サイロイドテスト マイクロゾームテスト

橋本病やバセドウ病において、甲状腺自己抗体の抗サイログロブリン(Tg)抗体や抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体が高率に検出されます。従来から間接凝集反応(PA法)で抗サイログロブリン抗体や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の半定量的な測定法としてサイロイドテスト、マイクロゾームテストが使われていましたが、最近では、定量的に測定する(RIA、EIA、CLEIA等あり、最も高感度なCLEIAが広く使用されている)抗Tg抗体、抗TPO抗体検査が使用されています。

抗Tg抗体、抗TPO抗体はそれぞれサイロイドテスト、マイクロゾームテストに比べて感度、特異性に優れた測定法で、橋本病における陽性率は、抗Tg抗体97%>抗TPO抗体75%>マイクロゾームテスト63%>サイロイドテスト44%である。(CRCデータ)しかし、コストは、サイロイドテスト、マイクロゾームテストは370円、抗Tg抗体、抗TPO抗体検査は1500円です。びまん性甲状腺腫大を認めた場合は、まず、TSH、FT4とサイロイドテスト、マイクロゾームテストでスクリーニングするようにしています。

抗Tg抗体あるいは抗TPO抗体が陽性ならば橋本病と診断します。バセドウ病でも高率に陽性となりますが、診断において必須ではなく、測定値に関わらず橋本病との鑑別に用いることはできません。また亜急性甲状腺炎の経過中に弱陽性を示すことがあり、膠原病や1型糖尿病などの自己免疫性疾患でも陽性となることがあります。一般成人での陽性率は5~10%、加齢とともに上昇します。