オキシコンチン

画像の説明

痛みとは、国際疼痛学会では、「実際または潜在的な組織損傷に伴って起こるか、またはそのような言葉を使って述べられる感覚的・情動的な不快な体験」と定義しています。つまり、「痛み」として認識するのは、脳なのです。痛みは、単に痛いという感覚的なものだけでなく、痛みに伴う情動的なものについても治療が必要になります。また、痛みは他の人と共有できない感覚で、人によって、痛みに関する表現が異なるだけでなく、痛みの感じ方も多様です。同一人物でも、時によって痛みの感じ方が異なります。

身体に異常が見あたらなくても、患者さんが痛いというのであれば、それは気のせいのようなものではなく、痛みであり、苦しみとしてとらえなければいけません。痛みを放置すると、患者さんがつらく病状も悪化するだけではなく、痛みの悪循環が生じ、慢性疼痛に移行することがあるので、できる限り除痛することが重要なのです。(鎮痛は一時的なものだから、できれば我慢する・・・この考えが悪循環を生むのです。)

痛みに慣れるというはありません。痛みがあると交感神経系が興奮し、血管収縮を伴う虚血による痛み、筋肉の収縮による痛み、炎症性の痛みなどが起こり、発痛物質の蓄積による知覚過敏が起こります。このように痛みの悪循環が起こると痛みはさらに強くなり、痛みの性質も変わってきます。つまり、急性疼痛の段階で適切な対応をし、慢性疼痛に移行しないようにしなければなりません。

 

オピオイド鎮痛薬(麻薬)

医療麻薬の使い方のポイント
◎決められた時間に、決めたれた量を使いましょう。(食事は関係ない)
◎上限はありません。
◎痛いときは、頓服薬(レスキュー)を使いましょう。
◎吐き気止めと便秘の薬を併用しましょう。


モルヒネの血中濃度と効果(副作用)発現

画像の説明

モルヒネは、血中濃度により出てくる薬理作用が異なります。便秘は、誰でもある副作用で、暖下剤の併用が必須です。たかが便秘、されど便秘で、この副作用のために、二度と麻薬は飲まないと言われる患者さん数知れずです。半数弱の人で吐き気があり、その程度は色々ですが、吐き気止めの併用で抑えられます。吐き気は次第に軽くなり、多くは2週間ほどでなくなります。眠気は、あっても軽度で、日増しに軽くなるのが普通ですが、眠気には個人差があります。吐き気、眠気などが非常に強く、予防薬もよく効かないで、モルヒネが使えない人がいますが、不思議とモルヒネの持続皮下注射は問題ないことも多いのです。

 

副作用対策
便秘 酸化マグネシウム+緩下剤
嘔気 ノバミン、セレネース、非定形向精神薬
せん妄 セレネース、非定形向精神薬

 

画像の説明

オピオイドとは(opioid)とは、麻薬性鎮痛薬などのアルカロイドおよびモルヒネ様活性を有するペプチド類の総称です。紀元前よりケシ未熟果から採取されたアヘン(opium)が鎮痛薬として用いられ、19世紀に、モルヒネとして単離されました。1970年代には、オピオイドの受容体が証明されました。オピオイドには、大きくモルヒネ系、オキシコドン系、フェンタニル系に分けられています。

 

 

モルヒネ

鎮痛作用、呼吸困難改善作用、鎮咳作用
腎不全では、代謝産物が貯留してしまう
様々な製剤あり
速効薬 オプソ内服液 5mg/2.5ml 10mg/5ml 室温保存
塩酸モルヒネ水
塩酸モルヒネ錠 10mg
徐放剤 MSコンチン
MSツワイスロン
カディアン カプセル 20mg 30mg 60mg 1日1回24時間
ステック粒 30mg 60mg 120mg
ビーガード
速徐放剤 パシーフ
坐薬 アンペック 10mg 20mg 30mg 室温保存
注射薬 アンペック注(塩酸モルヒネ注) 注10mg1%、注50mg 注200mg4%

オプソ内服液(モルヒネ)

5mg/2.5ml/包
1回5〜20mg、1日6回

臨時追加投与として使用する場合は、投与中のモルヒネ経口製剤の1日量の1/6を目安に投与

 

オキシコンチン錠(オキシコドン) 

画像の説明

【組成・性状】5mg錠 10mg錠 20mg錠 40mg錠
【効能・効果】効果は、約12時間持続します。
【用法・用量】食事と関係なく、決められた時間に飲みましょう。

