするか?アルコール問題のスクリーニング法はたくさんありますが、ここでは、WHOがスポンサーのAUDIT(the Alcohol Use Disorder Identification Test)を紹介します。

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質問6に「迎え酒」の項目があります。二日酔いの時に「迎え酒」をすると二日酔いの不快な状態から解放される様に思いますが、迎え酒は再びアルコール血中濃度を高める事により感覚を麻痺させますので二日酔いの不快感を感じにくくなります。つまり、二日酔いをごまかす事ができます。しかし、摂取したアルコールは肝臓に送られてアセトアルデヒドに分解されますので、アルコールの血中濃度が下がるにつれ、再び二日酔いの不快感がよみがえるという悪循環を繰り返します。従って迎え酒は、二日酔いの解消には役立ちません。

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危険飲酒を検出するスクリーニングとして有用で、8点以上で危険飲酒を判定します。(感度90%以上、特異度80%以上)20点以上のアルコール依存症疑い群は、かかりつけ医の力の及ぶところではないので、専門医に繋ぎましょう。8〜19点の危険性の高い飲酒群に対し、かかりつけ医の介入が大切です。「わかっちゃいるけど、止められない」という患者さんに「お酒は飲まれますか」と聞くと「いいえ飲みません」・・・「焼酎に変えました」なんて言われたりします。胃カメラの時に「ごはん食べてませんか」「はい、食べてません」・・・「パン食べました」っていうのとか、風邪を引いて咳が長引く患者さんに「タバコ吸ってませんか」「いいえ吸ってません」・・・「今日は吸ってません」なんてのといっしょで、患者さんの心理って難しいですよね。アルコールには、ビール、ウイスキー、焼酎、ワイン、日本酒と様々な種類があります。「日本酒はきついから焼酎にしています」「ワインって体にいいんでしょ」なんて言っておられる患者さんもおられますが、アルコールはアルコールです。量が過ぎれば、悪いに決まっています。患者さんの多くは過小申告します。外来では、「1日どれくらい飲みますか」ではなく「最大でどれくらい飲めますか」「一升瓶が何日で空きますか」など具体的に聞くことがポイントです。自信がなくても「減らします」「やめます」と本人に言わせることが大切です。かかりつけ医の介入でも、飲酒量、飲酒回数、入院日数を減らすことが出来ます。

ドリンクという単位を憶える必要があります。純アルコール10gを含む飲料=1ドリンクとして計算しますが、アルコールの種類によって度数が異なり、比重の0.8を掛けなくてはならないので、あんちょこを提示しておきます。

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AUDIT(オーディト)が面倒くさい時は、AUDIT Cといって1)〜3)のみの合計で評価する方法もあります。男性 4点以上で危険飲酒(感度86%、特異度89%)女性 3点以上で危険飲酒(感度73%、特異度91%)となっています。


「お酒は、ほどほどにしましょう」

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「お酒は、ほどほどにしましょう」という表現がよく使われますが、ほどほどの量とはいかほどでしょうか?貝原益軒(江戸時代の本草学)の「養生訓」には酒の功罪についての記述があります。「酒は天の美禄なり。少し飲めば陽気を助け、血気をやわらげ、食気をめぐらし、愁いを去り、興を発してはなはだ人に益あり。多く飲めば、またよくひとを害する事、酒に過ぎたる物なし。酒を多く飲む人の長命なるはまれなり。酒は半酔に飲めば、長生の薬となる」お酒は百薬の長とも言われます。

これは、現在の医学でも証明されています。疫学調査で、アルコールを全く飲まない人より、11〜19g飲む人のほうが、死亡率が低くなっています。丁度この量がJカーブのボトムにあたりますが、「少し飲み」「半酔に飲む」量とは、エタノールとしては20g程度(すなわちビール中瓶1本、日本酒なら1合、ウイスキーならダブルで1杯)飲んだ量になり、血中アルコール濃度では、0.02〜0.04%の爽快期に相当すると考えられます。

06 海外の死亡率-1

つまり、節度ある適度な飲酒として、1日平均20g以下が望ましいとしているが、注意として、女性、顔の赤くなる人、高齢者(65歳以上)はこの量より少なく(10g程度)とするとしています。

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フラッシング反応について

お酒の成分であるアルコールは、胃で20%、小腸で80%吸収されます。それらが血管を通って、肝臓に運ばれます。肝臓では、アセトアルデヒド、酢酸、二酸化炭素、水の順に分解され、最終的には尿、汗、呼気となって体外に排出されます。なお、肝臓で一辺には分解しきれなかった多くのアルコールは、そのまま全身に運ばれていきます。脳に入ったアルコールは、脳を麻痺させて、酔った状態になるわけです。全身を巡ったアルコールは、再び肝臓に戻って分解されていきます。

