急性腹症

急性腹症(きゅうせいふくしょう)とは、急激に発症し、激しい腹痛を伴う疾患の総称で、とくに救急医療の現場で、早急に外科的処置が必要か否かの判断が要求される症候です。単なる腹痛と違い、差し迫った緊急事態というニュアンスがあります。

原因としては、消化器疾患に限らず婦人科疾患、泌尿器科疾患なども含まれますが、まずは、痛みをとってあげましょう。

アセトアミノフェン

 

それでは、診断です。

①急性胃粘膜病変(AGML)大きなストレス、暴飲暴食によるものです。
②アニサキス症 しめさば、イカなどの刺身を食べて1~2時間以内です。
③胃・十二指腸潰瘍穿孔(せんこう)フリーエアーを認めます。
④胆石症 右季肋部の疼痛で、脂っこいものの食後に起こります。
⑤急性虫垂炎 吐き気を伴う上腹部痛から始まり、右下腹部に移動します。
⑥感染性腸炎 ウイルス性の胃腸炎と食中毒で、下痢が起こります。
⑦急性膵炎 アルコールや胆石発作が引き金になり、痛みが背部に放散します。
⑧大腸憩室炎 回盲部付近かS状結腸が多く、憩室に炎症です。
⑨虚血性腸炎 薬剤や食物に起因する場合があり、下血を伴うことが多い。
⑩腸閉塞 絞扼性イレウスの場合はすぐに緊急手術が必要です。
⑪腸間膜動脈血栓症 腸の動脈が詰まったもので、診断が難しい。
⑫腹部大動脈瘤破裂・解離性大動脈瘤 大動脈の瘤が破裂か亀裂で背部痛を伴う。
⑬尿管結石 下腹部痛や背部痛で発症し、血尿を伴います。
⑭子宮外妊娠 妊娠可能な女性に強い下腹部痛があり、貧血症状を伴います。
心筋梗塞 上腹部痛で発症、血圧低下、冷や汗があれば、心電図検査を。



診断には、問診や身体診察は、もちろん大切ですが、診療所のセッティングで最も威力を発揮するのが超音波検査(エコー検査)です。患者さんに対する侵襲度も少なく、多くの情報を得ることが出来ます。

FAST(focused assesment with sonography for trauma)緊急の腹部エコー検査
外傷に限らず、心嚢液(心タンポナーデ)、胸水(血胸)、腹水(腹腔内出血)の検出に有用な方法です。6つの場所で観察します。

(1)心窩部縦走査
画像の説明

(2)右肋間走査
少量の胸水は、背側寄りの肋間で観察します。かなり上方での走査が必要です。
IMG のコピー のコピー

(3)右肋間走査
Morison窩を観察します。
画像の説明

(4)左肋間走査
画像の説明

(5)左(右)側腹部縦(横)走査
側腹部の走査で上行結腸、下行結腸の外側を観察します。
IMG_0002 のコピー

IMG_0002 のコピー のコピー

(6)下腹部縦走査(ダグラス窩)
直腸膀胱窩、直腸子宮窩(ダグラス窩)膀胱子宮窩を観察します。
画像の説明
画像の説明



異常ガス像
腹腔内遊離ガス(free air)は消化管穿孔を診断する重要な所見で、肝表面で検出されやすい。多重反射を伴う高エコーを示し、呼吸や体位変換による不規則な動き(これが鑑別点)が観察できる。
IMG_0003 のコピー

 





   画像の説明

急性膵炎

左前腎筋膜(ゲタロ筋膜)に及ぶ輝度上昇
アミラーゼ正常の膵炎は多い。原因としては、胆石(45%)アルコール(35%)が多いが、薬剤、ウイルス(CMV、EB等)中性脂肪>1000mg/dl

 

閉鎖孔ヘルニア

高齢で痩せ型の女性が大腿内側部痛を訴えている場合は、出産歴を問診。全絞扼性イレウスの0.2〜0.4%

卵巣出血

排卵日や黄体期に重なる性行為は卵巣出血の誘因となる。月経中の性行為は骨盤腹膜炎の原因になる。