オキシコンチン錠は、モルヒネと比較して、初回通過時のグルクロン酸抱合を受けにくいため、バイオアベイラビリティが高く、鎮痛効果は、モルヒネの1.5倍で、その代謝物も薬理活性がほとんどなく、速やかな血中濃度の上昇、12時間にわたる安定した血中濃度の維持がなされ、ばらつきのない薬物動態を示します。

 

画像の説明

5mg錠(10mg 20mg 40mg)

腎機能に関係なく、1回5〜40mg 1日2回 徐放剤で効果は12時間持続します。
肝代謝(腎障害でも問題なく使用できる)
オキシコドン10mg=リン酸コデイン90mg=塩酸モルヒネ15mg相当

増量の仕方(用量調節=タイトレーション)
50%増しで増量するのが一般的です。40mg→60mg→90mg→120mg→180mg→・・・天井効果なし。

画像の説明画像の説明

画像の説明

オキノーム散(オキシコドン)

画像の説明

2.5mg/0.5g/包
10mg/2g/包
即効性製剤、レスキューで使用。1日何回飲んでもかまいません。飲んでから1時間以上経っても痛みが軽くならないときは、我慢しないで飲みましょう。

オキノーム散を溶かすのには、10mlの水があれば十分です。(白く混濁)

レスキューの量は、基本的には、1日総投与量の1/6(1/4〜1/8量が目安とされていますが、1日総投与量の少ない場合は、1/2でも可。

 

フェントステープ(フェンタニル)

24時間鎮痛効果持続

画像の説明

画像の説明

画像の説明

画像の説明

画像の説明

 

オピオイドの増やしても耐性で効果が弱くなったり、強い副作用で使いにくい場合、投与ルートの変更が必要な時に、オピオイドの種類を変えてみると上手くいく場合があります。これをオピオイドスイッチ(ローテーション)といいます。

画像の説明;

中等量以上(オキシコンチン120mg以上)のオピオイドのスイッチをする場合は、一度で全部を変えるのではなく、半分を変えて、少し量を減らして、レスキューで対応し、徐々に違う製剤に変更していく。

 

デュロテップMTパッチ(フェンタニル)

画像の説明
2.1mg/枚
4.2mg/枚
貼付剤、1回の貼付で約72時間鎮痛効果持続。ゆっくり効いてくる(18時間ぐらい、血中濃度が一定になるのに9日間)ので、過量にならないように増量には細心の注意が必要。(突然に、意識レベルが下がったり、呼吸抑制がくる、パッチを剥がしても、切れるのに1日かかる)

画像の説明

画像の説明

アブストラル舌下錠

画像の説明
【組成・性状】100μg 200μg 400μg
【効能・効果】強オピオイド鎮痛剤を定時投与中の癌患者における突出痛の鎮痛
【用法・用量】通常、成人には1回の突出痛に対して、フェンタニルとして100μgを開始用量として舌下投与する。用量調節期に、症状に応じて、フェンタニルとして1回100、200、300、400、600、800μgの順に一段階ずつ適宜調節し、至適用量を決定する。なお、用量調節期に1回の突出痛に対してフェンタニルとして1回100~600μgのいずれかの用量で十分な鎮痛効果が得られない場合には、投与から30分後以降に同一用量までの本剤を1回のみ追加投与できる。至適用量決定後の維持期には、1回の突出痛に対して至適用量を1回投与することとし、1回用量の上限はフェンタニルとして800μgとする。ただし、用量調節期の追加投与を除き、前回の投与から2時間以上の投与間隔をあけ、1日あたり4回以下の突出痛に対する投与にとどめること。

国内では頬粘膜吸収錠(イーフェンバッカル)と舌下錠(アブストラル)が発売されています。
突出痛には
①薬の切れ際の痛み(定期的な鎮痛薬の少し前に痛くなるもの)
②体動に伴う疼痛
③予測できない突発的な疼痛、の3種類があります。
フェンタニル粘膜吸収製剤は②と③に対して使用します。がん患者の予測できない突発的な疼痛は、発生が急で、持続時間が短く、数十分のうちに自然に軽減することが特徴です。フェンタニル粘膜吸収製剤は、経口オピオイドに比べ効果発現時間がはやく、効果持続時間が短いので、このような突出痛の特徴に合った薬剤と考えられています。また、突出痛の治療に必要なオピオイドの量は、ベースのオピオイド量とは相関がないことが分かっています。(ベースのオピオイドが多くても、突出痛治療に必要な量は少ない場合、またはその逆がある。)このため、突出痛は突出痛として分けて、至適投与量を決定する必要があります。一方、ある程度の投与量の「目安」になるものとして、イーフェンとアブストラルは1:1換算ではありませんが、突出痛の治療に使用される場合、イーフェン200μg≒オキノーム15㎎が目安になります。