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アルコール(エタノール)は肝臓で主にアルコール脱水素酵素(ADH)の作用によってアセトアルデヒドに分解されます。このアセトアルデヒドという物質が身体にとっては有害な物質で、フラッシング反応を起こすだけでなく、発ガン性のあることが知られています。有害のアセトアルデヒドを無害の酢酸に変換する酵素が、肝臓にあるアルデヒド脱水素酵素(ALDH)です。ALDH1は血液中のアセトアルデヒド濃度が高くないと働きません。ALDH2は低い濃度でも働くので、多くのアセトアルデヒドはADLH2で分解されています。

2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2) は、517個のアミノ酸から構成されるたんぱく質です。このうち504番目のアミノ酸を決める塩基配列の違いにより、3つの遺伝子多型に分かれます。グアニンを2つ持っているGGホモ型、グアニンの1つがアデニンに変化したAGヘテロ型、2つともアデニンになったAAホモ型です。GGタイプのアルデヒド脱水素酵素の代謝活性に対し、AGタイプは約1/16の代謝活性しかありません。AAタイプにいたっては代謝活性を失っています。したがって、ALDH2は「酒に強い」GGタイプ、「酒に弱い」AGタイプ、「酒を飲めない」AAタイプの3つタイプ分かれます。ALDH2の遺伝子多型は生まれつきの体質で、人種によってその出現率は異なります。はるか昔、人類が三大人種(黒人、白人、黄色人種)に分岐した時に何故か黄色人種だけが突然変異的に「ALDH2」の活性をなくしてしまったわけです。「酒に弱い」AGタイプと「酒が飲めない」AAタイプは日本人を含む黄色人種にのみに認められます。これに対して、コーカソイド(白人)とネグロイド(黒人)は全て(99%以上)「酒に強い」GGタイプです。日本人の約半数は、生まれつき「ALDH2」の活性が弱いか欠けています。(日本人ではGGタイプは50%強、AGタイプは約40%、AAタイプは約5%とされています)

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ALDH2の働きが弱い人(AGタイプ)全く働かない人(AAタイプ)では、少量でも飲酒するとアセトアルデヒドが分解されずに蓄積するため、飲酒すると悪酔いしやすく様々な反応が起こります。このアセトアルデヒドは有害物質のため毒性作用があり典型的には顔や身体の皮膚が赤くなる(フラッシング)ほてり感、頻脈、血圧低下、気管支収縮、アレルギー反応、吐き気、頭痛などです。このような反応をフラッシング反応と呼びます。

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お酒に「強い」「弱い」は遺伝による生まれつきの体質からくるもので、特訓や努力でこの体質は変わるものではありません。この体質は酵素の遺伝子を調べることで確認できますが、この体質は二つの簡単な方法でもある程度見分けられるので、自分の体質を認識し(周りの人にも知ってもらい)体質に応じた飲み方を守っていくことが大切です。

(1)簡易フラッシング質問法 
「現在、ビールコップ1杯程度の飲酒ですぐ顔が赤くなる体質がありますか?」
「飲み始めた頃の1〜2年間はそういう体質がありましたか?」
上のどちらかに該当する場合は、感度90.1%・特異度95.1%で ALDH2 欠損者(フラッシャー)ということができます。

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(2)アルコール(エタノール)パッチテスト

1. テープに少量のガーゼを貼り、ガーゼに消毒用アルコール(70%)を湿らす。
2. ひじ関節とワキの中間など、皮膚のやわらかいところに貼る。
3. 7分経ったらテープをはがす。はがした直後(5秒以内)に、ガーゼが当たっていた部分の肌の色を見ます。
4. さらに、テープをはがしてから約10分後にもう一度肌の色を見ます。

ガーゼをはがした部分が赤く変化しない人は、ALDH2酵素が、正常に働いているので(ALDH2活性型)お酒に「強い」タイプです。
はがした直後に肌が赤くなる人は、ALDH2不活性型です。お酒が「飲めない」タイプです。勧められても断るようにしましょう。
ガーゼをはがした部分が10分後に赤く変化した人は、ALDH2酵素の働きが弱いので(ALDH2低活性型)お酒に「弱い」タイプです。
注意するポイントとして、安静時に行う。(運動直後は避ける。)エタノールを布の外へはみださせない。貼った方の手をしめつけない。貼ったテープの上を押さえない。お酒を飲んでいない状態で行う。ただし、高齢者では皮膚の赤みが出にくく、精度が低くなる傾向にあります。


