血小板だけが異常低値で、白血球、赤血球が正常ならば、まず、特発性血小板減少性紫斑病(ITP:Idiopathic Thrombocytopenic Purpura、又はImmune Thrombocytopenia)を考えます。ITPは血小板が減少し、その結果として出血の危険が高まる病気で、国が指定する難病(特定疾患)の対象になっています。明らかな基礎疾患や原因薬剤の関与がなく血小板の数が減少し、出血症状をひき起こす病気です。血小板以外の赤血球や白血球には、異常はみられません。6ヶ月以内に治癒する「急性型」と、6ヶ月以上続く「慢性型」に分類されます。

 
項目名1 急性型 慢性型
好発年齢 2〜5歳 20〜40歳
男女比 1:1 1:2〜4
発症 急性の発症 発症時期はしばしば不明
先行感染 ウイルス感染、予防接種 なし
出血症状 強い 無症状の場合もある
経過 6ヶ月以内に寛解 6ヶ月以上慢性に経過する

 

症例case study

24歳の女性。左足に発疹があり、皮膚科を受診。湿疹+皮下出血?と診断された。処方されたお薬を飲んでいると、3日後に鼻血が止まらず、内科を受診。血小板減少を指摘されて入院となる。後から考えれば、腕や足に紫斑が多く出来ていたのに気が付いていたが、アレルギーだと思って気にしていなかった。

WBC4800 Hb13.2 PLT1.1万

血小板減少性紫斑病

 

ITPの診断には、PAIgGが高値になることが有名ですが、特異的な所見ではありません。診断には、血小板減少をきたす他の疾患を除外する必要があり、これが大変なんです。なにか血小板が減少する疾患をみつければ、それが診断だし、見つからなかったら、ITPという診断になるわけです。つまり、ゴミ箱疾患なわけです。2万以下で症状があれば治療適応ですが、数万以上あり、症状もなければ経過観察です。

特発性血小板減少性紫斑病は、特定疾患になっており、申請書を作るためには以下の疾患を除外しなければなりません。

ITP 申請

ITP

2012年に厚生労働省が「成人ITP治療の参照ガイド2012年版」を発表しました。ITP 治療の基本概念として、血小板減少がすべてが治療の対象ではないことがわかっています。すなわち無治療でも510%の症例は自然に血小板数が回復することや血小板数3 万/ml 以上では、一般人口と比較して生命予後に差がありません。また現在の治療法による反応性、副作用を勘案するとITP に因る出血死と治療による副作用死亡がほぼ同じであるなど、長期予後を考えると血小板3 万/ml 以上の症例については無治療経過観察が必ずしもマイナス要因ではないとされています。治療は、重篤な出血を伴う場合です。血小板は、2万が目標です。決して正常値を目指しません。5万あれば手術も可能なので、日常生活をいわんやです。

中高年齢のITP にピロリ菌陽性率が高いことが本邦ITP の特徴である。これら陽性症例に対する除菌による血小板増加反応は約60%に認められる。その効果は長期間(1 年以上)持続し、他のITP 治療の中止が可能となり、再発がほとんど認められない特徴があります。よって、ピロリ菌に感染している場合は、最初に除菌療法を行います。ピロリ菌に感染していない場合は、プレドニゾロンを用います。約80%の症例が血小板数3 万/ml 以上に増加し,中でも約50%以上の症例が血小板数10 万/ml 以上となります。しかしステロイド減量に伴い血小板数は減少し、ステロイドを中止できる症例は10∼20%とされています。無効例には、脾臓摘出術(脾摘)を勧められます。80%に血小板増加反応が認められるが、約20%が再発し、永続的効果は約60%です。脾摘が無効な場合(約30%に見られる)場合には、トロンボポエチン受容体作動薬などが選択されます。

ITP

 

 

緊急時あるいは外科的処置などに対する対応

血小板数1 万/ml 以下で粘膜出血を伴う場合や,主要臓器内への出血(脳内出血,下血,吐血,血尿,多量の性器出血,止血困難な鼻出血,口腔内出血,外傷部位の止血困難な出血など)や血小板数5 万/ml 以下の手術時には,一時的にでも血小板数を増加させることが必要であります。

ITP外科的処置