モルヒネ60㎎、オキシコドン40㎎、フェントス2㎎、デュロテップMT4.2㎎以上のオピオイドの定期投与を行っていない患者では使用しない。これより低用量の場合(フェントス1㎎など)の場合は「必要性を慎重に検討する」とされている。持続痛がコントロールされている。すなわち、一日のうち大半は痛くなく、1日に2~3回以下の突出痛がある。
(注)1日4回を超える突出痛がある場合には、持続痛がコントロールされていないと考えられるので、アブストラルを使用する前にベースの鎮痛薬を増量する。

至適投与量は1日の合計オピオイド投与量から決定することはできないため、「用量決定期間」をもうけてプロトコールにしたがって至適投与量を決定してください。至適投与量を決定するためには、突出痛を生じたときに、100ugから投与を開始し、2回続けて効果があった場合にその投与量を至適投与量とします。効果ない場合は、100ug→200 ug→300 ug→400 ugの順に増量し、効果を判定します)

処方例)アブストラル舌下錠100μg 1錠(必ず100ug/回から始める)

   疼痛時 5回分    30分後効果ない時1回のみ追加可。1回目から数えて4時間あけて1日4回まで可

 




画像の説明


鎮痛補助薬

三環系抗うつ薬(トリプタノール等)

1960年代に開発された古い薬ではあるが、抗うつ作用に加え、高い鎮痛特性を有することが明らかにされています。厚生労働省は『慢性疼痛におけるうつ病、うつ状態』に対する使用を認めました。(平成21年9月)神経障害性疼痛のほか、慢性頭痛に対する効果が認められており、薬物乱用頭痛や群発頭痛に対してもよく用いられます。

SNRI(トレドミン、サインバルタ等)

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤である。アセチルコチン受容体、アドレナリンα1受容体、ヒスタミンH1受容体などの各種受容体を遮断しないことから、三環系抗うつ薬で問題となっている抗コリン作用(口渇 、顔面紅潮 、悪心、胃部不快感、食欲不振 、便秘 、眠気 、目眩い 、立ちくらみ )が少ない。SNRIは下行性疼痛抑制系の賦活作用により鎮痛効果を発揮すると考えられています。

てんかん薬(ガバペン、プレガバリン等)

中枢神経系においてカルシウム流入を抑制し、グルタミン酸などの興奮性神経伝達物質の遊離を抑制することにより、過剰に興奮した神経を鎮め、痛みを和らげます。神経痛は神経細胞にカルシウムイオンが作用して痛みの伝達物質が過剰に放出されることにより起こります。リリカの作用機序は神経細胞のカルシウムイオン結合部位のα2δサブユニットという部位に結合して、カルシウムイオンの結合を抑制して、痛みの伝達物質の放出を低下させ鎮痛効果を発揮します。

μオピオイド受容体作用薬(トラムセット、ノルスパンテープ)

弱オピオイド製剤(トラマドール塩酸塩)
μアゴニストと三環系抗うつ薬の作用を併せ持った、フェノールエーテル系鎮痛薬。μ受容体だけではなく、セロトニン・ノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで、下行性疼痛抑制系を賦活し、鎮痛効果を発揮します。
トラマドールとアセトアミノフェンの合剤である、トラムセットが2011年8月より承認された。
欧州神経学会 EFNSの神経障害性疼痛薬物治療ガイドラインでは、トラマドールは有痛性多発性神経障害ではエビデンスレベルAを受けている薬剤である。
非オピオイド製剤(ブプレノルフィン塩酸塩)
麻薬拮抗性鎮痛薬(非オピオイド系鎮痛薬)、モルヒネなどの完全受容体作用薬に競合
μ受容体の部分作用薬 partial agonist、δ受容体作用、κ受容体アンタゴニスト作用
κに作用しないため、ソセゴンのような不快な精神異常(不安、悪夢、離人感)は無い
鎮痛作用はモルヒネの20~50倍。
適応—術後痛、がん性痛変形性関節症および腰痛症に伴う慢性疼痛、
μオピオイド受容体に対する結合力は、アンタゴニストであるナロキソンなどと匹敵するほど非常に強いため、アメリカでは 2001年後期にオピオイド依存の治療薬として高用量の錠剤が FDA の認可を受け、現在はその用途が主となっている。
副作用—呼吸抑制、悪心、嘔吐、眠気、頭痛
効果の持続時間が長いことから耐性がつきにくく、乱用能も低い
NMDA受容体拮抗薬(ケタラール等)