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 お酒の弱い人は、食道がん高危険群

WHO(世界保健機関)では、アルコールそのものが、口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳房のがんの原因となるとされています。また、少量の飲酒で赤くなる体質のアルデヒド脱水素酵素の働きが弱い人では、アルコール代謝産物のアセトアルデヒドが食道と咽頭・喉頭のがんの原因となるとしています。口腔内の常在菌はアルコールからアセトアルデヒドを産生し、飲酒後の唾液中のアセトアルデヒド濃度は、血中アルコール濃度の10倍位の高濃度となります。(ALDH2 欠損者ではさらに 2~3 倍の高濃度になります)このように、口腔、咽頭、食道は高濃度のアセトアルデヒドに暴露され、がんを発生すると考えられています。また、ウイスキーや焼酎のようにアルコール度数が高い酒の方が、ビールなどの様なアルコール濃度が低い酒の方より、食道がんの頻度が高く、アルコールが直接食道粘膜を障害することによりアセトアルデヒドなどの発がん物質が粘膜に浸透しやすくなるためと考えれれています。

一方で「タバコ」と口腔、喉頭、肺がん、食道、胃、肝臓、膵臓のがんはタバコと深い関係があります。食道がんは「酒飲み」で「喫煙者」に多い病気です。全くお酒を飲まず、たばこも吸わない人には、ほとんど発生しません。したがって、食道がんは男性に多く認められます。特に、お酒を飲んですぐ顔が赤くなる人は要注意です。飲酒で「顔が赤くなる」ということは、アルコールの分解がスムーズにいかず、アルコールが分解される過程で発生するアセトアルデヒドが、体内に蓄積しやすい体質だということを意味します。このアセトアルデヒドは飲酒後の、顔が赤くなる、胸がドキドキする、頭痛、吐き気、嘔吐などの不快な症状(フラッシング反応)を引き起こします。

アルコールは肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに変換されますが、アルコール脱水素酵素(ADH)には少なくとも6種類(ADH1~ADH6)があります。主として働くのはADH2ですが、最近、ADH1Bと呼ばれる様になりました。このADH1Bには働きの弱い酵素(低活性型)と強い酵素(高活性型)があります。低活性型の人では、アルコールをアセトアルデヒドへ分解するのが遅いため、フラッシング反応がおこりにくく、自分では「酒を飲んでも顔は赤くならないから私はお酒が強い」と錯覚している人がいます。こういう低活性型の人は、大量に飲酒した時に、飲酒翌日までエタノールが残って酒臭い体質であることも報告されています。日本人の約1割が低活性型とされています。

あなたの飲酒による食道がんのリスクは?ALDH2とADH1Bのいずれも欠損型でない体質の人が、飲酒も喫煙もしない場合の食道がんになる危険性を1とすると、この体質の人が飲酒と喫煙をすると食道がんになる危険性は3.44倍。ALDH2とADH1Bのいずれも欠損型の人のリスクは6.79倍。その体質の人が飲酒と喫煙を同時にすると、さらに28倍の189倍になるしています。ALDH活性の弱い(酒に弱い)人でよく酒を飲む人の食道がんの発生率は、ALDH活性が強い(酒に強い)人で酒をよく飲む人の12倍になっています。

アルコール分解関連遺伝子と酒とたばこと食道がん20


アルコール依存症が疑われたら

WHO(世界保健機関)によれば、アルコール依存症は「大切にしていた家族、仕事、自分の健康などよりも飲酒をはるかに優先させるような状態」と定義されています。

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アルコール依存症が疑われる場合は、プライマリーケア医の出る幕ではありません。治療は断酒しかありません。専門医や自助グループへ繋ぐことが出来るかが鍵を握ります。都道府県単位で精神保健福祉センターが設置されています。そこに問い合わせると、近隣のアルコールに対処してくれる医療機関を照会してくれます。兵庫県に精神保健福祉センターに電話をしてみると、あまり問い合わせがないのか、ちょっと戸惑った感じはありましたが、いろいろと調べてくれました。

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森下神経内科診療所 姫路市京口町102         079-223-8787
原田心療クリニック 姫路市飾磨区清水101山陽ビル1F 079-233-2345
室井整形外科・心療内科 兵庫県たつの市揖保町西構182 0791-67-0531

西播断酒会 アルコール依存症から抜け出すため「お酒をやめたい」という同じ思いを持ち、仲間とみんなで、お酒を飲まないことを取り組んでいる人たちがいます。ひとりではお酒をやめることが難しため、仲間で力を合わせることが大切です。ひとりでやめようとしてやめきれなくて、何度も何度も失敗をした経験を語ること、聞くことで少しずつ自分を取り戻していく、ひとりではダメだったけど、仲間といっしょにいることでアルコールに頼らない新しい自分の生き方を見つけていくのです。